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ソフトウェア

新教育「めんどうな事はコンピューターにやらせよう」(2)

タブレットを操作する女の子の写真

塾長です。

今回の記事は、心臓の弱い方は要注意です。

先回の記事『新教育「めんどうな事はコンピューターにやらせよう」(1)』の続編です。
先回は、

  • これから世界がどうなるか
  • なぜ「コンピューターの使い方」を子供たちに教えるべきか

について書きました。
今回は、コンピューターの使い方について、さらに深堀します。

  • コンピューターが使えない
  • コンピューターを使わせない

その恐怖を感じてもらえればと思います。
後半は、かなりショッキングなデータが登場します。

その努力はおいくら万円?

多くの場合は一生懸命努力することは良いことです。
だからと言って、常にそうとは限りません。
次の事例について、ぜひ考えてみて欲しいと思います。

同じ研修、同じ仕事

ある会社で、ある特殊機能を搭載したパソコンのマウスを新しく開発したとします。
そして、そのマウスを欲しがるターゲット層が2種類あるだろうと想定しました。
そこで同じマウスを、色合いや質感を少し変えて、2種類の商品として別々に販売することにしました。
商品名は「マウスα」と「マウスβ」に決まりました。

問題は、その値段です。

そこで係長は、社員のAさんとBさんに、それぞれの市場調査をお願いしました。

社員Aさんには「マウスα」について。似たコンセプトの商品が何種類あって、それぞれ何円で販売されているかを一覧表にまとめるように言いました。
社員Bさんには「マウスβ」について、同様の調査をお願いしました。

もちろん、パソコンの会社ですから社員にはプログラミングの研修をしてあります。

仕事の速いAさん

Aさんは、研修で習ったプログラミングを活かし、2日間で一覧表を完成させました。
1日目は、調査方法を調べました。どのホームページを見るか、どんなキーワードで探すか、などを決めました。
2日目は、調べた方法を自動化するプログラミングをしました。先輩から助言をもらったものの、半日でプログラムが完成したので、調査はあっという間に終わりました。
グラフを描くなど統計分析もしましたが、それも含めて丸2日間で終わりました。

仕事の遅いBさん

Bさんは、プログラミングを面倒に思って手作業で取り組み、5日間で一覧表を完成させました。
1日目から一覧表の作成に取り掛かったので、最初の内はAさんよりも早く仕事が進んでいると思いました。
2日目も同じ作業を続けました。色々なホームページを見て回り、似た商品を1つ見つけては、それを手作業でエクセルにコピーしていきました。
3日目も同じように続けました。たくさんあったため作業が大変でしたが、ついに一覧表を完成させました。しかし集めた情報の種類がバラバラで、間違って関係ない商品の情報をコピーしてしまったなどの作業ミスが見つかりました。
そこでチェックと修正をするために、さらに2日間かかりました。
結局、5日間かけて完成しました。

どちらの仕事の方が価値が高いか?

さて、Aさんの仕事とBさんの仕事。
最終的なアウトプットが同等であったとした場合、どちらの方が価値が高いでしょうか。

AさんとBさんは、いつもこんな感じです。
Aさんの方が、早く仕事をこなします。しかも間違えが少ないです。
Bさんは頑張ったことを主張しますが、いつもAさんよりも仕事が遅いです。

競合他社よりも早く新商品を打ち出せば、それだけ有利です。
速く仕事を終えれば、その分だけ他の仕事も進められます。

普通に考えれば、早く終えた仕事の方が、より価値が高いと思われます。

ところが現実は逆です。

コスパの悪い作業

簡単のために、AさんとBさんがの月給が、どちらも22万円だったとします。
月給ですから、どのような働き方をしても、もらえる給料は一緒です。

単純に日割り換算すれば、

2日間で完了したAさんの仕事は、2万円です。
5日間で完了したBさんの仕事は、5万円です。

おやおや。

なんと、遅かったBさんの仕事の方が、むしろAさんよりも3万円も高く評価されてしまったことになります。

それは納得のいく評価でしょうか?
Aさんは、Bさんが同じ給料であることを、どう思うでしょうか?
周りの社員は、どう思うでしょうか?

キミはAさんとBさん、どちらと一緒に仕事をしたい?

あなたはAさんとBさん、どちらの人と一緒に仕事をしたいですか?

社員の立場だったら?
お客様に接している立場だったら?
経営者の立場だったら?

そして平等を考える立場だったら?

この先もAさんとBさんが同じ評価をされてしまうのであれば、他の社員さんたちは、こうに思うでしょう。

「できるだけ、ゆっくり作業しよう」
「サボりながらやれば、効率よく給料がもらえる」

そんな会社は間もなく潰れてしまいます。

「会社が潰れる前に、転職しよう」

仕事のできる社員から逃げて行ってしまうでしょう。

努力の向きや種類が違う

Aさんは、研修で習ったプログラミングを積極的に活用しました。

「この仕事が楽になったら、他の社員や後輩たちも助かるかもしれない。」

そんなサービス精神もありました。
だから、自分の作ったプログラムを、他の社員も利用できるように公開していました。

仕事をすればするほど、コンピューターを色々な方法で使えるようになりました。
それにともなって、仕事が速く終わることが増えていきました。

Bさんは、Aさんと同じ研修を受けていました。

Aさんと動機ですが、Bさんの方が偏差値の高い大学を出ていました。
暗算や暗記が得意で、プログラミング研修の確認テストでは、むしろAさんよりも点数が高かったです。
しかし、その知識を実際の仕事には活用しませんでした。

Bさんは頭の回転が速くて、事務処理能力も高いので、手作業で競争すれば他の社員よりもテキパキとこなしました。
そのため、作業量が多くなっても、手作業のまま作業を進めてしまいがちでした。
仕事の量が増えても、仕事のやり方を改善しようとしませんでした。

同じ環境で同じ知識を与えられても、心構えが違えば結果も評価も違ってきます。

「コンピューター使おう」と思える能力

「コンピューターを使いこなす」
「プログラミング}

そんなに難しく考える必要はありません。
とりあえず次のように考えてみてください。

  • 作業が多すぎ → プログラミングして楽をしよう
  • 何度も何度も → プログラミングして2度目を無くそう
  • 覚えきれない → コンピューターに覚えさせよう
  • 調べきれない → コンピューターに調べさせよう
  • 徹夜はいやだ → コンピューターにやらせて帰宅しよう
  • 全員同じ作業 → だれか1人がプログラミングすればOK
  • ミスできない → コンピューターにやらせよう
  • 手順が難しい → コンピューターにやらせよう
  • 疲れるばかり → コンピューターにやらせよう
    などなど・・・

同じ作業を50回も100回も繰り返すと嫌になります。
だいたい3回目くらいで察しがつきます。

「どうしよう、このまま最後まで時間も体力も大丈夫かな。何か効率的にならないかな?」

と思い始めます。
決まった手順の作業でも、それが複雑で難しければミスが出やすいです。
だいたい最初の3回の内にミスを連発して思います。

「あとで見直しも大変になりそう。そもそもミスしない方法でできないかな?」

そういう時こそ、プログラミングを活用するチャンスです。

まだまだ日本人に欠けている発想

コンピューターを解決手段の1つとして、すぐに思い浮かべられること。

今の日本人には、この発想が学生にも社会人にも不足しています。
そもそも学習にコンピューターを活用してこなかったからです。
経験が無ければ発想ができません。

発想と言うのは、言い換えれば行動パターンです。
普段からコンピューターを活用している経験がある人ほど、発想しやすいでしょう。

調べ物をしたり、学校の宿題を提出したり、何かを発表したり、保護者のあんーとをとったり、などなど。
できるだけ多くの場面で、コンピューターを活用する経験を早くからさせておく。
それだけでも立派な教育です。

日本人は先進国の中で、コンピューターを勉強に使う時間が少ないそうです。
高性能な道具を手にしても、それをゲームにばかり使っているそうです。

この状態は早く改善する必要があります。

世界最弱レベル!? パソコンを使えない日本の生徒たち

まず、このグラフを見てください。

どう思われますか?

OECD「PISA2018」のグラフ

自宅や学校にノートパソコンがあり、それを使うと答えた児童の割合 ※ OECD「PISA 2018」のデータを基に教育社会学者の舞田敏彦氏が作成出典:
Newsweek 「世界で唯一、日本の子どものパソコン使用率が低下している舞田敏彦氏(2020/1/8)

 

この状況は、どうやら今に始まった事ではないようです。

30年も遅れている日本

アメリカ赴任中にお子様をアメリカで育てられた方からのコメントです(原文まま)。

米国で子供を育てましたが、35年前にして、公立中学校でも、エッセイは、タイプライターかワープロで打って提出するように、手書きは、それだけで減点対象との指示。その後、大学に進学したら、当時のデスクトップPCを購入するように、それを学生寮の部屋から学内のネットに接続して履修届やリポート等を提出するようにとの指示が、30年前。

元Google日本法人社長 村上氏 談(Facebookの塾長の投稿に対するコメントより)

上のコメントについて、また別の方からもコメントをいただきました(原文まま)。

私もちょうどそのころ、米国に住んでおり、現地の中学・高校に通いましたが、まさにそうでした。当時、日本は「ワープロは手書き文化を損なうので禁止すべきだ」ということが真面目に議論されていて、子ども心に日本の衰退が予測できて悲しかったですね。

STUDY PLACE 翔智塾 代表 中村先生 談(Facebookの塾長の投稿に対するコメントより)

また少し違った角度から、紙で提出してはいけない理由を解説していただきました(原文まま)。

Double spaced on one side of the page ですね.これは大事な点で,提出物は「コメントをしてもらえるように」というのが鉄則で,間違えてsingle spaced で提出すると傲慢ととられます.数学は例外で手書きもたいていO.K.とおもいます.
日本の英文学会は長いことsubmitした原稿は「決定稿」でレフェリーコメントによって改善する,というシステムはありませんでした.アメリカの文学会はsubmitした原稿を採択する場合にはレフェリーの意見により,書き直しをお願いすることもあります.これはよりよい論文を本誌に掲載したいと思っているからです.というのがはっきり書いてあります.
そして「必ず」推敲が必要,自分がいいたいことは自分が一番わかっていない,という認識でしょうか?そのため,消しゴムを使うのは最悪で,editの後がわかるように証拠を残す,editがあるのが大前提でinvitation for commentsという形で余白をつくる.

名古屋大学 宇澤教授(Facebookの塾長の投稿に対するコメントより)

あぁ、なんということでしょう。

日本は30年も遅れている!

いや、最悪35年も・・・

教育現場においてITSの活用で遅れている?

単にそれだけではありません。

「自分が言いたいことは自分が一番わかっていない」
「エビデンスを残す」

このような科学的な思考の育成が、そもそも一歩も二歩も遅れています。

そして、エビデンスを持つということは、30年前からその手のビッグデータが蓄積されているということです。
そのデータ自体が、また次の研究や開発の対象として価値を生みます。
ソフトや教育の資産価値を高めていく土壌がアメリカにはあるのです。

日本には、その土壌がまだありません。
ITSが遅れるということは、このように2重にも3重にも色々なことが遅ることになります。

反省すべき過去30年

その結果、次のような差が生まれてしまうのです。

平成元年と平成30年の「世界時価総額ランキング」を比較すると、バブル期の日本が相当ヤバかったし世界の変動も見て取れる

この状況について、もちろん政府は問題視してます。
政府どころか、東京都でもこんな資料を作っているくらいです。

「未来の東京」への論点 ~ 今、なすべき未来への投資とは ~(概要)東京都政策企画局

そしてこんな記事まで。

これが長期停滞の元凶…コロナ禍が暴いた日本IT化「絶望的な遅れ」現代ビジネス 2020/8/23 野口 悠紀雄氏の記事より

挙げればきりがありません・・・

この状況はどうしたら改善できるでしょうか?

まず、この状況は子供たちではなく、大人たちの責任です。

私たちが子供に何をしてあげられるか?

子供たちにかける言葉を間違わないことです。

そこから考えなくてはいけません。

たとえば、読書感想文を

「原稿用紙に書いて提出しなさい」

というのを

「メールで送りなさい」

としたり、あるいは少なくとも

「パソコンで打って印刷したものを提出しなさい」

などとしなければ変わりません。
大人が

「紙に書け」

と言えば、子供はコンピューターではなく紙に書きます。

そのような、何気ない私たちの慣れ切った言動のパターンが、子供たちの将来性を奪ってきたのだとしたら・・・

そう考えると、子供たちに申し訳なく思います。

日本の私たちは、自身の「当たり前」が世界の非常識になっている自覚を持たざるを得ない。

そういうところまで来ています。

大人の好き嫌いが子供たちの将来性を奪っていないか?

もうすでに身の回りはコンピューターだらけです。
これからはコンピューターが使えて当たり前になります。

大人の皆さんは、まだコンピューターが良く分からなかったり、あるいは苦手だったりするかもしれません。

  • プログラミング? ただの流行りでしょ。
  • プログラミング? 本物の教育とは言えないね。

そんな評価や食わず嫌いを言う人もあるでしょう。
大人は自分の生活を自分の責任で生きています。
ですから、こんな好き勝手を言ってもOKです。

しかし、自身の主義主張や苦手意識を理由に、子供たちからコンピューターを利用するチャンスを奪ってはいけません。

大人たちの今がどうだろうと、子供たちの将来は、

コンピューターが使えて当たり前!

になるなのです。
もっと辛いことを言えば、海外では30年前から、すでに当たり前になっています。
後で書きますが、知らないのは日本の大人たちだけです。

大人の皆さん、子供たちの将来を奪っていませんか?

子供たちの将来は、今の大人たちの好き嫌いとは関係ないはずです。

笑えるようで笑ってられない。こんなことまで手作業!?

日本をむしばむ悪しき習慣を列挙してみましょう。

  • 1つの漢字を「20回ずつ書いてこい」などという類の宿題
  • 重箱の隅をつつくような問題に対応するためのテスト対策
  • 感想文や小論文の原稿を何度も手書きで提出させる
  • 自由研究の提出物がいまだに紙や原稿用紙
  • 提出書類のフォーマットが厳格で、少しでも間違えると無効
  • 先生が講義ノートを見ながら板書し、それを生徒たち全員がノートに写す
  • ハサミとノリでプリントの原稿を作る
  • 印刷物のフォーマットをエクセルで作る
  • わざわざ議事録を作る
  • インターネットエクスプローラ(IE)でなければ動かない
  • コロナ禍でもハンコを押すために出社
  • 取引書類を紙で取っておかなければならない
  • 決裁権のない人が会議に参加して「持ち帰って検討します」と言う
  • 1人が作って配ればよいのに、毎回みんなで作っている
  • お役所Aがお役所Bの書類を持って来いと言う
  • データがCDやFAXで送られて来る

みなさん、他にどんなものを思いつきますか?

誰にでも手にしている技術を使わないということは、次の世代に不当な苦労を強いることになります。

自分の行動が老害になっていないか?

常にチェックする必要があります。

少なくとも、子供たち、学生のみなさんは、上のような行動を参考にしてはいけません。
反面教師にしてください。

若い人がコンピューターやアプリを使って何気ない改善提案をしてきたとき、それを目上の人がつぶさないことです。

ちゃんと1度受け止めて、真剣に対応しましょう。

3万円でできるコンピューター環境

以前にこんな記事を書きました。ご参考になれば。

予算3万円!子供のために立派なパソコンとソフトウェアを揃える方法

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

かっこいい技術者になるための勉強を全部解説(2020年版)

塾長が思案している顔の写真と議題

塾長です。

新年が明けましたので、日本の将来を照らしたい気分で書きます。全ては書けないので「技術立国日本の復活」というテーマで書いてみます。
やりたい事が見つかっていない子供たち、理系の進学を希望する学生さんたち、子供のキャリアを考えている保護者や先生の皆さんに読んでみて欲しいです。
後半は日本の現状に対する危機感や、教育改革の正しい方向性の提案などについても書きました。

長文なのでお急ぎの方は「日本の学生にお勧めの勉強」をお読みください。

日本の強い分野

日本の技術力で強い分野と言えば何でしょうか?

塾長は、機械、材料、土木、医療などが思い浮かびます。どれも職人の蓄積した知識や技を機械化することで世界をけん引してきました。例えば、自動車やロケット、リチウム電池、道路やダムの建設、新薬、がんの治療や移植手術などは、日本が世界に誇る分野というイメージを持っています。

日本人は、コツコツと改善や創意工夫を続けて、品質を磨きあげるような仕事が得意です。だからハードウェアの要素技術にも強いと思います。

過去の栄光にしないために

ただし新しい分野へ挑戦し続けなければ、日本の強みですら「過去の栄光」になります。すでに家電や工作機械、半導体の多くで生産拠点が海外に移り、日本は空洞化しました。Made in Japan の製品の多くは、ふたを開けてみれば中身のほとんどが海外製です。

頑張っているのは日本だけじゃない

急速に技術力をつけ、日本に追いつき、そして追い越している国が世界中でどんどん生まれています。かつて日本の製品がアメリカやヨーロッパで飛ぶように売れ、貿易摩擦をうみました。今や日本が貿易摩擦を受ける側です。

不利を覆す競争力

日本はコスト競争の点で圧倒的に不利です。人件費や多重課税の問題、資源やエネルギーの自給率が低い問題などがあるからです。その不利を覆すほどの技術力で付加価値を生み出さなければ、国としては成り立たないことは、容易に想像できます。

さらに課題があります。今や「働き方改革」の流れで「仕事が生きがい=ブラック」という図式ができました。この図式の中では既存のような「職人の技 -> 機械化 -> 競争力」という順番で競争力を鍛えるやり方が許されません。これからは職人がいなくなります。私生活に仕事を持ち込む職人さんの姿そのものがブラック認定されるからです。本人が良くても周囲の社員に迷惑だと非難されます。よって他の方法で競争力をつける仕組みが必要です。

  • 新興国とのコスト競争に巻き込まれない新しい技術分野
  • 働き方改革と両立しならが競争力をアップできる技術分野

それは何でしょうか?

日本がもっと強化すべき分野

以上をふまえて、これから日本が強化すべき分野は何でしょうか?

それは政府がずっと訴え続けています。教育改革も Society5.0 構想も、STEAM教育やプログラミング教育も、すべて繋がっています。にも関わらず日本が伸び悩んでいる分野です。

「ビッグデータをロボットや人工知能に活用する」
「IOTとICTでビッグデータを蓄積する」
「人間がロボットや人工知能と協力し合う」

など、近未来の社会を思い描くたびに引き合いに出される技術です。
それらはズバリ

  1. データサイエンス
  2. 人工知能
  3. 量子コンピューター

です。要するにITSに関連する技術分野です。特に日本はソフトウェア分野が弱いので強化していく必要があります。

データサイエンス、人工知能、量子コンピューターのソフトウェア部門。これらが日本の技術課題だと思います。

なぜ強化する必要があるのか?

現状、これらに関連するニュースには、日本の名前が悲しいほどに出てきません。アメリカやヨーロッパ諸国に比べて日本は出遅れており、分野によっては中国や韓国、一部の新興国にも追い越されています。
実際にネットで技術資料を検索してみてください。出てくるのは英語と中国語の資料ばかり。日本語の資料は5~10年くらい遅れいているか、レベルの低い内容のものばかりです。

競争力だけが理由ではありません。

今や日本の社会は問題が山積みです。格差や貧困の問題、病気や環境の問題、政治や民主主義のあり方の問題、生きがいや文化の問題、国際的な経済摩擦の問題などです。これらについて情報を正しく扱い、分析し、解決につなげていくためには、上にあげた分野の技術を、もっともと強化する必要があるのです。そして解決の必要があるからこそ、ニーズがあり、仕事が生まれ、付加価値が生まれるのです。そして何より、世界中の国々が同じような問題を抱えています。

むしろ競争力の向上は、そうした問題解決をしていく活動の結果論でしかありません。

ただ、今の日本の技術力のままではヤバいです。ホントにマジで。

日本の学生にお勧めの勉強

ということで、本日の本題です。

データサイエンス、人工知能、量子コンピューターのソフトウェア技術。これらの分野は将来が有望です。高い年収が見込めますし、どこの国に行っても引手あまたです。

その技術力を身に着けるために、今から何を勉強したらよいかを書きます。とは言え塾長は塾の先生に過ぎません。だから塾の先生みたいな言い方で書きますね。

ズバリ、以下です!

データサイエンスを研究するために必要な勉強

データサイエンスは、情報を大量に集めて大量に処理する中から、価値のある情報や規則を見つけ出す分野です。例えるなら、鉱山を掘って多量の土砂の中から金やダイヤモンドを見つけるようなものです。その方法を開発します。

それに必要な勉強は下表の通りです。

データサイエンスを専攻するために必要な基礎学力
学年層 学ぶべき教科 独学で進める分野
大学
  • ◎コンピューター情報処理
    ・プログラミング言語を1つ以上
    ・データーベース
    ・アルゴリズム
    モデル設計オブジェクト指向
  • ◎統計学
  • ◎線形代数(行列)
  • ◎微分積分学
  • 〇経済学や心理学などの中から専門分野を1つ以上
基本すべて独学

プログラミング言語は研究室で使われているものから習得

※大学は研究機関なので、勉強(知識や基礎技能の補充)は自分で進める

高校
  • ◎数学(数Ⅲ、数Ⅱ、数B、数Ⅰ、数A)
  • 〇英語
  • 〇現代文(論理国語
  • ◎社会と情報/情報の科学
  • 〇理科や社会の各教科から得意分野を1つ以上
  • プログラミングの基礎
    Python
    SQLなど
  • データー構造
    (テーブルと正規化、クラスとオブジェクト)
  • 統計学の初歩
  • 認知心理学の初歩
  • マーケティングの初歩
  • 行列とベクトル
中学
  • ◎英語
  • ◎数学
  • ◎国語の現代文
  • 〇社会(特に経済分野
  • 〇理科
  • △保健体育
  • ◎技術のコンピューター関連知識
  • プログラミングの初歩
    Excelマクロ
    Scratchなど
    (関数を使う)
    定理や公式の活用
  • パソコン操作
小学
  • ◎国語
  • ◎算数
  • 〇理科
  • 〇社会
  • △音楽
  • △図画工作
  • △家庭
  • ◎英語
  • プログラミング的思考
  • プログラミング体験
    Scratchなど
    (変数やリストを使う)
  • パソコン操作

赤字表記: 日本の教育現場で指導が手薄な単元

データサイエンスの技術を持つ人材は、世界的に見ても非常に少ないです。この分野を扱う学科を新設する大学がこれから増えるでしょう。
就職に有利です。高い年収が見込めます。しかも金を掘り当てれば億万長者という分野です。

人口知能を研究するために必要な勉強

人工知能は「人間に出来てロボットやコンピューターにはできない」ような仕事を、ロボットやコンピュータにもできるようにする分野です。気の利くロボットやコンピュータを発明して、世の中をどんどん便利にしていく分野です。

それに必要な勉強は下表の通りです。

人工知能を専攻するために必要な基礎学力
学年層 学ぶべき教科 独学で進める分野
大学
  • ◎コンピューター情報処理
    ・プログラミング言語を1つ以上
    ・アルゴリズム
    モデル設計オブジェクト指向
  • 〇テンソル解析
  • ◎ベクトル解析
  • △関数論
  • △統計学
  • ◎線形代数(行列)
  • ◎微分積分学
  • △解析力学
  • △心理学
  • △中国語(できれば)
基本すべて独学

プログラミング言語は研究室で使われているものから習得

※大学は研究機関なので、勉強(知識や基礎技能の補充)は自分で進める

高校
  • ◎数学(数Ⅲ、数Ⅱ、数B、数Ⅰ、数A)
  • 〇英語
  • 〇現代文(論理国語
  • ◎社会と情報/情報の科学
  • △生物基礎
  • △美術/音楽/書道など
  • プログラミングの基礎
    Pythonなど
  • データー構造
    (シーケンス、クラスとオブジェクト)
  • アルゴリズムの初歩
  • 認知心理学の初歩
  • 古典力学の初歩
  • 行列とベクトル
中学
  • ◎英語
  • ◎数学
  • ◎国語の現代文
  • △社会(特に経済分野
  • ◎理科
  • △美術
  • △音楽
  • △保健体育
  • ◎技術のコンピューター関連知識
  • ◎部活・生徒会・課外活動などの活動経験
  • プログラミングの初歩
    Excelマクロ
    Scratchなど
    (関数を使う)
    定理や公式の活用
  • パソコン操作
小学
  • ◎国語
  • ◎算数
  • ◎理科
  • △社会
  • △音楽
  • △家庭
  • △図画工作
  • ◎英語
  • プログラミング的思考
  • 外で友達と遊ぶこと
  • プログラミング体験
    Scratchなど
    (変数やリストを使う)
  • パソコン操作

赤字表記: 日本の教育現場で指導が手薄な単元

人工知能の意味は、時代とともに高度になります。

最近では人間の脳をモデルにした「ディープラーニング」という方法が盛んに研究されています。人間のように経験から学習し、学習したことを活かして答えを出すことができます。まだまだ発展途上ですが、特定の能力に限れば、すでに多くのサービスが実用化されています。

例えば、インターネット上でウソの情報と本当の情報を見分けたり、街中で犯罪者を見分けたりするような人工知能は、すでに実用化されています。

人工知能を利用したサービスは、これから多く開発されます。これも今のところ人材不足で就職に有利です。人工知能の仕組みの根本を開発できる人ほど、高い年収が見込めます。

量子コンピューターを研究するために必要な勉強

量子コンピューターは、量子力学という物理学の難しい原理を応用した全く新しいタイプのコンピューターです。得意分野では「スーパーコンピューターの1億倍」の計算スピードで、しかも「消費電力がそれほどかからない」という夢のようなコンピューターです。それを開発していく分野です。

それに必要な勉強は下表の通りです。

量子コンピューターを専攻するために必要な基礎学力
学年層 学ぶべき教科 独学で進める分野
大学
  • ◎コンピューター情報処理
    ・プログラミング言語を1つ以上
    ・アルゴリズム
    ◎テンソル解析
  • ◎ベクトル解析
  • ◎関数論
  • 〇統計学
  • ◎線形代数(行列)
  • ◎微分積分学
  • ◎量子力学
  • ◎解析力学
  • 〇熱力学
  • 〇電子工学
  • 〇電磁気学
  • △中国語(できれば)
基本すべて独学

通常のプログラミング言語と量子コンピューター用のプログラミング言語の両方を習得する事が望ましい

※大学は研究機関なので、勉強(知識や基礎技能の補充)は自分で進める

高校
  • ◎数学(数Ⅲ、数Ⅱ、数B、数Ⅰ、数A)
  • 〇英語
  • 〇現代文(論理国語
  • 〇社会と情報/情報の科学
  • ◎物理
  • プログラミングの基礎
    C/C++言語
    Azure/Q#など
  • 量子力学の初歩
  • 古典力学の初歩
  • 行列とベクトル
中学
  • ◎英語
  • ◎数学
  • ◎国語の現代文
  • ◎理科(特に物理分野)
  • △社会(特に経済分野
  • △音楽(特に楽譜)
  • ◎技術のコンピューター関連知識
  • プログラミングの初歩
    Excelマクロ
    Scratchなど
    (関数を使う)
    定理や公式の活用
  • パソコン操作
  • 電子工作など
小学
  • ◎国語
  • ◎算数
  • ◎理科
  • △社会
  • △音楽
  • △家庭
  • △図画工作
  • ◎英語
  • プログラミング的思考
  • 自然の中で遊ぶこと
  • プログラミング体験
    Scratchなど
    (変数やリストを使う)
  • パソコン操作
  • キャンプなど

赤字表記: 日本の教育現場で指導が手薄な単元

量子コンピューターは、まだまだハードウェアの開発とソフトウェアの開発の両方が必要です。この分野を志す高校生は、特に物理や数学を偏差値65以上まで強化していく必要があります。ハードウェアを開発するためには高度な物理学と数学の両方が必要です。

すでに量子コンピューター用のプログラミング言語やGUI開発環境が存在しているとは言え、今のところプロとして働いている量子コンピューター専門のプログラマーは、世界に数えるほどしかいません。市販の書籍や専門書で、そのプログラミングを学ぶことは可能です。量子コンピューターが広く使われるようになるのは10年後か20年後です。しかし研究所や先行開発ではすでに必要とされています。GoogleやIBMなどといった世界のトップ企業に就職したければ、ぜひ挑戦したい分野です。

途方もない可能性を秘めた技術分野

量子コンピューターを支える理論のひとつに、物理学の「量子もつれ」があります。この技術を利用して中国は「絶対に情報を盗まれない通信」の技術を開発し、なんと既に実用化されています。またその技術を搭載した人工衛星も中国で打ち上げられました。次世代のインターネット技術を担うのは中国かもしれません。人工知能や5Gも中国の台頭が著しいです。今後は中国語を学ぶエンジニアが増えるでしょう。

また、量子コンピューターの技術が、逆に物理学の最新理論にフィードバックされるようにもなりました。量子コンピューターのキュービット配列の振る舞いで、宇宙空間の性質を説明できるそうです。将来は空間をプログラミングする、なんてこともできるようになるかもしれませんね。

教育改革では間に合わないので民間の努力次第!

少し前まではSFの夢物語だったのに

「高速で飛行するロケットは、時間がゆっくり進む」などといった難しい相対性理論。物理学者の趣味みたいな話と思いきや、今やカーナビやスマートフォンの地図表示には必須です。

同じように「生きているけど死んでいる猫」などと訳の分からない説明する量子力学も、決して物理学者の趣味ではありません。今や量子コンピューターの基本原理です。「どこの国か世界最速のスーパーコンピューターを作れるのか。」が注目されて来た中で、まさかスーパーコンピューターの1億倍の計算速度をもつ量子コンピューターが登場して来るとは。多くの人にとって想定外の驚きだったことでしょう。

最近は、このような空想レベルに最先端の科学や技術が、あっという実用化されるようになってきています。しかも加速しています。コンピューターに限らず、遺伝子の利用や文化や価値観の融合なども加速しています。

変化が速すぎて教育改革が追い付かない

こうした最先端の技術が身近に利用できるようになったのは素晴らしいことです。できれば使いこなしたいです。いや、もっと言えば、ぜひ「作り出す側」に回って欲しいと思います。

そこで教育も改革だ、と思うのですが・・・とてもついて行けません。変化が激しくて、4年に1度の教科書改訂や10年に1度の教育改革なんかでは、とてもじゃないけど対応できません。公教育の変化を待っていてはダメなんですよね。

これは学校がダメという話ではありません。むしろあたり前の事なんです。そもそも公教育の使命は、今も昔も「基礎の学力」の底上げだと思うからです。教科書で勉強できるのは、色々な学問の土台となる「基礎」だけなんです。教科書は、多くの国民が共通に学ぶものですから、それで良いと思います。

たとえ、いくつかのモデル校でプログラミング授業や逆転受業に成功したとしても、それは一部の先行事例に過ぎません。それがきっかけで変わるとしても全体としては10年単位でゆっくりとしか変わる事ができません。

日本に限らずどの国でも、そのことは今後もずっと変わらないと思います。

変化への対応は民間の役目

ということは、自分から社会の変化に目を向けて、興味を持ったことを見つけたら、それについてどんどん主体的に学んでいかないといけません。

しかし独学できるとは限りません。そこで民間企業の取り組みが大切になってきます。

学習塾としてできること

ということで、変化の激しい部分を臨機応変に取り入れて指導するのは、主に民間の役割だと思います。とりわけデータサイエンス、人工知能、量子コンピューター等は必ずしも全員が学ぶ必要はありません。

「学んでいる日本人の割合を増やす」

というのが本当のテーマです。ですから公教育というよりは民間の学習塾が学校に協力しながら担うべきだと思います。それだけに、学習塾でこれらにつながる素養をどこまで指導できるのかは、とても挑戦しがいのあるテーマです。

また指導要領で足りない所や大人の事情で消されてしまった単元などについても、学習塾で補えるでしょう。

もちろん受験指導の方が優先されますから、限界はあります。それでも少なくとも「部活」の一部を置き換えるような活動として、学習塾の役割を拡大させるような余地はあると思います(もっとも今後は受験指導のニーズは減るでしょう。少子化で全入学時代になるからです)。

逆に、こうした新しい取り組みを民間でどんどんやらないと、日本はオワコンになります。現状では上で挙げた分野の素養を持った日本人の割合が少なすぎます。

学習塾の活動が日本を救うカギになるかもしれません。そういう意気込みでやる必要があるでしょう。(もちろん他の業界の方たちも、そのような使命を感じて各々取り組まれていると思います)

同じ過ちを犯さないでくれ

塾長が日本の教育に危機感を感じている理由は、他にもいろいろあります。

教科書改訂の大きな失敗例

例えば、かつて、高校の「数学C」で学ぶことができた「行列」は、先の教科書改訂で消されてしまいました。今の高校生は行列を学びません。

マジですか?
マジです。

コンピューターグラフィックやロボットの姿勢制御、統計処理や人工知能などでは行列は必須です。

「なぜ、ベクトルを学ばせておきながら行列を学ばせない?」

塾長にはあの教科書改訂は意味不明でしかありませんでした。日本を沈没させたかったのでしょうか。悪意しか感じられない改悪だったと思います。

その影響で、今の日本の理系の大学生は、かなり深刻な状態に陥りました。

偏差値の高い大学の学生でさえ、2次元の運動方程式しか解けません。3次元や4次元(電磁気学)のベクトル方程式が解けない状況です。また古典制御はできても現代制御が分かっていません。扇風機やエンジンの制御は理解できても、ロケットやドローンの制御を理解できないのです。

今になって、ソフトウェアや航空機、宇宙開発などの分野で日本は技術者不足に悩むんでいます。それは当然と言えます。素養のある学生を早くから発掘できるような発想で教育体系が組まれていません。教科書で扱う範囲がとても狭いのです。そのくせ計算のスピードやトリッキーな計算テクニック、重箱の隅をつつくような知識の問題で差をつけようとします。そういう定期試験や入試問題です。日本の試験問題は、ちょっと発想がズレています。まるで人間の対戦相手が社会問題ではなくコンピューターになっているという点でズレています。速さや正確さでコンピューターに挑戦するのは人としてどうかと思います。

企画段階から失敗している改革の例

また教育改革の趣旨が「入試改革」というのもどうかと思います。

実は入試制度を改革しても効果なし

少子化なのに大学が増え続けきて、そして現在に至る。それが今の日本です。受験倍率が平均1.0を切り全入学時代を迎えます。これからは受験しなくても高校や大学に行けるのです。

となれば「受験」は「努力」の理由にはなりません。記述問題などで受験問題を難しくしても効果がないでしょう。難しい問題を捨てても入学出来ますから。つまり教育改革の趣旨を「入試改革」にしたのが誤りです。入試改革を経ても学生の学力は上がらないでしょう。

もともと「入試で出題されない内容は誰も勉強しないし、生徒は授業を聞いてくれない。」という現場の先生の声を反映して「先に入試問題を変えてから、それに合わせて指導要領を改訂する」という「高大接続改革」なる指針が生まれました。しかし、これには少子化で全入学時代になるという考慮が抜けていました。

教育改革は簡単に実現可能?

このような時代に教育改革をやるならば「合格しないと卒業させない」ような、むしろ「卒業改革」の方ではないでしょうか。

例えば、塾長がお偉いさんなら次のように卒業改革を推進します。

センター試験の問題も体制もそのまま。
ただその位置づけを「高卒認定試験」と言い換えます。
「45%以上の得点で合格」などとします。
3年後のセンター試験から実施とします。

これを文部科学大臣を通じて宣言してもらいます。それだけです。これならほぼ0円、0秒で教育改革が完了します。いや、教育改革に使った予算を「センター試験の無償化」に使えばよかったのではないでしょうか。

合格点が取れないと卒業できません。つまり浪人生が留年生に変わります。ついでに留年生の身分が浪人生並みに向上します。もちろん留年しても高校は無償です。それでも留年は嫌でしょうから、多くの高校生が今よりも勉強してくれるようになるでしょう。卒業がかかっているので新高1から勉強してくれることでしょう。だから実施を3年後に引き伸ばしてもまったく問題ありません。

しかも全員が平等に合格できます。同時に卒業証書の信頼度が上がり、企業は採用時にわざわざSPI試験などをする必要が半減するでしょう。高卒をできる学力ならば十分な初任給を設定できるようになるでしょう。企業としても、下手な大卒生を採用するよりも、できる高卒生の方が安心です。

そうなってくると、無理して現役で大学へ進学しなくてもキャリア形成ができます。働きながら進学する事が、むしろし易くなるでしょう。

大学生のレベルも底上げされます。大学生が中学生レベルという、いわゆる「教育困難校」がなくなります。大学の卒業証書の価値もグンと上がりますね。

ゲームをプログラミングさせるのは教育ではなくて趣味

上の話を見ていただければ、プログラミング教育の位置づけが俯瞰できたと思います。

プログラミングと言えば、ゲームを作ったりロボットを作ったりする印象を持たれる人が多いでしょう。もちろん、そのような技術者はたくさん活躍しています。しかし、それはほんの1キャリアに過ぎません。

ゲームを作る、ホームページを作る、業務の自動化をする、ロボットを動かす。

こうした従来からあるプログラミング業務は、もはや新しい技術はそれほど多くありません。出尽くされている技術を組み合わせるだけです。もちろん細かい技術の流行り廃りはあるので、いざ仕事で使う時になってから、その時々のトレンドを学ぶのが一番です。

ですから何も小学生から無理してゲームプログラミングを学ぶ必要はないでしょう。それにコンピューターを娯楽に使うだけではもったいないです。

もっと、ちゃんと「コンピューターを使いこなす」ための勉強をして欲しいと思います。

教育において「コンピューターを使いこなす」とは、いったいどういうことでしょうか?

それは「社会の問題を解決するため」にコンピューターを道具として使えるように育成していくことだと思います。従来の勉強で学んだことをコンピューターで表現させるのが正しい取り組みと言えましょう。プログラミングだけに注目して、ゲームやロボットを新規に作らせてもしょうがないです。

コンピューターは道具です。多くの人が喜んだり、多くの人に新しいものを提供したりする活動の方が、あくまでも主役です。その素養を育てるために従来の勉強が大切であるとに代わりありません。

コンピューターを使いこなすためのプログラミングを学んで欲しいです。

中学、高校、大学へと進学し、学ぶことが高度になれば、それを表現するプログラミングも高度になります。そして高度に専門的な分野の例として、データサイエンス、人工知能、量子コンピューターという分野を紹介しました。これらの分野でプログラミングすることが、キャリアの最終段階でコンピューターを使いこなす、という話になるでしょう。

ですから上で見たように、プログラミング教育は「ゲームやロボットを作って楽しい」というものではありません。むしろ、学校の勉強にしっかり取り組む中でコンピューターを使っていく取り組みと言えます。音楽や図工の勉強も、プログラミングに繋がっていきます。

ここ数十年で、日本の状況はすっかり変わりました。現実が変わったのに考え方や制度が変わっていません。だから変わりましょう。変えましょう。今は2020年です。

 


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