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天体写真

2つのアトラス彗星を撮影して来たよ

塾長です。

10月はレモン彗星とスワン彗星を追いかけてきました。
それで今年の彗星祭りは終わりかと思っていたのですが・・・

なんと、11月も2つの彗星が注目されていることが分かりました。
しかも1つは太陽系の外から飛来しているとか。
なんでもエイリアンの宇宙船だと疑う人がいるなど、世間を騒がせているそうですよ。

さっそく観測しきました。

2つのアトラス彗星

11月中旬の深夜に日本から見える彗星は2つ。

  • C/2025 K1 (ATLAS) 彗星
  • 3I/ATLAS 彗星 (太陽系の外からやって来た恒星間彗星。恒星間彗星は史上3番目の発見)

2025年11月15日AM4時ころの位置は、下図の通りです。
どちらも望遠鏡でやっと見えるか見えないか、というくらい暗くて小さいです。

なお図はフリーソフト「ステラリウム」の画面を使って作成しました。

下の写真は当日の明け方、北東の夜空です(観測の終わりごろに撮影)。
2つの彗星がある方面をスマホで撮影したのですが、街が明るいので小さい星は写ってくれません。
上の星図と見比べて、およその彗星の位置を水色でマークしてみました。

写真のとおり名古屋市郊外なので星はそれほど見えません。
周囲の街明かりで空が照らされ、暗い星はかき消されてしまいます。

写真を撮るときには、「街の明かりをカットし、星の光だけをよく通す」という特殊なフィルターを使って撮影します。

ところで、2つの彗星の名前には、どちらもATLAS(アトラス)が含まれています。
昨年の「紫金山・アトラス彗星」にも「アトラス」がついていました。

アトラスとは、NASAとハワイ大学が運用している小惑星地球衝突最終警報システム(Asteroid Terrestrial-impact Last-alert System) のことです。
地球に衝突しそうな隕石がないかどうか、いつも監視しているため、そのついでに彗星を多く発見します。
このシステムが発見した彗星には ATLAS の名が付く、というわけです。

C/2025 K1 彗星と遠くの銀河たち

夜12時前に機材のセットをひととおり終えました。
他の天体を撮影しながら、待つこと2時間・・・
最初に昇って来たのは、C/2025 K1 (ATLAS) 彗星です。

ステラリウムには事前に彗星の軌道データを追加しておきました。
ステラリウムで望遠鏡の視野をシミュレーションすると、彗星の近くに銀河が複数があるようです。
この場所は、おおぐま座の端っこです。

これらの銀河と彗星を一緒にねらって撮影したのが下の写真です。
この1枚を撮影するのに3分間かけています(露出60秒×3枚)。

彗星の動きはとても速く、この3分の間にも動いていきます。
彗星の中心部が点ではなく、横にズレた線になっているのは、それだけ彗星が動いたからです。

よく見ると彗星の下に淡い斑点がいくつか写っています。
これは銀河でしょうか、それともボケた星やノイズでしょうか。
いったい何が写っているのかを、コンピューターに判定させたのが下の写真です。

やった、銀河でした!

コンピューターが判定した上の画像について、少し説明します。

いくつかの星が赤く色づけされています。
これはコンピューターが星の配置パターンを認識するために使った星たちです。
星の配置パターンをデーターベースと照合し、望遠鏡の向きや視野の角度などを自動的に判定しています。

緑色の円で囲まれているのが遠くの銀河です。
7つの銀河が検出されたようですね。緑の字で銀河名も表示されています。
これら7つは Abell 1185 という銀河団です。

何兆倍という距離の差!

もっとも大きく写っていた銀河が NGC3550 です。
距離は4億光年~4億9千万光年。

つまり4億年以上前の姿を見ているわけです。

4億年前の地球といえば、植物が陸上に進出し始めたころ。
動物はまだ海の中で暮らしていました。

C/2025 K1 (ATLAS) 彗星までの距離は、約4光分(光の速さで4分弱、約6800万キロメートル)。
一緒に写っている銀河群までの距離は、約4億光年以上(光の速さで4億年以上)。
50兆倍以上も距離のちがう天体が1枚の写真に収まっているのは、なんとも不思議な光景です。

別の星から来た 3Iアトラス彗星

明け方の4時を過ぎると 3I/ATLAS 彗星も昇ってきました。
おとめ座の1等星「スピカ」は、また地平線付近ですが、その上の方に彗星があるはずです。

下の図はステラリウムでシミュレーションした望遠鏡の視野です。

とくに目立つ星や天体がない領域です。
こういう場所にある天体は見つけるのが大変なんですよね。

もしも望遠鏡に自動導入の機能がなかったら、見つけることができなかったかもしれません。
昔は彗星を探しているうちに夜が明けてしまった、などという経験が何度かありました。

文明の利器で難なく導入に成功し、撮影しました。
こちらは10分露出しました(60秒×10枚)。

写真の中央に、ぼうっとした天体があります。
それが 3I/ATLAS 彗星です。

この彗星までの距離は約3億Km。
地球と太陽の距離が1億5000万Kmですから、その約2倍です。
上の C/2025 K1 (ATLAS) 彗星と比べると4~5倍くらい遠いのですから、暗くて当然でしょう。

彗星らしく尾を引いている姿を期待しましたが、尾は写ってくれませんでした。
この彗星は、その姿が日々変わると言われており、尾がある日もあれば、ない日もあります。
あるいは、この日は空の透明度が悪かったため、単に暗い尾まで写せなかっただけかもしれません。

彗星の軌道がおかしい

3I/ATLAS 彗星は2025年7月1日に発見され、世界中の天文学者の注目の的となりました。
軌道が楕円ではなく双曲線だと判明するや否や、すぐにハッブル宇宙望遠鏡による追加観測が行われました。
予約でいっぱいの宇宙望遠鏡が使われたということは、それだけ重要な発見だったということです。
なぜなら、この彗星が太陽系の外からやってきた天体だと判明したからです。

NASAは 3I/ATLAS 彗星の専用サイトを設けて、観測の詳細を公開しています。
その一部を紹介しましょう・・・

ハッブル宇宙望遠鏡が7月21日に撮影した映像です(NASAのサイトのリンクを埋込表示)。
少し尾が確認できます。

At the center of the image is a comet that appears as a teardrop-shaped bluish cocoon of dust coming off the comet’s solid, icy nucleus and seen against a black background. The comet appears to be heading to the bottom left corner of the image. About a dozen short, light blue diagonal streaks are seen scattered across the image, which are from background stars that appeared to move during the exposure because the telescope was tracking the moving comet.

NASAが発表している、この彗星の軌道です(NASAのサイトのリンクを埋込表示)。

火星軌道の内側を通り抜け、地球には12月19日ころに最接近します。
そのあと木星方面へ進んでいきます。
そのまま太陽系を後にして、やがて別の星へ旅立っていくようです。

NASAによれば、この彗星は普通の彗星と比べて、スピードがとても速いそうです。
発見当時の時点で秒速58Kmという猛スピード!
太陽に最接近する10月29日には秒速68Kmに達すると見積もられました。

ちなみに地球を出発点とした脱出速度は、

  • 太陽系からの脱出速度: 秒速16.7Km
  • 銀河系からの脱出速度: 秒速300Km

らしいです。
※ 脱出速度の式 $ v=\sqrt{\frac{2GM}{R}} $ は高2物理で習います。

太陽の重力を振り切り、太陽系を抜け、また別の星まで飛んでいくでしょう。
わずか1年たらず、2026年のうちに太陽系から脱出するようです。

例えば1977年に打ち上げられた探査機「ボイジャー1号」のスピードは秒速17Km。
太陽系を脱出するのに約40年かかっています。
それに比べると3I/ATLASがどれだけ爆速であるかが想像できます。

また電波観測から、この彗星が太陽系の外で作られたことが示唆されています。
その成分から、太陽系ができるよりも前、もっとずっと昔から存在していた可能性も示唆されています。

銀河系内の恒星をいくつか訪れるたびに尾をなびかせ、質量を失い、やがて宇宙の塵になるのかもしれません。

実は、このような天体は初めてではありません。
太陽系の外から飛来してきた天体を人類が観測するのは、これで3つ目。

たった3つですから、とても珍しい天体。
天文ファンなら、これだけでご飯3杯はいけます。

なお、彗星の名前 3I/ATLAS のI は Interstellar 「恒星間」の I です。
広大な宇宙の中で、星と星の間を旅する彗星であることから、このような記号が付いています。
3I とは「3番目に発見された恒星間の天体」という意味になります。

3Iアトラス彗星は宇宙船かもしれない?

3I/ATLAS 彗星は珍しい、というだけではありません。
実は、想定外の加速をしていたことが観測されています。

彗星ですから、太陽の重力で加速するのは当然なのですが、
どうも、それだけでは説明のつかない加速をしていたようです。

彗星の表面は、太陽光で物質が蒸発してガスを噴射します。
そのガスがロケット噴射のような役割をして加速した、ということが考えられます。
しかし、その仮説で噴射されたガスの総量を計算すると、彗星自身の重さを超えてしまいました。
つまりガスの噴射では説明できません。

また、太陽系の外から飛来した彗星であれば、惑星の公転軌道面とは大きく異なる角度でやってくるのが普通です。
わざわざ太陽系の公転軌道面に沿ってやってくる確率は低く、少ない事例の中で、そういう天体に出会える確率はとても低いはず。
それなのに、たった3つ目の発見にして、もう出くわしたともなれば、本当に偶然の中の偶然でしょう。

つまり、

ロケット並みに強力な加速ができて、
ご丁寧に太陽系の公転面に合わせて侵入して来た、

ということで、そんな稀有な天体なんて、なかなか見られません。
それだけに、

きっとロケット噴射をしたに違いない!
宇宙船が太陽系を観察しにやって来たのだ!

そんな憶測が飛び交っています。

果たして真相はいかに!?

実は、このような憶測でお祭り騒ぎになるのは、今回が初めてではありません。

最初に発見された恒星間天体「オウムアムア」が 2017年に飛来した時も、謎の加速が観測されました。
さらにオウムアムアは極端に細長い形をしていたため、それこそロケットだと思われたのでした。
ちなみに、オウムアムアのNASA専用サイトもあります。

その後ほどなくして、オウムアムアの謎の加速を説明できる理論が発表されたのでした。
3I/ATLAS 彗星の加速も、いつか説明できる理論が登場するでしょう。

※NASAは11月19日に正式見解を発表し 3I/ATLASと知的生命体との関係を否定しています

北斗七星の周りには銀河がいっぱい

さて、無事に2つの彗星を写真に収めることができました。

実は、2つの彗星を待っている間とても暇でした。
この日の最低気温は6℃。そんな寒い中、ただ待っているだけというのは辛すぎます。

幸い、2つの彗星の近くには、おおぐま座の北斗七星があります。

北斗七星のまわりには、たくさんの銀河が観測できます。
特に早くから昇って来るのが M81とM82のペアです。

そこで彗星を待っている間、ひたすらM81とM82を撮影しました。
それが下の写真です。

右上の銀河がM81です。ボーデの銀河とも呼ばれ、きれいな渦巻き銀河です。
左下の銀河はM82です。葉巻銀河とも呼ばれ、構造が不規則な銀河です。

この2つの銀河については、以前こちらのブログでも紹介しました。
詳細は4月29日のブログ「【天体観測】天の川の写真を撮って来たよ」をご覧ください。

あとがき

仕事の都合がつき、なおかつ晴れる日ともなると、観測できるチャンスは本当に少ないものです。
今回は塾の仕事を終えてから観測に出かけたため、遠くまで出かけることができませんでした。
名古屋市近郊とはいえ、観測をスタートできたのは夜12時頃からでした。

秋と言えば、スッキリ晴れた天気に夕焼け、というイメージですが、今年はどうも違います。
空気中の水蒸気が多く、空気が霞んでいます。

この日も透明度が悪く、4等星がやっと見える程度でした。
秋の夜空とは思えない、スッキリしない夜空でした。

それでも話題の彗星を観測できたのは幸運でした。

街の明かりに邪魔されて、ほとんどの星は見えませんが、
特殊なフィルターを使って撮影したため、なんとか天体の姿を映し出すことができました。

とはいえ、フィルターも万能ではありません。
街の光と一緒に天体の光もカットしますから、どうしても露出が不足しがちになります。
銀河のように天の中で動かない天体であれば、露出を増やせますが、
彗星のように天の中を動いていく天体となれば、それができません。

やはり山奥のきれいな星空が恋しいです。

とはいえ、山はクマが出るし、冬は雪で閉鎖される所も多いです。
自然の変化に対して、技術だけでは全てを解決できません。
正常な自然の状態に戻って欲しいものです。

撮影データ

撮影の共通データ

写真や機材の共通データです。

  • 赤道儀 ゼロ(自作の零号機、本体重量5.2Kg ジュラルミン製、OnStepX による制御)
  • 三脚  INNOREL RT90C
  • 電源  DABBSSON 600L(半固体電池 768Wh, AC出力600W(純正弦波, 瞬間1200W, Boost 900W))
  • ガイド ZWO 30F5ミニスガイドコープ、 ZWO ASI120MM、ZWO ASI-Air mini
  • 画像処理  Siril 1.4.0-beta3 による画像処理、必要に応じてペイントによるトリミング・回転・解説記入・名入れ

 

観測風景 しし座と2つのアトラス彗星

  • 日時 11/15(土) 04:36
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ Google Pixel 10
  • 露出 1/3秒(夜景モード)

観測風景 北斗七星と3Iアトラス彗星

  • 日時 11/15(土) 04:41
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ Google Pixel 10
  • 露出 1/3秒(夜景モード)

C/2025 K1 彗星(素の写真と解説入りの2枚)

  • 日時 11/15(土) 02:37 – 02:40
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、Antlia Quad Band Anti Light Polutionフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 3分(60秒×3枚)、トリミング
  • 解説 Siril によるアノテーション(銀河の検出と名入れ処理)

3Iアトラス彗星

  • 日時 11/15(土) 05:06 – 05:15
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、Antlia Quad Band Anti Light Polutionフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 10分(60秒×10枚)、トリミング

M81とM82

  • 日時 11/15(土) 00:39 – 02:24, 02:53 – 04:08
  • 場所 愛知池
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、Antlia Quad Band Anti Light Polutionフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 2時間27分(60秒×147枚)

 

以上です!

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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〒468-0009
名古屋市天白区元植田1-202 金光ビル2F
TEL:052-893-9759
教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

【天体観測】一生に一度 レモン彗星とスワン彗星

塾長です。

今年も10月は彗星祭りの予感です。

そういえば昨年の10月も彗星を追いかけていました。
詳細はブログ「紫金山・アトラス彗星を観測したよ」に書きました。

今年は機材もグレードアップしたので、さらに気合を入れて観測したいところですが、どうでしょうか。

話題の彗星「レモン」と「スワン」

今年はなんと、2つの彗星が期待されています。
「レモン彗星」と「スワン彗星」です。
どちらも観測には双眼鏡や望遠鏡が必要になりそうです。

レモン彗星とは

  • カタログ名: C/2025 A6; Lemmon
  • 見どころ : 10月下旬ころ夕方の西の空、うしかい座の1等星「アークトゥルス」の上くらいの位置、最大4等星の予想
  • 発見者  : レモン山天文台(米国アリゾナ州)
  • 名前の由来: 発見した天文台の名前
  • 公転周期 : 約1300年

スワン彗星とは

  • カタログ名:  C/2025 R2; SWAN
  • 見どころ : 10月中旬ころ夕方の南の空、いて座とわし座の間くらいの位置、最大6等星の予想
  • 発見者  : 2人のアマチュア天文家: Vladimir Bezugly(ウクライナ)、Michael Mattiazzo(オーストラリア)
  • 名前の由来: 発見に使われた観測装置: 太陽観測衛星SOHOに搭載されている観測装置SWAN (Solar Wind ANisotropies)
  • 公転周期 : 2万年以上

下の図は、2025年10月23日(木) 17:30 頃の予想です。
右手がレモン彗星、左手がスワン彗星の予報位置です。
ステラリウムというフリーソフトでシミュレーション)

あと10日から2週間くらいすると、夕方の空に見えるでしょう。

実は今(9月末~10月第1週あたり)でも、その姿を確認できます。ただし望遠鏡や高感度カメラが必要です。
10月1日を現在とすると以下の状況。

  • スワン彗星 → 夕方の空。仕事の都合で夕方の観測は無理。
  • レモン彗星 → 明け方の空。仕事が終わってからでも間に合う!

ならば塾長はレモン彗星を見よう!

ということで、さっそくレモン彗星を追いかけてきました。

10月2日(木)の明け方 薄雲を通して

天気予報によれば、この日の夜は晴れるとの予報でした。
しかも翌週からしばらく天気が崩れるとのこと。

それならば「今のうちに観測しておくべき」とばかりに出かけました。
とはいえ平日。翌日の仕事を考えれば無理ができません。観測は近場で行うことにしました。

現場の観測風景です(観測後の片付けの最中、東の空を背景に望遠鏡を撮影)。

画面のやや左上に見える一番明るい星が木星です。
その左手に見える2つの星は「ふたご座」の1等星、カストルとポルックスです。
右端の明るい星は、「おおいぬ座」のシリウス。全天でもっとも明るい恒星でマイナス1等星です。
右上の端には「オリオン座」の三ツ星と1等星のベテルギウスが見えています。
画面中央付近の星は「こいぬ座」の1等星プロキオンです。
ベテルギウス、シリウス、プロキオンをセットにして「冬の大三角」と呼ばれます。

写真のとおり、現場に着いてみれば、薄雲が空の全体を覆っていました。
空気中の水分も多く、望遠鏡は夜露でびしょびしょ。

天気予報としては確かに「晴れ」ですが、天体観測をやるには厳しい状況です。
普通は撤退するところですが、彗星の姿を確認できるチャンスは少ないです。

ここは我慢して待ちます。

北東の空に北斗七星が昇ってきました。
レモン彗星は、写真の黄色い丸のあたりにあるはずなのですが・・・双眼鏡で見たところ、何も見えません。

望遠鏡を操作し、30分くらい探したでしょうか。
ついに、その姿をとらえました。

写真は、望遠鏡の操作画面のスクリーンショットです。
薄く淡い緑色の彗星が、うっすらと右下に尾を引いています。
(望遠鏡なので上下左右が反対です。実際の空では、左上に向かって尾が伸びています。)

さっそく撮影しました。

露出:2分45秒(15秒×11枚)、トリミング、回転

彗星が昇ってくるのを待っている間に、オリオン大星雲も撮影しておきました。

露出: 3分20秒(10秒×20枚)、トリミング

薄雲が一晩中あり、晴れることはありませんでした。
それでも彗星の姿をとらえることができたのは幸運だったと言えます。

でも、やっぱり、もっとスッキリした星空で、ちゃんとした写真を撮りたいです。

 

10月9日(木)の明け方 雲だらけ

この週は台風の影響で天気が悪い見通しだったため、もともと出かける予定はありませんでした。
ところが天気予報を見れば、夜中に少し晴れそうとのこと。
とっさに観測に出かけました。

到着して空を見わたせば、薄雲があるものの雲には切れ間がありました。
チャンスはありそうです。
中秋の名月を過ぎたばかりのお月様が、頭の上に高く輝いています。
その月明かりに助けられて、望遠鏡を組み立て始めました。

ところが機材を一通り組み立て終わったとたん、雲に覆われてしまいました。
風も強まってきました。
伊豆諸島に台風22号が接近している影響でしょう。

明け方まで粘りましたがダメでした。
何も観測できず、徒労に終わりました・・・。

 

10月10日(金)の明け方 雲の隙間から

天気予報は晴れマークでした、一応。
台風一過の晴れ間を期待したい所ですが、どうでしょうか。
とりあえずリベンジを果たすべく、この日も出かけることにしました。

2日連続なので、出発する前から疲れています。

現地に到着したときは、見事に晴れていました。
風もほとんどありません。
これは期待できそうです。

少し元気が出てきました。

ところが・・・望遠鏡を組み上げて動作確認を終えた頃になると、また雲に覆われてしまいました。
先日のデジャヴです。

それでも少し晴れ間が広がる時間がありました。
雲が流れていることに希望を持ちつつ、限られた晴れ間からのぞく星空で、望遠鏡の調整作業を進めます。

望遠鏡の調整で撮影した写真です。

露出: 3分30秒(30秒×7枚)

この写真は「おおぐま座」のM81とM82です。遠くの銀河です。
左手のM82は銀河の中心部が爆発していて不規則な形です。右手のM81はきれいな渦巻き構造です。
対照的な2つの銀河が並ぶ、とても有名な領域です。

M81とM82は、レモン彗星より少し早く昇ってきます。
そこで、レモン彗星を待っている間に、望遠鏡の調整がてら撮影するのにちょうど良いワケですが、
これを撮影している最中に、また雲が広がってしまいました。

さて、雲が晴れるのを待つか、諦めて撤退するか・・・判断に迷います。
少し歩いて、雲の動きを観察していると、雲の隙間から、少しの間だけお月様が見えました。

お月様を撮影して帰ることにしました。
中秋の名月から数日を過ぎていましたが、まだまだ明るくて美しいお月さまでした。

露出: 1/1000 秒 (ASI-Airでプレビュー撮影した映像をモザイク合成、トリミング、回転)

少し暗い写真です。プレビューモードなので、露出が 1/100秒や 1/1000秒しか選べません。
「もういいや、これで。」
という投げやりな気持ちがよく表れている1枚ですw

さて、後片付けをしますか・・・

意気消沈して帰る途中、信号待ちをしている時のこと。
車の窓ガラスから、ふと空を見上げると、なんと晴れ間が広がっているではありませんか。

やれやれ・・・

それじゃ、近くの田園地帯に車を止めて、あと少しだけ。
でも、もう望遠鏡を組み立てる体力はありません。
一眼レフカメラでパシャパシャと適当に撮影しました。

撮れてるかな・・・ん!?

露出: 8秒(1枚撮り)

この日のレモン彗星は、下図の赤マーク付近にあるはず・・・(ステラリウムより)

うーん、どうでしょう。
8~9等の明るさと言われているので、写ってもおかしくはないはず・・・
心の目で見て探すことが大切ですw

お!

ありました。
本当に、かろうじて。
かすかに写っていました。

なお、写真は昼間のような明るさですが、実際には夜です。
街の明かりや月の光に夜空が照らされています。
8秒も露出したので、まるで昼間のように明るい写真になってしまいました。

このあと、疲れた体を引きずるようにして帰宅しました。

 

あとがき

今度は台風23号が接近していて、引き続き天気は悪いみたいです。
「秋晴れ」さんは、いったいどこへ行ったのでしょう。

そんな中でも嬉しいニュースがありました。
日本人2人にノーベル賞!

  • ノーベル生理学・医学賞 大阪大学 坂口志文 特任教授
  • ノーベル化学賞 京都大学 北川進 特別教授

凄いですね!

きっと、物凄い努力があったのでしょう。
そして、おそらく多くの失敗や無駄もあったのだと思います。

多くの無駄や失敗の果てに、ほんの一握りだけ、報われるような結果を得られた。
そういう経験の繰り返しだったのだと思います。

だからこそ偉業なのでしょう。

さて、今回わたしは計3日間にわたってレモン彗星を追いかけましたが、ひたすら天候に悩まされました。
疲れた割には、ちゃんと撮影できませんでした。
大半の労力が無駄に終わりました。

天体観測は自然が相手ですから、自分の思い通りにはいきません。
努力が無駄になったり、準備不足で観測が十分にできなかったりします。
今回のように、やることの大半が無駄や徒労に終わることも、珍しくありません。

それなのに、なぜ天体観測をするのか?

きっと好きだからでしょう。
なんだかんだ、小学生からずっと趣味として続いています。
どこまでも緻密で繊細、そんな神秘的な天体の姿を、もっともっと見たいからだと思います。

研究はつらい事ばかりだけど、ワクワクするし達成感もある。

北川教授がインタビューの中で、そんなことおっしゃっていたのが印象的でした。
とても励みになりました。

なかなか思い通りにならないからこそ、逆にやり込み要素が多い。
そういうのが本当の面白さなのかもしれませんね。

 

撮影データ

撮影の共通データ

写真や機材の共通データです。

  • 赤道儀 ゼロ(自作の零号機、本体重量5.2Kg ジュラルミン製、OnStepX による制御)
  • 三脚  INNOREL RT90C
  • 電源  DABBSSON 600L(半固体電池 768Wh, AC出力600W(純正弦波, 瞬間1200W, Boost 900W))
  • ガイド ZWO 30F5ミニスガイドコープ、 ZWO ASI120MM、ZWO ASI-Air mini
  • 画像処理  Siril 1.4.0-beta3 による画像処理、必要に応じてペイントによるトリミング・回転・解説記入・名入れ

10月2日の観測風景1および観測風景2(解説入り)

  • 日時 10/02(木) 03:43
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ Google Pixel 10
  • 露出 1/3秒(夜景モード)

10月2日のレモン彗星

  • 日時 10/02(木) 01:58:33 – 02:01:18
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 2分45秒(15秒×11枚)、トリミング、回転

10月2日のオリオン大星雲(M42)

  • 日時 10/02(木) 01:28:06 – 01:31:57
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 3分20秒(10秒×20枚)、トリミング

10月10日のM81とM82

  • 日時 10/10(木) 02:18:28 – 02:30:01
  • 場所 愛知池
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 5分30秒(30秒×11枚)

10月10日の月

  • 日時 10/10(木) 2:30 頃 (正確な時刻の記録なし)
  • 場所 愛知池
  • カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 露出 1/1000秒 (ASI-Airでプレビュー撮影した映像をモザイク合成、トリミング、回転)

10月10日のレモン彗星(星野)

  • 日時 10/10(木) 03:09
  • 場所 日進市内の田園地帯
  • カメラ CANON  EOS60Da(EOS60Dの天体写真専用モデル)、ISO2000、LPS-P2フィルタ内蔵
  • レンズ SIGMA 28mm F1.8 EX DG (絞り F2.8)
  • 露出 約8秒×1枚 (露出時間はレリーズマニュアル操作)

 

以上です!

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


名古屋市天白区の植田で塾を探すなら個別指導のヒーローズ!!

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個別指導ヒーローズ 植田一本松校
〒468-0009
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TEL:052-893-9759
教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

【天体観測】望遠鏡を動かす装置「赤道儀」を作ったよ

塾長です。

新学期がはじまり1週間が経とうとしています。

みなさん、夏休みはどうでしたか、充実していました?
今年は夏休み中に稲武野外活動など学校行事が入ったところがありました。

そして今週から2学期がはじまったわけですが、
教室では中間テスト対策について、すでに案内とお申込みを始めております。
早い子はすでにスタートしております。

さて、今日のブログも塾長の趣味のお話です。
ここ半年間のプロジェクトで、やっと成果が出ました。

それをまとめたくて、勝手気ままに書きます。

天体望遠鏡が壊れた

私は小学生のころから天体観測が趣味でした。
今から20年以上前に、天体望遠鏡を動かす装置(写真の黄色の部分)を買いました。
サラリーマンになって間もなく、まだ給料が上がる前のこと。
これがけっこう高価でローンを組んで買ったのでした。

赤道儀とは天体望遠鏡を動かす台の部分(2008年9月)

しかし、10年くらい前にそれが壊れて動かなくなってしまいました。
高価なので、修理も買い替えも、なかなかできません。

ところで、この望遠鏡を動かす装置(写真の黄色の部分)のことを「赤道儀(せきどうぎ)」と呼びます。
ちなみに壊れた赤道儀の名前は、タカハシ社の EM-11 Temma2Jr. です(以後、単に EM11 と書きます)。

これが壊れると、主に次の2つのことができなくなります。

  1. 星の追尾
  2. 自動導入

星は日周運動をしていて、1時間に15度のペースで東から西へ動いていきますよね。
赤道儀は、この星の動きに合わせて望遠鏡を動かす機能があります。
これを「追尾」または「ガイド」などと呼びます。

また、星雲や星団など、見たい天体を指定すると、自動的にそれが見える方向に天体望遠鏡を向けてくれる機能もあります。
これを「自動導入」または「GOTO」などと呼びます。

こうした機能が使えなくなり、ただの重い台になってしまいました。
それ以来、天体観測や天体写真の撮影をしなくなってしまいました。

もちろん子供が生まれたり学習塾を始めたり、マイクラミングの開発や全国展開をしたり、何かと忙しくなったのも大きな理由でした。
どちらにしても天体観測をほとんどしなくなっていました。

また天体観測を始めるぞー

しかし、転機が訪れました。
昨年の紫金山・アトラス彗星です。

めっちゃ彗星の写真が撮りたい!

「天体観測をしたい」という思いが再び燃え出しました。

それで昨年から天体写真を少しだけ再開したのでした。

最初は、ただの三脚にカメラを載せて彗星の写真を撮りました。
もちろん、これだけでは星の追尾ができません。
日周運動ですぐに星が横にブレてしまい、満足した写真がなかなか撮れませんでした。

そこで小さな赤道儀を買いました。
Skywatcher社の Star Adventurer GTi という名前の赤道儀です(下の写真の白い部分)。
壊れた赤道儀に比べると、今回は4分の1以下の値段です。

この赤道儀は、軽い機材であれば星を追尾することができます。
たとえば小さな望遠鏡や、中型の望遠レンズを付けたカメラなど、小規模の機材ならOKです。

この赤道儀を使って、広角レンズや望遠レンズで撮影ができるようになりました。

彗星の写真は撮ることができました。→こちら
オリオン座の写真も撮りました。→こちら
天の川の写真も撮りました。 →こちら

しかし塾長の気持ちは収まりませんでした。

この赤道儀は、望遠鏡を動かせるほどのパワーがありません。
望遠鏡でなければ遠くの小さな天体の姿を写し出すことができません。
壊れた赤道儀のEM11と比べてしまうと、できることが限られます。

もっともっと遠くの天体を観測をしたい!!

さて、どうしたもんでしょう。

半信半疑でスタート

そんなわけで、天体観測を再開してから、赤道儀を修理すべきかどうか悩む日々が続きました。
ネットで赤道儀に関係するサイトや動画をよく見るようになりました。

すると、セレンディピティ効果というヤツですかね?
「赤道儀を自作したぜ!」という外国のスゴイ動画に出会いました。
それも1つだけではなく、3~4例くらいあるようでした。

例えば、Whyf16uyさんの動画です。

なかなかワイルドな工作です。
たとえばアルミ板にドリルでネジ穴をあける場面。
ドリルが斜めにズレて、途中からアルミ板の横へ穴が突き抜けちゃってます。

え、こんなんで作れるの!?

衝撃でした。

もしかしたら、自分にも作れるんじゃね?

金属工作の経験がない私にさえ、自信が湧いてきたほどです。

モーターを制御するためにプログラミングが必要みたいです。
プログラミングは得意なので問題ありません。

技術的な見通しが付きました。
なんだか、できる気がして来たのです。

修理するより、むしろ新しく作ってしまえ!

そう考えて、密かに赤道儀を自作するプロジェクトをスタートさせました。

ちょっと前まで赤道儀の自作なんて、それまで想像もできませんでした。
しかし、さらに調べて見ると、海外でも日本でも自作している人が多くいることが分かってきました。

おそらく、それができるだけの技術革新があったのでしょう。
コンピューターが小さく安価になったから、という理由もありますが、それだけではないようです。

どうやら、その肝になるのが「波動歯車」と呼ばれる装置。
実は、上の動画のタイトルに含まれる Harmonic Drive とは波動歯車のことです。

そこで、この波動歯車について色々と調べ、実際に注文しました。
届いたのがこれです(下の写真)。
要するに、これが上手く動くように赤道儀を設計します。

この油まみれの装置が波動歯車装置です。
モーターの回転速度を 1/100 に減速する代わりに、トルクを85~95倍に高めます(伝達ロスがあるので100倍にはなりません)。

星の動きはゆっくりなので、スピードよりも力(トルク)が大事!
これがあれば、小さなモーターでも重たい望遠鏡を振り回すことができます。

波動歯車装置の原理は1955年にアメリカで発明され、米国USM社が実現させました。そこでいち早く業務提携したのが、我らが日本の(株)ハーモニック・ドライブ・システムズ社でした(当時は長谷川歯車という社名)。そして両社が共同出資して製品化し、特許を取得したのが「ハーモニックドライブ」と呼ばれる装置です。

ただし、この装置の基本技術に関する特許(基本特許)は、けっこう前に有効期限が切れています。
それ以来、世界中の企業が研究開発に乗り出し、競争が激しくなっています。
なぜなら、ロボットや工作機械など様々な装置の部品として、とても有効な装置だからです。

天文業界では中国のZWO社が波動歯車装置を使った赤道儀を 2022年に発売しました。
当初、多くの天文ファンは、この全く新しい赤道儀に対して懐疑的でしたが、次第にその実力と評判が広まっていきました。
現在では複数のメーカーが波動歯車装置を使った赤道儀を販売しています。

ネットでも安い波動歯車装置が出回るようになり、手軽に購入できるようにもなりました。
そして、ついに、波動歯車装置を使った赤道儀の自作に挑戦する人たちが登場してきた、というワケです。

それが、ここ数年の動きです。

世界規模で見ると、技術革新のスピードが本当に加速しているのだと実感しますね。

なお「ハーモニックドライブ」という名前は商標登録されているため、(株)ハーモニック・ドライブ・システムズ社または同社と業務提携している会社の製品以外は名乗ることができません。
他社製品の場合は工業界の一般的な通名である「波動歯車装置」を使います。
海外のブログやYouTubeでは、波動歯車装置を使っているのに Harmonic Drive と表示していることがあるので要注意。

今回、私が購入したもの(上の写真)は中国の安価な任意製品なので波動歯車装置です。

2025年3月 モックアップの作成

さて、次は赤道儀の本体をどうやって作るか、が課題です。
頭で考えているだけでは何も進みません。
とは言え、いきなり作るのもリスクが大きいです。

そこで、まずは模型を作ることにしました。
イメージを具現化し、手に触れられるようにすれば、さらにイメージを細かくしていけます。
近くの文房具屋さん「ブンゾウ」へ行き、工作用の厚紙やボード、カッターなどを買ってきて作ったのがこれです。

使用するモーターと電子基板を決めていたので、それが入る大きさの赤道儀にする方針です。
そのため、赤道儀の中に組み込むモーターや電子基板の模型も一緒に作り、寸法を確かめました。

最初はとりあえず赤道儀の本体は1辺14cmの立方体で作ってみました。
しかし、どう見ても大きすぎたので、12cmで作り直しました。

このように模型で確かめる作業は、プログラミング教室でも同じですね。
生徒たちはプログラムを組む前に、まず、建築したいものをマイクラで作ってみます。
つまりモックアップ(設計)を作るのですね。
それに座標を対応させてプログラミングをしていくわけです。

さて、上の写真のように、数回の試行錯誤を経て、およそ12㎝四方の大きさで赤道儀を作れそうだと分かりました。
これが最終的に 12.5cmになるのか11.5cmになるのか・・・
そういう細かい所は、ちゃんとした設計をして詰めていきます。

ここで、また1つ課題です。

立体構造の設計には、CADという設計アプリを使いこなす知識やスキルが必要です。
塾長は理学部数学科の出身ですから、こういう工学部の知識がありません。
そこで名古屋駅の本屋さん「ジュンク堂」へ行き、CADの本を買ってきました。

CADの勉強を始めました。
モーター制御についてもネットで調べて勉強を始めました。

2025年4月 モーター制御の実現

先に入手していたモーターと電子基板について、配線とプログラミングをしました。
CADの勉強を進めながら、それと平行して、できる作業も進めていきます。

モーターはステッパーモーター(ステッピングモーター)という特殊なモーターを使います。

ミニ四駆などで使うモーターとは違って、ただ電流を流しただけでは回転しません。
モールス信号のようにポツ、ポツ、とパルス状に電流を与えることで回転します。
1回のパルスで0.9度、つまり400回のパルスで1回転するようにできています。

こうした電流を制御するために、プログラミングが必要になります。

1秒間に400パルスを送れば1秒で1回転の速さで回転し、800パルスなら2回転、というようにして、スピードをコントロールします。
実際には、さらに精密な制御をするために「マイクロステップ」という技術を使ってパルスの間隔をもっと細分化します。
加えて、星の日周運動に合わせて一定の速度で回転させたり、自動導入に切り替えて加速させたり減速させたりする制御も必要です。

他にも様々な機能やモードの切り替えが必要になるわけですが、それをゼロからプログラミングするのは無理です。
それだけで何年もかかってしまいそうです。

実は、OnStepX という赤道儀専用のプログラムがインターネットでダウンロードできます。
プログラミング言語は Arduino用のプログラミング言語ですが、ほとんど C++ と同じです。
それを少しカスタマイズすれば、モーターを簡単に制御できるようになります。

OnStepX やその前身の OnStep は、世界中の天文ファンから支持されているオープンソースのプログラムです。
ネットで見る限り、2013年から公開されています。
実に12年間も、バグ修正や機能アップを繰り返しながら、多くのユーザーに支持され、鍛えられてきたプログラムです。

波動歯車装置が天文マニアの間で話題になるよりも、ずっと前からあるのですね。

これが無料で使えるなんて、世界には凄い人たちがいるものです。
赤道儀を自作する人が増えたのは、こうしたプログラムのオープンソース化という貢献が一番大きいのかもしれません。
こうした土壌があった上で、新しい機械技術が取り入れられてきたのでしょう。

私もいつか貢献できればよいなぁと思います。

さて、OnStepX のおかげでモーターを思い通りに回転させることに成功しました。

2025年5月 CADの設計

CADの勉強が、けっこう進みました。
FreeCAD というフリーソフトを使うことにして、その使い方も練習してきました。

ゴールデンウイークの連休を使って、いよいよ設計に挑戦!

試行錯誤を繰り返し、なんとかそれらしい形ができました。

もっとも悩んだのはモーターの付け方です。
「サイズをコンパクトにまとめる」、かつ「強度を確保する」、かつ「モーターをしっかり固定する」、かつ「ベルトの張力を調整できるようにする」・・・
という条件です。

さらに途中でコストの観点「部品数を減らして安く抑えること」も重要だと気づきました。
これがけっこう破壊的で、ゼロから設計を見直す羽目になりました。

さらにさらに意外と盲点だったのが「組み立てが可能であること」、かつ「メンテナンスがしやすいこと」という点。
手が入らない、ドライバーが入らない、配線ができない、ではダメです。
最後に「拡張性があること」という条件も追加しました。

これらの条件をパズルのように重ね合わせ、すべてクリアするために、何度も何度も設計を繰り返しました。
また設計が進むほど構造が複雑になってくると、データ量が増え、コンピューターの動きがどんどん遅くなっていきます。
設計が進むほど、作業が進みにくくなります。

ちょっと進むとちょっと遅くなる。
まるで「アキレスと亀のパラドックス」のよう。
なかなかサクサクとは進みません。

手間も時間もかかりました。

たくさん作業したので、CADソフトはかなり使えるようになってきました。

このソフトから設計書をアウトプットすると、そのまま工場に「これを作ってください」と発注できるそうです。
あとは値段ですかね。
やすく仕上げてくれる企業を求めて、このあと世界中のサービスを検索することになります・・・。

さて、新しい知識を学ぶことや、新しいスキルを身を着けることは、何歳になっても楽しいものです。
塾長は昭和48年生まれ。52歳らしいですが、まだまだ勉強しています。

2025年6月 ジュラルミンの削り出し

設計したものを、どうやって実現させましょうか。
塾ですから、金属を加工できる工作機械はありません。

誰か作ってくれないかなぁ・・・と探していると、いくつか見つかりました。
日本の国内や海外のサービスをいくつか検討し、最終的には中国のサービスに決めました。

ネットで設計のデータや細かい指示を登録して発注できます。
注文後も技術的なことについて、何度かメールでやり取りをしました。

担当してくれたのはモニカさんという女性のエンジニアで、中国人ではないようです。
どうやらこの会社には世界中から優秀な人材が集まって来ているようです。
おかげで英語でメールをやり取りできました。
私は中国語ができないので助かりました。

それから3週間ほどすると、無事に部品が届きました。

紙で作った模型が、CADの設計になり、そしてついにアルミの部品になりました。
感動です!

材料はジュラルミンを指定しました。
飛行機に使われている強化型のアルミ合金です。

それをドリルで削り出して作ってもらいました。
削り出しの特長は「継ぎ目」がないこと。とても頑丈で美しい部品が作れます。
厚さは10㎜とし、市販品の赤道儀に比べ、2倍の厚みとしました。

とても頑丈なボディになったと思います。
むしろ頑丈にし過ぎたかもしれません。

これなら大きな望遠鏡を搭載しても大丈夫でしょう。

電子基板は本体のフタの裏に組付けます。
このフタの材料は白い樹脂を指定し、3Dプリンターで作ってもらいました。

さてさて、先に入手していた他の部品と合わせて、これで役者がそろいました。

2025年7月上旬 赤道儀の組み立て

部品を組み立て始めました。
ちゃんと設計ができているのか試される、緊張の一瞬です。
もしも少しでも寸法がズレていたら、ネジ穴がずれたり、ネジが入らなかったりして、組み立てることができません。

最初に波動歯車装置を本体に取り付けます。

おお、寸法ばっちりです。
本体の内部からはプーリー、ベルト、モーター、ベアリングも取り付けています。

次は望遠鏡を取り付ける台座と、日周運動の回転軸を受ける台座を取り付けます。

よしよし。
つぎは三脚につなげる台座を取り付けましょう。

クララが立った!

そういえば、この赤道儀の名前をまだ決めていませんでした・・・クララじゃありません。後で考えます。

背景は、めっちゃ教室です。
塾長の机が工場になってます。
生徒たちが来る前に、早く仕上げなければ・・・

最後は電子基板を組み込んだフタをはめます。

ふー。なんとか完成!

電源を入れて、動作確認も無事にクリアしました。

初めてのCAD設計。
こんなにも寸法通りにピッタリいくとは。

これまた感動です!

海の向こうの工場に設計データだけを送って作ってもらったのです。
それが海を渡って日本に到着し、そしてちゃんと組み上がる。

図面どおり、言葉どおりに作業ができ、誰がやっても同じアウトプットになること。
そのような再現性のある知識の伝達と、それによるアウトプット。
それらを総称して「技術」と呼びます。

なんか技術ってすごい!!

ちなみに「この人じゃなきゃできない」みたいなのは「技能」と呼びます。
真似をしたくても、なかなかできません。人によってアウトプットはバラバラ。
つまり再現性がありません。

よって「技術」と「技能」は違います。
もしも技術がなく技能しか無かったら、役割の分担ができません。
私が工場まで行って練習しないと部品ができないでしょう。

技術は世界を渡ります。

私が生徒たちに教えていることも同じ。

生徒たちには、
国語なら論理的に文脈をとらえる技術、
数学ならだれがやっても同じ計算結果になる技術、
理科や社会でも、そのような再現性のある知識について、
教えています。

逆に技能に関しては生徒それぞれの個性が出ます。
生徒の特性や得手不得手を見極めながら助言や伴走をします。

しかし代わってあげることはできません。
やるのは生徒、技能を高めるのは生徒自身にしかできません。

技術と技能の区別をしっかりつけて指導するよう心がけております。

2025年7月下旬 大失敗

本当にちゃんと動くことをテストしたいのですが、なかなか晴れません。
やっと晴れたとしても仕事との都合が合いません。

そんな中で、7月26日にチャンスがやってきました。
土曜日なので早く塾が終わります。
天気予報は晴れ。山よりは海の方がよく晴れるそうです。

今こそ行かねば!

と思い立ち、南知多の方へ出かけました。
夜釣りで有名な、とある港の広い駐車場に向かいます。
しかし、港に近づくにつれて賑わいが・・・あれ、こんなに人がいたっけ?

偶然にもその日は花火大会でした。
みんな楽しそう。

港は花火の打ち上げで封鎖されています。
夜空は花火できれいに彩られていて、天体観測どころではありません。

邪魔にならないように引き返し、別の観測場所を探しました。

「ここは電線が邪魔」
「ここは地面がぬかるんでる」
「ここは私有地?微妙だからやめとこう」

2時間以上ウロウロと彷徨いました。
そして日付が変わる少し前になって、ようやく観測できそうな場所を見つけました。

望遠鏡を組み立て、赤道儀の電源を入れました。
いよいよ試運転の開始です。

ところが・・・自動導入が上手くいきません。
最初は明るい星を導入してズレを補正するのですが、ズレどころが全く違う位置で止まります。

あれれ?

部屋でテストしたときは、それらしい方向を向いていたはずですが・・・ここまでズレるとは予想外。

焦りと暑さで、どっと汗が噴き出ました。
パソコンの画面をのぞき込み、何かおかしな設定がないか確認します。
そこへ、画面の明かりに釣られて虫がブンブン飛んできます。
うっとおしいです。

望遠鏡が目的の星まで移動する前に、赤道儀の動きが止まっているように見えます。
しかし、その原因がよく分かりません。

自動導入は諦めました。

それなら追尾はどうでしょうか。

追尾監視用のミニ望遠鏡に専用のCCDカメラを着け、CCDとパソコンをつなげます。
CCDに映る星が常に真ん中に来るよう、アプリが望遠鏡を制御します。
そのアプリからの指示に、赤道儀がうまく対応して動いてくれるのかをテストしました。

残念ながら、これもダメでした。
赤道儀は反応こそしているのですが、どんどんズレが大きくなっていき、正しく追尾ができていません。

写真撮影どころではありません。
その手前の段階で上手く動いていません。

何度も何度もトライ&エラーを繰り返しましたが、改善する気配がありません。

そうこうしている内に、どこからともなく、ニワトリの鳴く声が聞こえてきました。
見渡せば東の空が明るくなり始めています。

もう時間です。
テスト失敗・・・です。

諦めて帰ることにしました。

いったい何がどう悪かったのか・・・
悶々とした気持ちを引きずったまま家に帰りました。

シャワーを浴びて一息つくと、どっと疲れが出て来ました。
倒れるように昼まで寝ました。

昼食のとき、気持ちの落ち込みをごまかすように、妻に話しました。

私:「いやぁ、昨晩は大変だったよ。行ったら花火大会で港が封鎖されててさ。それで観測できるところを探して、2時間以上も知多半島を彷徨っちゃった。」
妻:「それで観測はできたの?」
私:「いや、まったく。ぜんぜん思ったように動かなくて、成果ゼロです。疲れただけでした。」
妻」「そんなに疲れてまでして、楽しいの?」
私:「ぜんぜん楽しくない。辛いです。」

とうとう本音が出てしまいました。

失敗の原因が分かっていません。
まだ悶々としていました。

よく考えたら、色々と調査不足でした。
オープンソースでネットからダウンロードしたプログラムの仕組みでさえ、よく分からないまま使っていました。

基盤の配線からプログラムの中身まで、ゼロから総点検することにしました。

2025年8月 ファーストライト

あれから1か月近く、ずっとプログラムの理解と点検を続けてきました。

失敗の原因は、どうやら電力不足だったということが分かりました。
モーターに投入する電流が小さすぎたようで、増強するようにプログラムを書き換えました。

また自宅でテストするときはコンセントから電源を取りますが、屋外ではバッテリーからです。
バッテリーからの電源供給は気を付けないと電流が細くなりがちです。
そこで赤道儀と他の機器で、電源を分けることにしました。

他にも細かい所や気になる所を修正しました。
新しく知識も増え、赤道儀にGPSや気象センサを追加するなどの機能アップも果たしました。

仕事に開発に、とても慌ただしい毎日を過ごしているうちに、
やがて、ほとんどの生徒たちが夏期講習を終え、夏休みも終わりが見えてきました。

思えば今年の8月は、ずっと天気が悪く、なかなか晴れてくれませんでした。
お盆休みに期待したペルセウス座流星群は、土砂降りの雨でした。

そして気が付けば、8月の最後の週末になっていました。

そろそろ晴れてくれないかな・・・天気予報を確認しました。

何ということでしょう。
今晩の天気予報は「快晴」。

夏期講習を頑張って来たご褒美なのでしょうか。

もう行くしかありません!
今度こそリベンジです!!

せっかくなので茶臼山高原まで足を延ばしました。

久しぶりの晴れ間とあって、現地では天体観測のファンたちが大集合していました。

茶臼山高原は、だいたい夜に来ると一人でポツンと天体観測を行うことになります。
鹿の鳴き声にビビりながら、クマの出現を警戒しながら、一人でせっせと観測します。
たまにドライブや走り屋の車が駐車場に立ち寄りますが、少し休憩すると、また直ぐに立ち去っていく、そういう場所です。

ところが、その日は何かの集会でもあるのかっていうくらいに駐車場がいっぱい。
しかも、どの車の横にも望遠鏡が並んでいました。
星まつり状態です。

何とか1台分のスペースを見つけ、車を滑り込ませました。
あと少し来るのが遅れていたら、駐車できなかったかもしれません。

さっそく赤道儀を設置し、望遠鏡を組み立てました。

そして、なんやかんやと調整をして、いよいよ撮影です。
ちゃんと精度よく星を追いかけてくれるでしょうか・・・。

大丈夫そうです。
目標にしていた精度をクリアしました。
これなら撮影もうまくいっていることでしょう。

4、5時間いろいろと撮影や調査を続けていると、やがて東の空がほんの少し明るくなってきました。
気付けば深夜3時を過ぎていました。

そろそろ撤収しましょう。

しかし周囲の人たちは、まだまだ観測している様子でした。
でも塾長は日曜日しか休みがないため、無理はできません。

早めに撤収です。

2025年9月 天体写真の確認

さて日付が変わって9月になりました。
週末に撮影した天体写真。
ちゃんと撮れているでしょうか。

天体写真は、撮影してすぐに表示や印刷ができるわけではありません。
画像処理が必要です。
これがけっこう大変です。
上手な人がやると見違えるようにきれいな写真に仕上がりますが、塾長はまだまだ修行中の初心者です。

とは言え、とにかく確認するために処理を急ぎました。

最初に撮影したのは、子ぎつね座にある「あれい状星雲」(M27)です。

成功です!

ところで望遠鏡などの機材が初めて試験観測することを「ファーストライト」と呼ぶそうです。
特に天体写真の世界では、初めて撮影する天体写真のことを、そうに呼ぶことが多いです。
この赤道儀にとって、これがファーストライトになります。

上手くいって良かったです。

以前、この望遠鏡でM27を撮影したのは、2006年8月でした。
19年ぶりの撮影です。
もうそんなに月日が経ったのですね。

いろいろと忙しかったもんなぁ・・・。

次は、さんかく座にある渦巻銀河(M33)です。

良かった。これも撮れていました。
M33は17年ぶりの撮影です。

この銀河は私たちの天の川のお隣さんです。
といっても270万光年の彼方にあります。
この姿は270万年前、つまり旧石器時代が始まったばかりの頃の姿です。

最後はペガスス座になある遠くの銀河です。
NGC7331とスレファンの5つ子と呼ばれる銀河たちで、天文ファンの間では有名な絵になります。

これも17年ぶりの撮影です。
あの時よりもよく撮れました。
なんだか感動です。

右上の方にある、少し大きめの銀河がNGC7331です。
実は、この銀河は7月に超新星が見つかりました。

拡大したら写っていました!

縦横の黄色い線を延長して、それらが交わるあたりに星が1つ写っています。
それが超新星です。
2か月ちかうも経っているのに、まだ写るのですから、そうとう大きな爆発だったのでしょう。

実は、今回 NGC7331 を撮影対象に選んだのは、これを記録に残したかったからです。
この超新星はとても小さい映像なので、ダメもとで挑戦したのですが、写っていて良かったです。

超新星は、太陽の何十倍もあるような巨大な星が、一生の最後に起こす大爆発の姿です。
その中心ではブラックホールが誕生していることでしょう。
爆発している最中の姿ですから、そのうちに消えて見えなくなり、ブラックホールだけが残ります。

この銀河NGC7331は、約4000万光年の彼方にあります。
つまり4000万年前の姿です。
そのころの地球は、恐竜の白亜紀が終わって、次の古第三紀と呼ばれる時代です。

さて、この領域にはたくさんの銀河が写ります。
アノテーションというAI処理があって、天体の名前を表示させることができます。
やってみましょう。

文字が90度回転していますが、元の画像の向きの関係でそうなっています。
写真の左下に、多くの銀河が密集しています。
これが「ステファンの五つ子」と呼ばれれる銀河群です。

拡大して見ましょう。

(天体の向きが時計回りに90度回転していますが、これが元画像の向きなので気にしないでください)

これらの銀河は2億7000万光年かその前後くらいの彼方にあります。
地球では恐竜が誕生するよりも前の時代です。
それくらい昔の姿を、いま見ていることになります。

これらは互いに重力で引き合い、今まさに合体しようとしている最中です。

ただし、1つだけ仲間はずれがあります。
ひと周り大きいNGC7320だけは異なるグループです。

NGC7320は、たまたま同じ方向に重なって見えているだけで、実はずっと近く、2000万光年の距離にあります。
右上のNGC7331の4000万光年に比べると、その半分の距離しかありません。
それなのに小さいです。
NGC7320は、とても小さい銀河のようです。

さて、肝心の赤道儀の性能を振り返ってみます。
これはログを解析しました。

追尾の精度は 0.91秒 でした。
写真撮影に必要な「 1.20秒未満」を達成できました。
ハイブランドな市販品の赤道儀には及ばないものの、運用できるレベルです。

まずまずの「成功」と言ってよいでしょう。
7月のリベンジを果たすことができました。

まとめ

赤道儀の自作動画を始めて見たのがいつだったのか、記憶が定かではありません。
2024年12月ころだったのか、あるいは2025年になってからなのか、だいたいそのくらいのことだったと思います。
これから意を決して作り始めてから、あっという間に半年以上が経ちました。

望遠鏡を使った写真撮影ができるようになりました。
やっと少しばかりの達成感を味わうことができました。

過去を振り返ると、望遠鏡を使った写真撮影は、2012年6月6日の「金星の日面通過」が最後でした。

この撮影の後、どこかの時点で赤道儀 EM11 が壊れたのでしょう。
2014年10月8日の皆既月食の時に、電源を入れても正常に動作せず、それで故障と気が付きました。

それ以来、修理しようかどうか迷っている内に、仕事が忙しくなったりして10年以上の時間が過ぎてしまいました。

壊れた赤道儀 EM11 (上の写真)のメーカーは高橋製作所で、ブランド名は「TAKAHASHI」です。
日本が世界に誇る望遠鏡メーカーの1つで、この業界ではハイブランドの位置づけです。

しかし残念なことに2024年春ころ高橋製作所は赤道儀の製作と販売から撤退してしまいました。
部品在庫がある限り、まだ修理やメンテナンスはしてくれるそうですが、とてもショックでした。
このことも私が赤道儀を自作しようと思った要因の1つになっています。

さて、半年以上におよんだ「赤道儀の自作プロジェクト」でしたが、写真撮影ができるレベルに達しました。
目標とする性能を達成できたため、ひとまず「成功!」です。

今後も引き続き、使い勝手の向上と、さらなる精度アップに向け、一層の改善をしていく予定です。
使い勝手については、できればパソコン不要、スマホ1つで全て操作できるようにしようと思います。
精度アップについては、たとえば搭載しているモーターは、まだ本気を出していません。もっとパワーアップすれば応答性が上がり、さらに追尾精度が上がるでしょう。

ハンドコントローラなども追加したいですね。
夢は広がりますが、10月から別の仕事も入り、また忙しくなしそうです。
まぁ、ぼちぼちやっていきます。

データ

赤道儀のデータ

今回作成した赤道儀のスペックです。

  • サイズ : 直方体部分: 100mm×118mm×100mm 、肉厚10㎜(ただし左右の側面のみ5mm)、マウントの全長: 未測定
  • 素材  : ジュラルミン(A7075)削り出し
  • 重量  : マウント本体 5.2Kg(ウェイトシャフトやウェイトは含まず)
  • モーター: RA/DEC 共通: Nema17 0.9 deg/step 46Ncm 2.0A 1.5Ω
  • 減速比 : RA/DEC 共通: 300:1 (波動歯車=17型 100:1 および プーリー&ベルト=60:20)
  • 制御  : OnStepX Ver. 10.26.a6 Wifi Serial 9600bps on USB GPS搭載、気象センサ(気温、気圧、湿度)搭載
  • 搭載可能重量: 未測定(カウンターウェイト必須で 25Kg 以上が目標)
  • その他 :
    • ウェイトシャフト: アタッチメント式で、タカハシ、ビクセン、Skywathcer 各社のものを取り付け可能(今回はタカハシを利用)
    • 左右の側面: ビクセン小型アリミゾを装着できるネジ穴(ASI Air などを取り付け可能)
    • 左右の背面:  Sky Watcher CQ350PRO用極軸望遠鏡を取り付けるネジ穴(ネジ穴が合えば他の極軸望遠鏡の装着も可能)

 

撮影の共通データ

8月のファーストライトで撮影し、9月に画像処理をした写真のデータです。

  • カメラ CANON  EOS60Da(EOS60Dの天体写真専用モデル)、ISO2000、LPS-P2フィルタ内蔵
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 赤道儀 ゼロ(自作の零号機、本体重量5.2Kg ジュラルミン製、OnStepX による制御)
  • 三脚  INNOREL RT90C
  • 電源  DABBSSON 600L(半固体電池 768Wh, AC出力600W(純正弦波, 瞬間1200W, Boost 900W))
  • ガイド ZWO 30F5ミニスガイドコープ、 ZWO ASI120MM、PHD2 + INDI drivers on Ubunt24.04
  • 処理  Siril 1.4.0-beta3 による画像処理およびアノテーション、ペイントによるトリミングおよび名入れ
  • 日時  2025年8月30日(土) ~ 31日(日) 未明
  • 場所  茶臼山高原道路 面の木駐車場 標高約1,100m 気温19℃

M27(こぎつね座 あれい状星雲)

  • 日時 8/30(土) 21:55 ~ 22:37
  • 露出 約26分 (299秒×5枚 + 47秒 + 49秒)

M33(さんかく座 渦巻銀河)

  • 日時 8/30(土) 23:05 ~ 8/31(日) 00:46
  • 露出 約72分 (299秒×14枚 + 122秒)

NGC7331とステファンの五つ子(ペガスス座の銀河群)

  • 日時 8/31(日) 01:25 ~ 02:52
  • 露出 約81分 (299秒×15 + 64秒 + 305秒)

ダークフレーム

帰宅しながら撮影したため温度がバラバラ・・・。

  • 19℃ 299秒×5枚
  • 22℃ 299秒×5枚
  • 27℃ 299秒×5枚

 

以上です!

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

【天体観測】天の川の写真を撮って来たよ

週末は珍しく休みだったので天体観測に出かけました。

今回は三重県です。

三重県の天の川

先月とある用件でING進学塾の飯田先生とお話ししたのですが、その時に「三重県は天の川がよく見えるよね。」という話題で盛り上がりました。

といっても、塾長が三重県へ天体観測に行ったのは、もう、今から18年も昔のこと。
あの時は、雲かと見間違えるほど、天の川がよく見えたのでした。
懐かしくなって、また行ってみることにしました。

三重県と言っても南北に長いです。
星がよく見えるのは南側。
私の経験では、松阪市よりも南下すると星空がキレイになった記憶があります。

なぜ天の川がよく見えるのか

三重県の南は海。
その方向には街の明かりがなく、夜空にあるのは星の光だけ。
だから三重県では南の星空が特にキレイに見えます。

そして南の夜空といえば、春の深夜から夏にかけて天の川がよく見えます。
ちょうど、さそり座やいて座が見える方向です。

この写真は当日の帰り際に撮影しました。
三重県の天の川の見え味。
18年たっても健在でした。

逆に北は松阪市、津市、鈴鹿市、四日市市、そして名古屋市と街並みが続いています。
北の空は、夜空が街並みの明かりにかき消されてしまい、星がよく見えるとは言えません。

星をよく見るためには、こうした都会の光の影響から逃れる必要があります。

より良い星空を求めて

北は諦めるとして、問題は東西です。

西には奈良、その先に大阪。東には渥美半島の田原、その先に浜松。
少なくとも、これらの市街地よりも南の緯度まで南下しなければ、東西の星空が良くなりません。

とは言え、一晩で日帰りするとなれば、あまり遠くまでは行けません。

おまけに、三重県と言えばクマもいます。

検索すると、昨年からツキノワグマが頻出していて、過去最多の目撃情報とのこと。
ちょっと怖いので、山間部は避けることにしました。
逆に海沿いの港なら夜釣りの人たちもいて安全だろうと考えました。

そういえば大学生のころ、天体研究会というサークルに所属していたのですが、
そのサークルが利用していた合宿所が、かつての南島町にあったのでした(※)。
そのあたりまで南下すれば東西の星空も期待できます。

検索してみると、南伊勢町の贄浦漁港(にえうらぎょこう)が夜釣りで有名だそうです。
調べると夜間も自由に出入りできる広い駐車場があるようです(※)。
それなら観測もできそうです。

※南島町は平成17年に東隣の南勢町と合併して、今は南伊勢町になったそうです。
※夜釣りの可否や夜間の出入り可否については常に最新の情報を確認してください。

いざ、贄浦漁港へ

車のナビは地図が古くて途中のジャンクションを案内できず、道に迷ってしまいました。
いったん知らない土地で高速をおりて軌道修正。
30Kmほど遠回りしてしまいました。

なんだかんだあって伊勢市の手前までは高速で2時間強で行けました。
しかし、そこから下道で山を越えるのに、さらに1時間かかりました。

結局、到着したのは23時前でした。
夜釣りの人たちが2、3グループいらっしゃいました。
彼らの邪魔にならない所に車を停め、さぁ、撮影の準備です。

この写真は帰り際に撮りました。現場の雰囲気が伝わるでしょうか。
到着したときは、北斗七星がもっと高い位置にありました。

春は銀河の季節

今回の撮影テーマは「銀河」です。

宇宙の入れ子構造を大きい順に並べると、およそこんな感じです。

宇宙 > 無数の銀河 > 銀河系 > 太陽系 > 地球

私たちの太陽系は「銀河系」とよばれる1つの銀河の中にあります。
天の川は、その銀河系を内側から見た姿でした(中3理科)。
そのため銀河系のことを「天の川銀河」とも呼びます。

一方、夜空の小さな領域を望遠レンズで拡大して撮影すると、宇宙のはるか遠くにある小さな銀河が写り込むことがあります。
こうした、私たちの銀河系の外にある別の銀河のことを「系外銀河」と呼びます。
あまりにも遠くにあるため、望遠レンズや望遠鏡でしか見えないほど系外銀河は小さいのですが、実際には銀河系の仲間です。

つまり言葉の意味としては、

銀河 = 私たちの銀河系 + その他無数の系外銀河たち

ということが言えます。

春は「しし座」「おとめ座」「かみのけ座」などが見えますが、それらの方向はとくに系外銀河がたくさん写ることで有名です。
また北斗七星のある「おおぐま座」も系外銀河がよく見える領域です。

今回は身近な銀河系である天の川と、はるか遠方にある系外銀河。
その両方を撮影していきましょう。

撮影準備

贄浦漁港に到着したとき、天の川はまだ見えていませんでした。
いて座や天の川がよく見えるのは深夜3時ころです。
先にしし座やおおぐま座の銀河から撮影していくことにしました。

カメラに望遠レンズをセットしました。

塾長が持っている望遠レンズは 150㎜ F2.8。
双眼鏡より少し倍率が低いくらいのレンズです。

系外銀河の撮影には、もっと拡大したい所ですが、これしか持っておりません。
実は望遠鏡も持ってはいますが、今は故障中。

少し力不足ですが、
150㎜の望遠レンズで、どこまで銀河の姿をとらえられるのか?
挑戦してみましょう。

しし座のトリオ銀河

しし座には3つの銀河が仲良く並んでいる「トリオ銀河」という領域があります。

場所は上の星図の青い四角枠の中です(星図はステラリウムから作成)。

2025/4/26(土) 23:37 ~ 4/27(日) 00:17 露出 36分(6分×6枚)

中央に小さく3つの銀河が写っているのが分かりますか。それがトリオ銀河です。
もう少し拡大してみましょう。

それぞれの正式な名前は、右から時計回りに、NGC3628、M65、M66 です。
3つとも地球から約3500万光年の彼方にあるそうです。

つまり、この写真の姿は3500万年前の姿。
地球では南極大陸ができはじめたころ。
ちょうど哺乳類の中からサルに似た動物が出はじめた時代です。

ところで、NGC3628 は「ハンバーガー星雲」とも呼ばれています。
確かに、ちょっと潰れたハンバーガーみたいです。

しし座が西の空に低くなってしまいました。
本当は60分以上たっぷりと露出時間を取りたかったのですが、到着が遅かったこともあり、撮影を打ち切りました。
近くのおとめ座も系外銀河がたくさんあるのですが、その領域も諦めました。

ボーデの銀河と葉巻銀河

ここからは、おおぐま座です。北斗七星の周りを狙います。
最初は2つの大きな銀河がハの字に並んでいる有名な領域です。

場所は上の星図の青い四角枠の中です(星図はステラリウムから作成)。
北斗七星と北極星の間くらいです。

2025/4/27(日) 00:33 ~ 01:45 露出 72分(6分×12枚)

写真の中央付近に、渦を巻く銀河と、棒状の銀河が写っています。
中心部を拡大しましょう。

左の渦巻の銀河が M81 であり、別名「ボーデの銀河」と呼ばれます。発見したドイツの天文学者の名前が由来らしいです。

右の棒状の銀河は M82 で、別名「葉巻銀河」です。これは見た目の形が葉巻のようだからでしょう。
個人的には葉巻というよりはゾウリムシ。何やら中がぐちゃぐちゃしています。

M82 は中心部で激しい星の形成と爆発が繰り返されていることで有名です。
だから、ぐちゃぐちゃした構造に見えるのでしょう。
もしも赤外線で撮影すれば、爆発で生じた赤いフィラメントが銀河の外へ飛び出している様子が写るでしょう。

どちらも地球から約 1200万光年の距離にあります。
この2つの銀河はお隣同士で、互いに重力的な影響をおよぼし合っているそうです。

よく見ると、他にも小さな銀河がいくつか写っているのが分かります。
もっと高性能な望遠鏡で撮影すれば、たくさんの銀河が写り込むことでしょう。

これらの銀河から光が出発し、私たちに向かって旅を始めたのが1200万年前。
そのころ地球では、サルが人類に続くヒト亜科とオランウータン亜科に分かれたそうです。
また地球上では生物の大量絶滅が発生しました。隕石衝突などの説があるそうです。

回転花火銀河

北斗七星の柄の部分にも有名な銀河があります。
見かけのサイズは上で見てきたどの銀河よりも大きいはずですが、とても淡くて暗い銀河です。

具体的な場所は上の星図の青い四角枠の中です(星図はステラリウムから作成)。

2025/4/27(日) 02:02 ~ 03:05 露出 60分(5分×12枚)

画面の中央に、きれいな渦巻き構造の銀河が見えます。
M101 と呼ばれますが、その見た目から「回転花火銀河」あるいは「風車銀河」などとも呼ばれています。

渦から伸びる腕は、ぐるりと1周以上にわたって確認できます。
M101 までの距離は約 2100万光年くらいです。

よく見ると、周囲に小さな銀河も写り込んでいます。
この領域も多くの系外銀河が撮影できることで有名です。

系外銀河は、宇宙のあらゆる方向に無数に存在しています。
しかし実際に夜空を望遠鏡で観察すると、系外銀河が多い所と少ない所があるように見えます。
これは、私たちの銀河系の中で、方向によって遠くの光を遮るガスや塵の量が異なるからです。

系外銀河がよく見える方向というのは、光を遮るチリやガスが少ない方向、ということです。
そのため、銀河系の外からやって来た系外銀河の光が、途中で遮られることなく地球まで届く、というワケです。

夏の天の川

夜明けが近づいてきました。さそり座が西に傾いていました。
いて座の「矢」にあたる「南斗六星」が南中してきました。
そして、いて座の背景には天の川が広がっていました。

最後は天の川。私たちの銀河系の姿を狙います。
南の空にカメラを向け、広角レンズで撮影しました。

2025/4/27(日) 03:37 ~ 03:49 露出 12分(1分×12枚)

実際には人間の目では天の川の色は分かりません。
私の目には全体的に白く淡く見えました。
それでも、天の川を左右に分ける闇黒帯や、M20星雲、トレミー星団などは、肉眼でも見ることができました。

天文シミュレーターソフト「ステラリウム」で星座の位置を表示すると、こんな感じです。

写真と見比べて見ると面白いと思います。

夜明けとともに撤収

天の川は何通りかの構図で撮影したかったのですが、諦めました。
空がどんどん明るくなってきたからです。

東の空(写真の左手)が明るくなってきました。
港の向こうで船が動き出しました。
もうすぐ夜が明けます。

この日の天の川も、そろそろ見納めです。
さて、機材を片付けて帰りましょう。
帰りも長距離運転です。

天体写真の撮影は

今回はツキノワグマを避けて海沿いで撮影しました。

この日は水蒸気が多く、春霞の季節ということもあって、空の透明度はいまいちでした。
全体的に白っぽいベールがかかったような空でした。

それでもさすがは三重県、天の川はよく見えました。

今回の天体写真は、あまり出来が良くなかったです。
空の透明度が低かったので、写真がノイジーになってしまいました。

春霞の季節は、標高を稼いで空の透明度を上げた方が、撮影にとっては良いでしょう。
標高を上げるとなると山中に入ることになりますが、まぁクマ次第ですね。
安全第一です。

名古屋から3時間かかることを考えると、標高を稼げる茶臼山高原やしらびそ高原も選択肢に入ります。
何はともあれ、星がよく見える場所は、名古屋からとても遠いです。

天体写真の共通データ

撮影地: 贄浦漁港 (三重県度会郡南伊勢町)
撮影時刻:2025/4/26(土) 23:30 頃 ~ 4/27(日) 03:50 頃
カメラ本体: Canon EOS 60Da(天体写真用カメラ) ISO2000 + IDAS LPS-P2フィルタを内蔵装着
望遠レンズ: SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM(絞り開放)
広角レンズ: SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE(絞りF4.0)
赤道儀: Sky‐Watcher Star Adventurer GTi
画僧処理ソフト: Siril Ver. 1.2.4

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

紫金山・アトラス彗星を観測したよ

塾長です。

今週は塾はお休みです。年4回の調整休校のうちの、秋のお休みとなります。
お休みと言っても仕事はしておりますが、塾長にとっては珍しくアフター5を楽しめる貴重な1週間です。

アフター5ということで、今回は天体観測のお話です。

紫金山・アトラス彗星の大接近

紫金山・アトラス彗星

もう見ましたか?

「しきんざん あとらす すいせい」と読むそうです。

先週の10月13日に最も明るく大きく見えました。
日が沈んで空が暗くなり始めるころ、西の空の低い位置に見えたのでした。

双眼鏡が無くても、塾長の眼には見えましたよ。
もちろんスマホでも撮影できました。

とはいえ、とても地平線に近く、高度が15度くらいしかありませんでした。
建物の多い名古屋ではなかなか見るのが難しかったと思います。

15度と言えば1時間で地球が自転する角度ですね(小6理科、中1地理、中3理科)。
つまり彗星が見える時間になってから、たった1時間くらいで地平線の下へ沈んでしまうということ。
観察できる時間がとても短かったのです。

よほど熱心に観測しない限り、ほとんどの人は見ることができなかったでしょう。

塾長は写真撮影に挑戦しましたが、それが、めっちゃ大変でした・・・

彗星(すいせい)とは?

「すいせい」には「水星」と「彗星」の2種類があります。紛らわしいですね。

水星は、太陽にもっとも近い惑星です。水金地火木土天海の水ですね。太陽系に1つしか存在しません。

彗星は、「ほうき星」とも呼ばれ、尾を引く星のことです。太陽系のはるか彼方からやってきて、太陽に近づくと尾を引きます。そういう星をすべて「彗星」と呼びますから、彗星は太陽系にたくさんあります。
太陽に近づきすぎて壊れてしまうものもあれば、数十年~数万年の周期で定期的にやってくるものもあるなど、多種多様です。しかし、それらのほとんどは地球から遠くを通過するため、天文台で小さな姿を確認できる程度で、普通の人には気づかれません。

紫金山・アトラス彗星は、2023年1月9日に中国の紫金山天文台で初めて発見され、南アフリカのアトラス(小惑星地球衝突警報システム ATLAS)で存在が追認されました。周期はなんと約8万年。

ところがその軌道を調べると、めずらしく地球に近づくことが分かり、大彗星になると期待されて話題になっていたのでした。

そして今年の9月29日に最も太陽に近づき、続いて10月13日には最も地球に近づくとのことでした。
太陽に近づき過ぎて壊れるのではないかと心配されましたが、無事に乗り切れたようですね。

「この週末が観測のチャンスです!」

10月10日頃からニュースや天気予報などで、この彗星の話題が上がるようになりました。

実は9月末から10月1周目にかけては、明け方の東の空に見えていて、SNSではその写真を見るようになっていました。
とても気になっていたのです。

あった!

10月12日(土)。
この日は珍しく午後からお休みでした。
話題の彗星とやらを、ぜひ見に行くしかありません!

ヒーローズ植田一本松校から最も近い観測場となると、日進市に広がる田園地帯です。
開発がどんどん進んでいる地区ですが、西の空ならまだ広いです。

ということで、息子たちを連れて出かけました。
日没前から田んぼの中でスタンバイ・・・

日が沈んで空が暗くなってきましたが、まったく見えません。

西の空に金星が輝きはじめ、ほどなくして頭上に「こと座」の1等星「ベガ」が見えてきました。
それでも、まだ彗星の姿は見えません。

やがて夏の大三角形が全て見えるようになり、東の空は暗くなってきても、やはり見えません。
西の空には、まだ夕焼けの明るさが残っていたからです。

日没から1時間を過ぎるか否かという頃、やっと西の空が暗くなりました。
すると、ようやく彗星の存在を確認できたのでした。

「あ、もしかして、これ?」

双眼鏡でうっすらと、存在を確認できました。

それまで試し撮りをしてきた何枚かの写真を、あらためてモニターで拡大して見てみると、実は数分前から写っていたようです。
確かにありました。

「あった、これ、これだ!」

あわててカメラの向きを修正し、撮影に入りました。

その時の写真です。
画面の中央付近、電線の上に接するように、かろうじて彗星が写っていました。

低空の紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出1/15秒 トリミング(2024年10月12日18時12分ころ愛知県日進市長田にて)

しかし名古屋の空は明るく、なかなかハッキリ見えません。
そのまま、わずか15分くらいで低空の雲の中へ消えていきました。

いささか消化不良という感じでした。

スマホでも撮れた!

10月13日(日)。
前日のリベンジを果たすべく、この日も出かけることにしました。
今度は妻も巻き込んで家族を連れて出かけました。

地図で西の空が見やすい所を探し、おそらく愛知池が良いだろうと考えました。

日没後に到着しましたが、まだ空が明るいです。
前日の経験があるものの、前日とは場所も景色も違うため、また星図を確認しながら探す必要があります。

はやり日没後50分以上たってから、急に見え始めました。
前日よりもハッキリ見えました。

その時の写真です。

近日点の紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出1/13秒 トリミング(2024年10月13日18時17分ころ愛知県日進市の愛知池にて)

見れる内に見ておかなければもったいないと、写真の撮影は早めに切り上げました。
三脚からカメラを下ろし、代わりに双眼鏡を固定し、皆で見ることにしました。

試しにスマートフォンで撮影してみると、なんと写りました。

近日点の紫金山・アトラス彗星をスマホで撮影 Pixel7 トリミング(2024年10月13日18時21分ころ愛知県日進市の愛知池にて)

この日はSNSで「スマホで撮れた!」という投稿を多く見かけました。
中には、とてもきれいな写真もありました。

上の写真でも彗星の姿が分かりますが、背景の星空が何も映っていません。
やはり名古屋の空は夜でも明るく、星が見えにくいようです。

愛知池から彗星の見える方向には、名古屋市の街並みや名古屋港が続きます。
それらの明かりが空を照らし、星空をかき消してしまうのでしょう。

秋晴れとは言うけれど

10月20日(日)。
彗星観測の興奮が冷めないまま1週間が経ちました。

そしてちょうど塾は秋のお休みに入りました。
この機会に、彗星をちゃんと写真に収めようと思いました。

ということで、10月20日も出動しました。
先週と同じ愛知池です。

天気予報では「晴れ」とのことでした。
確かに晴れ間は多いものの、西の空に雲が残っていました。

現地に着くと、ちょうど彗星の見えそうな位置に雲が横たわっていました。
おまけに、空全体が先週より霞んでいます。

「何か見えるんですか?」

愛知池でマラソンやサイクリングをする人が多いようです。
夕方とはいえ人が多く通り過ぎます。
声をかけられるたびに

「いやぁ、雲でぜんぜんダメですよ。本当は彗星が見えるはずなんですが・・・。」

などと、苦笑いして答えることしかできませんでした。

結局、なにも見えないまま時間だけが過ぎてしまい、撤収することにしました。

撤収を決断し、悔しい気持ちで撮影したスマホの写真がこれす。

雲で見えない Pixel7 トリミング(2024年10月20日18:53ころ)カメラの先には、名古屋市の街並みや名古屋港の明かりに照らされた真っ白な雲が幅をきかせていました。
晴れているように見えますが、この日は空全体がうっすら白く霞んでいました。

写真中央よりやや左の雲が赤いのは、おそらく名古屋製鉄所の明かりでしょう。

ところで、星を見る人にとって、天気予報の「晴れ」は全くあてになりません。
いや、むしろ「曇り」と捉えます。

なぜなら、全天の8割を雲が占めても「晴れ」と言われてしまうからなんです。
中2理科の教科書で確認すると、ほんとうにそう書いてあります。

確かに秋は良く晴れますが、彗星が見えるほどの快晴になるかどうかは、また別問題。
そのとき、小さな雲が彗星の前にあれば、それだけで見えないのですから。

1時間で行ける星空

10月21日(月)。
週間天気予報が少し変わりました。晴れの予想が多くなりました。
そして21日は晴れていました。

どうやら今夜も撮影に行けそうです。
近日点から1週間が経ってはいたものの、SNSの投稿を見る限り、まだ彗星は大きく尾を引いていて写真撮影もできそうです。

とはいえ、相変わらず雲が気になります。

そこで、雲が多少あっても星が見えるような場所に行こうと決めました。
つまり西側に名古屋の街並みなどがない所へ行く必要があります。

塾はお休みですが。仕事はあります。
17時に職場を出て家に戻り、そこから1時間で現地に到着しなければ、撮影に間に合いません。

地図を見ていろいろ考えていると、ありました。
豊浜海釣り公園。知多半島の先です。
ここなら高速道路と自動車専用道路を使って1時間で到着できそうです。

ということで、仕事が終わるとすぐに帰宅し、荷物をまとめてナビを設定し、急いで出発しました。

しかし現地で道に迷ってしまいました。
海岸近くのコンビニで買い物がてら、場所を教えてもらい、なんとか到着。
時刻はすでに18時35分を過ぎていました。

急げ急げ!

初めて来た場所で土地勘がありません。
まずは撮影場所の確保です。
少しウロウロ歩いて、防波堤の上で撮影することに決めました。

しかし防波堤の上は風が強い・・・
ちょうど草むらがあったので、その中に身をひそめるように三脚を設置し、カメラを固定しました。
ここなら見晴らしを確保しつつ、草が風よけになります。そして海釣りの人たちの邪魔にもなりません。

やばい、やばい、時間がどんどん過ぎていく!

すごい存在感!

さて、彗星はどこだ?

35mm の広角レンズで、およそのあたりを付けて試しに撮影するも、なかなか見つからない。
どうやら、あの雲の中にあるらしい。
いや、本当に方向は合っているだろうか・・・

焦りながら色々やっている内に、やがて雲が流れ、ついにカメラの液晶画面にその姿が現れました。

「あった。場所はどこだ?」

それらしい方向に双眼鏡を向けました。

「あ、いた!」

長い尾を引く彗星の姿が視野の端からぬうっと現れ、双眼鏡の視野いっぱいに広がったのです。

ものすごい存在感。
名古屋市内で見たときとは、まるで印象がちがって見えました。

それを急いで撮影したのがこれです。

雲の隙間から姿を現した紫金山・アトラス彗星 28mmF1.8 ISO3200 露出10秒×11枚 トリミング(2024年10月21日18:55~18:58 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

思った以上に長くて立派な彗星の姿でした。
これは確かにニュースになるワケです。

この彗星の大きさが分かるように撮影したくなりました。
ほんとうは 150mm望遠レンズをメインに撮影しようと思っていたのですが、それは後回しです。

15mm魚眼レンズに付け替えて、夏の天の川と対比するような構図で撮影しました。

夏の天の川と紫金山・アトラス彗星 15mmF2.8 ISO3200 露出10秒×8枚 トリミング(2024年10月21日19:05~19:10 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

知多半島にはセントレア空港があり、ひっきりなしに飛行機が通り過ぎます。
画面の下には海が広がり、漁船の光がいくつかありました。

夏の天の川には「いて座」の「矢」である「南斗六星」があります。その矢の先端の下には赤い「干潟星雲(M8)」も写っています。
名古屋の明かりを避けるだけで、写り込む星の数がこんなにも変わります。

魚眼レンズで撮影している間にも、彗星の高度はどんどん下がってきました。
急いで150㎜の望遠レンズに付け替えました。

倍率が上がる分だけ風の影響を受けやすくなります。

時折「ごおーっ」と風が吹くと、画像がぶれて撮影が失敗します。
体を張ってカメラを風から守りながら撮影しますが、それでも2~3枚に1枚くらいしか撮影に成功してくれません。

そうやって何とか撮影したのがこちらです。

紫金山・アトラス彗星の拡大写真 150mmF2.8 ISO3200 露出2秒×13枚+4秒×8枚 トリミング(2024年10月21日19:30~19:38 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

高度が低いので、全体的に赤っぽっくなります。
夕日が赤いのと同じです。
もっと早く到着できていれば、より青くさわやかな姿も撮影できたでしょう。

撮影中のカメラの背後から、スマホで彗星を撮影してみました。
何枚かのうち1枚だけ写っていました。ラッキーです。

撮影風景の中の紫金山・アトラス彗星 Pixel7 トリミング(2024年10月21日19:06 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

彗星の撮影が終わると、頭上にはまだ夏の大三角形がありました。
夏の星座も、そろそろ見納めの季節です。
ついでに撮影しておきました。

夏の大三角形を見送る 15mmF2.8 ISO3200 露出10秒×4枚トリミング (2024年10月21日20:05~20:10 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

右上が「白鳥座」の「デネブ」、右下が「こと座」の「ベガ」。そして左下が「わし座」の「アルタイル」です。
これら3つの1等星を結んだ三角形を「夏の大三角形」と呼び、その中を天の川が流れています。
デネブの左上に見える赤い星雲は「北アメリカ星雲(NGC7000)」です。北アメリカ州を横にしたような形の星雲です。

シャッターを開けている間にも、飛行機が多く通り過ぎていきました。

振り向くと東の空からスバル(プレアデス星団、M45)が昇り、続いて月も昇ってきました。
その時の写真がこちらです。よく見ると「おうし座」のV字型の星の並びが横倒しで写っています。

昇る月とスバル Pixel7 トリミング (2024年10月21日20:19ころ 愛知県知多郡南知多町豊浜にて)

この日は夜半過ぎから「オリオン座流星群」という流れ星が見える予定でした。
体力があれば、このまま残って流れ星も写そうと思っていましたが、風が強くて寒さの限界。

それに、この薄雲を月が照らせば、きっと微細な流星は写らないでしょう。

1度はカメラを東に向けてはみたものの、撤退することにしました。

空全体に雲が点在し、この日も何だかんだで雲を気にしながらの観測でした。

車に乗り込むと中はあったか。
風がないだけで、ほっとします。

ゆっくりと名古屋へ戻りました。

 

その他の撮影データ

カメラ本体:  Canon EOS 60Da(天体写真用カメラ) + IDAS LPS-P2フィルタを内蔵装着

15mm 魚眼レンズ: SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE

28mm 広角レンズ: SIGMA 28mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO

150mm 望遠レンズ: SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG HSM

撮影は全て固定撮影で行いました。
絞りは全て解放で撮影しました(絞るのを忘れてました)。

画僧処理ソフト: ステライメージ6

画像処理: JPEG画像をベースにコンポジット、レベル調整、トーンカーブ調整を施したうえでトリミングしました。

なお、コンポジットは「加算」を基本としましたが、白く飛んでしまう場合は2段階に分けてコンポジットしました。
第1段階は飛ばない程度の枚数でグループ分けして加算し、第2段階で第1段階で得られたファイルどうしを加算平均しました。
詳細な手順の説明は省きます。

画角やアスペクト比はトリミングで任意に変えてあります。カメラ名とレンズ名から期待される本来の視野とは異なります。

固定撮影であるため、広角になるほどコンポジットでズレ量が大きくなり、望遠になるほど日周運動でのズレが大きくなります。
そのためコンポジット枚数の多いものほどトリミングでカットする領域が広くなっています。
もちろん任意に切り取ってもいます。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

塾長の趣味 名古屋でもレナード彗星を観察できるか挑戦

レナード彗星の拡大

塾長です。

今回は趣味の話です。

レナード彗星をご存じですか?

(時事問題で出題されるかもしれません)

新聞にも載っているレナード彗星

いま地球に接近中の彗星です。
水星(マーキュリー)の方ではなく、ほうき星の彗星(コメット)です。

12月5日の中日新聞などでも紹介されていました。

今年の1月にアメリカのレモン山天文台でレオナルドさんによって発見されました。それ以来どんどん明るくなって地球にも接近しています。

「もしかして肉眼で見えるようになるかも?」
「小さな双眼鏡でも、簡単に観察できるかも?」

そんな期待が高まっています。

最近は、アマチュア天文家によって撮影された写真がインタネット上に多くアップされるようになりました。
じりじりとではありますが、確かに盛り上がってきています。

レナード彗星は2021年で初めて発見された彗星です。今年はレナード彗星に始まり、レナード彗星に終わる、という感じです。

どの方向にどのように見えるのかは、アストロアーツの解説ページが分かり易いです。

2021年12月 レナード彗星が5等前後 アストロアーツ

これによると、だいたい次のように見えるそうです。

12月12日ころまで

  • 明け方の東の空に見えます。
  • 低空のため、日の出前の1~2時間くらいしか観察できません。

12月13日から年末まで

  • 夕方の西の空に見えます。
  • 低空のため、日の入り後、17時ころから1時間くらいしか観察できません。

どちらにしても太陽に近い低空の夜空に見えます。
観測できる時間帯がとても限られているので要注意です。

なぜ日の出前と日の入り後にしか見えないの?

レナード彗星は、あくまでも太陽を中心に放物線の軌道を描いています。
そして、その放物線の頂点が太陽と地球の間にあるため、地球にも接近します。

今週いっぱい、太陽の西側から太陽へ近づいていきます。
だから今週は日の出前に見えます。
しかし、それを追いかけるように、太陽がすぐ昇ってきます。

そして12月12日に地球へ最接近します。
ちょうど太陽の方向に彗星が見える日でもあります。

それを過ぎて来週になると、今度は太陽の東側へ移動します。
こうなると朝、太陽が昇った後にレナード彗星が見えることになります。
逆に夕方、先に太陽が沈んでしまえば、その後、夜空にレナード彗星が残されます。
だから来週は日の入り後に見えます。
しかし太陽に近いため、日没から1時間くらいで彗星もすぐに沈んでいきます。

どちらにしても太陽に近いため、太陽と共にすぐに夜空から消えてしまいます。
だからレナード彗星を観察できる時間が少ないというワケです。

はたして名古屋でも観察できるのか!?

名古屋のような都市部では、暗い星が見えません。

街の明かりが夜空を明るく照らすので、暗い星の姿がかき消されてしまうからです。
昼間は太陽が明るいので星の姿が見えませんが、それと一緒です。

植田一本松校の近くでは、天の川はおろか3等星すら見えにくいです。
見える星の数が少なすぎて、星座を形づくることができません。

そんな都会でも、レナード彗星を観測することができるのでしょうか?

レナード彗星が見えるのは低空の空です。
そもそもビルに囲まれていては、空自体が見えません。

そこで見えるか見えないかの前に、まず、視界の開けた場所へ移動する必要があります。

広い公園や河川敷などがよいです。

幸い、ヒーローズ植田一本松校は、車で10分もしない所に田園地帯(※)があります。
グーグルマップで調べると、ちょうど彗星が見える方角に田んぼが広がっています。

そこで日曜日の早朝に観測してみることにしました。

(※)後で調べたら名古屋市ではなく日進市に入っていました_| ̄|○
およそ名古屋ということで・・・。

見えなかったけど写真には撮れた!

観察したのは12月5日(日)の朝5時前後です。

パソコンで、その日時の星座をシミュレーションしたのがこちらです。
中心の赤丸に黄色い★印のところにレナード彗星があるはずです。

ステラリウム_撮影時刻の星空1

※使ったのは、ステラリウムという無料のプラネタリウムソフトです(超オススメ!)
※レナード彗星のマークは後から追加したもので、ステラリウムの機能ではありません。

現地に到着して、肉眼で探してみました。
見えませんでした。

双眼鏡で探してみました。7倍で口径50mmという標準的な双眼鏡です。
見えませんでしえた。

いくら街が明るいとはいえ、双眼鏡があれば4等星や5等星くらいは見つかるはずです。
おそらく6等星以下か、あるいは淡いので見えにくいのだろうと思いました。

「こりゃ、写真撮影で確認するしかない!」

と思いました。
カメラの方が人間の目よりも高感度です。
やっぱり機械に頼りましょう。

それにしても寒いです。
気温は4℃。
手がかじかんできました。

久しぶりの天体観測です。
機材の細かいクセを忘れていて、要領が悪いです。
ピントを出したり画角を決めたりするのに時間がかかりました。

それでも何とかセッティングが終わりました。

とりあえず、うしかい座の周辺を「えい、やっ!」と撮影してみました。
それがこれです(トリミングしてあります)。

レナード彗星_画像処理前

ぱっと見て最初は「ダメだ。」と思いました。

撮影するとカメラの背面の液晶に自動的に映像が映し出されます。
それがとても小さな画面なものですから、ほんとうに真っ白で何も映っていないかのように見えたのです。

しかし、そう簡単にあきらめたのでは、せっかく来た意味がありません。

気を取り直し、もう一度、カメラの小さな液晶画面を隈なく調べることにしました。
すると、よく見れば多くの星が写りこんでいるではありませんか。

さすがはデジタルカメラの威力!

そのままカメラの小さなボタン類を操作して、拡大させたりスクロールさせたりしながらチェックしていきました。
寒さで手がかじかんで感覚が鈍いです。小さなボタンなんて、押せたのか押せてないのか、よくわかりません。
かといって強くボタンを押すのはダメです。カメラの位置をズレてしまいます。

そんな感じで、要領が悪いながらも画面を隈なく探しました。

すると黄色い枠のあたりに、かすかですが、ぼんやりとしたものを見つけました。
緑っぽい色で、明らかに普通の星とは違います。

「きっと、これだ!」

そう確信しました。
写真ですら名古屋ではこんなに淡く映るのです。
肉眼で見えるわけがありません。

何はともあれ、めでたく見つかりました。
とても淡いので、たくさん撮影して枚数を重ねないとハッキリとした姿になりません。
とにかく撮影の枚数を重ねていきました。

補足 なぜ同じ写真を何枚も撮影するのか?

写真が全体的に白みがかってしまうのは、街の明かりで空が明るいからです。
デジタルカメラであれば、こんな夜空でも多くの星たちを、かろうじて写し出すことができます。
ただし露出時間を長くすると画面全体が真っ白に飛んでしまうため短時間しか露出できません。

そもそも星が見辛いのは、背景の明るさと星の明るさの差が少ないからです。
そこで何枚も撮影してコンピューターの中で重ねます。
2枚重ねれば差が2倍、3枚重ねれば3倍・・・というように重ねれば重ねるほど背景と星の明るさの差がどんどん開きます。

このように枚数を重ねれば星の姿をはっきりさせることができるというワケです。
※「ノイズが減る」という言い方をします。

自宅に帰ってから画像処理をしました。
20枚撮影したものを重ね、できるだけ見やすいように調整したのが次の写真です。

レナード彗星_星野解説

※ 2021/12/05 Sun AM 04時50分頃~05時頃まで Canon EOS 60Da  ISO3200 露出5秒×20枚 SIGMA 28mm f1.8 EX DG -> f2.8 Seiji Matsushita
※ トリミングにより写真の周辺部分をカットしてあります。

画面の下の方が明るいのは、街の明かりです。

レナード彗星の部分を拡大した写真がこちらです(違うレンズで撮影したものを拡大)。

レナード彗星の拡大

※2021/12/05 Sun AM 05時20分頃~05時35分頃まで Canon EOS 60Da  ISO3200 露出9秒×70枚 18-55mm f4.0-5.6 EF-S -> 55mm f5.6 Seiji Matsushita
※ 彗星部分だけをトリミングし、写真の大部分をカットしてあります。

バッチリと尾も確認できました!

ステラリウムとアストロアーツのページを見比べ、星座との位置関係を確認しました。
うん、確かにレナード彗星です。

ステラリウム_撮影時刻の星空2

レナード彗星が撮影できました。

実は銀河や球状星団も写っていた!?

さて、それでは他に、どんな天体まで撮影できるのでしょうか。
幸い、この日は良く晴れていました。

うしかい座の少し上まで画角を広げた写真が、こちらです。
後で調べると、けっこう色々な天体が写りこんでいたことが分かりました。

うしかい座から猟犬座まで

※ 2021/12/05 Sun AM 05時40分頃~05時45分頃まで Canon EOS 60Da  ISO3200 露出4秒×40枚 SIGMA 28mm f1.8 EX DG -> f2.8 Seiji Matsushita
※ トリミングにより写真の周辺部分をカットしてあります。

写真の下の方が明るいのは、赤池や三好、その先にある豊田方面の町の明かりでしょう。
北東の空ですから、右側が少し赤みがかっているのは朝焼けが近いからだと思います。

ステラリウムで確認すると、こんな感じです。

ステラリウム_撮影時刻の星空3

意外にも、多くの天体の存在を写真で確認することがで確認できました。

人の目には街の明かりが眩しくて、ほとんど星の姿が見えません。
しかし、ちゃんと星々の光は今でも届いているのですね!
なんだか示唆に富んでいます。

ところで、春の星座には銀河や球状星団が多いです。
写真をルーペで見ると、それらが米粒よりも小さく映っています。

球状星団は、私たちの銀河系に属している星の集団で、およそ数万光年くらい遠くにあります。縄文時代くらいの姿です。
銀河は私たちの銀河系の外にある別の銀河系たちで、およそ数千万光年くらい遠くにあります。人類が誕生する前の姿です。

今回は名古屋市郊外(ギリギリ日進市)の夜空でしたが、まだまだ捨てたもんじゃありませんね。

キレイに撮影できるかは別として、観察できる余地はありそうです。

透明度が高く、乾燥した真冬の夜空であれば近場でもチャンスがありそうです。
やり方によっては天体写真を楽しめる余地が、まだありそうです。

あとがき

撤収する頃には、すっかり朝焼けが始まっていました。

朝焼け

へび座の星々が、かろうじて姿を残していましたが、
まもなく時間とともに消えていきました。

田んぼの向こうに立ち並ぶ鉄塔の風景。

この風景だけ見れば、塾長が学生だった頃と同じです。
しかし国道153号は見違えるほど広くきれいになり、周辺の町も大きくなりました。

昨年の夏には、この田んぼで息子がオタマジャクシを捕まえて遊びました。

その息子たちが大人になる頃でも、この田んぼで星を見ることができるでしょうか。
あるいは宇宙旅行で、もっときれいな星を見ているのかもしれません。

「寒い!」

撮影で忙しくしていて忘れていました。
とても寒いです。

さぁ、街の明かりの中へ戻り、コンビニで温かい肉まんを買って暖を取りましょう。

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

子供を連れて名古屋大学の「名大祭」に行ってきたよ

名大祭の写真

こんにちは。ヒーローズ植田一本松校の塾長、松下です。

日曜日は塾長ではなく普通のパパに戻ります。子供2人を連れて名古屋大学の学祭「名大祭」に行って参りました。朝は梅雨らしく曇っていましたが、昼からパッと晴れて夏らしくなりました。

上の子は中学1年生。小学生になってから毎年のように連れて来ています。下の子は2歳半で、昨年から連れてきています。「大学の楽しさ」「世界レベルの研究」を目で見て手で触って、アカデミックな雰囲気を肌で感じて欲しくて。

名古屋大学と言えばグリーンベルト

昔から名古屋大学の門はどこか不明ですが、雰囲気的に入り口らしいグリーンベルトの横が毎年ゲートになります。今回は令和になって最初の学祭になりますが、記念すべき第60回でもあるそうです!

名古屋大学の学園祭。門の前の写真。

名古屋大学の学園祭。門の前にて。

まず最初にパンフレットをもらいました。毎年来ているので、もらえる場所を知っています。今年は例年に比べて出店の数が少なかった印象です。うちの子たちは毎年「スーパーボールすくい」、「てっぽう」や「輪投げ」など、およそ全ての出店の勧誘につかまって、なかなか前に進めません。今年もそうなるだろうと、小銭を握りしめて覚悟していましたが、拍子抜けでした。

とりあえず暑いので地下鉄に隣接した学内のコンビニで飲み物を買いました。その足で、そのままグリーンベルトを渡って博物館へ行きました。

名古屋大学博物館で縄文土器を見たよ

まず名古屋大学博物館の展示イベント「アフリカから東山キャンパスまで:名古屋大学が収集した考古資料」を見に行きました。

入るとすぐに歴代の電子顕微鏡が展示されています。
その奥にはネアンデルタール人の化石や5~7万年前の石器などが展示されています。どれも本物です。旧石器時代の石器「ハンドアックス」が想像以上に大きな石のかたまりでした。私の手では片手で持てません。隣には、それでイノシシを狩る様子の想像絵がありましたが、それを見て大きさに納得しました。

さらに奥に行くと、縄文土器や土偶が展示されています。これまた本物が当たり前のように並んでいます。学校では縄文土器の特徴を「厚手でもろい」と教わりましたが、そんなことはありません。すでに縄文中期には弥生土器にも似た薄手で上品なものが存在していたようです。

最近の考古学では縄文時代の文化が見直されていますから、この先、教科書の説明もどんどん変わっていくでしょう。ただし今の段階では、学校のテストで縄文土器のことを「薄手で上品」なんて書いたら、きっと×をもらうでしょう。塾で生徒に教えるときは要注意です。

ちなみに本物の隕石も展示されてました。「隕鉄」といって、石というよりは、ほとんど鉄の塊に見えます。手で触ったり、磁石がくっつくことを確かめたりできました。「こんな簡単に触っちゃったけど、本物なんだよね!?」というくらい身近にポンと展示してありました。逆にビックリです。

子供が毎年ハマる石の世界

博物館を後にしてから、名古屋大学付属高校の方にある全学教育棟に移動しました。私は天体研究会のプラネタリウムに行きたいのですが、中1の息子は、その前に行きたいところがあるみたいです。

化石鉱物同好会による「石の世界へようこそ!2019」

名大祭で黄鉄鉱の結晶を探す様子の写真

黄鉄鉱の結晶を探せ!

石のことを研究している「化石鉱物同好会」というディープなサークルがあります。そこで、勾玉で有名な翡翠(ヒスイ)の原石を見つける体験、砂の中から黄鉄鉱の結晶を見つける体験、琥珀を磨いて持ち帰れる体験、岩塩をキレイに割って持ち帰れる体験などをさせてもらいました。さらに出口のところで、好きな石を1つ選んでプレゼントまでしてくれました。正に至れり尽くせりのオモテナシでした。こうして年に1回、我が家には石のコレクションが増えていくのです。きっと来年も増えるのでしょう。

そうやって中1の息子が石の世界を堪能している一方で、2歳の子は直ぐに飽きてしまい、会場から外へ脱出してはグリーンベルトまで走っていくのでした。私はそれを何度も追いかけて、何度も連れて帰る、というのを繰り返していました。さすがに2歳の子に石の世界は分からないですからね。

大学生自作のプラネタリウム

続いて私が学生時代に所属していた天体研究会による「銀河鉄道931」へ行きました。

中1の息子は星占いを申し込み、出て来た結果を読んでいました。私は学生たちが撮影したキレイな天体写真に見入っていました・・・なんていう暇は私には無く、2歳の息子が学生のお菓子を横取りしようとしたり、展示物を壊そうとしたりするので「こら、こら、ちょっと待ったー!」といって追い掛け回しっぱなしでした。

そんなわけで写真を取り忘れました・・・。

本当は名物のプラネタリウムも見たかったのですが今年は諦めました。どうやら2歳の子が、う〇ちをしたようです。オムツを取り替える方が先です。さすがにその状態で密室のプラネタリウムに入るわけにはいきません。全員が毒ガス中毒になってしまいますからね。

コンビニに買い物に行き、ビニール袋をゲットし、広めのトイレを探してオムツ交換をしました。

お昼は学内のスターバックスで

学祭と言えば、焼きそば、たこ焼き、玉せん、というのが定番ですが、今年は出店が少ないことから、かえって行列の長さがハンパなく長かったです。ちょっと子供2人と一緒に30分待ちとかは無理かなと判断しました。

名古屋大学のキャンパスは広いので、学内にいくつものカフェや食堂があります。例えばコンビニが2店舗とスターバックスコーヒーが1店舗あります。

今年はスターバックスに行きました。BBQポークとハム&マリポーチーズ、飲み物は抹茶フラベチーノとマンゴー パッション ティー フラペチーノを買って、図書館前の池の横で、ベンチに座って食べました。

名大生が宇宙開発!?

昼食を済ませてから教育棟本館に行きました。そこでまず、名古屋大学宇宙開発チームNAFTというサークルの展示会「Link Space ~宇宙を身近に~」に行きました。これまた昨年に続いて2回目です。

このサークルはなんとロケットやロボットを開発しています。開発費は学生たちが持ち寄った資金と、ボーイング社の協賛金だそうです。

会場では大島で打ち上げたロケットの実物が展示されていて、それを打ち上げた時の動画も流れていました。

なぜか2歳の子がロケットに食いついて触りまくりでした。なんでだろう?
上の子の方は、ボール型のロボットに興味が沸いたようで、実際に開発した学生に質問をたくさんしていました。

また面白かったのが、宇宙船と地上の管制塔とのコミュニケーションを模倣した、体験型の実験でした。壁を隔てて席が向かい合っています。そこに私と息子が座ります。私の手元にはレゴで組み立てた変な形の完成品があります。しかし壁があるので息子からはそれが見えません。息子の手元にはバラバラになったレゴの部品があり、使わない部品も混ざっています。もちろん私からは見えません。私は言葉だけで息子に指示を出し、息子にレゴを組み立てさせ、同じものの完成を目指す、というものでした。

実物を見ることができれば簡単な作業のはずですが、とても苦戦しました。それでも途中から、不明点や形状の確認について息子から質問してくれるようになり、コミュニケーションの効率や正確さが発展していくのを体験しました。最後には無事に完成できて良かったです。膝の上にいた2歳の子が完成品をいちいち壊して邪魔された、というのは体の良い言い訳です。

名大生がつくったiPhoneアプリ

子供が「ゲームをしたい」というので、今度はアプリ開発団体 jackによる「IT Fes-アプリ展示・体験会」に行きました。

何という名前のゲームか聞きそびれましたが、かなりハマるゲームのようでした。パパは暇でした。

名大祭で大学生が作ったゲームにチャレンジしている子供たちの写真

大学生が作ったゲームにチャレンジ!

締めは本格マジック!

最後に、名古屋大学奇術研究会による「クロースアップマジックショー」に行きました。10人以上が並ぶ大盛況でした。

並んでいる途中で、2歳の子がまさかの2度目のう〇ち。上の子に列に並んでもらっておきながら、急いでオムツ交換へ走りました。なんだかんだ時間がかかってしまいました。列に戻ると上の子がポツンと列の先頭で本を読んで待っていました。私たちが戻るのが遅くて、2回くらい飛ばしてもらったそうです。寂しい思いをさせてしまいました。実は午前中に名大祭のイベントの1つ「古本市」にも立ち寄って、そこで「最新の宇宙像」(ジョージ・ガモフ著、小尾信彌訳、1959年)という宇宙の本を100円で買ってあげていました。それが暇つぶしになったのが幸いでした。

マジックはプロなみのものでした。コインのマジックとカードを使ったマジックを目の前の直ぐ近くで披露してもらいました。目の前にある4枚のエースが次々に消えて、それが箱の中に揃っていた時には、びっくりしました。本当に不思議でした。どうなってるのかサッパリわかりません。上の子はカードや箱を手に取って何度も確かめ、何とか種明かししようとしましたが、何とも成りません。パパも全く分かりません。

とても楽しかったです。

何かに夢中になることは素敵なこと

研究でも趣味でも、何でも夢中になることは良いことです。普通の人では気づかないような面白いことをたくさん発見できます。そして、そういう人の話を聴くと、ただの石ころにも興味が持てたり、目の前の手さばきが魔法のように感じられて感心するものです。そうやって人に新しい知見や驚き、喜びを与えることができます。

分野は問いません。子供達にも何か夢中になれるものを見つけて欲しいと思います。

 


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