愛知県 公立高校入試 2020年の問題を解いてみた塾長の所感

愛知県公立高校入試_202003

こんばんは、塾長です。

公立高校の入試が終わりました。来週の3月18日が合格発表です。

今年はAグループの問題の方が難しかったと聞きますが、どんな入試問題だったのでしょうか?

さっそく分析しました!

英語

形式(A/Bグループ共通)

  • 聞き取り: (1)会話文と問い (2)文章と問い
  • 筆記  : (1)グラフを見て部分英作文 (2)会話文の穴埋め (3)説明文 (4)会話文

新形式の問題

  • 大きな変更はなし
  • ただし筆記の大問1について、昨年は絵だったが今年はグラフに変更

近年よくある形式

  • 挿絵またはグラフについて、指定語句を使って部分的に自由英作文をさせる問題
    必ず2つの文が because や so などの接続詞で結ばれており、その大まかな文脈にそって2つの文を作る形式
    筆記の大問1で出題(Aグループ、Bグループに共通)

全体的な傾向とレベル感

昨年同様に、単語や熟語、会話表現のすべてにおいて、教科書の隅々からまんべんなく出題されています。
教科書の巻末にある「基本文一覧」や「表現のまとめ」だけを練習しても不十分です。

レベル感は、英検3級よりも難しく、準2級よりはずっと簡単、という印象です。

すでに教科書の「重箱の隅をつつく」レベルです。教科書や指導要領にそった出題の範囲としては、既に上限に達している難易度と言えましょう。これ以上を求めるなら教科書改訂しかないです。

教科書の隅々まで見落とせない!

「教科書に載ってはいるけど、問題集では何度も見ない」という英単語や表現が重要です。

今年は次のような語句が本文中に使われました。高校生では当たり前ですが中学生にしては難しい、という絶妙なレベル感を知って欲しいです。

Aグループから

especially, get along with, not only A but also B, efficient, increase, silently, far away from A, traffic jam, between A and B, only a few A, one’s own A

Bグループから

a sense of value, get brighter, disease, get worse, in fact, only a few A, want A to be happy, suffer from A, experience, The more ~ S V, the better ~ S V. , 物 surprises 人,  be afraid of, earthquake, in an emergency, exactly, universal design

高校受験生になったら、これらの意味がすぐに言えるレベルを目指しましょう。

そして、これらの言葉を見ていると、

教科書での出現回数と重要度は関係ない

ということも判明してきます。教科書の隅々まで必須なのです。

そして・・・先生や講師ならば、もうお気づきでしょう。高校の「構文解釈の初歩」も見受けられます。教科書に1つでも載ってさえいれば、とにかく問題文の中で遠慮なく使われるということです。

Aグループでは高校生にお馴染みの構文 “not only A but also B” という表現が使われました。

Bグループでは、なんと、”The 比較級 S V, the 比較級 S V.” が使われました。さらに surprise 「驚かさせる」の能動態の表現も出ました。つまり make 以外の動詞でも無生物主語が出されるということです。

Well, the TV news I watched last night surprised me very much.
(2020年度 Bグループ 大問4より抜粋)

be surprised at でしか覚えていなかった生徒は、難しくて読めなかったかもしれません。次のように書いて欲しかったことでしょう。

  • Well, I was very surprised at the TV news I watched last night.
  • Well, the news I watched last night made me surprised very much.

(上とほぼ同じ意味になるように書き換えました)

教科書の本文の中に出てくる表現が、本当に重要です。一般書籍の熟語集や単語帳を購入するよりも、教科書を穴が空くほどチェックするのがベストということですね。

国語

形式

  • Aグループ (1)随筆文 (2)漢字 (3)論説文 (4)漢文文(史記の書き下し文)
  • Bグループ (1)随筆文 (2)漢字 (3)論説文 (4)古文(江戸時代)

新形式の問題

  • なし
  • 今年は物語文の出題なし

近年よくある形式

  • 昨年同様、本文について、生徒たちの意見や感想、ディスカッションについて問う問題。
    Aグループの大問(3)、Bグループの大問(1)および(3)で出題。

全体的な傾向

文学作品軽視の傾向

現代文は論理性重視で、今年はAグループ、Bグループの全体を通じて文学的文章が1つも出題されませんでした。物語文の問題は随筆文の問題に吸収されつつある傾向と思われます。

逆に言えば、入試の現代文では、どのような文章でも、接続詞や指示語、用語の置き換えなどを適切にとらえて論理的に読めば文脈が理解できるようになっています。

またディスカッション形式の出題が定番になってきました。これは大学入試の傾向と同じです。文章量も今年のセンター試験の大問1とちょうど同じくらいでした。果たして、これは偶然なのでしょうか。

何はともあれ

「事実」と「意見」を正確に読み分ける練習

を多めにするのが良いでしょう。

古文と漢文は例年通り

現代語訳の掲載を止めるという大きな変化が何年か前にありました。そのため、しばらく変化はないでしょう。特に変化させる必要性はないと思いますし、難易度を上げる理由もありません。

ただし、長い目で見れば、古文と漢文は物語文と同様に、少しずつ出題の量や配点は減らされていく運命にあるでしょう。

高校入試の傾向も、大学入試に合わせて変わってきています。古典も同じように変わると仮定すれば、説明文や随筆文の中で古文を引用する形になると予想できます。そして古文の解釈を問う問題は、ディスカッションについて答えさせるような問題として吸収されるでしょう。

もっとも、それだけの大きな変更があるとすれば、それは次の高校入試の改革に合わせるでしょう。というのは、愛知県は現行のAグループとBグループの2回受験を、将来的には1回にまとめようとしているからです。

出題が偏り過ぎのため難易度は評価できず

国語の教育において論理性を重視するのは大賛成です。また、新しい文章がどんどん生まれているのに、いつまでも古い文豪の文学作品に依存し続けるのも良くありません。そういう意味では、国語教育が変わっていくのは良いです。

ただ、せっかくそうするのであれば、文化や価値観の視野を広げるような試みを、もっと模索しても良いのではないか、と思いました。

文学作品を出さない、文学作品から逃げる、という傾向にしてしまうのではなく、例えば、論理と感情の間で葛藤するような会話が出てくる文学作品を扱うなど、もっと挑戦して欲しいと思います。

むしろ文学作品を題材にした上で、ディスカッションの論点が本文の主題に即しているか、主観と客観を区別できているか、などを客観的に確認させるような出題にした方が実用的だと思います。

国語は数国理社の中で、唯一、人間の感情を表現して伝えられる教科です。その特性を無くしてしまうのは極端な変化だと思います。

ということで、出題が論理的思考に偏り過ぎているため、国語の難易度は判断できませんでした。

あえて「書いてある通りに正確に読ませる」だけの出題として限定すれば、その範囲では、すでに十分な難易度に達していると言えます。

こうした国語の極端な方針転換について、いったい何が問題なのかについては、最後にまとめておきます。

注意事項

入試問題に出展された文章は、どれも面白く、とても素晴らしかったです。私がここで書いているのは、あくまでも出題傾向や構成についてです。個々の文章の内容についてではありません。

数学

形式(A/Bグループ共通)

(1)単元別の基礎問題 (2)思考力・表現力の問題 (3)幾何学の問題

新形式の問題

なし

近年よくある形式

一次関数の利用で、直線が途中で2回折れ曲がるグラフを描かせる問題が定着。
今回はAグループとBグループの両方で出題。
ちなみに昨年はAグループのみで、Bグループは旧来どおりの1回折れでした。

また大問2では問題文が長文化する傾向にあります。1年単位では気づかないものの、数年おきに見てみると問題文が長くなったと感じます。

全体的な傾向

昨年と同じです。教科書の基本事項をきっちり使って考えさせる問題が各単元からまんべんなく出題されています。大問1は受験生が夏までにマスターしたい小問集として使えます。

学校のワークの章末には、考えさせる問題が載っています。例えば中2のワークでは、連立方程式の応用で、燃費を考えて自動車の購入を検討させる問題があります。こうしたページの重要性が高まっています。最近の大問2は、まさにそうした問題が出題される傾向にあり、また問題文が長くなってきています。

下手に難問に手を出すよりも、こうした「知識を使って生活に役立たせる」ような考察のページについて、しっかり取り組む方が、良い対策になるでしょう。全体として日本の教育は実用性重視に変わって来ています。愛知県の高校入試も、その大きな変化の傾向に沿っていると言えます。

理科

形式(A/Bグループ共通)

大問6問、小問計20問の構成、あらゆる分野からランダムに出題
すべて実験・観察の中から質問されるため、図表が多く、実験の手順や条件を説明する文章も長い
基本知識の確認や計算問題の他、正しい答えの組み合わせを選ばせる問題などがある

新形式の問題

なし

近年よくある形式

実験結果について直線または折れ線のグラフを描かせる問題
今年はAグループ、Bグループ共に、1回折れる直線のグラフを描くものが出題

全体的な傾向

問題文が長く、図表も多いため、問題を解く以前に問題文の読解をスピーディにこなせるかが肝になります。

どの分野からもまんべんなく出題されますが、AグループとBグループを単体で見れば出題分野が偏ることがあります。
今年はAグループで動植物の体の仕組み、電気、宇宙が出ませんでした。そして、それらはBグループに多く出題されました。
このように、理科ではAグループかBグループかで、得意か不得意かのめぐり合わせによる「運」が影響します。合否が運で決まらないように、苦手分野を1つでも多くつぶしておく必要があります。

また問題文が長いため、普通に読んでいたら45分では解ききれません。図表を見た時点で、だいたい何の実験か見当がつくくらいにしておきましょう。
教科書に載っている全ての実験・観察について、実験の手順、狙い、器具の使い方や注意点、実験結果の捉え方、対照実験のやり方と理由などについて、何度も読んで、反射的に理解できるようにしておく必要があります。

公式を暗記して数を当てはめるだけ、みたいな勉強では、まったく役にたちません。実験の1つ1つの目的や考察を、しっかり確認しておきましょう。

社会

形式(A/Bグループ共通)

大問6問、小問計20問の構成、うち1問は15~25文字の記述問題
資料を読ませる問題が多く、問題文も長い

新形式の問題

なし

近年よくある形式

ある資料について説明する文章の穴抜き部分を15~25文字で完成させる記述問題
Aグループ、Bグループともに出題
ただし昨年は10~15文字だったため記述量がやや増加傾向

全体的な傾向

5教科の中でもっとも「主体的に学ぶ姿勢」が問われる教科と言えます。

図表と文章の量は、理科と同じくらいです。とても多いです。
教科書に載っている図表や絵、写真などがそのまま出題されるのではなく、同等の違う資料として出題されます。特に公民の経済分野では、教科書を読みながら身近な話題に置き換えて考えるクセをつけておかないと、資料の意味すら理解でき恐れが出てきます。

一問一答のような問題をただ繰り返して、用語だけ覚えるような勉強では、役に立たないでしょう。問題集や過去問をただ繰り返すだけの勉強も効果が少ないでしょう。

  1. 資料の意味を教科書の基本知識と結びつける
  2. 資料の意味を考察する

このような主体的な勉強を普段からしておく必要があります。

例えば、歴史で良く出題される不平等条約の改正については、今年は新渡戸稲造の人生という切り口で出題されました。このように必ずちょっとズレた視点から出題されます。

また問題に使われている用語は、その新旧を問わず、ニュースや新聞のコラム、ネットなどで使われている言葉が目立ちます。「物のライフサイクル」「ワーク・ライフバランス」「直接民主制」「財政危機」「マネジメント能力」などです。

時事関連としては、Aグループで東北地方の産業、オリンピックおよびクレジットカードが登場しました。Bグループでは時節に合わせて「桜の開花時期」が出題されました。ただしネタになっただけで直接的な時事問題ではありません。よく読めば教科書で学んだ知識に結び付けて考えられる問題です。やはり普段からニュースなどを教科書に結び付けて考える姿勢が大切です。

Aグループの地理では、日本全国の伝統工芸品について出題されました。伝統工芸品はノーマークの生徒も多かったでしょう。少し難しかったかもしれません。
この様な問題が出題されるとなれば、今後は観光業も要チェックですね。インバウンドに依存を強める日本の現状があるからです。

最後に

全体的に、相変わらず「教科書の隅々まで頭に入れるべし!」という傾向です。
また多量の文章、多量の図表から、効率よく必要な情報を見つけて答えさせる傾向です。

個々に見れば、国語のように特定の方向にとんがってきた教科もあれば、社会のように主体的な学びを模索しだした教科もあります。少しずつ教科ごとに変化の個性が出はじめています。

何はともあれ、大学入試改革の考え方が多く取り入れられています。
高大接続の教育改革は、小学校から大学入試までのトータルの改革です。もちろん高校入試もそれに合わせて変化していきます。

毎年の入試問題を見ていると、そのことを実感します。

また同時に、公立入試は教科書と指導要領の範囲から絶対に逸脱することはしません。それだけに

  • 知識は教科書の重箱の隅まで出題(正確で多量の暗記力)
  • 思考は文字と図表のスループット(単位時間あたりの事務処理能力)

という方向に加熱しやすい運命にあります。
このままいくと加熱し過ぎのような予感がします。

今年の難易度と出題数あたりを上限にした方が良いでしょう。
たぶん、これ以上は難しくしないし、出題も増やさないでしょう。

これ以上の過熱は、努力と言うより、単なる知能指数に依存したテストになりそうです。
入試が「生れつきの能力」で子供たちを選別するようなものにならないよう、そろそろ落ち着いた方が良いのではないかと思います。いや、私なんかが言わなくても、落ち着くことでしょう。

少子化と私立高校の無償化で、公立高校の志願倍率は下がっていきます。つまり、公立高校の入試問題だけをこれ以上難しくしても競争原理と学力の底上げには寄与しません。これ以上は平均点を下げるだけですからね。

そもそも、これ以上の情報処理はコンピューターにやらせればよいのです。
これからは集合知でスピーディに問題を解決したり、最適解に挑戦したりする時代です。
必ずしも1個人が高速な電卓や辞書になる必要はありません。

それに、本気で主体的な取り組みやその積み重ねを計りたいなら、やはり全部記述の回答形式にするしかないでしょう。
もしも入試を1回にまとめるなら、記述形式にして、じっくりと答案用紙を吟味するのもアリです。

もっとも今の段階では、入試を1回にまとめてどうするのか、具体的な内容な何も聞こえてきてはいません。
引き続き要チェックです。

 


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