週末は珍しく休みだったので天体観測に出かけました。
今回は三重県です。
三重県の天の川
先月とある用件でING進学塾の飯田先生とお話ししたのですが、その時に「三重県は天の川がよく見えるよね。」という話題で盛り上がりました。
といっても、塾長が三重県へ天体観測に行ったのは、もう、今から18年も昔のこと。
あの時は、雲かと見間違えるほど、天の川がよく見えたのでした。
懐かしくなって、また行ってみることにしました。
三重県と言っても南北に長いです。
星がよく見えるのは南側。
私の経験では、松阪市よりも南下すると星空がキレイになった記憶があります。
なぜ天の川がよく見えるのか
三重県よりは南は海。
つまり都会の光はありません。
だから、さそり座やいて座の方面、つまり夏の天の川がよく見えます。
この写真は当日の帰り際に撮影しました。
三重県の天の川の見え味。
18年たっても健在でした。
逆に北は松阪市、津市、鈴鹿市、四日市市、そして名古屋市と街並みが続いています。
北の空は、夜空が街並みの明かりにかき消されてしまい、星がよく見えるとは言えません。
星をよく見るためには、こうした都会の光の影響から逃れる必要があります。
より良い星空を求めて
北は諦めるとして、問題は東西です。
西には奈良、その先に大阪。東には渥美半島の田原、その先に浜松。
少なくとも、これらの市街地よりも南の緯度まで南下しなければ、東西の星空が良くなりません。
とは言え、一晩で日帰りするとなれば、あまり遠くまでは行けません。
おまけに、三重県と言えばクマもいます。
検索すると、昨年からツキノワグマが頻出していて、過去最多の目撃情報とのこと。
ちょっと怖いので、山間部は避けることにしました。
逆に海沿いの港なら夜釣りの人たちもいて安全だろうと考えました。
そういえば大学生のころ、天体研究会というサークルに所属していたのですが、
そのサークルが利用していた合宿所が、かつての南島町にあったのでした。
そのあたりを検索してみると、南伊勢町の贄浦漁港(にえうらぎょこう)が夜釣りで有名だそうです。
※南島町は平成17年に東隣の南勢町と合併して、今は南伊勢町になったそうです。
いざ、贄浦漁港へ
車のナビは地図が古くて途中のジャンクションを案内できず、道に迷ってしまいました。
いったん知らない土地で高速をおりて軌道修正。
30Kmほど遠回りしてしまいました。
なんだかんだあって伊勢市の手前までは高速で2時間強で行けました。
しかし、そこから下道で山を越えるのに、さらに1時間かかりました。
結局、到着したのは23時前でした。
夜釣りの人たちが2、3グループいらっしゃいました。
彼らの邪魔にならない所に車を停め、さぁ、撮影の準備です。
この写真は帰り際に撮りました。現場の雰囲気が伝わるでしょうか。
到着したときは、北斗七星がもっと高い位置にありました。
春は銀河の季節
今回の撮影テーマは「銀河」です。
宇宙の入れ子構造を大きい順に並べると、およそこんな感じです。
宇宙 > 無数の銀河 > 銀河系 > 太陽系 > 地球
私たちの太陽系は銀河系とよばれる1つの銀河の中にあります。
天の川は、その銀河系を内側から見た姿でした(中3理科)。
そして宇宙の小さな領域を望遠レンズで拡大して撮影すると、宇宙のはるか遠くにある銀河を確認できます。
こうした、私たちの銀河系の外にある別の銀河のことを「系外銀河」と呼びます。
春は「しし座」「おとめ座」「かみのけ座」などが見えますが、それらの方向はとくに系外銀河がたくさん写ることで有名です。
また北斗七星のある「おおぐま座」も系外銀河がよく見える領域です。
今回は身近な銀河系である天の川と、はるか遠方にある系外銀河。
その両方を撮影していきましょう。
撮影準備
贄浦漁港に到着したとき、天の川はまだ見えていませんでした。
いて座や天の川がよく見えるのは深夜3時ころです。
先にしし座やおおぐま座の銀河から撮影していくことにしました。
カメラに望遠レンズをセットしました。
塾長が持っている望遠レンズは 150㎜ F2.8。
双眼鏡より少し倍率が低いくらいのレンズです。
系外銀河の撮影には、もっと拡大したい所ですが、これしか持っておりません。
実は望遠鏡も持ってはいますが、今は故障中。
少し力不足ですが、
150㎜の望遠レンズで、どこまで銀河の姿をとらえられるのか?
挑戦してみましょう。
しし座のトリオ銀河
しし座には3つの銀河が仲良く並んでいる「トリオ銀河」という領域があります。
場所は上の星図の青い四角枠の中です(星図はステラリウムから作成)。
2025/4/26(土) 23:37 ~ 4/27(日) 00:17 露出 36分(6分×6枚)
中央に小さく3つの銀河が写っているのが分かりますか。それがトリオ銀河です。
もう少し拡大してみましょう。
それぞれの正式な名前は、右から時計回りに、NGC3628、M65、M66 です。
3つとも地球から約3500万光年の彼方にあるそうです。
つまり、この写真の姿は3500万年前の姿。
地球では南極大陸ができはじめたころ。
ちょうど哺乳類の中からサルに似た動物が出はじめた時代です。
ところで、NGC3628 は「ハンバーガー星雲」とも呼ばれています。
確かに、ちょっと潰れたハンバーガーみたいです。
しし座が西の空に低くなってしまいました。
本当は60分以上たっぷりと露出時間を取りたかったのですが、到着が遅かったこともあり、撮影を打ち切りました。
近くのおとめ座も系外銀河がたくさんあるのですが、その領域も諦めました。
ボーデの銀河と葉巻銀河
ここからは、おおぐま座です。北斗七星の周りを狙います。
最初は2つの大きな銀河がハの字に並んでいる有名な領域です。
場所は上の星図の青い四角枠の中です(星図はステラリウムから作成)。
北斗七星と北極星の間くらいです。
2025/4/27(日) 00:33 ~ 01:45 露出 72分(6分×12枚)
写真の中央付近に、渦を巻く銀河と、棒状の銀河が写っています。
中心部を拡大しましょう。
左の渦巻の銀河が M81 であり、別名「ボーデの銀河」と呼ばれます。発見したドイツの天文学者の名前が由来らしいです。
右の棒状の銀河は M82 で、別名「葉巻銀河」です。これは見た目の形が葉巻のようだからでしょう。
個人的には葉巻というよりはゾウリムシ。何やら中がぐちゃぐちゃしています。
M82 は中心部で激しい星の形成と爆発が繰り返されていることで有名です。
だから、ぐちゃぐちゃした構造に見えるのでしょう。
もしも赤外線で撮影すれば、爆発で生じた赤いフィラメントが銀河の外へ飛び出している様子が写るでしょう。
どちらも地球から約 1200万光年の距離にあります。
この2つの銀河はお隣同士で、互いに重力的な影響をおよぼし合っているそうです。
よく見ると、他にも小さな銀河がいくつか写っているのが分かります。
もっと高性能な望遠鏡で撮影すれば、たくさんの銀河が写り込むことでしょう。
これらの銀河から光が出発し、私たちに向かって旅を始めたのが1200万年前。
そのころ地球では、サルが人類に続くヒト亜科とオランウータン亜科に分かれたそうです。
また地球上では生物の大量絶滅が発生しました。隕石衝突などの説があるそうです。
回転花火銀河
北斗七星の柄の部分にも有名な銀河があります。
見かけのサイズは上で見てきたどの銀河よりも大きいはずですが、とても淡くて暗い銀河です。
具体的な場所は上の星図の青い四角枠の中です(星図はステラリウムから作成)。
2025/4/27(日) 02:02 ~ 03:05 露出 60分(5分×12枚)
画面の中央に、きれいな渦巻き構造の銀河が見えます。
M101 と呼ばれますが、その見た目から「回転花火銀河」あるいは「風車銀河」などとも呼ばれています。
渦から伸びる腕は、ぐるりと1周以上にわたって確認できます。
M101 までの距離は約 2100万光年くらいです。
よく見ると、周囲に小さな銀河も写り込んでいます。
この領域も多くの系外銀河が撮影できることで有名です。
系外銀河は、宇宙のあらゆる方向に無数に存在しています。
しかし実際に夜空を望遠鏡で観察すると、系外銀河が多い所と少ない所があるように見えます。
これは、私たちの銀河系の中で、方向によって遠くの光を遮るガスや塵の量が異なるからです。
系外銀河がよく見える方向というのは、光を遮るチリやガスが少ない方向、ということです。
そのため、銀河系の外からやって来た系外銀河の光が、途中で遮られることなく地球まで届く、というワケです。
夏の天の川
夜明けが近づいてきました。さそり座が西に傾いていました。
いて座の「矢」にあたる「南斗六星」が南中してきました。
そして、いて座の背景には天の川が広がっていました。
最後は天の川。私たちの銀河系の姿を狙います。
南の空にカメラを向け、広角レンズで撮影しました。
2025/4/27(日) 03:37 ~ 03:49 露出 12分(1分×12枚)
実際には人間の目では天の川の色は分かりません。
私の目には全体的に白く淡く見えました。
それでも、天の川を左右に分ける闇黒帯や、M20星雲、トレミー星団などは、肉眼でも見ることができました。
天文シミュレーターソフト「ステラリウム」で星座の位置を表示すると、こんな感じです。
写真と見比べて見ると面白いと思います。
夜明けとともに撤収
天の川は何通りかの構図で撮影したかったのですが、どんどん空が明るくなってしまい、諦めました。
いよいう夜明けです。
東の空(写真の左手)が明るくなってきました。
港の向こうで船が動き出しました。
この日の天の川も、そろそろ見納めです。
さて、機材を片付けて帰りましょう。
帰りも長距離運転です。
天体写真の撮影は
今回はツキノワグマを避けて海沿いで撮影しました。
この日は水蒸気が多く、春霞の季節ということもあって、空の透明度はいまいちでした。
全体的に白っぽいベールがかかったような空でした。
それでもさすがは三重県、天の川はよく見えました。
今回の天体写真は、あまり出来が良くなかったです。
空の透明度が低かったので、写真がノイジーになってしまいました。
春霞の季節は、標高を稼いで空の透明度を上げた方が、撮影にとっては良いでしょう。
標高を上げるとなると山中に入ることになりますが、まぁクマ次第ですね。
安全第一です。
名古屋から3時間かかることを考えると、標高を稼げる茶臼山高原やしらびそ高原も選択肢に入ります。
何はともあれ、星がよく見える場所は、名古屋からとても遠いです。
天体写真の共通データ
撮影地: 贄浦漁港 (三重県度会郡南伊勢町)
撮影時刻:2025/4/26(土) 23:30 頃 ~ 4/27(日) 03:50 頃
カメラ本体: Canon EOS 60Da(天体写真用カメラ) ISO2000 + IDAS LPS-P2フィルタを内蔵装着
望遠レンズ: SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM(絞り開放)
広角レンズ: SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE(絞りF4.0)
赤道儀: Sky‐Watcher Star Adventurer GTi
画僧処理ソフト: Siril Ver. 1.2.4
進学実績
卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。
国公立大学
名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学
私立大学
中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学
公立高校
菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)
私立高校
愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校
(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校
天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校
※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒
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個別指導ヒーローズ 植田一本松校
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