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家庭学習

【中1版】家庭学習は何をしたら良いですか?

勉強の仕方が分からない様子のイラスト

塾長です。

中学校へ進級して最初にとまどうのが「家庭学習」かもしれません。

何時間勉強したらよいか分からない。
何をしたら良いか分からない。

実際、この時期は直接的にも間接的にも、家庭学習についての質問が多いです。

「塾に入ったから安心」とはいかないため、今回は家庭学習のやり方について書きます。

愛知県は勉強の中1ギャップが激しい

先週は小中学校で全国学力調査のテスト(いわゆる学調)が行われました。
文部科学省が主導で全国一斉に実施されましたが、成績には関係ないのでご安心を。

ただし、愛知県はこの学力調査の結果がヤバイです。
なんと、他の都道府県と比べて

  • 小学生は全国最下位レベル
  • 中学生は全国トップレベル

という不思議な状況。
小学生から中学へ一気にレベルアップするんです!

東京、大阪、名古屋・・・ということで、愛知県は都会の規模に見合った学力があると思われがちです。
ところが、そのイメージが当てはまるのは中学以降のようで、小学生はむしろ底辺です。

つまり中学に入ってから、めっちゃ勉強しなければならないってことです。

小学生の時にサボっていた分を中学で一気に取り返す?
それが愛知流?

理由はよく分かりません。

ただ、そのしわ寄せが中1に来てしまうのは想像しやすいでしょう。

そのため中1では意識的に勉強時間を増やさなければいけません。
意識や生活習慣を大きく変える必要です。

いわゆる「勉強の中1ギャップ」です。

しかし短期間で詰め込める生徒は限られています。
全体が一律に急にレベルアップできるわけではなく、学力の格差が発生しやすい状況と言えます。

本当は他県と同じくらいに小学生のうちから勉強して欲しいものです。
小学生のうちに、教科書の音読、漢字練習、計算練習くらいは、ちゃんと他県並みにやって欲しいです。

【参考資料】

「全国学力テスト・小学校 2023年 都道府県別順位(令和5年度)」 MEMORVA
https://memorva.jp/ranking/japan/mext_gakuryoku_test.php

など

よくある勘違い

以上のことを踏まえて、家庭学習の方法を考えましょう。

まず、まだ家庭学習が習慣になっていない段階から、いきなり「無理をしない」ことです。
しかし、この時点でもう落とし穴があります。

「無理をしない」とは勉強時間が少ないことではありません!
やっぱり勉強時間が小学生と同じというのはダメ!

「無理をしない」とは

  • 無理に予習をしない
  • 難問に手を出さない

という意味です!!
つまり

一人でもつまずかない勉強をする

が基本になります。

家庭学習です。
先生や講師がいなければ困ってしまうような勉強をしたら、すぐに手が止まってしまいます。
だから困らないような勉強から取り組めばよいのです。

その代わり、毎日コツコツやりましょう。

できる事からやる!

ここがポイント。超重要です。

ここを勘違いして勉強時間を減らすのはよくありません。
間違っても、

「まだ中学生活に慣れてないから・・・」

という理由で1学期の勉強時間を「小学生レベル」にしないようにしましょう。

よくあります。
気持ちは分かります。
でも、よくありません。

特に愛知県は!

上で書いた通り、愛知県は小学校でサボった勉強を中学で挽回する必要があるのです。
まず勉強時間を増やすために「つまずかない勉強」を多くすることから考えましょう。

「書き取り」と「熟読」から始めよう

それでは「自分でできる勉強」「つまずかない勉強」とは、具体的に何でしょうか?

  • 教科書やノートを隅々までよく読む。
  • 教科書に出て来た用語を何度も書き取りして書けるようにし、意味を正確に暗記する。
  • 学校で配布されたワークやプリント類(学校で習った範囲で、できそうな問題)

これが基本です。

そして「書き取り」は漢字や英単語だけではありませんよ。
理科や社会でも、テストでは「用語」や「人物名」を漢字で書けなければバツになります。

ちなみに保健体育や技術家庭科、音楽のテストでも同じです。

まずは「書き取り」や「熟読」をよく反復してください。
それらができないのに、より高度な勉強をやろうとしても手が止まってしまい、家庭学習の勉強時間を増やせません。

まず、上の基本を毎日コツコツやりましょう。
そして習慣になるようにしましょう。

慣れてしまえば、1日15分~30分くらいの勉強時間です。

1日に新しく出てくる単語や漢字などは、ほんの数個ずつでしょう。
何日もため込むから暗記が大変になるのですよ。

学校の先生の話をよく聞く!

ところで、教科書やノートを熟読するには、次の「大前提」があります。
それは

「学校の先生の話をよく聞く」

ということです。

学校の先生は教科書に沿って指導し、ノートをまとめているはず。
そして学校のテストは学校の先生が作る。

だから教科書やノートを読むときに、学校の先生の説明が頭に浮かんで来れば、それだけ理解が速いです。
10回読まなければ分からないことが、2~3回読めば分かるようになっているでしょう。

すると、余裕ができて、もっともっと、教科書やノートの隅々まで目が行くようになります。
こうして、授業を真剣に聞いている生徒と、ボーっとしている生徒では、どんどん差がついてしまいます。

「学校の先生の話をよく聞く」

授業なのだから、当たり前ですよね。
ところが、これが奥が深いです。

実際、まだまだ、できない子が多いです。
だから中学生になっても引き続き、要練習です。

ご安心を。
大人でもできないことがあります。

そこで、ちょっとコツを書きます。

学校の先生の話をよく聞く秘訣は、ノートにあります。
ノートを素早く書けるスキルが重要です。

学校でノートの取り方

授業中は黒板を書き写す時間ではありません。
新しいことを理解して覚える時間です。

とはいえ、ノートを書くのが大変ですよね。
けっこう時間を使います。
うかうかしていると、ノートを書く前に先生が黒板を消してしまうかもしれません。

すると、ここで

  • 授業を聴ける生徒
  • 書き写す作業で手いっぱいな生徒

という差が出てしまいます。

ですから、ノートの取り方を覚えれば、先生の話をよく聞けるようになるでしょう。

その秘訣は、ズバリ、

「覚えてから書け!」

です。
みなさん、黒板からノートに書き写すとき、何文字ずつ転記してますか?

1文字ずつ? ・・・それは何も覚えられません。
2~3文字ずつ? ・・・いやいや、それもダメです。

1単語ずつ? ・・・それでは要点の意味が分かりません。

1文ずつ? ・・・これが最低ラインでしょう。

だって黒板に書いてあることは、学校の先生がその場で説明したことですよ。
先生の話をよく聞いていれば、その時点で書いてあることの半分くらいは頭に入っているはず。

つまり、最低でも1文くらいは丸ごと覚えましょう。
そして覚えたものをノートへ一気に書き写してください。

慣れてきたら、2文ずつ。
もっと慣れてきたら、3文ずつ。

究極的には、その場ですべて頭に入れ、教科書に書いてない事だけノートにメモするようにします。
まぁ、このレベルになったら偏差値70超えてますけれど・・・

これが、ノートを書き終わったときに、その内容をよく覚えているのか、何も覚えていないのか、の違いです。
2~3文字ずつ書き写しているようでは、何も頭に残りません。

「あとで覚えればいいや・・・とりあえず写しとこう。」

そういう気持ちでノートを書き写していると成長しません。
絶対にダメ。
それは授業に参加していることにはなりません。

黒板を1字ずつ転記するのではダメ。

最低でも1文ずつ。
慣れてきたら2文ずつ。3文ずつ・・・。

ノートに書こうと思ったときは、1度は暗記し終えている状態。
それを授業の1瞬、また1瞬と積み重ねます。

ちょっと古いですが「全集中」です!
(あ、でも5月からまた次のシリーズが放送しますね)

それでも1時間経ち、2時間経ち、半日経てば忘れてしまうでしょう。

だから、家庭学習で教科書やノートを読み返し、完全に忘れる前に、また思い出すのです。
すると、記憶が定着しやすくなります。
(このあたりの理屈が知りたい人は「エビングハウスの忘却曲線」などを調べてください)。

しかし授業中に1度も覚えていないなら、思い出しようがありません。
その時点でかなりの差がついているということですね。

本当に学校の先生の話をよく聞いていれば、ノートもまとめて取れるはずです。
最初は難しくても、それができる事を目指して、日々の授業をよく聞きましょう。

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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成績の9割を決めるポイントで勉強を加速させる方法とは

あじさいを背景とした「6月の勉強」

塾長です。

小中学校では昨日から新学期の勉強が始まりました。

コロナ臨時休校の間に、家庭学習で予習を進めることができたお子さんもいるでしょう。
しかし、油断は禁物です。
できた「つもり」は危険です。

予習が進んでいるのは見せかけかもしれません。
おごらず、油断しないでください。
学校の授業を真剣に聞いて、勉強のヌケ、モレを見つけていくようにしましょう。

そこで6月の学習テーマとして、今回は

「勉強した『つもり』の総点検!」

というお題で書きます。

「勉強したのに点が取れない」

になってしまう理由と対処にいて、中学の英語と数学を例に書きます。

生徒が良い成績をとるためのサバイバル作戦として読んでほしい

最初にお断りしておきますが、今回のブログで書く指導法は、本当の勉強でもなければ、正しい学力の評価でもありません。
ちょっと残念な現状において、少しでも生徒が有利に評価されるための護身術です。

日本の教育は素晴らしいですが、次の観点で見ると、残念な欠陥もあります。
その欠陥が当面の間まだまだ運用されるのですから、その教育を受ける生徒としては護身術を覚えるしかありません。

成績の9割が決まるポイント

学校にしろ塾にしろ、日本の現状の教育においては、生徒の学力の測り方はとても偏っています。
非常に辛い現実として、子供たちの成績は次の観点で9割が評価されてしまいます。

  • 正確な暗記力(文字列の解析能力)
  • 文脈から答え方を正確に推測する力(空気を読む能力)
  • 短時間に多くの類題をミスなくこなす力(事務処理能力)

こうした能力は知性を鍛える「過程」においては欠かせない必要条件です。
しかし評価という「結果」の採点に使って良いのかといえば、それは話しが別です。

人工知能が得意な能力で人間を評価すべきか

人間の能力はもっと多様だからです。
第一これから先、上のような能力は、ほとんど人工知能がやってしまうようになるからです。

たとえ上のような能力に優れた人間を社会に排出しても、正直、あまり役に立たないです。
コンピューターの無かった時代は、人間が電卓になり、ワープロになる必要がありました。
しかし、もうそういう時代ではないのですよ。

人工知能と生身の人間を競争させ、優劣を競い合わせるのは、人工知能が勝つに決まっている出来レースであり、消耗にすぎません。

読み、書き、そろばん・・・もう終わりにしましょう。
どんどん学力の評価軸を「多種多様な表現」や「人間らしさ」に置き換えていきましょう。

国の教育が変わるまでの護身術

と言いたいのですが、残念ながら現場はすぐには変わりません。
残念ながら教育が変わるのには時間がかかり、その間に生徒はどんどん卒業していきます。
こうした辛い現実があるのは大人のせいであって子供のせいではありません。

従いまして、現状の評価で少しでも有利に点数が取れる「護身術」を生徒が身に着けるのは、決してズルいことではありません。
むしろ仕方のないことです。

ズルいのは、現状を変えず、自分の価値観さえ満足すれば良いと、その場しのぎで仕事をしている大人の方なのですから。
そういう大人たちは、学んできた学力を「できない理由を並べる」ために使っています。

誰がそうなのか。
子供たち、よく見ておきましょう。
そして16歳以上になったら、選挙権を行使してくださいね。

どんどん進む割には点数が取れない「作業癖」の子供たち

前置きが長くなりましたが、本題に入ります。

  • 間違えを隠して「できたことにする」
  • 勉強ではなく「作業」をしてしまう

このようなお子さんは、机に向かう時間が多い割には点数が取れません。
自宅学習がポンポン進んでいるとしたら逆に要注意です。

かわいそうなので何とかしてあげたいです。
単に何も考えずに突っ走っているなら心配ないのですが、中には・・・

できた時には褒められるかもしれないけれど、間違えた時には叱られる、馬鹿にされる。

そのような辛い経験を繰り返してしまったお子さんは、間違えることに後ろ向きな気持ちを持っています。
トラウマか、その一歩手前です。
その心の傷から自分を守るために、

  • たくさん書いたから褒められた
  • たくさん〇がついたから褒められた
  • たくさんページが進んだから褒められた

という評価を求めるような行動パターンが身についてしまっています。
しかも小学生までは、雰囲気やあいまいな暗記でも点数が取れました。
だから、それが勉強だと勘違いしやすいです。

なぜ中学生になると点数が取れなのか

しかし中学生からは1文字でもミスしたら減点です。
このような「作業」的な発想では、中学の勉強を正しく進めることができません。

小学校のテストとは違います。
中学校のテストは「正確な暗記」と「細かい暗記」をしておかなければ点数が取れません。

だから、特に中学1年生は要注意です。

だから、暗記を精密に鍛えることが勉強の大部分になります。

少なくとも、テストや受験で教科書やノート、電卓を持ち込んでもよくなる時代になるまでは・・・

とにかく現状において子供たちが点数を取るためには、テストのリハーサルを多くこなすことが必要です。
テストを受ける前に、できるだけ多くの間違いをたたき出し、それらを修正して弱点をつぶしておかねばなりません。

つまり問題を解いたら「間違い」を大切にし、それを周囲の人に知らせ、早くアドバイスをもらう姿勢が必要です。

中学生からの勉強とは、間違えを大切にし、共有し、改善することです。
間違えることに対して前向きな気持ちを持っていなければ勉強になりません。

小学校のときに身についてしっまった「作業癖」から脱却できず、勉強している「つもり」が「勉強」になっていない状態で中学生になってしまう。
このような意識のズレを「中1ギャップ」と呼ぶ人もいるそうです。

もちろん「中1」に限らず、成績が伸び悩むお子さんは何年生であろうと同じ課題を抱えています。

自宅学習では、このギャップを埋めることがなかなか難しいです。
指導経験者でないと子供がやっているのが「作業」なのか「勉強」なのか、なかなか見抜けないものです。

一字一句を正確に「言わせる」

したがって自宅学習で予習が進んだからと言って、それが順調とは限りません。
そうなると臨時休校が明けた、この6月にやっておくべきことは

「やったつもり」

の総点検となります。
理解が浅いまま「作業」だけで進んでしまった所を見直して、「勉強」としてやり直しましょう。

理解できているか否かのチェックは簡単です。

説明が正確にできるかどうか、子供に説明させればよいのです。

「太郎くん、数学はだいぶ予習が進んだようだね。」

「はい、学校課題の穴埋めプリントは教科書を見ればわかったので、自分で全部終わらせました。」

「けっこう、けっこう。それじゃ、『絶対値』の意味を言ってみてくれるかな?」

「絶対値・・・。ええと、例えば -10 なら10とか。」

「そうだね。教科書には絶対値の意味をなんて説明していたかな?」

「ええと、プラスとかマイナスとかを外した数のこと?」

「残念。新しい言葉が出てきたら、その意味を正確に覚えようね。「絶対値」を漢字で書かせたり、その意味を書かせるような用語の意味を問うような、国語みたいな問題が数学のテストでも出題されるよ。だから必ず用語の意味は正確に覚えてね。」

「あ、はい。」

「絶対値の意味は、数直線において原点0からの距離だよ。教科書でも塾のテキストでもいいから、絶対値の意味が載っている所をよく見てごらん。」

こんな感じチェックしていきましょう。

それでは中学生の数学と英語について、もう少し具体的な例で見ていきます。

数学の勉強の仕方

下の図は、中学2年生の数学です。
例年であれば5月の学習内容ですから、予習が順調に進んでいる生徒ならば学習済みかもしれません。

あなたなら、どのようにしどうしますか?

中2数学_文字式の利用_文理ー1

これを一字一句チェックできる子に指導していきましょう。

問題文をよく読む

まず問題文の意味をどれくらい正確に分析して理解できるか。これを生徒に言わせてください。

各位の数の和が9である3けたの自然数は9の倍数になる

この1文の採点ポイントは次の通りです。

  • 「各位の数」の意味と例を言わせる
  • 「各位の数の和」は、上で言わせた例ではいくつか言わせる
  • 「自然数」の定義を言わせる
  • 「9の倍数」を列挙させる
  • この一文から「仮定」と「結論」を抽出して言わせる

同様に問題文の2~3行目についてもチェックします。

  • 「百の位をx、十の位をy、一の位をzとする」は、上で言わせた例でどう対応するか言わせる

4~5行目について

  • 「3けたの自然数」をx、y、zで表した式を言わせる(書かせる)
  • 「各位の数の和が9である」をx、y、zで表した式を言わせる(書かせる)

回答形式をよく読む(空気を読む)

この問題は穴埋め形式ですから、出題者の意図する答え方の文脈が読み取れないと回答できません。

出題者の意図を読み解く一番の方法は「結論から逆算する」という読ませ方です。

  • 問題文の「仮定」と「結論」をもう一度言わせる
  • 「結論」の式がどんな形になっているべきかを言わせる
  • 「結論」の式が登場するのはア~オのどこだと思うか言わせる
  • その式の形式に向かって「9の倍数」と「その他」に式を変形するというヒントを与え、ア~オのどこがそうなっているか言わせる

こんな感じで問題文の解釈の仕方を言わせながら進め、どこが言えないか(勉強したつもりになっていたか)をチェックしながら復習を進めましょう。

このように問題文を定義通りに精密に読む力と、空気を読む力の両方を鍛えるのが勉強であると自覚させながら進めるのです。

英語の勉強の仕方

中学1年生の英語といえば、最初は「英語習字」と呼ばれるアルファベットの「書き方」の指導および英語の発音の指導がメインになるでしょう。

発音(フォニックス)は、アルファベットの数およびshなどの2文字発音の数だけチェックポイントがあるので、ここでは省略します。

少なくとも書き方については以下のチェックポイントがあります。

  • 大文字25文字の形、大きさ、位置のチェック
  • 小文字25文字の形、大きさ、位置のチェック
  • 文頭および名前の1文字目は大文字で書く
  • 単語と単語の間は1文字開ける
  • 文末はピリオドを打つ
  • YesとNoの後にはカンマをつける

などです。

これらを何か書くごとに生徒に言わせてみてください。
講師が説明してしまったら台無しです。
勉強した「つもり」をチェックするのですから、生徒に言わせてみてください。

それでは中学3年生ならどうでしょうか?

下の図は中3の受動態の問題です。
例年であれば5月の学習内容ですから、予習が順調に進んでいる生徒ならば学習済みかもしれません。

あなたはどのように指導しますか?

中3英語_受動態の穴埋め問題_文理ー1

これを一字一句チェックできる子に指導していきましょう。

問題文をよく読む

中学3年生であれば、まず大まかな語順を知っている必要があります。

  • 一般的な英語の語順について説明させる
  • 受け身の語順について説明させる

主語と述語から書けばよいことを確認したら、次に問題文の解釈に移りましょう。

  • 問題の日本文について「主語」と「述語」がどれか言わせる
  • 表現や文法のポイント(受け身、時制など)を言わせる
  • その「主語」と「述語」を英語に訳させる

基本的に英作文は主語と述語が訳せれば、もう半分は終わりです。

回答形式をよく読む(空気を読む)

あとは回答形式に合わせて、抜けもれなく答えを書くようにチェックさせましょう。

  • 問題の日本文と英文の対応を1語1語もれなく確認させる
  • 英文で欠けている部分に対応する日本語について、英語に直す
  • 複数の英訳を思いついたら、回答欄と語数の合うものを選ばせる

たった1行の穴埋め問題ですが、こうした基本問題ほど、内容をしっかりと言葉で説明できることが大切です。

結局のところ学力とは文字列の解析力

人間の表現手段は文字だけではありません。
顔の表情や声の抑揚、ジェスチャーなどによる体を使った表現も可能ですし、絵や図、楽器などによる表現もあります。

しかし、冒頭で書いたように、学校のテストで評価される対象は文字列での処理能力です。
なぜなら文字列のペーパーテストがもっとも実施しやすいからです。

だから文字列の解釈と文字列のアウトプットが優れてさえいれれば、5教科全体の成績が上がりやすいです。

いわゆる「国語力」とは違う

ちなみに、これを国語力とは呼ぶのは早計です。
教科ごとに文字列解釈の語彙やルールが違うので、教科ごとに訓練する必要があるからです。
国語だけ勉強していても、数学や理科の問題文を解釈できるようにはなりません。

いずれにせよ、こうした現状の成績評価は、人間の能力を測るにはあまりにも偏っています。
子供たちが持っているかもしれない、多くの才能を見つけることができず、評価できていないかもしれません。

そういう意味では、上で書いてある勉強の指導は、小手先のテクニックに見えるのかもしれません。
それには私自身も同意しています。

しかし今の時点で子供たちに広い視点で評価をしてあげたとしても、学校の成績が不利になるのであれば、結局は子供が不幸になります。
日本の教育がより進化するその日までは、子供たちに降りかかる火の粉をテクニックで防いであげるしかないでしょう。

たとえ学校でICT活用が進んだとしても、単に教科書の表示がPDFやパワーポイントに置き換わっただけであれば、当面、この状況は変わりません。

偏った成績評価を打開するために

論外のレベル

学校では数年前に、やっとのことで漢字や仮名の「とめ、はね、はらい」が採点基準から除外されました。
これに伴って学習塾でも、そこにこだわらない指導に変化してきました。

フォントによって異なる字体の表現を、先生の好き嫌いをルールにして採点しないように、ということになりました。

しかし似たような問題はまだまだ残存しています。

  • 英語のテストで筆記体で書いたら減点された
  • 社会や理科のテストなのに用語を平仮名で書いたら減点された
  • 数学の証明問題で、証明の過程がすべて正しいにもかかわらず、最後の合同条件の記述から「それぞれ」が漏れたので減点された

などなど、人間を「文字列編集マシン」に仕立て上げようとする「評価の暴力」が、まだまだ根強く存在しています。
学校だけではなく、模試など民間の採点基準も同様です。

テストは教科書を持ち込みOKにすべき

こうした悲しい現状を早く脱するためには、どうすべきでしょうか。

テストに教科書や授業ノートを持ち込み可能にしてしまえばよいと私は思っています。
たったのそれだけで、大部分の問題が解決されるでしょう。

何ならGoogle検索も許可してしまえばよいと思います。

もっともっと言ってしまえば、テスト不要です。
普段からの取り組みをちゃんとロギングできていて、それを集計できる環境さえあれば、むしろ評価のためにわざわざテストするなんて、時間の無駄でしかありません。

このような理想の教育を目指す過程でICTの導入があるわけです。

アフターコロナやGIGAスクール構想で、これから急ピッチに学校のICT化が進みます。
それを「やらされ感」で使うのであれば、何も良くなりません。

国家100年の計のスタートに私たち教育者は立っています。
そのような気持ちで教育の進化に取り組んでいきたいですね。

 


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