塾長です。
今や日本の学校教育は「生徒1人に1台のコンピューター」を使って授業を進めることが普通になりました。
小学生から大学生まで、授業で何かしらコンピューターを活用するようになっています。
高校で進む授業のITS化
特に高校でコンピューターの活用が急速に進んでいますね。
課題やレポート、補講教材のやり取り、病欠の生徒に補償する録画授業などなど、多種多様な活用が実践されています。
高解像度の画面と高精細なスタイラスペンを使い、画面上に数式を書き込んで問題を解いている姿が、すっかり板についてきました。
やはり私立高校の方が積極的に活用していますね。
授業料とは別に、パソコン代やタブレット代が高価であることがデメリットですが、それに見合う使い方があると言ってよいでしょう。
1台あれば、連絡帳も電子辞書も資料集も不要になって便利です。
一方、公立高校の方は、まだまだ活用を模索中といったところでしょうか。
スタディーサプリを導入しただけで、授業中にITSを活用するまでには至らず、どちらかと言えば慎重な姿勢です。
生徒たちがスマホだけで対応できるメリットがあり、金銭面で大きな心配がありません。
まだまだ日本のITS化は移行期間。
他の先進国より20年近く遅れていますから、テストや入試のあり方はもちろん、価値観も含めて、まだまだ時間がかかりそうです。
紙を無くすためのハードル
紙のノートは便利です。
特に数学。
数式はもちろん、グラフや表をパパっと描けるのがノートの良いところ。
このあたりの入力が素早くできれば、おそらく紙のノートが不要になるでしょう。
高校生は、すぐにノート100冊とか使っちゃいますからね。
紙のノートがなくなるのは、けっこう大きいと思いますよ。
すべて電子化できれば、宿題の提出も採点も、とっても楽になるでしょう。
ノート100冊を買って捨てる負担が無くなるし、情報を一元管理できます。
生徒の勉強が加速するし、先生の業務も効率的になると思います。
再利用できるデータ形式
すると、ここで
「スタイラスペンで数式を入力していますよ!」
という意見があると思います。
確かに数式の入力が電子化されていますよね。
しかし、それは手書きの数式が「画像情報」として保存されるだけです。
画像やPDFで保存された情報は「情報の再利性が低い」という問題があります。
再利用できない情報を保存しても、決して便利にはなりません。
入力の手間が増えるだけです。
文字情報(テキスト)は、検索や切り貼りが直ぐにできるでしょう。
あとから手を加えて少しだけ変える、ということもできます。
ひとたび入力してしまえば、あとで編集も再活用もやりやすくなりますよね。
ところが画像やPDFは、そうしたことが難しいんですよね。
たとえば次のような数式を画像として保存したとします。
$$ \int_{a}^{b} ( x^3 + \frac{1}{2}x^2 – 5x +2 ) dx $$
しかし画像の場合、これを後から「指数関数の式」とか「定積分の式」みたいな検索ができません。
画像のファイル名を数式にして検索できるようにするアイデアがありますが、フォイル名はテキストですし、使用できない文字もあります。
なにより数式を入力する以外にファイル名を決めるという余計な作業が発生してしまいます。
あるいは、画像をAIに認識させて検索するアイデアもありでしょう。しかし、それには膨大な電気代や計算量がかかります。
また数式の一部 $ x^3 + \frac{1}{2}x^2 – 5x +2 $ をコピペして再利用する、なんてことも大変でしょう。
このように画像やPDFは「情報の再利用」がやりにくい、という問題があるのです。
塾長は画像やPDFを「情報の墓場」と呼んでいます(※)。
「情報の墓場」になっているITS化の失敗例が、日本には非常にたくさんあります。
※工学や熱力学の世界では「熱はエネルギーの墓場」と言うそうです。それをヒントにした呼び方です。
それなら紙のノートの方が、パラパラめくれる分だけ検索性が高いよね。
じゃぁ、紙ノートでいいや・・・となってしまいます。
再利用できるデータ形式で入力するためには、テキストとして入力できる方法が良いのです。
そんな方法・・・実は、すでにあります!
理系の大学生であれば、論文を書くときに使います。
でも高校生は知らないでしょう。
数式と表はテキストで入力!
まず高校生には次の2つのキーワードを覚えて欲しいと思います。
- マークダウン
- LaTeX(ラテフ・ラテック)
マークダウンとは
マークダウン(Markdown)は「見出し」や「箇条書き」、「表」や「リンク」などと言った文書の書式やスタイルを簡単に記述する記法です。
文中に特定の記号や構文を挿入して、文書の構造やスタイルを指定することができます。
4~5個を覚えれば十分でしょう。
ちなみに、マークダウンファイルの拡張子は “*.md” です。
といっても、中身はただのテキストですから、Windowsなら「メモ帳」、Macなら「テキストエディット」という標準アプリで編集ができます。
LaTexとは
LaTeXは、文書をキレイに印字するために開発された言語とツールで、主に学術論文や専門書を書くために使われています。
(正確にはTeXがコア機能で、それを使いやすくしたパッケージの1つがLaTeXです)
理系の大学生であれば、卒論や修論を書くのに使う人が多いでしょう。
大学では古くから使われてきた技術です。
実はこのブログでも数式はLaTexの文法を使って書いています。
だから数式の表示が教科書みたいにキレイでしょう。
ワードや一太郎では、数式の入力も表示も一苦労です。
そうしたワープロソフトとはちがい、LaTexは軽量なテキストエディタで編集できます。
ただし少し文法を覚える必要があります。
とはいえ、LaTeXの文法をフルで使うのは、論文を書く人くらいでしょうか。
多くの人は他のツールの中で、数式や化学式を書く文法だけを部分的に使っています。
調べながら使う
マークダウンもLaTeXも、テキストエディタで原稿を書くことができ、重いアプリが不要です。
世界共通の技術であるため、パソコンメーカーやアプリメーカーに依存せず、どこでも使えます。
実は文法も細かく覚える必要はありません。
「マークダウン チート」とか「LaTeX 数式 チート」などと検索すれば、すぐに調べることができます。
要領さえつかんでしまえば、あとは必要な時だけ調べて使えば十分です。
エディタの進化で便利に
さらにテキストエディタの進化で、マークダウンとLaTeXを合わせて使えるようになってきました。
LaTexのうち、数式や化学式を書くための文法が、マークダウンでも使えるようになっています。
正に「良いとこ取り」的な使い方です。
塾長がもっともオススメするエディタは、Visual Studio Code です。
VSCode などと省略して呼ぶこともあります。
無料なのに機能が豊富で動作が軽いです。
Windows でも Mac でも Linux でも動きます。
あらゆるプログラミング言語をサポートしています。
神アプリと言ってよいでしょう。
これを無料で配布しているマイクロソフト社に感謝です。
とりあえず Visual Studio Code をインストールして、ドヤ顔しましょう。
ちなみに、Python や JavaScript のような「テキストプログラミング」をする人にとって、テキストエディタは重要です。
マイクラミングの「プロコース」では Visual Studio Code を推奨しています。
※ Visual Studio Code のインストールや使い方の説明は省きます
数式や化学式をキレイに打つには?
最後に、Visual Studio Code の使い方について補足します。
Visual Studio Code を使えば、数式をキレイに表示できます。
例えばこんな感じで・・・
$$ S=\frac{1}{3} \pi r^{2}h $$
$$ \sum_{k=1}^{n}k = \frac{n(n+1)}{2} $$
$$ e^{i \pi}=-1 $$
$$ f'(x)=\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} $$
数式を表示できます。
カッコイイでしょ。
Visual Studio Code のメニューで「新しいテキストファイル」を選択肢します。
そしてファイル名の拡張子を “.md” とします。
つまりファイル名の最後に必ず「ドット+m+d」という3文字を半角英数で追加してください。
そうすると、マークダウンやLaTexの文法が使えるようになります。
また画面右上の「プレビュー」ボタンを押せば、表示されるイメージを見ながら編集ができます。
ここまで準備できれば、LaTeX の文法で数式を入力できます。
たとえば上の式は次のように打ちます。
S=\frac{1}{3} \pi r^{2}h
\sum_{k=1}^{n}k = \frac{n(n+1)}{2}
e^{i \pi}=-1
f'(x)=\lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h}
化学式もできますよ。
$$ \ce{2H2 + O2 -> 2H2O} $$
$$ \ce{NH^+ + H2O <=> NH3 + H3O^+} $$
$$ \ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)_4] + 3H2 ^ } $$
これらは、こんなふうに書きます。
\ce{2H2 + O2 -> 2H2O}
\ce{NH^+ + H2O <=> NH3 + H3O^+}
\ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)_4] + 3H2 ^ }
ただし構造式やベンゼン環を使った式はマークダウンでは難しいみたいですね。
(複雑な化学式の入力と表示は、LaTeXのchemfigパッケージをサポートした環境が必要です)
最後は物理。
$$ K + U = \frac{1}{2}mv^2 + mgh $$
$$ \Delta \lambda = \lambda’ – \lambda = \frac{h}{mc}(1-cos \phi) $$
$$ \ce{ ^{226}_{88}Ra -> ^{222}_{86}Rn + ^{4}_{2}He } $$
こうした式は、こんな風に入力しています。
K + U = \frac{1}{2}mv^2 + mgh
\Delta \lambda = \lambda’ – \lambda = \frac{h}{mc}(1-cos \phi)
\ce{ ^{226}_{88}Ra -> ^{222}_{86}Rn + ^{4}_{2}He }
このように、LaTeXの文法で書くと、教科書や参考書に載っているようなキレイな式が表示されます。
ただし、この文法をサポートしているアプリでなければ、それが表示できません。
もっと知りたい人は、ぜひ検索してみてください。
もちろんAIに質問すれば、ちゃんと答えてくれるでしょう。
これもプログラミング言語?
上で見たようなLaTeXやマークダウン、HTMLなどには、それぞれに文法があります。
その文法に従って記述すれば、コンピューターが想定通りの表示(実行)をしてくれます。
コンピューターに指示を与える、という意味では、LaTeXやマークダウン、HTMLもプログラミング言語と言えるでしょう。
このように、アプリやゲームを作るものだけがプログラミングではありません。
コンピューターを使いこなそうとすれば、何かしらの記述方法、つまり、プログラミング言語が出て来ます。
中には、音楽の楽譜(コード)や体の動きなどをテキストで記述できる言語さえあります。
図形や地図はもちろん、3Dモデルだってテキストと数字だけで表現できます。
このように、世間の「プログラミング言語」とは違うイメージの言語もあります。
コンピューターの世界には、いろいろな言語が存在していますから、
興味のある人は、いろいろ調べてみてください。
進学実績
卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。
国公立大学
名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学
私立大学
中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学
公立高校
菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)
私立高校
愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校
(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校
天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校
※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒
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個別指導ヒーローズ 植田一本松校
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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL