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// 条件1に該当しない場合の処理

二次方程式

今すぐ暗算を止めて筆算を極めよう!

塾長です。

今回は中学生の「数学の勉強の仕方」についてです。

1学期の数学は「計算力」と言えます。
ただし、それを「暗算力」のことだと勘違いすれば、痛い目を見ます。
数学の苦手な子は、筆算をないがしろにして暗算に走ります。

まずは筆算を極めましょう。
特に中学1年生は要注意です。

計算のルールが増えていく

たとえば1学期の期末テストの範囲は、およそ次の単元です。

  • 中1数学 式の値、文字式の計算
  • 中2数学 連立方程式の計算
  • 中3数学 平方根

このように「計算のルールが増える」単元が並びます。
さらに次の単元、つまり、中1は方程式、中2は連立方程式の利用、中3は二次方程式に入っている学校があるかもしれません。

どちらにしても、

新しいルールを使っててスラスラ計算ができるように練習する!

ことが大切な時期です(それが全てじゃないですが)。

計算力は数学の基礎の1つです。
計算がおぼつかなければ、その先にある文章題や関数の単元などが、さらに難しくなってしまいます。

#数学の定理としての「ルール」の他に、指導要領に沿った「手順」も含まれます。
#今回は便宜上、どちらも「ルール」という言葉でまとめます。

途中の式が書けない子供たち

後で説明しますが、計算を深く理解したり、忘れにくくしたりするためには、計算の「途中の式」を上手に書けることが必須です。
途中の式を書けば、ルールを正しく使っているか否かを、明確に確認できるからです。

ところが、その途中の式が書けない中学生が多いです。

分かりやすい例を出しましょう。
たとえば、こんな計算の書き方です。

問題例: a=3、b=-2のとき、式 ab の値を求めよ
誤り①: 3×-2=6

この計算の書き方、何がまずいのか分かりますか?

もちろん計算結果も間違えています。
もっと数学が苦手な場合は、こんな間違いも起こります。

問題例: a=3、b=-2のとき、式 ab の値を求めよ
誤り②: 3-2=1

これは何のルールを無視した結果だか、言えますか?

笑い事ではありません。
中学生になってから数学が苦手になる理由の1つが、正にこれ、と言っても過言ではないでしょう。

問題例: a=3、b=-2のとき、式 ab の値を求めよ
正答例: 3×(-2)=-6

もちろん、これを分かってて省略するなら良いですが、そうでないから間違える。
途中の式をちゃんと書いてルールを見える化しなければ、「分かったつもり」から脱却できないと思います。

計算ルールを1つ残らず意識する

上の計算問題の例でいえば、次のようなルールを守る必要がありました。

  1. 文字式で省略された、かけ算の「×」記号を補足してから代入する
  2. 負の数はカッコをつけてから代入する(マイナス記号も含めて1つの数)
  3. 乗除算は、先に符号を決めてから絶対値の計算をする

これらは中学1年生の1学期で習います。

例えば「マイナス記号をつけ忘れた」という計算ミスは、上の2や3の手順を忘れていることが多いです。

学校の授業をよく聞いていないと、独自の手順であてずっぽうに計算して、ミスの確率が上がります。

途中の計算式を正しく書けるように努めること

が、

新しいルールを守りながら計算の練習をする

という勉強につながります。
だから暗算するよりも先に、筆算をちゃんと極めることが重要です。

逆に、計算の過程を正しく書く努力もしないで、いったい、どうやって計算が身につくのでしょう。

途中の式を書けますか?

計算のルールを1つでも破ってしまえば、すぐに間違えます。
計算問題は、ミスが出やすいように作ってあるからです。

ましてや、テストで配点が2点~3点の計算問題ともなれば、1つのルールだけでは計算できません。
1行やそこらの記述だけでは、計算のルールを使う過程をすべて「見える化」できません。

つまり、難しい問題が解けるとは、

それだけ何行にもわたって「途中の過程」を正しく書き続けられること!

とも言えます。

計算の過程が見えないのであれば、修正ができません。
間違いがあってもちゃんと見抜くことができない、ということです。

そうなれば、勉強しても効率が上がりません。

答え合わせのとき、赤で正答を書き写すだけになっていませんか?

それしかできないのは、そもそも途中の式を書く努力をしていないからです。

そういう状態では、むしろ間違えた計算方法を覚えてしまう危険性すらあります。

途中の式を書くと計算が遅くなるのか?

途中の式を書くのがめんどう!
筆算に時間がかかってしまう!

という言い分もあるでしょう。

もちろん、すべてマスターした生徒が、あえて途中の式を省略して暗算するのは問題ないですよ。

つまり、

すべてのルールを反射的に正しく計算できるくらい練習してきた上で、
途中式の展開もすべて頭の中でやってしまい、
結果的に紙に書く式の量が少ない、

という生徒であれば問題ありません。

そこまで努力を積み重ねた生徒は、そもそも今回の話題の対象外です。

そうでない初学者には、まだ早いです。
暗算で答えが速く出せることに、いきなり挑戦するのは無謀です。

それに暗算のスピードが速いということに、それほど大きな価値を置かないでください。
そんなものは、コンピューターや人工知能にどうしたって負けますから、極めるようなことじゃないですよ。

また、暗算には不安がつきものです。
暗算と並行して、頭の中で何度も検算をする羽目になります。

だから自己流で暗算している生徒の多くは、むしろ計算が遅いんですよね。

急がば回れ。
紙に途中式を書きだして、一発で正当を得た方が、結果的には速いというものです。

計算が熟練するにつれて自然にスピードアップしていくことが大切なのであって、
逆に、ルールをないがしろにした、中身のないスピードアップは暴走にすぎません。

#そろばんマスターで、手のひらで指をチャカチャカできる人は別ですよ。
#そういう人は本当に暗算が速いですが、でも手のひらで途中の計算を心で見ているんですよね、結局のところ。

教科書をマネするのが基本

それでは、どうしたら正しく計算の過程を書けるようになるのでしょう?

実は、何も特別な環境など必要ありません。

「いつも見ていること」

をマネすれば良いだけです。

全てのルールが正しく使えるかどうかを確認しならが計算する方法。

いつも見ていますよね?

途中の式の書き方。
筆算のお手本。

いつも見ていますよね?

  • 学校の先生が黒板に書く計算
  • 教科書の例題に記載されている計算

これです。
これらを手本としてマネすればよいのです。

教科書や板書をよく見てください。
途中の計算過程がすべて書き出されているでしょう。

それらは説明のためだけに書かれたものではありません。
ふんふん、と聞き流してはいけないのです。

生徒自身が、あなた自身が、

同じように書いて、先生と同じように説明できるようにならなければならない、

そういう書き方なのです。

さらに塾生なら、

  • フォレスタプラスの導入解説

でも単元ごとに細かく説明されています。

  • 塾のテキスト

にも書かれていますよね。

学校でノートにメモをとり忘れたり、教科書を学校に忘れて来てしまったりしたら、塾の教材を手本にマネしましょう。

写経ではなく、自分で計算問題を解くときも、手本と同じように途中の式を書いてみましょう。

勉強のできる子は、これが自然にできています。
数学が苦手な子は、これができていないのです。

勉強の基本は「手本をマネすること」です。

頭だけではなく、ちゃんと手も動かしましょう。

暗算で通用するのは「算数」まで。
「数学」をやるなら、途中の式にこそ価値があります。

小学生の計算も忘れている可能性が高い

ちなみに、中学1年生で、途中の式が書けない生徒たちは、およそ

  • 小数のひっ算
  • 分数の割り算

などもできない可能性が高いです。
(割合などは別の話になるので割愛)

小学4年生くらいから、2~3個のルールを全て守らないと計算できない問題が出て来ます。

そのような問題を解くときに、

  • 途中の過程をすっ飛ばして「問題の解き方」だけを覚えて乗り切る
  • めんどくさがって、途中の計算式を書かない
  • せっかく書いた途中の式を消しゴムで消して答えだけ書き残す
  • 練習せずに諦めて過ごす

というような間違った習慣で過ごし方をして来てしまったのでしょう。
要するに、問題文をちゃんと読まないで解くようなやり方です。

「計算過程の、どこでどのルールを使ったか?」

という自覚も記憶もありません。

中には文章中の数字だけ見て、

前の問題がかけ算なら今回の問題もかけ算、割り算なら割り算、

という「自己流の方法」(事故流の方法)で過ごしてきた子供たちもいます。
入塾してからビックリです。

つまり、勉強の積み上げが無い、基礎が身についてない、という状態です。

この状態は、けっこう深刻です。

計算間違えを軽く見てはいけない

定期テストや模擬試験において、計算問題は配点が低く、初歩的な問題と見られがちです。

しかし、計算問題を軽く見てはいけません。

上で見たように、その間違え方を詳しく見ると、とても奥が深いのです。
中学生の計算問題ができないことから、小学生の勉強がどこまで身についているか、まで分かってしまいます。

できればテストを受ける前までに、1つでも多く改善しておきたいものです。

#なお、文字列を正確に読み書きできることが大前提です。
#仮にそれができない発達障害がある場合は塾長の指導力ではカバーしきれません。
#専門医の指導が必要で、今回のテーマからは外れます。

さて、話を戻します。

しつこいようですが、計算の途中の式を正しく書けるようにしましょう。

途中の過程をすっ飛ばして、
「問題の解き方」だけを暗記して、
最短の計算を暗算で解いて答えを得ている、

なんて状態では、近い将来、数学は本当にできなくなってしまいます。
そのような調子では何かの「解き方」を1つ忘れただけで、全てができなくなってしまいます。

途中の過程がすべて説明できるような生徒は、1つや2つの記憶が無くなっても、その他の記憶から正しい手順をすぐに復元できるでしょう。

人間の記憶は1つの記憶が他の多くの記憶と連動しています。またその方が忘れにくいと言えます。
面倒くさがって短絡的な覚え方を知れば、忘れてしまうのも早いです。

計算は途中の式も、ちゃんと書きましょう。
それを書く努力をしましょう。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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2次関数の虚数解をパイソンのグラフで見える化してみた

塾長です。

今回は高校生からよく出る質問、というか疑問

虚数 $ i = \sqrt{-1} $ は実在しない数なのか?

について考えてみます。

2次方程式と2次関数のおさらい

解の公式

まず中学3年生が1学期で習う「2次方程式の解の公式」を思い出してみましょう。

2次方程式$ ax^2+bx+c=0 $の解の公式

$$ x = \frac{ -b \pm \sqrt{b^2-4ac} }{ 2a } $$

判別式

高校1年生になると、さらに「判別式」を習います。
1学期の後半または2学期の初めくらいです。

実数$x$について、2次方程式$ ax^2+bx+c=0 $の判別式をDとすると、

  • $D < 0$ のとき、解は0個(解なし)
  • $D = 0$ のとき、解は1個(重解)
  • $D > 0$ のとき、解は2個

続いて、2次関数$ y=ax^2+bx+c $のグラフと判別式Dとの関係について習います。

2次方程式$ ax^2+bx+c=0 $の解を、次の連立方程式の解とします。

$$ \begin{cases}
y=ax^2+bx+c \\
y=0
\end{cases} $$

$x-y$平面上で2式それぞれのグラフを描くと、その交点が解になっているのでした。
つまり、

2次方程式$ ax^2+bx+c=0 $の判別式をDとする。
$ y=ax^2+bx+c $と$x$軸との共有点は、

  • $D < 0$ のとき、0個
  • $D = 0$ のとき、1個(接する)
  • $D > 0$ のとき、2個(交わる)

この様子を直感的なグラフで表すと、次のようになります。

複素数

高校2年生では、虚数単位 $ i = \sqrt{-1} $ を導入して、$x$を実数から複素数へ拡張します。
すると方程式の解を必ず求めることができるようになります。

2次方程式$ ax^2+bx+c=0 $の判別式をDとすると、

  • $D < 0$ のとき、解は複素数で2個
  • $D = 0$ のとき、解は実数で1個(重解)
  • $D > 0$ のとき、解は実数で2個

であり、どの場合でも解は、

$$ x = \frac{ -b \pm \sqrt{b^2-4ac} }{ 2a } $$

と表すことができる。
特に$D < 0$ のときは$ i = \sqrt{-1} $ として、

$$ x = \frac{ -b \pm \sqrt{|D|} i }{ 2a } $$

である。

ざっと、ここまでが中3、高1、高2の二次方程式と二次関数のおさらいです。

複素数の世界では必ず共有点がある?

素朴な疑問

さて、ここで塾長は、ふと疑問に思いました・・・

せっかく複素数まで拡張して、判別式$D<0$の場合でも解が求まるようになったのに、対応するグラフの共有点が無いままって、寂しくない?

寂しいですよね!?

疑問です。というか、不満です。
なんとかして、このモヤモヤを解消する必要があります。

問題解決というヤツです。

仮説を立ててみる

そこで、

もしかしたら、グラフを複素数まで拡張すれば、共有点が2つに見えるのではないか?

という仮説を立ててみました。

本当にそうなるのでしょうか?

コンピューターの力を借りて、そのグラフを描くことにチャレンジすることにしました。

仮説を立てて確かめるってヤツです。

4次元のグラフは描けない!!

コンピューターは具体的な数値しか扱うことができません。
そこで今回は、つぎの関数を例に、グラフを描いてみることにします。

$$y=x^2-2x+2 $$

もちろん、これの判別式Dは負です。

$$D=(-2)^2 – 4 \times 1 \times 2 = 4-8 = -4 < 0$$

そして方程式$x^2-2x+2=0$の解は

$$x=1 \pm i$$

という虚数解です。

今回の目的

今回の目的を次のように設定します。

xを複素数としたときに、
$$ \begin{cases}
y=x^2-2x+2 \\
y=0
\end{cases} $$
の共有点が2つあることをグラフで示す!

実数と複素数で何がどう変わる?

高校1年生までは、$x$も$y$も実数ですから、これは、

実数$x$ を与えると、実数$y$ が1つに定まる関数のグラフ
つまり、
数直線上の1つの実数$x$を、また別の数直線上の1つの実数$y$へ移し変える関数のグラフ

ということになります。
つまり「2本の数直線」があれば、話ができます。
よって、

$x$ が実数ならば、
$y=x^2-2x+2 $ のグラフは、x軸とy軸で構成される「平面(2次元空間)」の上に描くことができる

ということです。
直線は「1次元」ですから、2本の直線で表現できる空間は、せいぜい「2次元空間」となります。

さて、

ここで$x$を複素数に拡張します。
そこで2つの実数$a,b$を使って$x=a+bi$としましょう。

$$ \begin{cases}
y=x^2-2x+2 \\
x=a+bi \\
i = \sqrt{-1}
\end{cases} $$

すると、式の計算結果$y$も複素数になります。
そこで2つの実数$c,d$を使って$y=c+di$としましょう。
すると、これは、

複素数$x=a+bi$ を与えると、複素数$y=c+di$ が1つに定まる関数のグラフ
つまり、
実数平面上の座標$(a,b)$を別の実数平面上の座標$(c,d)$に移し変える関数のグラフ

ということになります。
つまり「2つの平面」があれば、話ができます。
よって、

$x$ が複素数ならば、
$y=x^2-2x+2 $ のグラフは、平面a-bと平面c-dで構成される「4次元空間」の中で描くことができる

ということです。
平面は「2次元」ですから、2つの平面で表現できる空間は、せいぜい「4次元空間」となります。

拡張し過ぎた

上の考察から、コンピューターで「4次元のグラフ」を描けば、今回はミッションクリアできそうです。

・・・ん?

無理です!

私たちはどんなに精神を研ぎ澄ませても、3次元までしか空間の広がりを認識することができません。
ましてやグラフを描くことも見ることもできません。

これはコンピューターでも表示できません。

(計算だけならできます。表示が無理ということです)

グラフを3次元にまとめる!

ということで、何とかして3次元で済ませる方法を考えなければいけません。

グラフを3次元で描けるようにする

という「課題」が生まれてしまいました。

どうしたらよいでしょうか?

【豆知識】
問題解決の世界では、最終的に解決する「目的」のことを「問題」と呼びます。
そして、問題を解決する過程(途中)で乗り越えるべき「目標」のことを「課題」と呼びます。

そもそも何がしたかったのか?

道に迷ったら、目的の再確認です。

目的さえ達成すればよいのです。
もしかしたら「やらなくても良いこと」で悩んでいたりするかもしれません。

今回は、$y=x^2-2x+2 $ と $y=0 $ の共有点が2つあることをグラフで描きたかったのでした。

あ、な~るほど!

次元を減らす

目的の式をじーっと眺めていたら、思いつきました。

$ y=0 $なのですから、$y$の方は2次元も必要ありませんね。

だって0(ゼロ)の時だけ考えればよいのですから。そこで、

yの次元を2次元から1次元に減らす!

ことを考えましょう。

グラフ表示の方針

ということで、グラフに表示する方針をまとめましょう。

実数の世界のグラフは、横軸がx軸、縦軸がy軸です。

今回は$x$を複素数$a+bi$へ拡張したのですから、そのグラフは、

  • $x軸$を複素平面$a+bi$へ拡張(平面:2次元)
  • $y軸$も複素平面$c+di$へ拡張(平面:2次元)

としたかったのですが、無理でした。
これではグラフの座標が (a,b,c,d) の4次元になってしまい、描けないからです。
そこで次の方針としたのでした。

  • $x軸$を複素平面$a+bi$へ拡張(平面:2次元)
  • $y軸$は1次元に落とした値(直線:1次元)

つまり、

  • 横軸だったx軸は、横に広がる複素平面に拡張
  • 縦軸だったy軸は、実数の数直線のまま

これなら3次元の立体的なグラフで表すことができます。

あとは、縦軸のyをどのような値に決めるか、ですね!

案1:yの実数だけを縦軸にとる → 失敗!

そもそもグラフは実数しか描けません。
そのため、1つの複素数を2つの実数の組に対応させ、それを平面上に表すのでした。

であるならば、安直ではありますが、yの実部だけをグラフに採用すればよいかもしれません。

  • 横軸:複素数$ x=a+bi $(平面:2次元)
  • 縦軸:$y=c+di $の実部$c$(直線:1次元)

それでは、この案でグラフを描いてみましょう。
こうなりました。

馬の鞍みたいな形のグラフになりました。
最後の考察で、このグラフも少し使いますから、とりあえず「馬の鞍型」のグラフとでも呼んでおきましょう。

ちなみに、赤い線が、実数の$x-y$平面上のグラフ(平面 $ b=0 $ で切った切り口)です。

さて、これで目的は果たせたでしょうか・・・?

うーん、何だかよく分かりません。

$x$を複素数に拡張したおかげで、確かに平面$y=0$との共有点は存在しそうです。
しかし「共有点が2つ」である様子が、これでは分かりません。

よく考えてみたら、これはダメです。

もしも4次元のグラフが描けるとすれば、本来のグラフは、

(a,b,c,d) の4次元でグラフを描き、それを平面$c=0$でカットした切り口が、求める3次元のグラフ

が本当のグラフです(※)。
4次元のグラフは描けませんが、本来はそんな感じです。

そう考えると、無条件に$y$の虚部を捨ててしまったのがダメでした。

(※)【豆知識】
4次元の立体を平面で切ると、その切り口が3次元の立体になります。
私たちの世界は3次元です。私たちの世界で立体は3次元です。
例えば、スイカを包丁で切った時の断面を想像してみてください。
スイカは3次元の球です。それを2次元の平面でスパッと切ると、切り口が2次元の円になります。
4次元の世界は、私たちの世界よりも1つ次元が上ですから、上の考察をすべて1つずつランクアップして考えます。
つまり、4次元の中で球体を切ると、切り口が3次元の球になります。

案2:yの絶対値を縦軸にとる → 成功!

そこで、数学的に条件を壊さないことを考えます。

$y=c+di=0$

すなわち、

$c=0$かつ$d=0$の場合

を考えたグラフであれば目的を達成できるわけです。

ところで、

$|y|=0$も同様に$c=0$かつ$d=0$です。

ですから縦軸を$|y|$とすれば、これは実数ですから、うまく1次元に収まります。

  • 横軸:複素数$ x=a+bi $(平面:2次元)
  • 縦軸:$|y|$すなわち$\sqrt{c^2+d^2} $(直線:1次元)

それでは、この案でグラフを描いてみましょう。
こうなりました。

うまくいきました!

グラフの2カ所が尖っていて、2つの虚数解

$$x=1 \pm i$$

の所で平面$y=0$に突き刺さっていそうです。
共有点は「2だけ」ですから、平面$y=0$上で、それぞれ1点ずつ、チョン、チョンと、くっ付いているはずです。

グラフの解像度の問題で「点」まで鋭利に描き切れていません。
念のため、100倍に拡大してみましょう。

$x=1 + i$の付近を100倍に拡大してあります。
この倍率で$x=1 – i$も同時に描くのは不可能なので、1つだけで確認します。

どうです?

共有点の1つ$x=1 + i$の位置へ、グラフが突き刺さっている感じがしますよね。
このグラフを1000倍にしても、10000倍にしても、ずっとこんなグラフになります。

「1点に突き刺さ差っている!」

のですから、倍率をどこまで上げても、こんな感じです。
もちろん、$x=1 – i$ についても同様です。

これで本当に

「たった2点」だけの共有点を持つ!

ことが、グラフで表示できたのではないかと思います。

思ったより大変でした。

教えてエライ人!

上のような考察をFacebookにアップしていたら、色々な人からご意見をいただきました。
なかでも吉田先生には色々と教えていただきました。

ということで、今回のエライ人は、吉田信夫先生です!

吉田先生はあの「大学への数学」で原稿を書かれていた先生の内の1人です。
超すごくないっすか!

先生のブログ「yoshidanobuo’s diaryー高校数学の“思考・判断・表現力”を磨こう!」はこちらです。

グラフで虚数解を見える化するにあたり、いろいろとご指導をいただきました。
また数学的におかしな用語の使い方についてもご指摘いただき、修正することができました。

用語の誤用

今回やってしまった用語の誤用を2つ紹介します。

どこが間違っているのか、考えてみてください。

  • 誤用1:「$y=x^2-2x+2$の判別式の値は負です。」
  • 誤用2:「複素数$x=a+bi$と実数$y$において、$y=|x^2-2x+2|$のグラフ(a,b,y)は、平面$y=0$と2点で接しています。」

わかりますか?

私は吉田先生に指摘されるまで気づかなかったです。まさに

「それは違反です」

という感じで、用とあいなりました。

大学入試の2次試験で記述回答を予定している人は、気を付けてくださいね。

さて、上のものは次の点で間違っていました。

  • 誤用1:関数に対して判別式を語ったところがアウト。判別式は方程式「$0=x^2-2x+2$」に対して定義されるもの。
  • 誤用2:「接する」は「微分可能な領域」で定義されるもの。今回は尖っていて微分不可(微分する向きによって微分係数が異なる)。

さぁ、どうでしたか?

滑らかに「接する」グラフにする

さらに誤用2に関連して、グラフが2つの$x=1 \pm i$で「接する」ようなyの取り方も教えていただきました。

みなさん、分かります?

  • 横軸:複素数$ x=a+bi $(平面:2次元)
  • 縦軸:$|y|^2$すなわち$ c^2+d^2 $(直線:1次元)

それでは、この案でグラフを描いてみましょう。
こうなりました。

yの値が2乗されているので、グラフが大きくなりすぎて「2点」どころではなくなってしまいました。
そこで例によって、$x=1 + i$の付近を100倍に拡大してみましょう。

おお、本当に滑らかに接してそうですね!

例によって「1点」で接しているので、このグラフを1000倍にしても、10000倍にしても、ずっとこんなグラフになります。

次元を減らすもう1つの方法

さらにさらに、吉田先生からもう1つのグラフ表示の方法を教えていただきました。
$x=a+bi$ としたときに$y=0$を満たすような

$y=0$ を (a,b) だけで描く!

です。

つまり、(a,b)に色々な実数を当てはめて $x=a+bi$ を動かしたときに、$y$ がどのように動くかを図示します。
もう少し正確に言うと、$y=0$ を満たすような「yの実部」と「yの虚部」をそれぞれ平面(a,b)上に図示します。

$y$ の値もまた (a,b) の関係式として表現されるため、グラフの次元は(a,b)の2次元だけで済みます。
1つの複素平面だけで示すやり方です。

やってみましょう。まず、

$$ \begin{cases}
y=x^2-2x+2 \\
x=a+bi \\
y=c+di
\end{cases} $$

について、

$x=a+bi$ を $y=x^2-2x+2$ に代入して整理すれば、

$$ y=a^2-b^2-2a+2+2b(a-1)i $$

です。

$y=c+di=0$ すなわち $c=0$かつ$d=0$ の場合を考えるわけですから、

$$ \begin{cases}
a^2-b^2-2a+2=0 \\
かつ\\
2b(a-1)=0
\end{cases} $$

すなわち、

$$ \begin{cases}
b = \pm \sqrt{(a-1)^2+1} \\
かつ \\
a=1 または b=0
\end{cases} $$

です。
これらの交点が求める解になります。

あらためて、実部の$a$を$x$とし、虚部の$b$を$y$として、複素平面$x-y$にグラフを図示したのが下です。
これは吉田先生からいただいたグラフです(軸が$x-y$になっていますが、$a-b$に読み替えてください)。

$a^2-b^2-2a+2=0$のグラフが青で、$a=1$と$b=0$のグラフが赤です。

確かに複素平面の世界では、2点の共有点がありました。
そしてグラフの交点はそれぞれ、$ 1+i $ と $ 1-i $ です。

これは感動です!

考察とまとめ

もしも

$$ \begin{cases}
y=x^2-2x+2 \\
x=a+bi \\
y=c+di=0
\end{cases} $$

のグラフを4次元 $(a,b,c,d)$ の空間上に描けたとしましょう。

すると、上の吉田先生からいただいた平面グラフは、その4次元グラフを $y=0$ で切った切り口であるといえます。

やってみました。それが下のグラフです。

緑の実線が、実数の世界での2次関数のグラフです。
赤の実線と青の実線は、それぞれ上の平面グラフに対応しています。

このグラフをもとに、これまでの話を全て振り返ってみます。

まず青い曲面が、最初に描いた「馬の鞍型」のグラフです。
これは4次元グラフを平面 $ d=0 $ で切ったときにできる立体です。
そして、この青い曲面をさらにy=0で切ると、青い実線の双曲線になります。

次に、4次元グラフを平面 $ c=0 $ で切ったときにできる立体も考えます。
それが、上のグラフの赤い曲面です。
そして、その赤い曲面をさらにy=0で切ると、赤い実線の2直線になります。

そして青い双曲線と赤い直線の交点が、まさに $ 1 \pm i $ となっています。

これらの様子を総合すると、2次方程式の虚数解 $ 1 \pm i $ は、

  • 3次元空間 (a, b, c) の曲面(縦軸をyの実部としたグラフ)
  • 3次元空間 (a, b, d) の曲面(縦軸をyの虚部としたグラフ)
  • y=0の水平な平面

の3つを重ねた時にできる共有点

であることがグラフで確認できました。

グラフ表示に使ったPythonプログラム

今回、グラフを描くのにプログラミング言語の「パイソン(Python)」を使いました。
以下が、そのプログラムです。
Jupyterという環境を使いました。

ちなみに、パイソンのプログラミングを学ぶなら、無料で使える Google Colaboratory がオススメです。
もちろん下のプログラムも Google Colaboratory で動作します(動作確認済)。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
%matplotlib inline
fig = plt.figure(figsize = (8, 8))

# Axes3D
ax = Axes3D(fig)

# タイトルを設定
ax.set_title(“$y=|x^2-2x+2|$”, size = 20)
#ax.set_title(“$ y = |x^2-2x+2|^2 *100 $”, size = 20)

# 軸ラベルを設定
ax.set_xlabel(“x-Real”, size = 14)
ax.set_ylabel(“x-Image”, size = 14)
ax.set_zlabel(“y”, size = 14)

# 表示角度の設定
ax.view_init(elev=10, azim=35)

# 座標のメッシュ
rr = np.linspace(-1.5, 3.5, 200)
ii = np.linspace(-1.5, 3.5, 200)
#rr = np.linspace(0.9, 1.1, 200)
#ii = np.linspace(0.9, 1.1, 200)
i0 = np.zeros(200)
r,i = np.meshgrid(rr, ii)
z = r + i*1j

# 曲線・曲面を描画
y0 = r*r-2*r+2
ax.plot_wireframe(rr, i0, y0, color = “red”)
y = np.abs( z*z-2*z+2 )
#y = ( np.abs( z*z-2*z+2 ) )**2 *100
ax.plot_surface(r, i, y, color = “yellow”, alpha=0.4)
plt.show()

あとがき

どの学年も文字式と関数の季節になりました。

今年から中学生は教科書改訂で「主体的な学び」が重視され、プログラミング教育も強化されました。
来年からは高校生でもそうなります。

そういう流れの中で、今回は、

高校生のレベルで数学を題材に「主体的な学び」を「プログラミング」も活用して行ったらどうなるか?

を実践してみました。

さらに今後の常識というか、新しい価値観である

「集合知」で「問題解決を加速する」という姿勢

も取り入れてみました。
ですから、問題解決の用語や流れも、それとなく意識してあります。

これが次世代型の教育であり、同時に、いま日本で遅れてしまっている教育でもあります。

今のところ私はそのように思っております。

教育者も間違えます。
先生が何でも知っていて間違いを起こさない聖人君子である、なんていう時代は終わっています。
そもそも非科学的で不合理です。

もう、1人の聖人君子や、優れたリーダー、1部の天才に問題の解決を任せるよな時代では、ありません。
というか、そんな人はいません。
幻想です。

今や、世界中の人たちがコンピューターでつながっているのです。
みんなが意見や知恵を出し合う「集合知」で、いち早く問題を解決していこう!
そのように考える方が大切です。

このような価値観でコンピューターを活用しながら問題解決を実践できる人。

それが、これから日本で、いや世界で多く必要とされる人たちなのだと思います。

現場からは以上です。

 


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