塾長です。
※この記事は英語に詳しい先生のご意見を踏まえて後から修正してあります。
次の2学期中間テストに向けて、中学英語の山場は次のようになります。
- 中3 → 現在完了進行形、使役表現
- 中2 → 不定詞と動名詞、助動詞
- 中1 → 疑問詞 What の表現、不規則動詞の過去形、場所を表す前置詞、3人称単数現在
特に今年からの教科書改訂で、中1の難化は目も当てられません。それについては昨年のブログ
をご覧ください。
そんな中から今回は中3の「現在完了進行形」のお話です。
He has been studying Chinese for 5 years. は不可能!?
「彼は5年間ずっと中国語を勉強し続けています。」を英訳する問題。
上のように書いた英作文を△にして、正答の
He has studied Chinese for 5 years.
をノートに書き写していた生徒がいました。すぐに私は、
「いや、それは△じゃなくて、×だから。人としてムリだから。」
などと、あえてツッコミを入れて生徒からの注意を惹きました。
そこから話が始まります。
違いを説明できますか?
3つの例文の意味の違い・・・
- He has been studying Chinese.
- He has studied Chinese.
- He is studying Chinese.
キミは説明できるかな?
先生も説明に困る「現在完了進行形」
今年から中3に追加された現在完了進行形。
教科書で紹介されている和訳は「ずっと~しています。」ですが、それでは困ってしまいます。
- 現在完了の継続用法 「ずっと~しています」 have + 過去分詞 ~
- 現在完了進行形 「ずっと~しています」 have been +動詞のing形 ~
全く同じやん!
こんな調子だと、現在進行形の和訳も一緒になってしまう危険性すらあります。
そりゃ、混乱するはずです。
分からなくなった生徒がたくさん。
学校でも説明に困る先生がちらほら出ているようです。
いきなり今年から高校の英語が中3に降りてきたのですから、このような混乱が出ています。
ハッキリ言って、教科書が悪い。
というか、分かりにくい!
もちろん英語科専門の先生なら、お茶の子さいさいでしょう。
余談ですが、プログラミングをやっていると、こういう細かい文法の違いが、すごく気になります。
塾長はプログラミングも教えていますので、きっちり説明しきれないと、モヤモヤするんですよね。
文法が異なるなら、意味も異なるはず!
プログラミングはそういう世界ですから、英文法もそうでなければ困ります(自分勝手)。
何はともあれ、きっちり説明できなければ気持ち悪いです。
その前に現在進行形を理解できてない!?
さて、現在完了進行形ですから、
現在完了進行形 = 現在完了形 + 進行形
ですよね。
つまり「進行形」の状態が、過去から現在まで「ずっと」続いているということです。
そう考えれば分かるってもんです・・・しかし、それほど簡単ではありません。
そもそも「進行形」の意味があやふやだと、更に謎が深まってしまいます。
進行形とは「瞬間」の描写!
もしも進行形の意味を「ずっと続いている動作」だと思っていたら危険です。
それは間違いで、むしろ逆です。
教科書では、現在進行形の和訳を単に「~している」と教えるものだから、誤解している生徒が多いです。
むしろ「瞬間」です。
現在進行形が表現している時間の間隔は「一瞬」「パッと見た一時」です。
これ、超大事です。
He is studying English now.
「彼は今、英語を勉強しています。」
もちろん和訳はOKですが、その本当の意味は、
「今ちょっと彼を見たら、その瞬間は、英語を勉強している姿です。」
→ でも、その前後は何をしているのか分かりません。
という意味です。
ぱっと確認したら、ふと気づいたら、そういう瞬間だった。
そのように、景色を写真のように切りぬいて描写する表現が進行形です。
なんで教えないんだろう・・・?
現在完了進行形の本当の意味?
さて、説明を
「現在完了進行形」=「現在完了形」+「進行形」
に戻します。
進行形が「瞬間の描写」でした。
それと現在完了「過去から今まで、ずっと続いている」を組み合わせたら、どうなるでしょう。
そう考えれば、本当の意味が分かって来るでしょう。
He has been studying Chinese for 5 years.
過去の5年間、
彼は、どの瞬間を思い出しても、
中国語を勉強している自分の姿しかありません。
寝ることもなく、休むこともなく、食べることもなく、トイレにも行かず、
どの一瞬も常に、中国語を勉強し続けてきたのです!
という意味になります。
いくらなんでも、そりゃ誇大な表現に過ぎるというものです。
人間には、それ無理ですから・・・
もちろん、現在完了形ならOKです。
そもそも現在形は時間の間隔があやふやです。
現在形は「いつものこと」「当たり前のこと」「習慣」「真理」などを表現する時制ですから。
現在形=時制なし
と言っても過言ではないくらいです。
ですから、
He has studied Chinese for 5 years.
彼はここ5年間ずっと中国語を勉強する習慣があります。
くらいの意味になります。
これなら何の不自然もありませんから、普通は現在完了形で表現します。
まとめます。
- He has been studying Chinese. → 過去のどの瞬間をみても、一時の例外もなく、常に中国語を勉強している
- He has studied Chinese. → 過去から今まで、ずっと中国語を勉強する習慣がある
- He is studying Chinese. → ふと見れば、正に中国語を勉強している様子である
つまり、
He has been studying Chinese for 5 years. → 人間には不可能
He has studied Chinese for 5 years. → 自然な表現
です。
#ここで話が終わりではありません、まだまだ大どんでん返しがあります。
現在完了進行形に相応しい表現とは?
じゃぁ、どういう例文なら現在完了進行形に英訳できるのか?
最後に、これを考えて終わります。
S have been ~ing 〇 for ◇
「Sさんは、過去◇の間、どの瞬間を思い出しても、常に ~していました。」
ということですから、人として「全集中」が続くくらいの経過時間が◇に来れば良いでしょう。
- ×: He has been studying Chinese for 5 years.
- △: He has been studying Chinese for 2 days.
- 〇: He has been studying Chinese for 3 hours.
こんな感じですね。
極端に分かりやすい例を挙げれば、
- ×: She has been holding her breath for 1 hours. → 死ぬ
- △: She has been holding her breath for 5 minutes. → 海女さんレベルにのみ許された表現、素人には無理
- 〇: She has been holding her breath for 1 minutes. → 臨場感のある表現として妥当
という感じでしょうか。
最初は She has been stopping breathing. などと書いていましたが、西尾先生@セルモ日新西小学校前教室から教えていただいて、上記のように修正しました。
stopを現在分詞にして Stopping にすると、Die → Dying が死にかけているとなるのと同様、「止まりかけている」という意味になるそうです。
すると本文の趣旨と違う意味になってしまいますので、上記のように修正しました。
#ここで話が終わりではありません、まだまだ大どんでん返しがあります。
【加筆】教えて、エライ人! ~からの訂正
このブログを書いた後で、英語に詳しい別の先生に、実際はどうなのか質問してみました。
今回のエライ人はこちらです。
実用英語・大学入試専門 ING進学塾 の飯田先生!
飯田先生は、英検1級でTOEIC満点の実力者。
超スゴくないっすか!
幸運なことにFacebookでお友達なので、教えていただきました。
飯田先生、教えて下さい。
He has been studying Chinese for 5 years.
という表現は、アリですか?
先生のご回答です。
躍動感のプラス、まさに彼が頑張ってる姿を思い浮かべながらのイメージになるので、普通にいけますよ~。
常にやっていると言うわけではなく、動きを感じている、その姿を想像している表現ですね。
な、なんと、
アリ!
だそうです。
衝撃の事実!
おぉぉぉぉおおおお!!
どういう事でしょうか?
さらに知りたくなりますよね。
そこで、さらに詳しく質問してみました。
そ、そうだったのですか(ショック)
確かに「ハートで感じる英文法」の大西先生のテキストに、正にそのような説明があったのを思い出しました・・・そこで、追加の質問です。躍動感をプラスするだけなら完了形と組み合わせる必要が無いような気がしてきますが、ちがうのでしょうか?話し手が主語の過去の姿の一部について躍動感を抜き出して誇張表現するなら、過去進行形で充分な気がします。過去進行形と現在完了進行形の違いを生徒に明示したいので、ご教授下さいませ。
すると、さらに深いご回答をいただきました。
過去形は、今は違う、今はやってないというニュアンスがあるのでかなり変わってきますよ。He was studying Chinese at that time.彼はあの時は頑張っていた(今はやっていない)He has studied Chinese for 5 years.もHe has been studying Chinese for 5 years.も日本語にすれば変わりません。彼は勉強を5年間頑張っていると。進行形にすると動き、まさにその光景を思い浮かべている表現なので、前者が機械的に述べているのに対し、後者は実際彼の普段の頑張ってる姿を想像している表現になります。なので日本の教材では、動作動詞は動きを感じやすいので、進行形にされてる場合が多いのだと思います。過去進行形は過去はやってたよ~、現在完了進行形はずーと彼頑張ってるよ~と苦労感が伝わりますよね。
な、なるほど~。
そうだったのかぁぁあああ!
目からウロコです。
というとで、更にまとめます。
本当のまとめ
エライ人から教えていただいたおかげで情報が増えました。あらためて色々まとめると、こんな感じです。
- He studies Chinese. → 少なくとも今の状態として「彼は中国語を勉強する」という習慣がある。
- He studied Chinese. → 少なくとも過去は、「彼は中国語を勉強していた」。しかし今は分からない(言及しない)。
- He has been studying Chinese. → 過去から現在まで、彼が中国語をずっと勉強している姿を想像しながら、その躍動感を伝えるようなニュアンスで「彼はずっと中国語を勉強している」
- He has studied Chinese. → 過去から今まで「ずっと中国語を勉強している」という習慣が続いている。
- He is studying Chinese. → ふと見れば、正に中国語を勉強している様子である
- He was studying Chinese. → 過去のある時点での躍動感を伝えるニュアンスで「彼は勉強していた」が、今の時点では分からない(言及しない)。
つまり、
He has been studying Chinese for 5 years. → 5年間の努力を伝えたいニュアンス
He has studied Chinese for 5 years. → 5年間の継続を伝える客観的な表現
です。
補足
飯田先生のご回答の中に
日本の教材では、動作動詞は動きを感じやすいので、進行形にされてる場合が多いのだと思います。
という一節がありました。
とくに「動作動詞」という用語が気になりました。
ということは「状態動詞」か「動作動詞」かで、更に使い分けがあるのでしょう。
調べました。
- 状態を表す動詞(状態動詞) → live, have, know など「~している」という意味の動詞。日本語で現在形と現在進行形の区別がつきにくい動詞のこと。
- 動作を表す動詞(動作動詞) → 上記以外の動詞。
そして、NEW HORIZON 3のP.30 を、よーく読んでみると・・・
現在完了形の継続用法は、
主に live, know, want などの状態を表す動詞が使われます。
とありました。
さらに、現在完了進行形の説明では、
動作の継続には have been + …ing の形を用いる
とありました。
つまり大雑把に言うと、
過去から現在まで、ずっと続いていることを表現するには、
- 状態動詞 → 現在完了形
- 動作動詞 → 現在完了進行形
と考えれば良いみたいです。
時制というよりは、動詞がもとから持っている意味の種類「動作」か「状態」かの方が、大きく影響していた、というオチでした。
英語って難しいですね。
中学英語でも、まだまだ発見がありますよ。
現場からは以上です。
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