塾長です。

今週は塾はお休みです。年4回の調整休校のうちの、秋のお休みとなります。
お休みと言っても仕事はしておりますが、塾長にとっては珍しくアフター5を楽しめる貴重な1週間です。

アフター5ということで、今回は天体観測のお話です。

紫金山・アトラス彗星の大接近

紫金山・アトラス彗星

もう見ましたか?

「しきんざん あとらす すいせい」と読むそうです。

先週の10月13日に最も明るく大きく見えました。
日が沈んで空が暗くなり始めるころ、西の空の低い位置に見えたのでした。

双眼鏡が無くても、塾長の眼には見えましたよ。
もちろんスマホでも撮影できました。

とはいえ、とても地平線に近く、高度が15度くらいしかありませんでした。
建物の多い名古屋ではなかなか見るのが難しかったと思います。

15度と言えば1時間で地球が自転する角度ですね(小6理科、中1地理、中3理科)。
つまり彗星が見える時間になってから、たった1時間くらいで地平線の下へ沈んでしまうということ。
観察できる時間がとても短かったのです。

よほど熱心に観測しない限り、ほとんどの人は見ることができなかったでしょう。

塾長は写真撮影に挑戦しましたが、それが、めっちゃ大変でした・・・

彗星(すいせい)とは?

「すいせい」には「水星」と「彗星」の2種類があります。紛らわしいですね。

水星は、太陽にもっとも近い惑星です。水金地火木土天海の水ですね。太陽系に1つしか存在しません。

彗星は、「ほうき星」とも呼ばれ、尾を引く星のことです。太陽系のはるか彼方からやってきて、太陽に近づくと尾を引きます。そういう星をすべて「彗星」と呼びますから、彗星は太陽系にたくさんあります。
太陽に近づきすぎて壊れてしまうものもあれば、数十年~数万年の周期で定期的にやってくるものもあるなど、多種多様です。しかし、それらのほとんどは地球から遠くを通過するため、天文台で小さな姿を確認できる程度で、普通の人には気づかれません。

紫金山・アトラス彗星は、2023年1月9日に中国の紫金山天文台で初めて発見され、南アフリカのアトラス(小惑星地球衝突警報システム ATLAS)で存在が追認されました。周期はなんと約8万年。

ところがその軌道を調べると、めずらしく地球に近づくことが分かり、大彗星になると期待されて話題になっていたのでした。

そして今年の9月29日に最も太陽に近づき、続いて10月13日には最も地球に近づくとのことでした。
太陽に近づき過ぎて壊れるのではないかと心配されましたが、無事に乗り切れたようですね。

「この週末が観測のチャンスです!」

10月10日頃からニュースや天気予報などで、この彗星の話題が上がるようになりました。

実は9月末から10月1周目にかけては、明け方の東の空に見えていて、SNSではその写真を見るようになっていました。
とても気になっていたのです。

あった!

10月12日(土)。
この日は珍しく午後からお休みでした。
話題の彗星とやらを、ぜひ見に行くしかありません!

ヒーローズ植田一本松校から最も近い観測場となると、日進市に広がる田園地帯です。
開発がどんどん進んでいる地区ですが、西の空ならまだ広いです。

ということで、息子たちを連れて出かけました。
日没前から田んぼの中でスタンバイ・・・

日が沈んで空が暗くなってきましたが、まったく見えません。

西の空に金星が輝きはじめ、ほどなくして頭上に「こと座」の1等星「ベガ」が見えてきました。
それでも、まだ彗星の姿は見えません。

やがて夏の大三角形が全て見えるようになり、東の空は暗くなってきても、やはり見えません。
西の空には、まだ夕焼けの明るさが残っていたからです。

日没から1時間を過ぎるか否かという頃、やっと西の空が暗くなりました。
すると、ようやく彗星の存在を確認できたのでした。

「あ、もしかして、これ?」

双眼鏡でうっすらと、存在を確認できました。

それまで試し撮りをしてきた何枚かの写真を、あらためてモニターで拡大して見てみると、実は数分前から写っていたようです。
確かにありました。

「あった、これ、これだ!」

あわててカメラの向きを修正し、撮影に入りました。

その時の写真です。
画面の中央付近、電線の上に接するように、かろうじて彗星が写っていました。

低空の紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出1/15秒 トリミング(2024年10月12日18時12分ころ愛知県日進市長田にて)

しかし名古屋の空は明るく、なかなかハッキリ見えません。
そのまま、わずか15分くらいで低空の雲の中へ消えていきました。

いささか消化不良という感じでした。

スマホでも撮れた!

10月13日(日)。
前日のリベンジを果たすべく、この日も出かけることにしました。
今度は妻も巻き込んで家族を連れて出かけました。

地図で西の空が見やすい所を探し、おそらく愛知池が良いだろうと考えました。

日没後に到着しましたが、まだ空が明るいです。
前日の経験があるものの、前日とは場所も景色も違うため、また星図を確認しながら探す必要があります。

はやり日没後50分以上たってから、急に見え始めました。
前日よりもハッキリ見えました。

その時の写真です。

近日点の紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出1/13秒 トリミング(2024年10月13日18時17分ころ愛知県日進市の愛知池にて)

見れる内に見ておかなければもったいないと、写真の撮影は早めに切り上げました。
三脚からカメラを下ろし、代わりに双眼鏡を固定し、皆で見ることにしました。

試しにスマートフォンで撮影してみると、なんと写りました。

近日点の紫金山・アトラス彗星をスマホで撮影 Pixel7 トリミング(2024年10月13日18時21分ころ愛知県日進市の愛知池にて)

この日はSNSで「スマホで撮れた!」という投稿を多く見かけました。
中には、とてもきれいな写真もありました。

上の写真でも彗星の姿が分かりますが、背景の星空が何も映っていません。
やはり名古屋の空は夜でも明るく、星が見えにくいようです。

愛知池から彗星の見える方向には、名古屋市の街並みや名古屋港が続きます。
それらの明かりが空を照らし、星空をかき消してしまうのでしょう。

秋晴れとは言うけれど

10月20日(日)。
彗星観測の興奮が冷めないまま1週間が経ちました。

そしてちょうど塾は秋のお休みに入りました。
この機会に、彗星をちゃんと写真に収めようと思いました。

ということで、10月20日も出動しました。
先週と同じ愛知池です。

天気予報では「晴れ」とのことでした。
確かに晴れ間は多いものの、西の空に雲が残っていました。

現地に着くと、ちょうど彗星の見えそうな位置に雲が横たわっていました。
おまけに、空全体が先週より霞んでいます。

「何か見えるんですか?」

愛知池でマラソンやサイクリングをする人が多いようです。
夕方とはいえ人が多く通り過ぎます。
声をかけられるたびに

「いやぁ、雲でぜんぜんダメですよ。本当は彗星が見えるはずなんですが・・・。」

などと、苦笑いして答えることしかできませんでした。

結局、なにも見えないまま時間だけが過ぎてしまい、撤収することにしました。

撤収を決断し、悔しい気持ちで撮影したスマホの写真がこれす。

雲で見えない Pixel7 トリミング(2024年10月20日18:53ころ)カメラの先には、名古屋市の街並みや名古屋港の明かりに照らされた真っ白な雲が幅をきかせていました。
晴れているように見えますが、この日は空全体がうっすら白く霞んでいました。

写真中央よりやや左の雲が赤いのは、おそらく名古屋製鉄所の明かりでしょう。

ところで、星を見る人にとって、天気予報の「晴れ」は全くあてになりません。
いや、むしろ「曇り」と捉えます。

なぜなら、全天の8割を雲が占めても「晴れ」と言われてしまうからなんです。
中2理科の教科書で確認すると、ほんとうにそう書いてあります。

確かに秋は良く晴れますが、彗星が見えるほどの快晴になるかどうかは、また別問題。
そのとき、小さな雲が彗星の前にあれば、それだけで見えないのですから。

1時間で行ける星空

10月21日(月)。
週間天気予報が少し変わりました。晴れの予想が多くなりました。
そして21日は晴れていました。

どうやら今夜も撮影に行けそうです。
近日点から1週間が経ってはいたものの、SNSの投稿を見る限り、まだ彗星は大きく尾を引いていて写真撮影もできそうです。

とはいえ、相変わらず雲が気になります。

そこで、雲が多少あっても星が見えるような場所に行こうと決めました。
つまり西側に名古屋の街並みなどがない所へ行く必要があります。

塾はお休みですが。仕事はあります。
17時に職場を出て家に戻り、そこから1時間で現地に到着しなければ、撮影に間に合いません。

地図を見ていろいろ考えていると、ありました。
豊浜海釣り公園。知多半島の先です。
ここなら高速道路と自動車専用道路を使って1時間で到着できそうです。

ということで、仕事が終わるとすぐに帰宅し、荷物をまとめてナビを設定し、急いで出発しました。

しかし現地で道に迷ってしまいました。
海岸近くのコンビニで買い物がてら、場所を教えてもらい、なんとか到着。
時刻はすでに18時35分を過ぎていました。

急げ急げ!

初めて来た場所で土地勘がありません。
まずは撮影場所の確保です。
少しウロウロ歩いて、防波堤の上で撮影することに決めました。

しかし防波堤の上は風が強い・・・
ちょうど草むらがあったので、その中に身をひそめるように三脚を設置し、カメラを固定しました。
ここなら見晴らしを確保しつつ、草が風よけになります。そして海釣りの人たちの邪魔にもなりません。

やばい、やばい、時間がどんどん過ぎていく!

すごい存在感!

さて、彗星はどこだ?

35mm の広角レンズで、およそのあたりを付けて試しに撮影するも、なかなか見つからない。
どうやら、あの雲の中にあるらしい。
いや、本当に方向は合っているだろうか・・・

焦りながら色々やっている内に、やがて雲が流れ、ついにカメラの液晶画面にその姿が現れました。

「あった。場所はどこだ?」

それらしい方向に双眼鏡を向けました。

「あ、いた!」

長い尾を引く彗星の姿が視野の端からぬうっと現れ、双眼鏡の視野いっぱいに広がったのです。

ものすごい存在感。
名古屋市内で見たときとは、まるで印象がちがって見えました。

それを急いで撮影したのがこれです。

雲の隙間から姿を現した紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出10秒×11枚 トリミング(2024年10月21日18:55~18:58 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

思った以上に長くて立派な彗星の姿でした。
これは確かにニュースになるワケです。

この彗星の大きさが分かるように撮影したくなりました。
ほんとうは 150mm望遠レンズをメインに撮影しようと思っていたのですが、それは後回しです。

15mm魚眼レンズに付け替えて、夏の天の川と対比するような構図で撮影しました。

夏の天の川と紫金山・アトラス彗星 15mmF2.8 ISO3200 露出10秒×8枚 トリミング(2024年10月21日19:05~19:10 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

知多半島にはセントレア空港があり、ひっきりなしに飛行機が通り過ぎます。
画面の下には海が広がり、漁船の光がいくつかありました。

夏の天の川には「いて座」の「矢」である「南斗六星」があります。その矢の先端の下には赤い「干潟星雲(M8)」も写っています。
名古屋の明かりを避けるだけで、写り込む星の数がこんなにも変わります。

魚眼レンズで撮影している間にも、彗星の高度はどんどん下がってきました。
急いで150㎜の望遠レンズに付け替えました。

倍率が上がる分だけ風の影響を受けやすくなります。

時折「ごおーっ」と風が吹くと、画像がぶれて撮影が失敗します。
体を張ってカメラを風から守りながら撮影しますが、それでも2~3枚に1枚くらいしか撮影に成功してくれません。

そうやって何とか撮影したのがこちらです。

紫金山・アトラス彗星の拡大写真 150mmF2.8 ISO3200 露出2秒×13枚+4秒×8枚 トリミング(2024年10月21日19:30~19:38 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

高度が低いので、全体的に赤っぽっくなります。
夕日が赤いのと同じです。
もっと早く到着できていれば、より青くさわやかな姿も撮影できたでしょう。

撮影中のカメラの背後から、スマホで彗星を撮影してみました。
何枚かのうち1枚だけ写っていました。ラッキーです。

撮影風景の中の紫金山・アトラス彗星 Pixel7 トリミング(2024年10月21日19:06 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

彗星の撮影が終わると、頭上にはまだ夏の大三角形がありました。
夏の星座も、そろそろ見納めの季節です。
ついでに撮影しておきました。

夏の大三角形を見送る 15mmF2.8 ISO3200 露出10秒×4枚トリミング (2024年10月21日20:05~20:10 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

右上が「白鳥座」の「デネブ」、右下が「こと座」の「ベガ」。そして左下が「わし座」の「アルタイル」です。
これら3つの1等星を結んだ三角形を「夏の大三角形」と呼び、その中を天の川が流れています。
デネブの左上に見える赤い星雲は「北アメリカ星雲(NGC7000)」です。北アメリカ州を横にしたような形の星雲です。

シャッターを開けている間にも、飛行機が多く通り過ぎていきました。

振り向くと東の空からスバル(プレアデス星団、M45)が昇り、続いて月も昇ってきました。
その時の写真がこちらです。よく見ると「おうし座」のV字型の星の並びが横倒しで写っています。

昇る月とスバル Pixel7 トリミング (2024年10月21日20:19ころ 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

この日は夜半過ぎから「オリオン座流星群」という流れ星が見える予定でした。
体力があれば、このまま残って流れ星も写そうと思っていましたが、風が強くて寒さの限界。

それに、この薄雲を月が照らせば、きっと微細な流星は写らないでしょう。

1度はカメラを東に向けてはみたものの、撤退することにしました。

空全体に雲が点在し、この日も何だかんだで雲を気にしながらの観測でした。

車に乗り込むと中はあったか。
風がないだけで、ほっとします。

ゆっくりと名古屋へ戻りました。

 

その他の撮影データ

カメラ本体:  Canon EOS 60Da(天体写真用カメラ) + IDAS LPS-P2フィルタを内蔵装着

15mm 魚眼レンズ: SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE

28mm 広角レンズ: SIGMA 28mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

150mm 望遠レンズ: SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM

撮影は全て固定撮影で行いました。
絞りは全て解放で撮影しました(絞るのを忘れてました)。

画僧処理ソフト: ステライメージ6

画像処理: JPEG画像をベースにコンポジット、レベル調整、トーンカーブ調整を施したうえでトリミングしました。

なお、コンポジットは「加算」を基本としましたが、白く飛んでしまう場合は2段階に分けてコンポジットしました。
第1段階は飛ばない程度の枚数でグループ分けして加算し、第2段階で第1段階で得られたファイルどうしを加算平均しました。
詳細な手順の説明は省きます。

画角やアスペクト比はトリミングで任意に変えてあります。カメラ名とレンズ名から期待される本来の視野とは異なります。

固定撮影であるため、広角になるほどコンポジットでズレ量が大きくなり、望遠になるほど日周運動でのズレが大きくなります。
そのためコンポジット枚数の多いものほどトリミングでカットする領域が広くなっています。
もちろん任意に切り取ってもいます。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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