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// 条件1に該当しない場合の処理

天体観測

【天体観測】オリオン座の写真を撮って来たよ

塾長です。

週末は趣味の天体観測に出かけました。

天体観測といえば、小学4年生は秋と冬に学び、小学6年生は夏に学びました。
中学3年生はこれから学びますね。

とはいえ、名古屋の空は夜でも明るくて星が見えません。
だから塾長が代わりに見てきて写真を撮ってきます!

冬の星座といえばオリオン座

冬の星座と言えばオリオン座ですね。理科の教科書にも載ってます。

塾長が最初に覚えた星座も、おそらくオリオン座だったと思います。

冬の夜空で南方面を仰げば、等間隔に3つ並んだ2等星が目立つでしょう。
文字通り「三ツ星」と呼ばれていて、その近くがオリオン座の星々です。

オリオン座の「オリオン」とはギリシャ神話に出てくる勇者の名前です。
オリオン座は彼の姿をしていて、三ツ星は胴体の真ん中くらい、腰またはベルトの部分に相当します。

三ツ星の左上に赤く光る1等星がベテルギウスです。オリオン自身の右肩にあたります。
三ツ星の右下に青白く光る1等星はリゲルです。オリオン自身の左足にあたります。

1つの星座の中に1等星が2つもあり、2等星が5つもある。
こんなに派手な星座は他にないでしょう。

そして実は、三ツ星の下にも、縦に小さく並んだ3つ星があります。
3等星なのですが、他の星に比べるとずっと暗く小さな星の並びに見えます。
これは「小三ツ星」と呼ばれていて、オリオンが腰に差している短剣と言われています。

この小三ツ星の真ん中の星が、実はオリオン大星雲です。
肉眼では星に見えますが、写真では赤く広がった星雲として写ります。

今回の観測ターゲットは、これらの三ツ星と小三ツ星です。
この両方が画面に入るように、撮影を計画しました。

釣り人たちの声が暖かい

オリオン座を撮影するなら、南の空が暗い場所に行く必要があります。

名古屋市内で天体の写真を撮影するのはとても難しいです。
街の明かりが空を照らすため、空そのものが明るく、暗い星の姿がかき消されてしまいます。
そして暗い星に合わせて撮影すると、空の方がすぐに露出オーバーして写真全体が真っ白になります。

だから空が暗い場所に行く必要があります。

10月に、紫金山・アトラス彗星を撮影するために南知多のとある港へ行ったのを思い出しました。
知多半島から南は海しかありません。だから南の空は暗く、星がよく見えます。
そこで、今回もそこへ行くことにしました。

21時に教室を閉めて帰宅し、急いで夕飯を食べ、荷物を車に詰め込みました。
現地に到着できたのは23時を過ぎたころです。

この港は夜釣りができるように夜間でも駐車場が空いています。
駐車場の海側のスペースは、すでに釣り人の車が何台も並んでいました。

彼らの邪魔にならないよう、私は駐車場の中央の空いているスペースを確保しました。

実は場所決めには時間を要しました。

海風が強い場所は、カメラがぶれてしまうのでよくありません。
釣り人の邪魔になってはいけません。
街灯の近くは空が明るいのでダメです。

本当に広い駐車場なので、何度も車を止めては確かめ、止めては確かめ、を繰り返し、ようやく場所を決めました。

天体観測は、暗い夜空を求めて山奥にも出かけます。
そういう時は、獣が怖いです。
動物の鳴き声をびくびく恐れながら天体観測をするので、とても心細いです。

それに比べると、今回のような場所は人がいて、遠くから話し声も少し聞こえてきます。
夜の海風は冷たいですが、風にのって聞こえてくる話し声には、むしろ人の温もりすら感じるものですよ。

自然には逆らえない

場所が決まったのは良いですが、空を見上げると、なんと雲だらけ。

狙いのオリオン座も雲の中でした。

そして反対の北側も雲だらけ。北極星が見えません。

星の写真を撮るためには、星の日周運動に合わせてカメラの向きも動かし続ける必要があります。
そういう機能を持った機械のことを「赤道儀」と呼びます。

星が北極星の方向を中心に東から西へ回転するように、赤道儀も北極星の方向を中心に東から西へカメラの向きを回転させます。
ですから、回転軸の先に北極星があるように、赤道儀の向きを調整しながら設置する必要があります。

北極星が見えなければ、それができないのです。

そんなわけで、撮影の準備すらできない状態です。
せっかく車を1時間も運転して来たのに、あまり良い状態とは言えません。

いくら雲を恨んでも、こればかりはどうにもなりません。

少しでも早く晴れて欲しいと、ただ祈るばかりです。

撮影チャンスを逃すな!

寒さから逃れるように、車の中に一時撤退。
30分ほど仮眠をとり、雲が流れ去るのを待つことにしました・・・

・・・スマホのアラームが鳴りました。

車の外に出て空の状態を確認しました。

まだ雲が多いものの、北極星は見えていました。これなら赤道儀の設定ができます。

実は、赤道儀は買ったばかり。実戦で使うのは初めてです。
スマホで操作するのですが、慣れていないため試行錯誤しましたが、何とか設定できました。

しかしオリオン座はまだ雲の中です。

それから雲が過ぎ去るまで、車の中で暖を取ったり、散歩したり、夜食のパンをかじったり・・・

とにかく待ちました。
そしてついに、オリオン座の方向に晴れ間が広がりました。
時刻はすでに02:40を過ぎていました。

望遠レンズをオリオン座に向けました。
雲が多いので露出は短めの50秒にセット。その代わり何十枚も撮影します。

途中で小さな雲が何度か通り過ぎてしまい台無しになりましたが、そんな写真の選別は後回しです。
細かいことは気にせず、とにかく晴れている間に、できるだけたくさん撮影しました。

そして03:30頃になると、ふたたび広い雲がオリオン座に迫って来ました。

03:35 の撮影を最後に、撮影を終えました。
もうこれ以上撮影しても雲しか映りません。

機材を慎重に片付けている間、平行して、やる事がありました。
レンズのふたを閉じた状態で、同じく露出50秒の写真を何枚も撮影することです。

フタをして撮影したら、真っ黒な画面しか映らず、意味がないと思われるかもしれません。
しかし、実は真っ黒な中にも少しだけカメラの持つノイズが写ります。
このノイズ情報が、あとで画像処理をするときに必要なんです。

人工衛星が多い!

途中で何度か、撮影した写真をチェックしましたが、どの写真にも必ず人工衛星が写っていました。

上の写真は画像処理前の写真の一部を明るく強調表示したものです。
マルで囲んだ中に細い筋が何本か見えます。
たった露出50秒の間に、少なくとも7個の人工衛星が写り込んでいます。

近年、スターリンク衛星をはじめ、通信や測量などに用いる人工衛星が毎年2000個以上も打ち上げられています。

特に「天の赤道」あたりは人工衛星が多く回っています。
天の赤道とは、地球の赤道面を宇宙まで延長した方向のことです。

オリオン座は天の赤道にあるため、とくにたくさんの人工衛星が写ってしまうというわけです。

技術の進歩を感じた画像処理

自宅へ帰ったのは朝5:00近くでした。
11:00まで寝てから、名古屋市長選挙の投票へ行きました。

そして帰宅してから、パソコンでひたすら画像処理しました。
撮影した写真のうち、半分は雲でボツです。46枚を選んで画像処理をしました。

天体写真が普通の写真と違う点はいくつかありますが、もっとも大きな違いは、画像処理が必要だということでしょう。

宇宙空間の黒、明るい星、かすかに写る星雲・・・明るさが全くバラバラな被写体がすべて1枚の中にあるのです。
なにも画像処理をしなければ、こんな画像になってしまいます。

普通は、暗いものに合わせると、明るいものが白く飛んでしまいます。
逆に明るいものに合わせると、暗いものが姿を消してしまいます。

そこで、全てが程よく絵に収まるように、明るさの差を圧縮する処理をします。
またカラーバランスを整えたり、何枚も重ねてノイズを取りのぞいたりもします。

画像処理をした後の写真がこれです。

宇宙の黒と星の明るさ、星雲のあわい光が全て共存できるようになったと思います。
いかにも宇宙らしい写真になったと思いませんか?

同じ写真を何枚も撮って重ねることで、ノイズに埋もれていたかすかな星雲の姿も浮かび上がりました。

上半分に斜めに並んだ3つの星が、オリオン座の三ツ星です。

その三ツ星の左の星には、上と右に星雲があります。
上の星雲は「燃える木星雲」と呼ばれています。文字通り木が燃えているような姿です。
右の星雲は「馬頭星雲」と呼ばれています。馬の頭の形をした暗黒星雲が特徴です。

写真の右下は「オリオン大星雲」です。
オリオン大星雲を「火の鳥」という人もいて、火の鳥が翼を広げて飛んでいるようにも見えます。

実はこれが小三ツ星なのです。
小三ツ星のうち、上2つが実は星雲で、3つ目だけが星なのです。
肉眼で見ると、3つの星に見えますが、高感度なカメラで撮影すると、淡い星雲の姿が浮かび上がります。

これらの星雲以外にも、薄暗い星雲が全体的に漂っていることも分かります。
この領域はガスや塵が多く、星雲の中では新しい星々が誕生しつつあります。
多くの天文学者が注目している領域です。

ところで、この写真はオリオン座のどこでしょう?

上に三ツ星がありますから、これがオリオンの腰です。
つまりオリオンの腰下の一部の領域になります。
こんな感じの領域です。

オリオン座を見るときは、そこに多くの星雲があることを想像してみてください。
肉眼では見えませんが、高感度なデジタルカメラや電波望遠鏡では存在を確かめられます。

なお、オリオン大星雲は望遠鏡でもその姿を観察できます。
ただし人間の視力では色までは分かりません。

さて、
画像処理には色々な手順があるため、人によって結果が異なります。
例えばアメリカやヨーロッパの天体写真を見ると、ハッキリした色合いが好まれるように感じます。
それなら、こんな風に処理する方法もアリでしょう。

同じ写真ですが、明るさの違いを圧縮するときに、だれに合わせて圧縮するかでさじ加減が変わります。

このような画像処理ができるソフトウェアは特殊であるため、
ひと昔前まではプログラミングで自作するか、高価なものを購入するかしか手段がありませんでした。

しかし近年はフリーソフトのものから3万円くらいで購入できるものまで、複数のものが出回っています。
何年も前に有料ソフトを購入していましたが、久しぶりに使ってみたら上手く動きません。

そこで今回は Siril というフリーソフトを使うことにしました。
特殊な画像処理ソフトの多くは Windows用であることが多いのですが、Siril は Linux や Mac OS にも対応しています。
しかも既存の有料ソフトよりも高速に画像処理ができる、という優れものです。

きっと天才プログラマーが作ったのでしょう。
世界は広いですね。

塾長が使えるパソコンで最速なのは Linux マシンです。
開発の仕事もしているのですが、その開発用のパソコンが Linux だからです。
Linux でサクサク動く Siril は正に神アプリです。

メイド・イン・ジャパンは過去の栄光なのか

一昔前まで、天体観測は何もかも日本製が最高でした。
望遠鏡も、赤道儀も、カメラも、アマチュア天文家の道具は日本製で全て揃いました。
画像処理においても、デジタル現像や比較明合成は日本人が考案したアルゴリズムです。

しかし今回使った機材で日本製だったのはカメラだけ。
赤道儀も画像処理ソフトもパソコンも外国製でした。

最近よく目にする天体写真の多くは、外国製のカメラで撮影されたものがメジャーになってきました。

とくに中国製の台頭が目覚ましいです。
性能も機能も精度も使い勝手も、全く申し分ありません。
中国は世界の工場と呼ばれて久しいですが、今や科学技術も品質も一流です。

今や望遠鏡にも高機能なコンピューターが搭載されています。
自動制御があたりまえになりました。

これらの背景にあるのは技術のオープンソース化とその進化です。

赤道儀を制御する仕組みでは ASCOM というオープンな標準仕様が登場し、多くのメーカーが採用しています。
自動導入や赤道儀を制御するソフトウェアでは、Onestep というオープンソースプログラムが公開されています。

これらを組み込んだ赤道儀や小型コンピューターが登場し、小さな望遠鏡でも天文台のような装置を装備できるようになりました。
また古い赤道儀を自動導入装置付きの最新式マシンへグレードアップできる道も開けました。

天体観測に使う処理は科学技術計算ですから、ほとんどは学術的。
つまり特許無しの世界で多くのノウハウが実現されています。
世界には多くの天才がいて、無償で多くの技術が公開されていますし、フリーソフトも提供されています。

機械の仕組みも進化しています。

動力伝達にタイミングベルトを採用してバックラッシュによるガイドエラーを最小限に抑制し、ベアリングで回転をスムースにしながら耐荷重量を増やす。
これは昔からありましたが値段が安くなっています。
動力源のモーターはDCモーターとコンピューター制御の組み合わせで安価かつ省電力になりました。
さらに遊星歯車や波動歯車を組みあわせた全く新しい設計の機構まで登場しています。

いろいろな知恵が盛りだくさんです。

そして軽く丈夫で、しかも重い機材をぶん回せて、それでいて高性能。
そんな機材が出てきています。

天体観測というニッチな世界にも、集合知による技術の加速が起こっています。
もはや1社だけで技術を磨き上げる時代ではないのでしょう。
世界の潮流はオープンソースや集合知であり、個人や1組織ではとうてい追いつけないほど技術革新がスピードアップしているのです。

もしかしたらメイド・イン・ジャパンにこだわる価値観自体が、もう古いのかもしれません。
メイド・イン・ザ・ワールド。
これが、今後のあるべき価値観なのでしょう。

あとがき

教育という立場から天体観測技術を考えてみます。

上で述べたように、天体観測という視点でみても、衰退している日本の課題が透けて見えてしまい、少しさびしさも感じます。

日本の課題は、集合知という世界の潮流の中で、いかに存在感を出せるか、だと思います。

そう考えるとき、「オール5を目指す」という日本の教育は不利だと言わざるを得ないでしょう。
知識が無ければ考えることもできませんから、義務教育が詰め込みになるのは仕方ないと思います。

そうだとしても、やはり好きでもない科目を網羅的に暗記させるのは歪んでいると思います。
内申点のために我慢して勉強するのは、いくらなんでも遠回りをし過ぎです。

かつて塾長も大学受験のために勉強に励んだ時期がありました。
そうした理由は「もっと宇宙を見たい。もっと知りたい。」という欲求からでした。
内申点や評定はほとんど気にしたことがないし、親や先生に言われたから勉強したのではありません。

それでも、塾長の時代はとくに受験戦争と呼ばれていました。
宇宙や科学や数学を学ぶために、嫌いな科目でも好きだと自己暗示を強くかけて勉強したものです。
今になってみれば、その受験勉強には多くの無理があったように感じます。

あれから何度か教育改革が行われましたが、残念ながら詰め込み教育は加速してしまいました。
一方で、少子化が加速して全入時代が到来し、受験回避の流れが加速しています。
もやは受験は勉強する理由にはなりません。

受験勉強の「空洞化」が起こり始めています。

本当に高3生や浪人生が学ばなければならないことは、受験勉強の中のおそらく5割程度でしょうか。
他のことは大学に入ってから必要を感じたら学べばよいでしょうし、長い人生の中で、もっと後でも良かったように思います。

大学側も単位取得を厳しくしたり、卒論を免除したりと、就職予備校へと劣化してきています。

オール5やGPA何点というのではなく、得意なところから延ばし、できることを持ち寄って協力し合う。
教科書や必須単位の順番ではなく、できる所から取り組み、必要になったらものから学びを深める。
全員に同じ修行を課すのではなく、集合知で問題の解決を最優先する。

そのような教育の方が、社会全体としても物事の改善が速く進むと塾長は思います。

何の理由にしても「受験のための勉強」「内申点を付けるための勉強」「GPAを稼ぐための勉強」という教育体制を見直さざるを得ない時期に来ていると思います。

天体写真の撮影データ

撮影地: 愛知県知多郡南知多町
撮影時刻:2024/11/25(日) 02:40 頃 ~ 03:36 頃
露出: 38分20秒(50秒×46枚 コンポジット)
カメラ本体: Canon EOS 60Da(天体写真用カメラ) ISO3600 + IDAS LPS-P2フィルタを内蔵装着
望遠レンズ: SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM(絞り開放)
赤道儀: Sky‐Watcher Star Adventurer GTi
画僧処理ソフト: Siril Ver. 1.2.4

撮影現場の風景はスマートフォンで撮影しました。

写真はどれも任意にトリミングしています。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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〒468-0009
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TEL:052-893-9759
教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

紫金山・アトラス彗星を観測したよ

塾長です。

今週は塾はお休みです。年4回の調整休校のうちの、秋のお休みとなります。
お休みと言っても仕事はしておりますが、塾長にとっては珍しくアフター5を楽しめる貴重な1週間です。

アフター5ということで、今回は天体観測のお話です。

紫金山・アトラス彗星の大接近

紫金山・アトラス彗星

もう見ましたか?

「しきんざん あとらす すいせい」と読むそうです。

先週の10月13日に最も明るく大きく見えました。
日が沈んで空が暗くなり始めるころ、西の空の低い位置に見えたのでした。

双眼鏡が無くても、塾長の眼には見えましたよ。
もちろんスマホでも撮影できました。

とはいえ、とても地平線に近く、高度が15度くらいしかありませんでした。
建物の多い名古屋ではなかなか見るのが難しかったと思います。

15度と言えば1時間で地球が自転する角度ですね(小6理科、中1地理、中3理科)。
つまり彗星が見える時間になってから、たった1時間くらいで地平線の下へ沈んでしまうということ。
観察できる時間がとても短かったのです。

よほど熱心に観測しない限り、ほとんどの人は見ることができなかったでしょう。

塾長は写真撮影に挑戦しましたが、それが、めっちゃ大変でした・・・

彗星(すいせい)とは?

「すいせい」には「水星」と「彗星」の2種類があります。紛らわしいですね。

水星は、太陽にもっとも近い惑星です。水金地火木土天海の水ですね。太陽系に1つしか存在しません。

彗星は、「ほうき星」とも呼ばれ、尾を引く星のことです。太陽系のはるか彼方からやってきて、太陽に近づくと尾を引きます。そういう星をすべて「彗星」と呼びますから、彗星は太陽系にたくさんあります。
太陽に近づきすぎて壊れてしまうものもあれば、数十年~数万年の周期で定期的にやってくるものもあるなど、多種多様です。しかし、それらのほとんどは地球から遠くを通過するため、天文台で小さな姿を確認できる程度で、普通の人には気づかれません。

紫金山・アトラス彗星は、2023年1月9日に中国の紫金山天文台で初めて発見され、南アフリカのアトラス(小惑星地球衝突警報システム ATLAS)で存在が追認されました。周期はなんと約8万年。

ところがその軌道を調べると、めずらしく地球に近づくことが分かり、大彗星になると期待されて話題になっていたのでした。

そして今年の9月29日に最も太陽に近づき、続いて10月13日には最も地球に近づくとのことでした。
太陽に近づき過ぎて壊れるのではないかと心配されましたが、無事に乗り切れたようですね。

「この週末が観測のチャンスです!」

10月10日頃からニュースや天気予報などで、この彗星の話題が上がるようになりました。

実は9月末から10月1周目にかけては、明け方の東の空に見えていて、SNSではその写真を見るようになっていました。
とても気になっていたのです。

あった!

10月12日(土)。
この日は珍しく午後からお休みでした。
話題の彗星とやらを、ぜひ見に行くしかありません!

ヒーローズ植田一本松校から最も近い観測場となると、日進市に広がる田園地帯です。
開発がどんどん進んでいる地区ですが、西の空ならまだ広いです。

ということで、息子たちを連れて出かけました。
日没前から田んぼの中でスタンバイ・・・

日が沈んで空が暗くなってきましたが、まったく見えません。

西の空に金星が輝きはじめ、ほどなくして頭上に「こと座」の1等星「ベガ」が見えてきました。
それでも、まだ彗星の姿は見えません。

やがて夏の大三角形が全て見えるようになり、東の空は暗くなってきても、やはり見えません。
西の空には、まだ夕焼けの明るさが残っていたからです。

日没から1時間を過ぎるか否かという頃、やっと西の空が暗くなりました。
すると、ようやく彗星の存在を確認できたのでした。

「あ、もしかして、これ?」

双眼鏡でうっすらと、存在を確認できました。

それまで試し撮りをしてきた何枚かの写真を、あらためてモニターで拡大して見てみると、実は数分前から写っていたようです。
確かにありました。

「あった、これ、これだ!」

あわててカメラの向きを修正し、撮影に入りました。

その時の写真です。
画面の中央付近、電線の上に接するように、かろうじて彗星が写っていました。

低空の紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出1/15秒 トリミング(2024年10月12日18時12分ころ愛知県日進市長田にて)

しかし名古屋の空は明るく、なかなかハッキリ見えません。
そのまま、わずか15分くらいで低空の雲の中へ消えていきました。

いささか消化不良という感じでした。

スマホでも撮れた!

10月13日(日)。
前日のリベンジを果たすべく、この日も出かけることにしました。
今度は妻も巻き込んで家族を連れて出かけました。

地図で西の空が見やすい所を探し、おそらく愛知池が良いだろうと考えました。

日没後に到着しましたが、まだ空が明るいです。
前日の経験があるものの、前日とは場所も景色も違うため、また星図を確認しながら探す必要があります。

はやり日没後50分以上たってから、急に見え始めました。
前日よりもハッキリ見えました。

その時の写真です。

近日点の紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出1/13秒 トリミング(2024年10月13日18時17分ころ愛知県日進市の愛知池にて)

見れる内に見ておかなければもったいないと、写真の撮影は早めに切り上げました。
三脚からカメラを下ろし、代わりに双眼鏡を固定し、皆で見ることにしました。

試しにスマートフォンで撮影してみると、なんと写りました。

近日点の紫金山・アトラス彗星をスマホで撮影 Pixel7 トリミング(2024年10月13日18時21分ころ愛知県日進市の愛知池にて)

この日はSNSで「スマホで撮れた!」という投稿を多く見かけました。
中には、とてもきれいな写真もありました。

上の写真でも彗星の姿が分かりますが、背景の星空が何も映っていません。
やはり名古屋の空は夜でも明るく、星が見えにくいようです。

愛知池から彗星の見える方向には、名古屋市の街並みや名古屋港が続きます。
それらの明かりが空を照らし、星空をかき消してしまうのでしょう。

秋晴れとは言うけれど

10月20日(日)。
彗星観測の興奮が冷めないまま1週間が経ちました。

そしてちょうど塾は秋のお休みに入りました。
この機会に、彗星をちゃんと写真に収めようと思いました。

ということで、10月20日も出動しました。
先週と同じ愛知池です。

天気予報では「晴れ」とのことでした。
確かに晴れ間は多いものの、西の空に雲が残っていました。

現地に着くと、ちょうど彗星の見えそうな位置に雲が横たわっていました。
おまけに、空全体が先週より霞んでいます。

「何か見えるんですか?」

愛知池でマラソンやサイクリングをする人が多いようです。
夕方とはいえ人が多く通り過ぎます。
声をかけられるたびに

「いやぁ、雲でぜんぜんダメですよ。本当は彗星が見えるはずなんですが・・・。」

などと、苦笑いして答えることしかできませんでした。

結局、なにも見えないまま時間だけが過ぎてしまい、撤収することにしました。

撤収を決断し、悔しい気持ちで撮影したスマホの写真がこれす。

雲で見えない Pixel7 トリミング(2024年10月20日18:53ころ)カメラの先には、名古屋市の街並みや名古屋港の明かりに照らされた真っ白な雲が幅をきかせていました。
晴れているように見えますが、この日は空全体がうっすら白く霞んでいました。

写真中央よりやや左の雲が赤いのは、おそらく名古屋製鉄所の明かりでしょう。

ところで、星を見る人にとって、天気予報の「晴れ」は全くあてになりません。
いや、むしろ「曇り」と捉えます。

なぜなら、全天の8割を雲が占めても「晴れ」と言われてしまうからなんです。
中2理科の教科書で確認すると、ほんとうにそう書いてあります。

確かに秋は良く晴れますが、彗星が見えるほどの快晴になるかどうかは、また別問題。
そのとき、小さな雲が彗星の前にあれば、それだけで見えないのですから。

1時間で行ける星空

10月21日(月)。
週間天気予報が少し変わりました。晴れの予想が多くなりました。
そして21日は晴れていました。

どうやら今夜も撮影に行けそうです。
近日点から1週間が経ってはいたものの、SNSの投稿を見る限り、まだ彗星は大きく尾を引いていて写真撮影もできそうです。

とはいえ、相変わらず雲が気になります。

そこで、雲が多少あっても星が見えるような場所に行こうと決めました。
つまり西側に名古屋の街並みなどがない所へ行く必要があります。

塾はお休みですが。仕事はあります。
17時に職場を出て家に戻り、そこから1時間で現地に到着しなければ、撮影に間に合いません。

地図を見ていろいろ考えていると、ありました。
豊浜海釣り公園。知多半島の先です。
ここなら高速道路と自動車専用道路を使って1時間で到着できそうです。

ということで、仕事が終わるとすぐに帰宅し、荷物をまとめてナビを設定し、急いで出発しました。

しかし現地で道に迷ってしまいました。
海岸近くのコンビニで買い物がてら、場所を教えてもらい、なんとか到着。
時刻はすでに18時35分を過ぎていました。

急げ急げ!

初めて来た場所で土地勘がありません。
まずは撮影場所の確保です。
少しウロウロ歩いて、防波堤の上で撮影することに決めました。

しかし防波堤の上は風が強い・・・
ちょうど草むらがあったので、その中に身をひそめるように三脚を設置し、カメラを固定しました。
ここなら見晴らしを確保しつつ、草が風よけになります。そして海釣りの人たちの邪魔にもなりません。

やばい、やばい、時間がどんどん過ぎていく!

すごい存在感!

さて、彗星はどこだ?

35mm の広角レンズで、およそのあたりを付けて試しに撮影するも、なかなか見つからない。
どうやら、あの雲の中にあるらしい。
いや、本当に方向は合っているだろうか・・・

焦りながら色々やっている内に、やがて雲が流れ、ついにカメラの液晶画面にその姿が現れました。

「あった。場所はどこだ?」

それらしい方向に双眼鏡を向けました。

「あ、いた!」

長い尾を引く彗星の姿が視野の端からぬうっと現れ、双眼鏡の視野いっぱいに広がったのです。

ものすごい存在感。
名古屋市内で見たときとは、まるで印象がちがって見えました。

それを急いで撮影したのがこれです。

雲の隙間から姿を現した紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出10秒×11枚 トリミング(2024年10月21日18:55~18:58 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

思った以上に長くて立派な彗星の姿でした。
これは確かにニュースになるワケです。

この彗星の大きさが分かるように撮影したくなりました。
ほんとうは 150mm望遠レンズをメインに撮影しようと思っていたのですが、それは後回しです。

15mm魚眼レンズに付け替えて、夏の天の川と対比するような構図で撮影しました。

夏の天の川と紫金山・アトラス彗星 15mmF2.8 ISO3200 露出10秒×8枚 トリミング(2024年10月21日19:05~19:10 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

知多半島にはセントレア空港があり、ひっきりなしに飛行機が通り過ぎます。
画面の下には海が広がり、漁船の光がいくつかありました。

夏の天の川には「いて座」の「矢」である「南斗六星」があります。その矢の先端の下には赤い「干潟星雲(M8)」も写っています。
名古屋の明かりを避けるだけで、写り込む星の数がこんなにも変わります。

魚眼レンズで撮影している間にも、彗星の高度はどんどん下がってきました。
急いで150㎜の望遠レンズに付け替えました。

倍率が上がる分だけ風の影響を受けやすくなります。

時折「ごおーっ」と風が吹くと、画像がぶれて撮影が失敗します。
体を張ってカメラを風から守りながら撮影しますが、それでも2~3枚に1枚くらいしか撮影に成功してくれません。

そうやって何とか撮影したのがこちらです。

紫金山・アトラス彗星の拡大写真 150mmF2.8 ISO3200 露出2秒×13枚+4秒×8枚 トリミング(2024年10月21日19:30~19:38 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

高度が低いので、全体的に赤っぽっくなります。
夕日が赤いのと同じです。
もっと早く到着できていれば、より青くさわやかな姿も撮影できたでしょう。

撮影中のカメラの背後から、スマホで彗星を撮影してみました。
何枚かのうち1枚だけ写っていました。ラッキーです。

撮影風景の中の紫金山・アトラス彗星 Pixel7 トリミング(2024年10月21日19:06 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

彗星の撮影が終わると、頭上にはまだ夏の大三角形がありました。
夏の星座も、そろそろ見納めの季節です。
ついでに撮影しておきました。

夏の大三角形を見送る 15mmF2.8 ISO3200 露出10秒×4枚トリミング (2024年10月21日20:05~20:10 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

右上が「白鳥座」の「デネブ」、右下が「こと座」の「ベガ」。そして左下が「わし座」の「アルタイル」です。
これら3つの1等星を結んだ三角形を「夏の大三角形」と呼び、その中を天の川が流れています。
デネブの左上に見える赤い星雲は「北アメリカ星雲(NGC7000)」です。北アメリカ州を横にしたような形の星雲です。

シャッターを開けている間にも、飛行機が多く通り過ぎていきました。

振り向くと東の空からスバル(プレアデス星団、M45)が昇り、続いて月も昇ってきました。
その時の写真がこちらです。よく見ると「おうし座」のV字型の星の並びが横倒しで写っています。

昇る月とスバル Pixel7 トリミング (2024年10月21日20:19ころ 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

この日は夜半過ぎから「オリオン座流星群」という流れ星が見える予定でした。
体力があれば、このまま残って流れ星も写そうと思っていましたが、風が強くて寒さの限界。

それに、この薄雲を月が照らせば、きっと微細な流星は写らないでしょう。

1度はカメラを東に向けてはみたものの、撤退することにしました。

空全体に雲が点在し、この日も何だかんだで雲を気にしながらの観測でした。

車に乗り込むと中はあったか。
風がないだけで、ほっとします。

ゆっくりと名古屋へ戻りました。

 

その他の撮影データ

カメラ本体:  Canon EOS 60Da(天体写真用カメラ) + IDAS LPS-P2フィルタを内蔵装着

15mm 魚眼レンズ: SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE

28mm 広角レンズ: SIGMA 28mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

150mm 望遠レンズ: SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM

撮影は全て固定撮影で行いました。
絞りは全て解放で撮影しました(絞るのを忘れてました)。

画僧処理ソフト: ステライメージ6

画像処理: JPEG画像をベースにコンポジット、レベル調整、トーンカーブ調整を施したうえでトリミングしました。

なお、コンポジットは「加算」を基本としましたが、白く飛んでしまう場合は2段階に分けてコンポジットしました。
第1段階は飛ばない程度の枚数でグループ分けして加算し、第2段階で第1段階で得られたファイルどうしを加算平均しました。
詳細な手順の説明は省きます。

画角やアスペクト比はトリミングで任意に変えてあります。カメラ名とレンズ名から期待される本来の視野とは異なります。

固定撮影であるため、広角になるほどコンポジットでズレ量が大きくなり、望遠になるほど日周運動でのズレが大きくなります。
そのためコンポジット枚数の多いものほどトリミングでカットする領域が広くなっています。
もちろん任意に切り取ってもいます。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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塾長の趣味 名古屋でもレナード彗星を観察できるか挑戦

レナード彗星の拡大

塾長です。

今回は趣味の話です。

レナード彗星をご存じですか?

(時事問題で出題されるかもしれません)

新聞にも載っているレナード彗星

いま地球に接近中の彗星です。
水星(マーキュリー)の方ではなく、ほうき星の彗星(コメット)です。

12月5日の中日新聞などでも紹介されていました。

今年の1月にアメリカのレモン山天文台でレオナルドさんによって発見されました。それ以来どんどん明るくなって地球にも接近しています。

「もしかして肉眼で見えるようになるかも?」
「小さな双眼鏡でも、簡単に観察できるかも?」

そんな期待が高まっています。

最近は、アマチュア天文家によって撮影された写真がインタネット上に多くアップされるようになりました。
じりじりとではありますが、確かに盛り上がってきています。

レナード彗星は2021年で初めて発見された彗星です。今年はレナード彗星に始まり、レナード彗星に終わる、という感じです。

どの方向にどのように見えるのかは、アストロアーツの解説ページが分かり易いです。

2021年12月 レナード彗星が5等前後 アストロアーツ

これによると、だいたい次のように見えるそうです。

12月12日ころまで

  • 明け方の東の空に見えます。
  • 低空のため、日の出前の1~2時間くらいしか観察できません。

12月13日から年末まで

  • 夕方の西の空に見えます。
  • 低空のため、日の入り後、17時ころから1時間くらいしか観察できません。

どちらにしても太陽に近い低空の夜空に見えます。
観測できる時間帯がとても限られているので要注意です。

なぜ日の出前と日の入り後にしか見えないの?

レナード彗星は、あくまでも太陽を中心に放物線の軌道を描いています。
そして、その放物線の頂点が太陽と地球の間にあるため、地球にも接近します。

今週いっぱい、太陽の西側から太陽へ近づいていきます。
だから今週は日の出前に見えます。
しかし、それを追いかけるように、太陽がすぐ昇ってきます。

そして12月12日に地球へ最接近します。
ちょうど太陽の方向に彗星が見える日でもあります。

それを過ぎて来週になると、今度は太陽の東側へ移動します。
こうなると朝、太陽が昇った後にレナード彗星が見えることになります。
逆に夕方、先に太陽が沈んでしまえば、その後、夜空にレナード彗星が残されます。
だから来週は日の入り後に見えます。
しかし太陽に近いため、日没から1時間くらいで彗星もすぐに沈んでいきます。

どちらにしても太陽に近いため、太陽と共にすぐに夜空から消えてしまいます。
だからレナード彗星を観察できる時間が少ないというワケです。

はたして名古屋でも観察できるのか!?

名古屋のような都市部では、暗い星が見えません。

街の明かりが夜空を明るく照らすので、暗い星の姿がかき消されてしまうからです。
昼間は太陽が明るいので星の姿が見えませんが、それと一緒です。

植田一本松校の近くでは、天の川はおろか3等星すら見えにくいです。
見える星の数が少なすぎて、星座を形づくることができません。

そんな都会でも、レナード彗星を観測することができるのでしょうか?

レナード彗星が見えるのは低空の空です。
そもそもビルに囲まれていては、空自体が見えません。

そこで見えるか見えないかの前に、まず、視界の開けた場所へ移動する必要があります。

広い公園や河川敷などがよいです。

幸い、ヒーローズ植田一本松校は、車で10分もしない所に田園地帯(※)があります。
グーグルマップで調べると、ちょうど彗星が見える方角に田んぼが広がっています。

そこで日曜日の早朝に観測してみることにしました。

(※)後で調べたら名古屋市ではなく日進市に入っていました_| ̄|○
およそ名古屋ということで・・・。

見えなかったけど写真には撮れた!

観察したのは12月5日(日)の朝5時前後です。

パソコンで、その日時の星座をシミュレーションしたのがこちらです。
中心の赤丸に黄色い★印のところにレナード彗星があるはずです。

ステラリウム_撮影時刻の星空1

※使ったのは、ステラリウムという無料のプラネタリウムソフトです(超オススメ!)
※レナード彗星のマークは後から追加したもので、ステラリウムの機能ではありません。

現地に到着して、肉眼で探してみました。
見えませんでした。

双眼鏡で探してみました。7倍で口径50mmという標準的な双眼鏡です。
見えませんでしえた。

いくら街が明るいとはいえ、双眼鏡があれば4等星や5等星くらいは見つかるはずです。
おそらく6等星以下か、あるいは淡いので見えにくいのだろうと思いました。

「こりゃ、写真撮影で確認するしかない!」

と思いました。
カメラの方が人間の目よりも高感度です。
やっぱり機械に頼りましょう。

それにしても寒いです。
気温は4℃。
手がかじかんできました。

久しぶりの天体観測です。
機材の細かいクセを忘れていて、要領が悪いです。
ピントを出したり画角を決めたりするのに時間がかかりました。

それでも何とかセッティングが終わりました。

とりあえず、うしかい座の周辺を「えい、やっ!」と撮影してみました。
それがこれです(トリミングしてあります)。

レナード彗星_画像処理前

ぱっと見て最初は「ダメだ。」と思いました。

撮影するとカメラの背面の液晶に自動的に映像が映し出されます。
それがとても小さな画面なものですから、ほんとうに真っ白で何も映っていないかのように見えたのです。

しかし、そう簡単にあきらめたのでは、せっかく来た意味がありません。

気を取り直し、もう一度、カメラの小さな液晶画面を隈なく調べることにしました。
すると、よく見れば多くの星が写りこんでいるではありませんか。

さすがはデジタルカメラの威力!

そのままカメラの小さなボタン類を操作して、拡大させたりスクロールさせたりしながらチェックしていきました。
寒さで手がかじかんで感覚が鈍いです。小さなボタンなんて、押せたのか押せてないのか、よくわかりません。
かといって強くボタンを押すのはダメです。カメラの位置をズレてしまいます。

そんな感じで、要領が悪いながらも画面を隈なく探しました。

すると黄色い枠のあたりに、かすかですが、ぼんやりとしたものを見つけました。
緑っぽい色で、明らかに普通の星とは違います。

「きっと、これだ!」

そう確信しました。
写真ですら名古屋ではこんなに淡く映るのです。
肉眼で見えるわけがありません。

何はともあれ、めでたく見つかりました。
とても淡いので、たくさん撮影して枚数を重ねないとハッキリとした姿になりません。
とにかく撮影の枚数を重ねていきました。

補足 なぜ同じ写真を何枚も撮影するのか?

写真が全体的に白みがかってしまうのは、街の明かりで空が明るいからです。
デジタルカメラであれば、こんな夜空でも多くの星たちを、かろうじて写し出すことができます。
ただし露出時間を長くすると画面全体が真っ白に飛んでしまうため短時間しか露出できません。

そもそも星が見辛いのは、背景の明るさと星の明るさの差が少ないからです。
そこで何枚も撮影してコンピューターの中で重ねます。
2枚重ねれば差が2倍、3枚重ねれば3倍・・・というように重ねれば重ねるほど背景と星の明るさの差がどんどん開きます。

このように枚数を重ねれば星の姿をはっきりさせることができるというワケです。
※「ノイズが減る」という言い方をします。

自宅に帰ってから画像処理をしました。
20枚撮影したものを重ね、できるだけ見やすいように調整したのが次の写真です。

レナード彗星_星野解説

※ 2021/12/05 Sun AM 04時50分頃~05時頃まで Canon EOS 60Da  ISO3200 露出5秒×20枚 SIGMA 28mm f1.8 EX DG -> f2.8 Seiji Matsushita
※ トリミングにより写真の周辺部分をカットしてあります。

画面の下の方が明るいのは、街の明かりです。

レナード彗星の部分を拡大した写真がこちらです(違うレンズで撮影したものを拡大)。

レナード彗星の拡大

※2021/12/05 Sun AM 05時20分頃~05時35分頃まで Canon EOS 60Da  ISO3200 露出9秒×70枚 18-55mm f4.0-5.6 EF-S -> 55mm f5.6 Seiji Matsushita
※ 彗星部分だけをトリミングし、写真の大部分をカットしてあります。

バッチリと尾も確認できました!

ステラリウムとアストロアーツのページを見比べ、星座との位置関係を確認しました。
うん、確かにレナード彗星です。

ステラリウム_撮影時刻の星空2

レナード彗星が撮影できました。

実は銀河や球状星団も写っていた!?

さて、それでは他に、どんな天体まで撮影できるのでしょうか。
幸い、この日は良く晴れていました。

うしかい座の少し上まで画角を広げた写真が、こちらです。
後で調べると、けっこう色々な天体が写りこんでいたことが分かりました。

うしかい座から猟犬座まで

※ 2021/12/05 Sun AM 05時40分頃~05時45分頃まで Canon EOS 60Da  ISO3200 露出4秒×40枚 SIGMA 28mm f1.8 EX DG -> f2.8 Seiji Matsushita
※ トリミングにより写真の周辺部分をカットしてあります。

写真の下の方が明るいのは、赤池や三好、その先にある豊田方面の町の明かりでしょう。
北東の空ですから、右側が少し赤みがかっているのは朝焼けが近いからだと思います。

ステラリウムで確認すると、こんな感じです。

ステラリウム_撮影時刻の星空3

意外にも、多くの天体の存在を写真で確認することがで確認できました。

人の目には街の明かりが眩しくて、ほとんど星の姿が見えません。
しかし、ちゃんと星々の光は今でも届いているのですね!
なんだか示唆に富んでいます。

ところで、春の星座には銀河や球状星団が多いです。
写真をルーペで見ると、それらが米粒よりも小さく映っています。

球状星団は、私たちの銀河系に属している星の集団で、およそ数万光年くらい遠くにあります。縄文時代くらいの姿です。
銀河は私たちの銀河系の外にある別の銀河系たちで、およそ数千万光年くらい遠くにあります。人類が誕生する前の姿です。

今回は名古屋市郊外(ギリギリ日進市)の夜空でしたが、まだまだ捨てたもんじゃありませんね。

キレイに撮影できるかは別として、観察できる余地はありそうです。

透明度が高く、乾燥した真冬の夜空であれば近場でもチャンスがありそうです。
やり方によっては天体写真を楽しめる余地が、まだありそうです。

あとがき

撤収する頃には、すっかり朝焼けが始まっていました。

朝焼け

へび座の星々が、かろうじて姿を残していましたが、
まもなく時間とともに消えていきました。

田んぼの向こうに立ち並ぶ鉄塔の風景。

この風景だけ見れば、塾長が学生だった頃と同じです。
しかし国道153号は見違えるほど広くきれいになり、周辺の町も大きくなりました。

昨年の夏には、この田んぼで息子がオタマジャクシを捕まえて遊びました。

その息子たちが大人になる頃でも、この田んぼで星を見ることができるでしょうか。
あるいは宇宙旅行で、もっときれいな星を見ているのかもしれません。

「寒い!」

撮影で忙しくしていて忘れていました。
とても寒いです。

さぁ、街の明かりの中へ戻り、コンビニで温かい肉まんを買って暖を取りましょう。

 


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山奥で日本語が通じなかった話からの「卒業生に贈る言葉」

卒業おめでとう

塾長です。

中学生のみんな、卒業おめでとう!
ちょっと遅れたけれど、高校生のみんなも卒業おめでとう!
小学生の卒業式は再来週だね。ちょっと早いけど、卒業おめでとう!

もしも教え子の高校3年生や大学4年生がこのブログを見てくれていたら、そんなキミたちにも、ご卒業おめでとうございます!

今回は「卒業生に贈る言葉」を書いてみたいと思います。

その前に、まず塾長がした「奇妙な体験」について聞いて欲しいと思います。

最後に話がまとまりますから、ちゃんと最後まで読んでくださいね。途中で世にも奇妙な物語的なことを書きますが、すべて実話です。

満天の星空を求めて熊野の山奥へ

私は星を見たり、星の写真を撮影したりするのが好きです。

ですから満天の星空を求めて、名古屋の都会からできるだけ遠くの山奥まで、ちょくちょく足を運びました。
今は仕事が忙しくて、なかなかそうもできません。しかし、ほんの十数年前までは、週末のたびに天体望遠鏡を車に積み込んで、よく遠出をしたものです。

今から16、7年くらい前だったでしょうか。熊野古道で有名な三重県南部や和歌山県の南部、奈良県の山間部のあたりに、何度か足を運んだことがありました。きっかけは、インターネットで見た

「熊野で見た星空がビックリするくらいにキレイ」

という記事でした。

行ってみると本当にきれいでした。
天の川を雲と見間違えるくらい、よく見えました。

それで私の中でも熊野が観測地ランキング第1位になったのです。それからしばらくの間、その方面へ一人旅をすることにハマリ込みました。望遠鏡とカメラと食料を車に載せて、車中泊の旅です。ちょうど季節も春でしたっけ。

熊野古道は今でこそ世界遺産に登録され、道路が広くなり道の駅やお店などが整備されて賑わっています。しかし当時はまだ登録の直前という時期で、開発が進む前でした。紀伊半島の南部ですから名古屋から距離が遠くて大変です。さらに当時は道路が細くてカーブも多く、運転も大変でした。それゆえ本州に残された貴重な秘境の1つでした。できることなら住んでみたいです。

最初の旅は三重県の南島町でした。あいにくその時は、望遠鏡を設置する良い場所が見つかりませんでした。海辺は港の夜でも街灯が明るく、風も強いです。山間部は開けた場所がありません。あちこちへ場所を探しているうちに夜が明けてしまい、ドライブで終わってしまったのでした。

2回目は三重県の古里町でした。南島町よりもさらに南へ足を延ばし、尾鷲市の手前まで頑張って車を走らせました。そこには海水浴場があり、海辺の近くに広い場所があったので望遠鏡を組み立てることができました。

そこで、ちょっと奇妙な体験をしました。奇妙な体験の第1弾です。

海辺で何かの儀式をする謎の集団

古里町に着くと、海水浴場の近くに、少し広い場所を見つけました。駐車場の南側(海の方面)には大きな防波堤がそびえ立っていて、南の空が一部見えません。しかし、その日は北の空を狙っていたので問題ありません。むしろ海からの風を防波堤が防いでくれて、ちょうど良いと思いました。そこで望遠鏡を組み立てることにしました。

ちょうど望遠鏡を組み立て終わったころ、あいにく北の空に少し雲がかかってきてしまいました。これでは天体写真の撮影ができません。星座早見盤を眺めながら雲が流れるまで少し待つことにしました。

しばらくすると、後ろの方から何人かの話し声が聞こえてきました。ふと振り返って見てみると、外国人数名と日本人数名の男女10人くらいの人たちが、小声でしゃべりながら近づいてきました。

「こんな夜中に、こんな場所で。いったいどこから来たのだろう?」

ちょっと怪しく思いましたが、きっと自分も相手からすれば怪しく見えるだろうと思って、気にしないことにしました。
彼らは私の存在に気を留める様子もなく、ただ静かに通り過ぎていきました。手には大きな懐中電灯を持っていました。そして防波堤の階段を上ると、ふたたび何かを喋り始め、そのまま防波堤を越えて、海の方まで行ってしまいました。

「え、こんな夜中に海?」

いったい何をしに行ったのでしょう。私はしきりに気になりだしました。

彼らの話し声が聞こえなくなるのを見計らうと、腰をかがめて、そっと防波堤の階段を上っていきました。階段を上り切ったあたりで立ち止まり、防波堤の陰からギリギリ海が見えるところまで頭をひょこっと出しました。

海の方角は南です。水平線の彼方に星が霞んで見えました。薄い雲が邪魔しているようです。いて座が昇ってくる時間のはずです。
そこから右手の方に目をやると、20mほど離れた海辺に、先ほどの集団の姿がありました。相変わらずおしゃべりをしながら海の方を眺めています。大きな懐中電灯で明るく照らしまくっているので遠くからでも見えました。

しばらくすると彼らは話を止め、静かになりました。すると輪になって祈り始めました。何かの儀式でしょうか。そのままじっと動きません。
何分か見ていましたが変化がありません。むしろ全く動かなくなってしまいました。死んでしまったのでしょうか。

見るのに飽きてしまったので、そのままそっと階段を下りて、望遠鏡の元に戻りました。

北の空が晴れていたので、写真の撮影を始めました。そこからは望遠鏡やカメラの操作に忙しくしていました。

しばらくすると、先ほどの集団が戻ってきました。相変わらずおしゃべりをしながら私の横を素通りして、何事もなかったかのように戻って行ってしまいました。

あれはいったい、何の儀式だったのでしょうか?

天の川との再会

あの集団が祈りを終えたということは、今なら誰も海にいません。南の夜空を気兼ねなく見ることができます。

私は南の空が晴れたのか、少し気になりました。いて座が昇ってくるとともに夏の天の川が見えるかもしれません。夏の天の川は色濃くきれいなのですが、いつも雨や曇りで、なかなか見ることができません。

ふたたび防波堤の階段を上ってみました。

南の空は相変わらずでした。いて座は見えてはいるのですが、スッキリと晴れていません。ボヤンと薄い雲が邪魔しています。

そのまま数分眺めていて、何だか変な気がしてきました。

「いや、ちょっと待てよ。さっき集団がいた時と比べて、いて座と雲が全く同じように動いている。そういえば雲の形も変わっていない。おかしい。普通は雲の動きの方が速いはず・・・まさか!」

それまで雲だと思っていたものが、実は天の川だったのです。あまりにも色濃く見えていたので、てっきり雲だと勘違いしていたのでした。

小学生の頃に赤城山の山頂で見た、感動するほどキレイな天の川。あれから街の明かりがどんどん増してしいきました。せっかっく自分で車の運転ができる年になったのに、もう満天の星空は見えません。

あの天の川をもう一度見てみたい。

そう思って色々な所に足を運んできました。はっきりとその姿を覚えていたつもりが、覚えていなかったのでしょうか。

いえ、本当は記憶の問題ではありません。なんとなく理由は分かっていました。大学受験やIT業務で視力がかなり落ちてしまいました。私の視力が落ちたせいで、見え方が変わってしまったのでしょう。

自分の目が衰えてきたことが、それでハッキリしてしまいました。

天の川との再会に感動すると同時に、色々な変化を少し寂しくも思ったのでした。それだけに、もっと写真をきれいに写してみたくなりました。

さらに秘境へ

それまでは金曜の夕方に出て、土曜日の昼くらいに帰宅するという忙しい車中泊でした。そのため2時間くらいしか天体写真を撮影する時間がありませんでした。

なぜ土日でゆっくり行かないのか。それは日曜日は彼女(今は妻です)とのデートがあったからです。それに今までの写真撮影は単なるテスト撮影だったからです。テスト撮影なので2時間でも撮影ができました。

しかし、3回目の遠征は気合いを入れました。新しい機材を買ったので、ちゃんと時間をかけて撮影したくなったのです。せっかくだから更に奥地へ向かおうと思いました。そこで今度は週末をフルに使い、土曜の朝早くから出発し、土曜の夕方には望遠鏡の設置を終え、一晩中フルに撮影することを目論みました。

肝心なのは写真撮影ができる場所です。インターネットで色々調べていた中で、玉置神社の駐車場が観測地にちょうど良いだろうと思いました。熊野本宮大社よりも、さらに山奥です。標高1000mという秘境っぷり。しかもアスファルトで舗装されていて視界が開けているという奇跡の場所でした。

朝早く起きてカーナビに目的地をセットすると、とにかく先を急ぎました。たしか、熊野本宮大社、湯の峰温泉、玉置神社というルートだったような気がします。

途中で立ち寄った神社や温泉についても色々と書きたいことはありますが、それはまた別の機会にします。とにかく予定通りに湯の峰温泉へ到着しました。

触らぬ神に祟りなし?

湯の峰温泉は、熊野本宮大社から1つ山を越えた所にあります。温泉が湧き出る川の両脇に旅館がいくつか立ち並ぶ、小じんまりとした集落です。

広い共同駐車場があり、安く入れる公衆浴場もありました。

駐車場の横にある旅館の一階が食堂になっていたので、そこで昆布うどんを注文していただきました。シンブルでしたが、もの凄くおいしかったので汁も全部飲んでしまいました。

うどんで汗をかいたところで公衆浴場に入りました。

「おや、お兄さんはドラゴンズファンかね?」

体を洗っていると、横にいたおじさんから声を掛けられました。私が使っていた中日ドラゴンズのタオルを見たようです。

・・・ヤバイ

本能的にそう思いました。ここは和歌山です。みんなタイガースのファンである可能性が高いです。下手なことは言えません。そもそも私は野球をほとんど見ません。

「あ、本当だ。ドラゴンズのタオルですね。私は野球のことはよく分かりませんが、名古屋では新聞屋さんがくれるんですよ。」

そう言って、とぼけました。いちおう本当のことです。

「あー、そういうことかい。名古屋からはるばると。それはお疲れ様です。」

「おじさんは野球が好きなんですか?」

「まぁね。うちはタイガース。このへんはみーんなタイガースのファンだね。」

どやら命拾いをしたようです。

旅の汗を流すことができてスッキリしました。

いよいよ観測地の玉置神社へ出発です。

神に呼ばれた人がたどり着ける聖地

熊野の地は不思議な所です。ここに来ると体が軽くなったように感じます。多少の無理をして旅をしても、なぜか疲れません。私だけでしょうか。

温泉で元気になった所で、玉置神社へ車を走らせました。

カーナビを見ると、川と道路と目的地しか表示がありません。ナビが無ければ絶対に行けないような奥地です。

うっそうとした森の中を、ただ細くて頼りない道路がぐにゃぐにゃと続きます。道路はコールタールで舗装されてはいますが、木の葉や細かい枝が少し降り積もっています。大木が立ち並ぶ森の中は昼間でも薄暗いです。

そんな深い森に道路がどんどん飲み込まれていくような錯覚を覚えます。それを気合いで吹き飛ばしながら何度もハンドルを握り直します。どんどん上って標高が高くなっていきます。途中で道が狭くなったり、横の崖が少し崩れているようなところもありました。さっきまでの元気がウソのようです。進めば進むほど、何だか心細くて不安になっていきます。

満天の星空が見える場所とは、それだけ人の文明が届いていないような山奥ということです。街灯なんてありません。この道を夜に走れと言われたら、怖くて自信がないです。

不安が最高潮になったころ、急に視界が開けました。どうやら駐車場にたどり着けたようです。他には誰もいません。広い駐車場に私だけです。

まだ明るいので玉置神社へ参拝することにしました。カメラを片手に車から降りると参道を歩き始めました。参道は砂利道で、右手からは湧水が染み出ていて、左手は絶壁でした。鳥居をくぐると、おおきな杉が立ち並ぶ森の中へ入っていきました。

奥まで来るとまた鳥居があって、そこから急な石段がありました。それを上ったところが本殿でした。

立派というか厳かという感じでした。とても質素な雰囲気で、森の中に溶け込んでいるような神社でした。石段はコケが蒸していて、もはや水平ではありません。きっと長い年月の間に少しずつ石と石の角度がズレたのでしょう。本殿や鳥居には塗料が塗られておらず、木材の質感そのままでした。これまたよい感じで古びていました。正にわびさびの世界でした。

神社に来ても誰もいませんでした。ポツンと一人でお参りをしました。樹齢3000年ともいわれる巨大な杉も参拝しました。大きな木がたくさんあって、そこら中に鳥居が立っています。大木それぞれが神様のようでした。

大きな自然の存在があって、それを崇めるための最低限だけ人の手が加わっている。そんな場所です。

ここには神様がいる。

まさにそう確信できるような雰囲気でした。

山が深いところでは、自分の存在がものすごく小さく感じられます。逆に自然からの圧力というものを感じます。運転を誤って崖から落ちたり、観測中にクマに襲われたり、大雨で横からの鉄砲水に遭遇したり、何かの拍子で孤立して遭難したり・・・ちょっとでも何かを間違えたら、すぐに命を落としてしまいます。山では人間よりも自然の方が圧倒的に強いのです。そういう緊張感が常にあります。

この自然から受ける圧力というものが神の存在の証だとすれば、それは確かに存在します。そういうものを感じられなくなったら人間社会は終わるのだろうと思います。

参拝して少し気持ちが落ち着いたので、駐車場へ戻りました。

相変わらずだーれもいません。この駐車場で望遠鏡を設置して、一晩を明かします。駐車場のどこに設置しようかと、ぐるぐる歩いて回りました。

するとブンブン虫が多いことに気付きました。標高1000mだから虫はいないだろうと思っていたのですが、意外でした。よりによって大きなアブです。駐車場のどこに行っても、2~3匹くらいブンブン飛んでいます。

なんでこんなに多いんだろう・・・

ちょっとシャレになりません。虫よけスプレーなんて持っていませんでした。駐車場の中央付近なら大丈夫かと思ったのですが、やっぱりいます。

どうしようかなぁ・・・

そう思っていたら、空がピカリと光り、続いてゴロゴロと雷鳴がとどろきました。ものすごい大音量でビビりました。どうやら夕立が来るようです。すぐにポツリポツリと降り始めました。

来るときに感じていた不安が、また頭によみがえって来ました。

土砂降りになったら山に閉じ込められてしまうのではないか・・・

虫のこともあるし、道路の状態の心配もあるし、私はすっかり心が折れてしまいました。

明るいうちに、雨が激しくなる前に、下山しよう。

そうに決心しました。幸い、まだ時間があります。他に観測できそうな場所を探そうと、しばらく車を走らせることにしました。

・・・数時間はさ迷ったでしょうか。串本の方まで足を延ばしましたが、霧が立ち込めてしまい観測どころではありません。結局、熊野本宮大社まで引き返して来ました。近くに広い駐車場があったので、そこを夜だけ使わせてもらうことにしました。

望遠鏡を組み立てて撮影を始めたのですが、近くの国道を大型のダンプカーが良く通りました。その振動で星の撮影が落ち着いてできませんでした。
極めつけに空が曇ってきてしまいました。日ごろの行いが悪いのでしょうか。

撮影を諦めて撤収しました。朝になってお店が開くと悪いです。湯の峰温泉の駐車場を思い出しました。そこで野宿をすることに決めました・・・

実はその後もう1回、熊野へ星の旅に出かけました。その時は花の窟神社、神倉神社、熊野三山の参拝はもちろん、竜神温泉、鶴姫公園(天体観測のメッカ的な地の1つ)をめぐる1000Km近くを走破した弾丸ツアーでした。

しかしそれを最後にしばらくは行かなくなってしまいました。もっと行きたかったのですが、さすがに遠すぎました。

猿田彦命の生まれ変わりと名乗る案内人

数年たって盆休みのこと。今度は姉夫婦と熊野三山を参拝する旅に出ました。

当時、姉夫婦は神社をめぐる旅にハマっていました。夫婦で伊勢神宮や熊野三山を詣でるために、中間地点の名古屋に寄っていくという話でした。

私がそんな姉に、熊野本宮大社や玉置神社へは2度ほど行ったことがあると言ったら驚かれました。それなら一緒に行こうということになったのでした。それで私は望遠鏡を持参で参加することにしました。

姉が言うには、当時、玉置神社へ2度も行ったことがあるのは凄いことらしいです。私は天体観測ができる秘境だと思って行ったのですが、実は熊野三山の奥の院だそうです。外の土地から来た人では、行こうと思ってもたどり着けないことが多く、昔から

「神様に呼ばれた人が行ける神社」

と言われているそうです。

私は神様に呼ばれたのでしょうか。いや、そんなんじゃないでしょう。アブや雷に追い立てられて下山した記憶しかありませんが。むしろ怒られたという感覚です。とはいえ、神様にご縁があるなんて言われたら、ちょっと嬉しいです。

姉は事前に地元の人とインターネットで知り合い、ボランティアの案内をお願いしていたようです。旅慣れているだけあって流石です。

現地に到着すると、案内をしてくれる地元のおじさんが出迎えてくれました。

地元を盛り上げるために都会から来た人たちを積極的に案内しているそうです。そして、自分は猿田彦の神の生まれ変わりだから、旅人を案内する運目にあるのだと、そういう自己紹介をしていただきました。来る途中、伊勢神宮を参拝した時に、近くの猿田彦神社も参拝してきました。そのことを話すと喜んでくれました。

日本語が通じなくて頭痛を覚える

そのおじさんの車の後を追いかけていく形で、聖地を巡礼していくことになりました。

ところが、そのおじさんが次にどこに行くのかという話を聞いても、何を言っているのかサッパリ分かりません。

最初は方言なのかと思いましたが、そういう次元ではないことが分かってきました。・・・そもそも日本語ではないです。いや、日本語です。日本語の単語を適当に並べてしゃべっている、という感じでした。

それなら外国人と話をするのと同じかもしれません。それで語順うんぬんよりも話の内容を理解しようと努めました。しかし、それも上手くいきません。そのおじさんが語気を強めたり、少し怒ったり、こちらの態度を無視したり、という態度と話の内容が、全く何一つかみ合わないのです。

その暗号のような言葉を聞き、ランダムにも見える表情を見ている内に、私は頭痛がしてきました。本当の頭痛です。

一方で姉はうまくコミュニケーションが取れていました。直観的にものごとを理解できるのでしょう。何をヒントに話の内容を掴んでいるのか分かりませんが言葉だけで理解することは早々に諦めているようでした。言葉以外の色々な感覚を使って、総合的に話をしていたのかもしれません。

普通、仮にコミュニケーションで相手に情報を伝達する割合が、言葉で9割、ジェスチャーや表情で1割、というものだとすれば、そのおじさんとのコミュニケーションは、それとは真逆です。言葉が1割で、それ以外の何かが9割です。その大部分を占める「何か」がいったい何なのか。さっぱり分かりません。

私は大学で数学や物理、心理学や人間工学などを学び、就職してからずっとIT畑で来ました。気が付いたら、長らく論理的に話をする人たちだけと毎日会話をしている、という特殊な環境だったのかもしれません。それが悪かったのでしょうか。もしかしたら自分のコミュニケーション形式は、とっても狭い、とっても特殊な環境でしか成り立たないようなものなのかもしれません。

そんなアイデンティティの崩壊みたいな感覚です。頭痛は物理的に本当に痛いと感じる頭痛でした。

私はそのおじさんと話をするのが嫌になってしまいました。姉を翻訳係みたいにして案内をしてもらいました。

今考えれば私という人間の器が、本当に小さかったのです。

文化の違いを理解するって難しい

それでも普通では絶対に行けないような場所へどんどん案内してくれました。ほんとうに贅沢な旅でした。

玉置神社には神主さんが神事を行っている時間帯に合わせて案内してもらえました。地元の参拝者も集まっていました。その神社で人と会ったの初めてです。というか人が集まるような神社なんだと初めて知りました。

那智大社では滝の上に入り、そのずっと奥にある秘密の滝まで案内してくれました。地元でも詳しい人や修験者たちが通るような道を歩かせてもらいました。

最後は淀川温泉にみんなで泊まりました。夕飯の時、私はそのおじさんの目の前の席に座りました。最後にお礼を言おうと思いました。

おじさんは言いました。

「あなたは、とても論理的に考える人だね。だから私の話が分からなかったし、私のことを嫌いだと思っていたでしょう。ごめんなさいね。」

驚きました。最後に交わした言葉は、すべて内容が分かりました。私はおじさんのことが全く理解できませんでしたが、おじさんは私のことを良く見抜いていました。

もしかしたら本当に猿田彦命だったのかもしれません。もしかしたら2000年前の言葉で話をされていて、それを私が汲み取れなかったのかもしれません。

というのは考えすぎですが、山に入ると「山の言葉」を使う人たちがいるらしいです。日本語が標準語に統一される前は、きっと地方ごとに色々な言葉があったのでしょう。

漢字を中国から輸入するまで、日本語には文字が無かったとされています。まだ文字が無かったころの日本語を、一部の人は今でも受け継いでいるのかもしれません。きっと、単に言葉が違うというのではなく、思考の順序やプロセス、ひいては物の見方やとらえ方が全く異なる体系も、私たちのご先祖様は持っていたのかもしれません。

あのおじさんと上手くコミュニケーションをとるためには、言葉以外に、いったい何を使えばよかったのでしょうか。私の中で退化してしまった感覚が色々とあるようです。

自然と人間の関係

山の中では、人間よりも自然の方が強く「圧力」を感じると書きました。この感覚は動物たちとの距離感からも感じます。

山では夕方から周囲がどんどん暗くなります。そして日が落ちてしまえば、本当に自分の手さえ見えないほど真っ暗になります。

「もしも、今いきなり熊の声が耳元で聞こえてしまったら・・・もう死ぬしかない。」

あたりが真っ暗になると、心細くて、不安で、そんな怖い想像を思わずしてしまうのです。

熊が近づいて来ないようにするには、音を立てると良いらしいです。車のウィンドウを少し開け、カーステレオの曲が森の中まで聞こえるようにするのが気休めです。イノシシが来たらどうしようとか、心配すればキリがありません。

カーステレオをラジオにすると人の声が聞こえてきて安心します。その声を聴きながら、淡々と天体望遠鏡を組み立てて作業で怖さを紛らわします。

また、望遠鏡を組み立て終わると、いつもやることがあります。

懐中電灯で周囲をさーと照らしてみるのです。

すると、森の中でピカリと光る2つの点が見つかります。森のあちこちを懐中電灯でグルグル照らしていくと、そういう2つの点が所々にピカピカと見つかります。

鹿やタヌキたちの目が光っているのです。

少し時間をおいてから、また懐中電灯で照らすと、やっぱり同じ場所がピカリと光ります。彼らは動かずに、こちらの様子をジーと見つめているのです。

ちょっと怖いけど、ちょっとおもしろいです。

今の日本で満天の星空を望むなら、このように動物たちに見張られながら観測するしかありません。そして山では人間よりも森の木々や動物たちの方が強いのです。

彼らの世界にお邪魔させてもらう。

そんな感覚になります。
自分という小さな存在と、自然という大きな存在のコントラストがとても強くて、常に何かの存在を感じずにはいられません。

自然の「圧力」というか「威圧感」とというか、そういうものを感じます。きっと、この圧力を感じる人と感じない人との間でも、すでに文化の違いが生じているのかもしれません。

私が初めて熊野本宮大社を訪れた時には、確かに神の存在を感じました。
その後、結婚して息子が小学生になってから、息子を連れてもう一度行ったことがあります。その時は世界遺産センターなどが建てられ、多くの人で賑わっていました。子供を連れていくにはちょうど良かったのですが、もう神の存在を感じませんでした。

既に「人間の方が強い」土地に変わってしまったと思いました。

哲学科の大学生から聞いた文化とか価値観とかの話し

植田一本松校のアルバイト講師に、大学で哲学を専攻しているN先生がいます。家庭教師もやっていて、将来は教育関係に就職したいそうです。

そんなN先生と、何日か前にたくさんお話しする機会がありました。最初は生徒指導について、認知心理学みたいな話をしていたのですが、どういうわけか途中から話が脱線して、異文化とのコミュニケーションとか、人は神をどう認識するかとか、そういう話になりました。

ちょうどN先生が研究テーマにしていたようです。宗教の違いで衝突してしまう話し。過去形を持たず3以上の数を認識できない部族の話し。色々面白い文化や価値観を話してくれました。それで私も上で書いたような体験談をお話したら、色々と教えてくれました。

もしも

「どうしても自分が理解できないような文化」

の人たちに遭遇した時、どう対応するかという話です。

お互いに努力するという「過程」の話ではなく、色々あって「だめだ、絶対に理解し合えない」という「結論」に至ってしまった後の話です。次にどうするかという話です。

私の解釈が合っているか不安ですが、要するに大きくこんなパタンになるでしょう。

  1. ねじ伏せて屈服させる
  2. 関わらないように距離を置く
  3. 互いの独立性を認め合う

これの小さい版が、個人と個人の意見の衝突かもしれません。
ちょうどN先生が就職活動をする学年に上がるというので、就職に絡めて話を発展させました。

私は、同じ仕事、同じ勤務時間、同じ残業量だったとしても、人間関係の違いでストレスの強弱が全く変わってしまうという体験談も話しました。

どんな仕事でも10年も続ければ、結局のところ「仕事=改善活動」などと要約できてしまいます。

もちろん職種によって必要な知識やスキルは違います。しかしそれは最初の頃だけです。仕事が板について自然にスキルを発揮できるようになれば、もうそれはルーチン作業でしかありません。傍からみてクリエイティブな仕事に見えても、本人からしたら飽き飽きした作業の繰り返しです。

そうなると「改善」とか「問題解決」などにチャレンジでもしない限り、また新しい知識やスキルに感動したり喜んだりできません。だからチャレンジするのです。
逆にチャレンジせず、ひたすらルーチン作業と割り切って無感動に過ごせばよいかと言えば、それも許されません。必ず誰かがルーチン作業を自動化する日が来るからです。ルーチン作業は消えゆく運命にあります。

ということで、長く仕事を続ければ、みんな改善や問題解決をするようになっていきます。

つまり、どんな仕事をやっても行きつく先は同じだということです。

さらに、その改善や問題解決さえも板についてしまえば、その先の将来で飽きてしまうかもしれません。

そうなったらどうしますか?

結局、人間関係が自分に合うかどうか、という「文化の問題」が居心地の良さを決めることになるのです。

「仕事の種類」よりも「職場の文化」の方が、長い目で見たら大切!

だと思います。言い換えると、

職場の人たちと自分の価値観に合うか?

をよく見極める必要があります。

N先生は「教育の仕事をしたい」ということで、私に指導マニュアルがどのように作られるか、組織として人材の育成をどう仕組み化するかのインタビューしてきました。もちろん回答しましたが、それだけでは不安なので、上のような話を付け加えたわけです。

つまり、長く仕事をしたいなら、職場の文化が自分に合うのかどうかを、よく確かめるべきだと話しました。

すると流石は哲学科のN先生。さらに深い考察を返してきました。

そもそも実際には就職して見なければ文化が自分に合うかどうか分かりません。それどころか自分の価値観が何なのかも経験を重ねなければ言葉になりません。

だから実際には、新し環境に身を置いてて何年かたった時に

「あれ、自分の文化と合わないな。」

と悟ってしまった時に

「さて、どうするか?」

となるわけです。

そこで上の1~3の話に戻るのですが、N先生は哲学の知識を踏まえたうえで、2ではなく3だろうと、私に教えてくれました。

やっぱり哲学科の人は話が面白いです。日常ではかなか気が付かないこと、でも確かに重要なこと。そんな事を目ざとく取り上げて考えているからでしょう。

贈る言葉「広い視野を持ちつつ、己の価値観を自覚しよう!」

キミたち卒業生は新しい世界に旅立ちます。そこで何となく自分に合う人、合わない人、合う環境や合わない環境というものに出くわしていくだろうと思います。

たいていは周囲に合わせて柔軟に上手にやり過ごしていくかもしれませんが、時には周囲と摩擦が生じることもあるでしょう。

衝突しても、それを避けたとしても、どちらも大切な経験となります。

ただ、どんな時でも必ず

「自分の価値観を言葉で表す」

という努力をして欲しいと思います。

「自分が守りたいものは何か?」

それを言葉に表してみてください。もちろん難しいので努力が必要です。

塾長が守りたいものは「自由」です。自分の自由も他人の自由も守りたいと思っています。
逆に、人の自由を奪おうとするヤツが許せません。

そして、学ぶことで人は自由になれると信じています。だから塾で勉強を教えています。

もちろん、価値観には大きい物から小さいものまで色々あります。
いろいろ大小の価値観をどんどん言葉に表してみて、時に修正したりして、自分がどんな文化を持った存在なのかを見極める努力をして欲しいと思います。

誰とでも仲良くなれる、というのは残念ながらウソです。

しかし、互いの独立性を尊重し合える程度には、お互いを理解し合うことができます。
そのためには、互いに自分の価値観を言葉で相手に伝えられるように準備しておいた方が良いのです。

きっとキミたちなら、たくさん経験して自分なりの価値観を上手に自覚していけるだろうと思います。
自分の価値観を言葉にできるようなステキな人に成長できると思いますし、そう願っております。

卒業おめでとう。

あとがき

世間ではソロキャンプが流行しているそうですが、昔から天体観測屋さんにとってソロキャンプは慣れたものです。
もっとも世間ではそれを単に「野宿」と呼ぶのかもしれませんが。

追記

このブログをアップした翌日の新聞を見てびっくりしました。愛知県公立高校入試の問題が掲載されていました。
第1問の読解問題。富士山の登山についての随筆です。世界遺産に登録されて多くの人が登るようになるにつれ、山が特別な場所ではなくなっていくことを指摘していました。
もっとも、悠久の自然の営みの中では、このような人だかりさえも、一瞬の流行り廃りにすぎないのかもしれません。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたりますが、当塾の理念に反するので生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校

私立高校

中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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TEL:052-893-9759
教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL