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M27

【天体観測】夏の星空観察 2026

夏休みに入り、梅雨も明けました。
夏休みの自由研究、もう決めましたか?

塾長は、宇宙を調べます!

ペルセウス座流星群を見よう

毎年、8月12日~13日は「ペルセウス座流星群」が見られます。
お盆休みと重なるため、話題になりやすい天文現象です。

なんと、今年は新月と重なり、流れ星が見やすいです!
もし晴れれば1時間に数十個の流れ星が見えるかもしれません。

詳細は、アストロアーツの「星空ガイド」が参考になります。

「2026年8月13日 ペルセウス座流星群が極大」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/14244_ph260813

帰省やキャンプなど、よく星が見える場所に出かけることがあれば、ぜひ観察してみてください。
各地で観望会も計画されているようです。

ちなみに、

  • 流星群とは、流れ星がたくさん見られること
  • ペルセウス座から広がる方向へ流れる

ということから「ペルセウス座流星群」と呼ばれます。

夏の天の川を見よう

天の川、見たことありますか?

夏の夜空と言えば、天の川。
小説「銀河鉄道の夜」はじめ、アニメや映画で描かれる天の川は、たいてい夏の夜空です。

とはいっても名古屋では、なかなか見るのが難しいでしょう。
山や海に行けば、見られるかもしれません。

環境省の「観察シート」を使おう!

環境省が星空の観察を呼びかけています。
令和8年度夏の星空観察について」(環境省の「星空観察」ページより)

このページからダウンロードできる「観察シート」が便利なので使ってみましょう。

肉眼観察シート」(環境省)

自分たちの地域で、どれくらい星がよく見えるのか調べてみましょう。
これもすぐに自由研究になりますね。

天の川はどこ?

下の図は「ステラリウム」というアプリの画面です。矢印の間に天の川があります。

夜9時ころ、南の空を見てください。
さそり座、いて座、の2つが見えているでしょう。

天頂ちかくには夏の大三角形が見えています。
こと座、はくちょう座、わし座です。

そして北の空には、カシオペア座が低く見えています。

それらの星座を通るように、南から北まで、天の川が雄大に流れているはずです。

濃く見えるのは南

特に南の空は、天の川がとても濃く見えます。
いて座とさそり座の間に、もしも雲があると思ったら、それが天の川です。

ところで、南の天の川の中には大きな星雲があります。上の図のオレンジ色の長方形のあたりです。
昨年の6月ころ望遠レンズで写真を撮ってきました。それが下の写真です。

干潟星雲と三裂星雲

天の川が黄金の雲のように写っており、中央には暗黒帯が広がっています。
その中に赤や青の星雲があります。

左下の赤い星雲が M8 です。「干潟星雲」と呼ばれています。
右上の小さな星雲が M20 です。上半分が青く、下半分が赤いです。「三裂星雲」と呼ばれています。

星雲は、宇宙をただようガスやチリの集まりです。
周囲の星の光を反射して、うっすらと輝いています。

実際にはとても希薄で、おそらく近くに行ったら何も見えないでしょう。

希薄とは言え、とても広く分布しているので、その一部でも集まれば新しい星になります。
実際、これらの星雲の中では、新しい星がいくつも誕生しています。

さて、干潟星雲の方は、肉眼でも見ることができます。

ただし、天の川がよく見えるような星空で、なおかつ、星を見慣れていること。
初見ではなかなか見つけられないかもしれません。
ぜひ視力の限界に挑戦してみてください。

星の残骸を観察しよう

星にも寿命があります。

私たちの住む銀河系には、2000億個の恒星があると言われています。
干潟星雲や三裂星雲のように新しい星が誕生している場所があれば、静かに一生を終えようとしている星の姿もあります。

太陽はどのように寿命を迎えるのでしょうか?

太陽のような星たちは、周囲にガスをまき散らしながら、ゆっくりと寿命を迎えていきます。
やがて、すっかりガスを放出しきってしまうと、核融合がストップし、中心核だけが余熱で輝く白色矮星になります。

まき散らされたガスは、白色矮星をとりまく小さな星雲になります。
このようにしてできた星雲は「惑星状星雲」と呼ばれます。

私たちの太陽は、あと50億年くらいで燃え尽きて白色矮星になり、その周囲には惑星状星雲が残るでしょう。

さて、夏の大三角形には、有名な2つの惑星状星雲があります。
リング状星雲と、亜鈴状星雲です。

リング状星雲

リング状星雲は、こと座にあり、M57 とも呼ばれています。
先週、写真を撮ってきました。

この星雲は小さいので、低倍率では小さな惑星のように見えます。
もちろん惑星ほど明るくはないですが、そう例えたくなる気持ちもわかります。

倍率を上げると、ドーナツのような輪に見えます。

よく見ると、ドーナツの周りに、ものすごく微かなガスが取り巻いているのが分かります。
上の写真でギリギリ映し出されているのですが、分かるでしょうか・・・

これは、中心の星が初期に放出した水素ガスです。
赤外線に近い微かな光であるため、ハッキリと映し出すためには、さらに何時間も露出を重ねて撮影する必要があります。

このように惑星状星雲は、星がガスの放出を何度も繰り返してきた痕跡です。

さらに大きな望遠鏡で拡大すれば、中心には寿命を迎えた白色矮星の姿があるはずです。

リング状星雲の場所は、以下です。こと座の平行四辺形をなす2つの星の真ん中あたり。
肉眼では見えません。惑星状星雲の観察には望遠鏡が必要です。

亜鈴状星雲

亜鈴状星雲は、こぎつね座にあり、M27 とも呼ばれています。
こちらは昨年、写真に撮りました。

リング状星雲よりも距離が近く、実際の直径も2倍ほどあるため、それだけ大きく見えます。
望遠鏡で見ると、筋トレに使う鉄アレイ、あるいは砂時計のような形に見えます。
亜鈴状星雲の亜鈴とは、鉄アレイの形のことです。

亜鈴状星雲の場所は、以下です。
こぎつね座ですが、はくちょう座とわし座の間と考えた方が分かりやすいでしょう。肉眼では見えません。

もう1つ、惑星状星雲を紹介しましょう。
こちらは夜半過ぎに昇ってきます。

らせん状星雲

らせん状星雲は、みずがめ座にあり、NGC7293 とも呼ばれています。
これも先週、写真を撮ってきました。

リング状星雲と同じ条件で撮影したのですが、とても巨大ですね。
なんと満月の半分くらいの大きさがあります。

とても大きいので、中心に青白く光る白色矮星を確認できます。

文字通り、らせん状に見えます。
3つの輪をずらしながら重ねたようにも見えます。
中心の星が放出したガスは球形に広がって殻となりますが、それが何度も繰り返されて重なった姿です。

らせん状星雲の場所は、以下です。
みずがめ座ですが、かなり低空です。深夜に南中しても35度くらいの高度にしかなりません。
サイズは大きいですが肉眼では見えません。とても希薄なので望遠鏡でも直接見るのは難しいかもしれません。

モブ扱いされる陰の実力者?

北の空にはカシオペア座があります。
北斗七星とならんで、北極星を探す目印として有名です。

そのカシオペア座と北極星の間に、ケフェウス座があります。ロケットの形です。
北極星に対して、北斗七星の反対側、カシオペア座の上くらいの場所です。

このケフェウス座には、遠方の銀河 NGC6946 があります。

花火銀河

この NGC6946 には「花火銀河」という呼び名があります。
回転花火のような、立派な渦巻き構造をしているからです。
これも写真を撮って来たのでご覧ください。その大きさは、らせん状星雲に匹敵します。

どうでしょう。

いかにも「銀河」という、堂々たる姿ではありませんか。
花火銀河(Firework Galaxy )という名前に相応しいと思いませんか。
しかもケフェウス座は北極星に近いため、ほとんど1年じゅう観測できます。

しかし、その割には有名ではありません。
こういう人、いますよね。
目立たないのに、実はスゴイ!みたいな実力者。

SNS上で目立つ人、承認欲求丸出しの人、みんな面白いですが、
こういう地味な人も味があって良いですよね。
みんな違って、みんな良い。

個性は人それぞれ。

ちなみに場所は下図です。

三日月星雲

最後にオマケとして三日月星雲( Crescent Nebula )を紹介します。
はくちょう座にある星雲で正式なカタログ名は NGC6888 です。

濃い部分が三日月のような形にも弓のような形にも見えます。
とても淡く赤外線に近い光で輝いているため、写真で撮影しなければ存在が分かりません。

近年、天体観測用の特殊な光学フィルターが数多く開発されています。
中には、この星雲のような赤外線に近い波長の赤い光のみを透過するフィルターもあります。

そのようなフィルターを使えば、たとえ都会の中でも、こうした星雲の写真を撮影することができます。
フィルターが街の明かりをカットし、星雲の光だけをカメラに届かせるため、写真が撮れるのです。
この星雲は、それを試すのによく撮影されます。

しかも内部の構造が繊細であるため、長時間の露出をかけて、より詳しい構造まで映し出そうと挑戦する人もいます。
教科書に載るような派手な星雲ではありませんが、天体写真家の中には一定のファンがいます。
そういう意味では、こちらも陰の実力者かも。

場所は下図です。

ピンボケと熱膨張

上で紹介した写真のうち、リング状星雲(M57)、らせん状星雲(NGC7293)、花火銀河(NGC6946)は、先週 2026/7/25 ~ 26 に撮影してきました。

リング状星雲 → 花火銀河 → らせん状星雲

の順に撮影したのですが、よく見ると、あとで撮影した写真ほど、ピントが少しボケています。
天体写真に詳しい人が見れば、すぐに分かるでしょう。

最初にリング状星雲を撮影するために、望遠鏡のピントを調整しました。
しかし、その後はいっさい調整しませんでした。

つまり、撮影している間に、勝手にピントがズレていったことになります。

なぜズレたのでしょう?

おそらく望遠鏡そのものが気温の低下とともに縮んだからでしょう。
「縮んだ」といっても、ほんの少しだけ、ごく僅かです。
それでもピントには効いてきます。

気象庁によると、この日の名古屋の最高気温は 39.8℃ で、正真正銘の猛暑日でした。
望遠鏡を車に積み込んだ 19:00 頃でも 36~37℃ くらいで、車の中はもっと暑かったです。

茶臼山高原に到着したのは 22時前。標高 1100m で 25℃ くらいでした。
とはいえ望遠鏡の本体は車の中で温かいまま、すぐには冷えません。
撮影が終わった午前03時過ぎには、22℃ くらいまで気温が下がりました。
望遠鏡は外に出しっぱなしなので、本体も同じ 22℃ くらいに冷えていたでしょう。

ピントのズレた量を概算してみます。

仮に、望遠鏡本体の温度が撮影開始時で 32℃、終了時で 22℃ だったと仮定しましょう。
計算しやすく、およそ 10℃の温度差があったと仮定します。

望遠鏡本体は鉄でできています。
鉄の熱膨張率は

$$ 約 1.2 \times 10^{-5} /℃ $$

です。つまり温度が1℃ 上がるごとに、長さが 1.000012 倍に膨張します。

撮影に使った望遠鏡の焦点距離は 760㎜ です。
これが気温の変化でどれくらい変化したかを計算しましょう。

$$ 1.2 \times 10^{-5} /℃ \times 760 mm \times 10℃ = 0.0912 mm \fallingdotseq 0.1 mm $$

ピントの位置が約 0.1 mm 変化したことが分かります。

写真のボケ具合から経験的に判断しても、だいたいそんなものだと思います。

もっと小まめにピント調整すべきでした。
この経験は次に活かしたいと思います。

こうしたレポートも自由研究みたいなものですね。

理科の自由研究の思い出

塾長は、天体観測で理科の自由研究を提出したことが2回ほどあります。
小学6年生と中学1年生の夏休みです。

小学6年生の時は、父親からカメラを借りて、初めての天体写真に挑戦しました。
撮影方法は、当時高校生だった兄から教わりました。
その様子や撮影した写真をまとめて発表しました。

中学1年生の時は、望遠鏡で木星のガリレオ衛星を観察しました。
時間を置いて木星を撮影し、4つの衛星が木星を公転する様子を調べました。

今でこそ、デジタルカメラやスマホは、その場で映像を確認しながら撮影できますよね。
それが当たり前ですが、当時は、その当たり前ができませんでした。

カメラで撮影してから写真を確認するまでに、何日もかかりました。早くて2日。
カメラ屋さんにお願いして、写真ができあがるまで待つ必要があったからです。
それまで本当にうまく撮れているのかさえ、確認できませんでした。

ですから「これだけ準備しておけば、うまく撮れるはずだ!」という事前準備がとても大切でした。
焦点距離や露出時間を計算し、撮影手順を確認するなど、シミュレーションを何度も行うことがとても重要でした。

とくに木星の観察では望遠鏡を使いました。
カメラだけで撮影する場合よりも、計算が複雑になります。
望遠鏡の「合成焦点距離」を計算しなければ、最適な露出を決めることができません。

ところが、その計算には平方根(√記号の計算)が必要でした。
平方根は昔も今も中学3年生で習います。
中学1年生の自分には、本に載っている公式の意味が分かりません。

そこで姉に√記号の意味を質問して教わりましたが、理解には限界がありました。
とりあえず電卓で計算する方法までは理解して、なんとか準備したものです。

今はデジタル機器が便利で、AIが多くの計算を精度よく答えてくれます。
ほんとうに便利になりました。

撮影データ

撮影地はほとんど愛知県の茶臼山高原面の木園地です。
名古屋の中学生は「稲武合宿」という林間学校がありますね。その場所から更に山の上へ登ったところです。
ただし三日月星雲だけは南知多で撮影しました。知多半島の豊浜海釣り公園の駐車場です。

M8 & M20 三裂星雲と干潟星雲

いて座

M8 (三裂星雲) 距離約4500光年 直径約70~100光年
M20(干潟星雲) 距離約5200光年 直径約30光年

2025/06/29(Sun) 01:14 – 02:01
露出45分46秒 (*)
Canon EOS 60Da, ISO 2000
IDAS LPS-P2 Filter
SIGMA 150mm F2.8 開放

(*) 露出詳細
01:14 – 01:24 299sec * 2
01:25 – 02:01 179sec * 12

 M57 リング状星雲

こと座 距離約1600光年 直径約1光年

2026/07/25(Sat) 22:26:29 – 23:51:54
露出50分 (*)
ZWO Asi585MC-Pro, Gain 200, -10℃,
Antlia Quadband Anti-Light Pollution Filter
Vixen R200SS + CORRECTOR PH (760mm F3.9)

(*) 露出詳細
30sec * 100 = 50m

M27 亜鈴状星雲

こぎつね座 距離約1200光年 直径約2光年

2025/08/30(Sun) 21:55 – 22:33
露出26分31秒 (*)
Canon EOS 60Da, ISO 2000
IDAS LPS-P2 Filter
Vixen R200SS + CORRECTOR PH (760mm F3.9)

(*) 露出詳細
21:55 – 21:56 047sec * 1
21:58 – 22:31 299sec * 5
22:32 – 22:33 049sec * 1

NGC7293 らせん状星雲

みずがめ座 距離約650光年 直径約3光年

2026/07/25(Sat) 26:26:37 – 27:04:45
露出15分 (*)
ZWO Asi585MC-Pro, Gain 200, -10℃,
Antlia Quadband Anti-Light Pollution Filter
Vixen R200SS + CORRECTOR PH (760mm F3.9)

(*) 露出詳細
180sec * 5 = 15m
26:26:37 – 26:29:37
26:49:55 – 26:52:55
26:55:25 – 27:04:45

 NGC6946 花火銀河

ケフェウス座 距離約1600万光年 直径約4万光年

2026/07/25(Sat) 23:56:31 – 25:31:27
露出69分 (*)
ZWO Asi585MC-Pro, Gain 200, -10℃,
Antlia Quadband Anti-Light Pollution Filter
Vixen R200SS + CORRECTOR PH (760mm F3.9)

(*) 露出詳細
180sec * 23 = 69m

NGC6888 三日月星雲

はくちょう座 距離約5000光年 直径約20光年

2026/07/23(Thu) 01:23:02 – 02:10:39
露出40分 (*)
ZWO Asi585MC-Pro, Gain 200, -10℃(実際には -8.0~-6.8℃),
Antlia Quadband Anti-Light Pollution Filter
Vixen R200SS + CORRECTOR PH (760mm F3.9)

(*) 露出詳細
60sec * 40 = 40m (薄曇や霞あり)

あとがき

夏休みの自由研究。

最近は「出しても出さなくてもどちらでも良い」という学校が多いようです。
といっても昔から本当に自由研究を提出する生徒は、ほんの一部のみでした。
そう考えると、昔も今もそれほど変わりないですね。

ただし、昔と今は環境がまったく違います。

今はネットもあるし、AIも使えます。
はるかに調査がしやすい環境です。
チート級です。

つまり、やればチート級の研究成果を提出できるし、やらなければ何も成果が出せない。
やる人とやらない人の差が、とんでもなく開きます。

モチベーション格差や経験格差が加速していく予感です。
「主体性」が成績評価の対象となれば、残酷なほど差が付いてしまうのでしょうか・・・

いや、そんなつまらない未来なんて語りたくありません。

自由研究は、楽しくやりましょう。
人からの評価なんて考えず、自分の気になることを自由に調べてみてください。
学びとは、自由であるべきです。

 


進学実績

卒塾生が入学した学校の一覧です(※)。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

※ ここで卒業生とは、進路が確定するまで在籍していた生徒のことです。進路実績とは、その中でもさらに進路調査表を提出またはそれに準じた進路報告をした生徒分の進学先です。併願校は含みません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

【天体観測】望遠鏡を動かす装置「赤道儀」を作ったよ

塾長です。

新学期がはじまり1週間が経とうとしています。

みなさん、夏休みはどうでしたか、充実していました?
今年は夏休み中に稲武野外活動など学校行事が入ったところがありました。

そして今週から2学期がはじまったわけですが、
教室では中間テスト対策について、すでに案内とお申込みを始めております。
早い子はすでにスタートしております。

さて、今日のブログも塾長の趣味のお話です。
ここ半年間のプロジェクトで、やっと成果が出ました。

それをまとめたくて、勝手気ままに書きます。

天体望遠鏡が壊れた

私は小学生のころから天体観測が趣味でした。
今から20年以上前に、天体望遠鏡を動かす装置(写真の黄色の部分)を買いました。
サラリーマンになって間もなく、まだ給料が上がる前のこと。
これがけっこう高価でローンを組んで買ったのでした。

赤道儀とは天体望遠鏡を動かす台の部分(2008年9月)

しかし、10年くらい前にそれが壊れて動かなくなってしまいました。
高価なので、修理も買い替えも、なかなかできません。

ところで、この望遠鏡を動かす装置(写真の黄色の部分)のことを「赤道儀(せきどうぎ)」と呼びます。
ちなみに壊れた赤道儀の名前は、タカハシ社の EM-11 Temma2Jr. です(以後、単に EM11 と書きます)。

これが壊れると、主に次の2つのことができなくなります。

  1. 星の追尾
  2. 自動導入

星は日周運動をしていて、1時間に15度のペースで東から西へ動いていきますよね。
赤道儀は、この星の動きに合わせて望遠鏡を動かす機能があります。
これを「追尾」または「ガイド」などと呼びます。

また、星雲や星団など、見たい天体を指定すると、自動的にそれが見える方向に天体望遠鏡を向けてくれる機能もあります。
これを「自動導入」または「GOTO」などと呼びます。

こうした機能が使えなくなり、ただの重い台になってしまいました。
それ以来、天体観測や天体写真の撮影をしなくなってしまいました。

もちろん子供が生まれたり学習塾を始めたり、マイクラミングの開発や全国展開をしたり、何かと忙しくなったのも大きな理由でした。
どちらにしても天体観測をほとんどしなくなっていました。

また天体観測を始めるぞー

しかし、転機が訪れました。
昨年の紫金山・アトラス彗星です。

めっちゃ彗星の写真が撮りたい!

「天体観測をしたい」という思いが再び燃え出しました。

それで昨年から天体写真を少しだけ再開したのでした。

最初は、ただの三脚にカメラを載せて彗星の写真を撮りました。
もちろん、これだけでは星の追尾ができません。
日周運動ですぐに星が横にブレてしまい、満足した写真がなかなか撮れませんでした。

そこで小さな赤道儀を買いました。
Skywatcher社の Star Adventurer GTi という名前の赤道儀です(下の写真の白い部分)。
壊れた赤道儀に比べると、今回は4分の1以下の値段です。

この赤道儀は、軽い機材であれば星を追尾することができます。
たとえば小さな望遠鏡や、中型の望遠レンズを付けたカメラなど、小規模の機材ならOKです。

この赤道儀を使って、広角レンズや望遠レンズで撮影ができるようになりました。

彗星の写真は撮ることができました。→こちら
オリオン座の写真も撮りました。→こちら
天の川の写真も撮りました。 →こちら

しかし塾長の気持ちは収まりませんでした。

この赤道儀は、望遠鏡を動かせるほどのパワーがありません。
望遠鏡でなければ遠くの小さな天体の姿を写し出すことができません。
壊れた赤道儀のEM11と比べてしまうと、できることが限られます。

もっともっと遠くの天体を観測をしたい!!

さて、どうしたもんでしょう。

半信半疑でスタート

そんなわけで、天体観測を再開してから、赤道儀を修理すべきかどうか悩む日々が続きました。
ネットで赤道儀に関係するサイトや動画をよく見るようになりました。

すると、セレンディピティ効果というヤツですかね?
「赤道儀を自作したぜ!」という外国のスゴイ動画に出会いました。
それも1つだけではなく、3~4例くらいあるようでした。

例えば、Whyf16uyさんの動画です。

なかなかワイルドな工作です。
たとえばアルミ板にドリルでネジ穴をあける場面。
ドリルが斜めにズレて、途中からアルミ板の横へ穴が突き抜けちゃってます。

え、こんなんで作れるの!?

衝撃でした。

もしかしたら、自分にも作れるんじゃね?

金属工作の経験がない私にさえ、自信が湧いてきたほどです。

モーターを制御するためにプログラミングが必要みたいです。
プログラミングは得意なので問題ありません。

技術的な見通しが付きました。
なんだか、できる気がして来たのです。

修理するより、むしろ新しく作ってしまえ!

そう考えて、密かに赤道儀を自作するプロジェクトをスタートさせました。

ちょっと前まで赤道儀の自作なんて、それまで想像もできませんでした。
しかし、さらに調べて見ると、海外でも日本でも自作している人が多くいることが分かってきました。

おそらく、それができるだけの技術革新があったのでしょう。
コンピューターが小さく安価になったから、という理由もありますが、それだけではないようです。

どうやら、その肝になるのが「波動歯車」と呼ばれる装置。
実は、上の動画のタイトルに含まれる Harmonic Drive とは波動歯車のことです。

そこで、この波動歯車について色々と調べ、実際に注文しました。
届いたのがこれです(下の写真)。
要するに、これが上手く動くように赤道儀を設計します。

この油まみれの装置が波動歯車装置です。
モーターの回転速度を 1/100 に減速する代わりに、トルクを85~95倍に高めます(伝達ロスがあるので100倍にはなりません)。

星の動きはゆっくりなので、スピードよりも力(トルク)が大事!
これがあれば、小さなモーターでも重たい望遠鏡を振り回すことができます。

波動歯車装置の原理は1955年にアメリカで発明され、米国USM社が実現させました。そこでいち早く業務提携したのが、我らが日本の(株)ハーモニック・ドライブ・システムズ社でした(当時は長谷川歯車という社名)。そして両社が共同出資して製品化し、特許を取得したのが「ハーモニックドライブ」と呼ばれる装置です。

ただし、この装置の基本技術に関する特許(基本特許)は、けっこう前に有効期限が切れています。
それ以来、世界中の企業が研究開発に乗り出し、競争が激しくなっています。
なぜなら、ロボットや工作機械など様々な装置の部品として、とても有効な装置だからです。

天文業界では中国のZWO社が波動歯車装置を使った赤道儀を 2022年に発売しました。
当初、多くの天文ファンは、この全く新しい赤道儀に対して懐疑的でしたが、次第にその実力と評判が広まっていきました。
現在では複数のメーカーが波動歯車装置を使った赤道儀を販売しています。

ネットでも安い波動歯車装置が出回るようになり、手軽に購入できるようにもなりました。
そして、ついに、波動歯車装置を使った赤道儀の自作に挑戦する人たちが登場してきた、というワケです。

それが、ここ数年の動きです。

世界規模で見ると、技術革新のスピードが本当に加速しているのだと実感しますね。

なお「ハーモニックドライブ」という名前は商標登録されているため、(株)ハーモニック・ドライブ・システムズ社または同社と業務提携している会社の製品以外は名乗ることができません。
他社製品の場合は工業界の一般的な通名である「波動歯車装置」を使います。
海外のブログやYouTubeでは、波動歯車装置を使っているのに Harmonic Drive と表示していることがあるので要注意。

今回、私が購入したもの(上の写真)は中国の安価な任意製品なので波動歯車装置です。

2025年3月 モックアップの作成

さて、次は赤道儀の本体をどうやって作るか、が課題です。
頭で考えているだけでは何も進みません。
とは言え、いきなり作るのもリスクが大きいです。

そこで、まずは模型を作ることにしました。
イメージを具現化し、手に触れられるようにすれば、さらにイメージを細かくしていけます。
近くの文房具屋さん「ブンゾウ」へ行き、工作用の厚紙やボード、カッターなどを買ってきて作ったのがこれです。

使用するモーターと電子基板を決めていたので、それが入る大きさの赤道儀にする方針です。
そのため、赤道儀の中に組み込むモーターや電子基板の模型も一緒に作り、寸法を確かめました。

最初はとりあえず赤道儀の本体は1辺14cmの立方体で作ってみました。
しかし、どう見ても大きすぎたので、12cmで作り直しました。

このように模型で確かめる作業は、プログラミング教室でも同じですね。
生徒たちはプログラムを組む前に、まず、建築したいものをマイクラで作ってみます。
つまりモックアップ(設計)を作るのですね。
それに座標を対応させてプログラミングをしていくわけです。

さて、上の写真のように、数回の試行錯誤を経て、およそ12㎝四方の大きさで赤道儀を作れそうだと分かりました。
これが最終的に 12.5cmになるのか11.5cmになるのか・・・
そういう細かい所は、ちゃんとした設計をして詰めていきます。

ここで、また1つ課題です。

立体構造の設計には、CADという設計アプリを使いこなす知識やスキルが必要です。
塾長は理学部数学科の出身ですから、こういう工学部の知識がありません。
そこで名古屋駅の本屋さん「ジュンク堂」へ行き、CADの本を買ってきました。

CADの勉強を始めました。
モーター制御についてもネットで調べて勉強を始めました。

2025年4月 モーター制御の実現

先に入手していたモーターと電子基板について、配線とプログラミングをしました。
CADの勉強を進めながら、それと平行して、できる作業も進めていきます。

モーターはステッパーモーター(ステッピングモーター)という特殊なモーターを使います。

ミニ四駆などで使うモーターとは違って、ただ電流を流しただけでは回転しません。
モールス信号のようにポツ、ポツ、とパルス状に電流を与えることで回転します。
1回のパルスで0.9度、つまり400回のパルスで1回転するようにできています。

こうした電流を制御するために、プログラミングが必要になります。

1秒間に400パルスを送れば1秒で1回転の速さで回転し、800パルスなら2回転、というようにして、スピードをコントロールします。
実際には、さらに精密な制御をするために「マイクロステップ」という技術を使ってパルスの間隔をもっと細分化します。
加えて、星の日周運動に合わせて一定の速度で回転させたり、自動導入に切り替えて加速させたり減速させたりする制御も必要です。

他にも様々な機能やモードの切り替えが必要になるわけですが、それをゼロからプログラミングするのは無理です。
それだけで何年もかかってしまいそうです。

実は、OnStepX という赤道儀専用のプログラムがインターネットでダウンロードできます。
プログラミング言語は Arduino用のプログラミング言語ですが、ほとんど C++ と同じです。
それを少しカスタマイズすれば、モーターを簡単に制御できるようになります。

OnStepX やその前身の OnStep は、世界中の天文ファンから支持されているオープンソースのプログラムです。
ネットで見る限り、2013年から公開されています。
実に12年間も、バグ修正や機能アップを繰り返しながら、多くのユーザーに支持され、鍛えられてきたプログラムです。

波動歯車装置が天文マニアの間で話題になるよりも、ずっと前からあるのですね。

これが無料で使えるなんて、世界には凄い人たちがいるものです。
赤道儀を自作する人が増えたのは、こうしたプログラムのオープンソース化という貢献が一番大きいのかもしれません。
こうした土壌があった上で、新しい機械技術が取り入れられてきたのでしょう。

私もいつか貢献できればよいなぁと思います。

さて、OnStepX のおかげでモーターを思い通りに回転させることに成功しました。

2025年5月 CADの設計

CADの勉強が、けっこう進みました。
FreeCAD というフリーソフトを使うことにして、その使い方も練習してきました。

ゴールデンウイークの連休を使って、いよいよ設計に挑戦!

試行錯誤を繰り返し、なんとかそれらしい形ができました。

もっとも悩んだのはモーターの付け方です。
「サイズをコンパクトにまとめる」、かつ「強度を確保する」、かつ「モーターをしっかり固定する」、かつ「ベルトの張力を調整できるようにする」・・・
という条件です。

さらに途中でコストの観点「部品数を減らして安く抑えること」も重要だと気づきました。
これがけっこう破壊的で、ゼロから設計を見直す羽目になりました。

さらにさらに意外と盲点だったのが「組み立てが可能であること」、かつ「メンテナンスがしやすいこと」という点。
手が入らない、ドライバーが入らない、配線ができない、ではダメです。
最後に「拡張性があること」という条件も追加しました。

これらの条件をパズルのように重ね合わせ、すべてクリアするために、何度も何度も設計を繰り返しました。
また設計が進むほど構造が複雑になってくると、データ量が増え、コンピューターの動きがどんどん遅くなっていきます。
設計が進むほど、作業が進みにくくなります。

ちょっと進むとちょっと遅くなる。
まるで「アキレスと亀のパラドックス」のよう。
なかなかサクサクとは進みません。

手間も時間もかかりました。

たくさん作業したので、CADソフトはかなり使えるようになってきました。

このソフトから設計書をアウトプットすると、そのまま工場に「これを作ってください」と発注できるそうです。
あとは値段ですかね。
やすく仕上げてくれる企業を求めて、このあと世界中のサービスを検索することになります・・・。

さて、新しい知識を学ぶことや、新しいスキルを身を着けることは、何歳になっても楽しいものです。
塾長は昭和48年生まれ。52歳らしいですが、まだまだ勉強しています。

2025年6月 ジュラルミンの削り出し

設計したものを、どうやって実現させましょうか。
塾ですから、金属を加工できる工作機械はありません。

誰か作ってくれないかなぁ・・・と探していると、いくつか見つかりました。
日本の国内や海外のサービスをいくつか検討し、最終的には中国のサービスに決めました。

ネットで設計のデータや細かい指示を登録して発注できます。
注文後も技術的なことについて、何度かメールでやり取りをしました。

担当してくれたのはモニカさんという女性のエンジニアで、中国人ではないようです。
どうやらこの会社には世界中から優秀な人材が集まって来ているようです。
おかげで英語でメールをやり取りできました。
私は中国語ができないので助かりました。

それから3週間ほどすると、無事に部品が届きました。

紙で作った模型が、CADの設計になり、そしてついにアルミの部品になりました。
感動です!

材料はジュラルミンを指定しました。
飛行機に使われている強化型のアルミ合金です。

それをドリルで削り出して作ってもらいました。
削り出しの特長は「継ぎ目」がないこと。とても頑丈で美しい部品が作れます。
厚さは10㎜とし、市販品の赤道儀に比べ、2倍の厚みとしました。

とても頑丈なボディになったと思います。
むしろ頑丈にし過ぎたかもしれません。

これなら大きな望遠鏡を搭載しても大丈夫でしょう。

電子基板は本体のフタの裏に組付けます。
このフタの材料は白い樹脂を指定し、3Dプリンターで作ってもらいました。

さてさて、先に入手していた他の部品と合わせて、これで役者がそろいました。

2025年7月上旬 赤道儀の組み立て

部品を組み立て始めました。
ちゃんと設計ができているのか試される、緊張の一瞬です。
もしも少しでも寸法がズレていたら、ネジ穴がずれたり、ネジが入らなかったりして、組み立てることができません。

最初に波動歯車装置を本体に取り付けます。

おお、寸法ばっちりです。
本体の内部からはプーリー、ベルト、モーター、ベアリングも取り付けています。

次は望遠鏡を取り付ける台座と、日周運動の回転軸を受ける台座を取り付けます。

よしよし。
つぎは三脚につなげる台座を取り付けましょう。

クララが立った!

そういえば、この赤道儀の名前をまだ決めていませんでした・・・クララじゃありません。後で考えます。

背景は、めっちゃ教室です。
塾長の机が工場になってます。
生徒たちが来る前に、早く仕上げなければ・・・

最後は電子基板を組み込んだフタをはめます。

ふー。なんとか完成!

電源を入れて、動作確認も無事にクリアしました。

初めてのCAD設計。
こんなにも寸法通りにピッタリいくとは。

これまた感動です!

海の向こうの工場に設計データだけを送って作ってもらったのです。
それが海を渡って日本に到着し、そしてちゃんと組み上がる。

図面どおり、言葉どおりに作業ができ、誰がやっても同じアウトプットになること。
そのような再現性のある知識の伝達と、それによるアウトプット。
それらを総称して「技術」と呼びます。

なんか技術ってすごい!!

ちなみに「この人じゃなきゃできない」みたいなのは「技能」と呼びます。
真似をしたくても、なかなかできません。人によってアウトプットはバラバラ。
つまり再現性がありません。

よって「技術」と「技能」は違います。
もしも技術がなく技能しか無かったら、役割の分担ができません。
私が工場まで行って練習しないと部品ができないでしょう。

技術は世界を渡ります。

私が生徒たちに教えていることも同じ。

生徒たちには、
国語なら論理的に文脈をとらえる技術、
数学ならだれがやっても同じ計算結果になる技術、
理科や社会でも、そのような再現性のある知識について、
教えています。

逆に技能に関しては生徒それぞれの個性が出ます。
生徒の特性や得手不得手を見極めながら助言や伴走をします。

しかし代わってあげることはできません。
やるのは生徒、技能を高めるのは生徒自身にしかできません。

技術と技能の区別をしっかりつけて指導するよう心がけております。

2025年7月下旬 大失敗

本当にちゃんと動くことをテストしたいのですが、なかなか晴れません。
やっと晴れたとしても仕事との都合が合いません。

そんな中で、7月26日にチャンスがやってきました。
土曜日なので早く塾が終わります。
天気予報は晴れ。山よりは海の方がよく晴れるそうです。

今こそ行かねば!

と思い立ち、南知多の方へ出かけました。
夜釣りで有名な、とある港の広い駐車場に向かいます。
しかし、港に近づくにつれて賑わいが・・・あれ、こんなに人がいたっけ?

偶然にもその日は花火大会でした。
みんな楽しそう。

港は花火の打ち上げで封鎖されています。
夜空は花火できれいに彩られていて、天体観測どころではありません。

邪魔にならないように引き返し、別の観測場所を探しました。

「ここは電線が邪魔」
「ここは地面がぬかるんでる」
「ここは私有地?微妙だからやめとこう」

2時間以上ウロウロと彷徨いました。
そして日付が変わる少し前になって、ようやく観測できそうな場所を見つけました。

望遠鏡を組み立て、赤道儀の電源を入れました。
いよいよ試運転の開始です。

ところが・・・自動導入が上手くいきません。
最初は明るい星を導入してズレを補正するのですが、ズレどころが全く違う位置で止まります。

あれれ?

部屋でテストしたときは、それらしい方向を向いていたはずですが・・・ここまでズレるとは予想外。

焦りと暑さで、どっと汗が噴き出ました。
パソコンの画面をのぞき込み、何かおかしな設定がないか確認します。
そこへ、画面の明かりに釣られて虫がブンブン飛んできます。
うっとおしいです。

望遠鏡が目的の星まで移動する前に、赤道儀の動きが止まっているように見えます。
しかし、その原因がよく分かりません。

自動導入は諦めました。

それなら追尾はどうでしょうか。

追尾監視用のミニ望遠鏡に専用のCCDカメラを着け、CCDとパソコンをつなげます。
CCDに映る星が常に真ん中に来るよう、アプリが望遠鏡を制御します。
そのアプリからの指示に、赤道儀がうまく対応して動いてくれるのかをテストしました。

残念ながら、これもダメでした。
赤道儀は反応こそしているのですが、どんどんズレが大きくなっていき、正しく追尾ができていません。

写真撮影どころではありません。
その手前の段階で上手く動いていません。

何度も何度もトライ&エラーを繰り返しましたが、改善する気配がありません。

そうこうしている内に、どこからともなく、ニワトリの鳴く声が聞こえてきました。
見渡せば東の空が明るくなり始めています。

もう時間です。
テスト失敗・・・です。

諦めて帰ることにしました。

いったい何がどう悪かったのか・・・
悶々とした気持ちを引きずったまま家に帰りました。

シャワーを浴びて一息つくと、どっと疲れが出て来ました。
倒れるように昼まで寝ました。

昼食のとき、気持ちの落ち込みをごまかすように、妻に話しました。

私:「いやぁ、昨晩は大変だったよ。行ったら花火大会で港が封鎖されててさ。それで観測できるところを探して、2時間以上も知多半島を彷徨っちゃった。」
妻:「それで観測はできたの?」
私:「いや、まったく。ぜんぜん思ったように動かなくて、成果ゼロです。疲れただけでした。」
妻」「そんなに疲れてまでして、楽しいの?」
私:「ぜんぜん楽しくない。辛いです。」

とうとう本音が出てしまいました。

失敗の原因が分かっていません。
まだ悶々としていました。

よく考えたら、色々と調査不足でした。
オープンソースでネットからダウンロードしたプログラムの仕組みでさえ、よく分からないまま使っていました。

基盤の配線からプログラムの中身まで、ゼロから総点検することにしました。

2025年8月 ファーストライト

あれから1か月近く、ずっとプログラムの理解と点検を続けてきました。

失敗の原因は、どうやら電力不足だったということが分かりました。
モーターに投入する電流が小さすぎたようで、増強するようにプログラムを書き換えました。

また自宅でテストするときはコンセントから電源を取りますが、屋外ではバッテリーからです。
バッテリーからの電源供給は気を付けないと電流が細くなりがちです。
そこで赤道儀と他の機器で、電源を分けることにしました。

他にも細かい所や気になる所を修正しました。
新しく知識も増え、赤道儀にGPSや気象センサを追加するなどの機能アップも果たしました。

仕事に開発に、とても慌ただしい毎日を過ごしているうちに、
やがて、ほとんどの生徒たちが夏期講習を終え、夏休みも終わりが見えてきました。

思えば今年の8月は、ずっと天気が悪く、なかなか晴れてくれませんでした。
お盆休みに期待したペルセウス座流星群は、土砂降りの雨でした。

そして気が付けば、8月の最後の週末になっていました。

そろそろ晴れてくれないかな・・・天気予報を確認しました。

何ということでしょう。
今晩の天気予報は「快晴」。

夏期講習を頑張って来たご褒美なのでしょうか。

もう行くしかありません!
今度こそリベンジです!!

せっかくなので茶臼山高原まで足を延ばしました。

久しぶりの晴れ間とあって、現地では天体観測のファンたちが大集合していました。

茶臼山高原は、だいたい夜に来ると一人でポツンと天体観測を行うことになります。
鹿の鳴き声にビビりながら、クマの出現を警戒しながら、一人でせっせと観測します。
たまにドライブや走り屋の車が駐車場に立ち寄りますが、少し休憩すると、また直ぐに立ち去っていく、そういう場所です。

ところが、その日は何かの集会でもあるのかっていうくらいに駐車場がいっぱい。
しかも、どの車の横にも望遠鏡が並んでいました。
星まつり状態です。

何とか1台分のスペースを見つけ、車を滑り込ませました。
あと少し来るのが遅れていたら、駐車できなかったかもしれません。

さっそく赤道儀を設置し、望遠鏡を組み立てました。

そして、なんやかんやと調整をして、いよいよ撮影です。
ちゃんと精度よく星を追いかけてくれるでしょうか・・・。

大丈夫そうです。
目標にしていた精度をクリアしました。
これなら撮影もうまくいっていることでしょう。

4、5時間いろいろと撮影や調査を続けていると、やがて東の空がほんの少し明るくなってきました。
気付けば深夜3時を過ぎていました。

そろそろ撤収しましょう。

しかし周囲の人たちは、まだまだ観測している様子でした。
でも塾長は日曜日しか休みがないため、無理はできません。

早めに撤収です。

2025年9月 天体写真の確認

さて日付が変わって9月になりました。
週末に撮影した天体写真。
ちゃんと撮れているでしょうか。

天体写真は、撮影してすぐに表示や印刷ができるわけではありません。
画像処理が必要です。
これがけっこう大変です。
上手な人がやると見違えるようにきれいな写真に仕上がりますが、塾長はまだまだ修行中の初心者です。

とは言え、とにかく確認するために処理を急ぎました。

最初に撮影したのは、子ぎつね座にある「あれい状星雲」(M27)です。

成功です!

ところで望遠鏡などの機材が初めて試験観測することを「ファーストライト」と呼ぶそうです。
特に天体写真の世界では、初めて撮影する天体写真のことを、そうに呼ぶことが多いです。
この赤道儀にとって、これがファーストライトになります。

上手くいって良かったです。

以前、この望遠鏡でM27を撮影したのは、2006年8月でした。
19年ぶりの撮影です。
もうそんなに月日が経ったのですね。

いろいろと忙しかったもんなぁ・・・。

次は、さんかく座にある渦巻銀河(M33)です。

良かった。これも撮れていました。
M33は17年ぶりの撮影です。

この銀河は私たちの天の川のお隣さんです。
といっても270万光年の彼方にあります。
この姿は270万年前、つまり旧石器時代が始まったばかりの頃の姿です。

最後はペガスス座になある遠くの銀河です。
NGC7331とスレファンの5つ子と呼ばれる銀河たちで、天文ファンの間では有名な絵になります。

これも17年ぶりの撮影です。
あの時よりもよく撮れました。
なんだか感動です。

右上の方にある、少し大きめの銀河がNGC7331です。
実は、この銀河は7月に超新星が見つかりました。

拡大したら写っていました!

縦横の黄色い線を延長して、それらが交わるあたりに星が1つ写っています。
それが超新星です。
2か月ちかうも経っているのに、まだ写るのですから、そうとう大きな爆発だったのでしょう。

実は、今回 NGC7331 を撮影対象に選んだのは、これを記録に残したかったからです。
この超新星はとても小さい映像なので、ダメもとで挑戦したのですが、写っていて良かったです。

超新星は、太陽の何十倍もあるような巨大な星が、一生の最後に起こす大爆発の姿です。
その中心ではブラックホールが誕生していることでしょう。
爆発している最中の姿ですから、そのうちに消えて見えなくなり、ブラックホールだけが残ります。

この銀河NGC7331は、約4000万光年の彼方にあります。
つまり4000万年前の姿です。
そのころの地球は、恐竜の白亜紀が終わって、次の古第三紀と呼ばれる時代です。

さて、この領域にはたくさんの銀河が写ります。
アノテーションというAI処理があって、天体の名前を表示させることができます。
やってみましょう。

文字が90度回転していますが、元の画像の向きの関係でそうなっています。
写真の左下に、多くの銀河が密集しています。
これが「ステファンの五つ子」と呼ばれれる銀河群です。

拡大して見ましょう。

(天体の向きが時計回りに90度回転していますが、これが元画像の向きなので気にしないでください)

これらの銀河は2億7000万光年かその前後くらいの彼方にあります。
地球では恐竜が誕生するよりも前の時代です。
それくらい昔の姿を、いま見ていることになります。

これらは互いに重力で引き合い、今まさに合体しようとしている最中です。

ただし、1つだけ仲間はずれがあります。
ひと周り大きいNGC7320だけは異なるグループです。

NGC7320は、たまたま同じ方向に重なって見えているだけで、実はずっと近く、2000万光年の距離にあります。
右上のNGC7331の4000万光年に比べると、その半分の距離しかありません。
それなのに小さいです。
NGC7320は、とても小さい銀河のようです。

さて、肝心の赤道儀の性能を振り返ってみます。
これはログを解析しました。

追尾の精度は 0.91秒 でした。
写真撮影に必要な「 1.20秒未満」を達成できました。
ハイブランドな市販品の赤道儀には及ばないものの、運用できるレベルです。

まずまずの「成功」と言ってよいでしょう。
7月のリベンジを果たすことができました。

まとめ

赤道儀の自作動画を始めて見たのがいつだったのか、記憶が定かではありません。
2024年12月ころだったのか、あるいは2025年になってからなのか、だいたいそのくらいのことだったと思います。
これから意を決して作り始めてから、あっという間に半年以上が経ちました。

望遠鏡を使った写真撮影ができるようになりました。
やっと少しばかりの達成感を味わうことができました。

過去を振り返ると、望遠鏡を使った写真撮影は、2012年6月6日の「金星の日面通過」が最後でした。

この撮影の後、どこかの時点で赤道儀 EM11 が壊れたのでしょう。
2014年10月8日の皆既月食の時に、電源を入れても正常に動作せず、それで故障と気が付きました。

それ以来、修理しようかどうか迷っている内に、仕事が忙しくなったりして10年以上の時間が過ぎてしまいました。

壊れた赤道儀 EM11 (上の写真)のメーカーは高橋製作所で、ブランド名は「TAKAHASHI」です。
日本が世界に誇る望遠鏡メーカーの1つで、この業界ではハイブランドの位置づけです。

しかし残念なことに2024年春ころ高橋製作所は赤道儀の製作と販売から撤退してしまいました。
部品在庫がある限り、まだ修理やメンテナンスはしてくれるそうですが、とてもショックでした。
このことも私が赤道儀を自作しようと思った要因の1つになっています。

さて、半年以上におよんだ「赤道儀の自作プロジェクト」でしたが、写真撮影ができるレベルに達しました。
目標とする性能を達成できたため、ひとまず「成功!」です。

今後も引き続き、使い勝手の向上と、さらなる精度アップに向け、一層の改善をしていく予定です。
使い勝手については、できればパソコン不要、スマホ1つで全て操作できるようにしようと思います。
精度アップについては、たとえば搭載しているモーターは、まだ本気を出していません。もっとパワーアップすれば応答性が上がり、さらに追尾精度が上がるでしょう。

ハンドコントローラなども追加したいですね。
夢は広がりますが、10月から別の仕事も入り、また忙しくなしそうです。
まぁ、ぼちぼちやっていきます。

データ

赤道儀のデータ

今回作成した赤道儀のスペックです。

  • サイズ : 直方体部分: 100mm×118mm×100mm 、肉厚10㎜(ただし左右の側面のみ5mm)、マウントの全長: 未測定
  • 素材  : ジュラルミン(A7075)削り出し
  • 重量  : マウント本体 5.2Kg(ウェイトシャフトやウェイトは含まず)
  • モーター: RA/DEC 共通: Nema17 0.9 deg/step 46Ncm 2.0A 1.5Ω
  • 減速比 : RA/DEC 共通: 300:1 (波動歯車=17型 100:1 および プーリー&ベルト=60:20)
  • 制御  : OnStepX Ver. 10.26.a6 Wifi Serial 9600bps on USB GPS搭載、気象センサ(気温、気圧、湿度)搭載
  • 搭載可能重量: 未測定(カウンターウェイト必須で 25Kg 以上が目標)
  • その他 :
    • ウェイトシャフト: アタッチメント式で、タカハシ、ビクセン、Skywathcer 各社のものを取り付け可能(今回はタカハシを利用)
    • 左右の側面: ビクセン小型アリミゾを装着できるネジ穴(ASI Air などを取り付け可能)
    • 左右の背面:  Sky Watcher CQ350PRO用極軸望遠鏡を取り付けるネジ穴(ネジ穴が合えば他の極軸望遠鏡の装着も可能)

 

撮影の共通データ

8月のファーストライトで撮影し、9月に画像処理をした写真のデータです。

  • カメラ CANON  EOS60Da(EOS60Dの天体写真専用モデル)、ISO2000、LPS-P2フィルタ内蔵
  • 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
  • 赤道儀 ゼロ(自作の零号機、本体重量5.2Kg ジュラルミン製、OnStepX による制御)
  • 三脚  INNOREL RT90C
  • 電源  DABBSSON 600L(半固体電池 768Wh, AC出力600W(純正弦波, 瞬間1200W, Boost 900W))
  • ガイド ZWO 30F5ミニスガイドコープ、 ZWO ASI120MM、PHD2 + INDI drivers on Ubunt24.04
  • 処理  Siril 1.4.0-beta3 による画像処理およびアノテーション、ペイントによるトリミングおよび名入れ
  • 日時  2025年8月30日(土) ~ 31日(日) 未明
  • 場所  茶臼山高原道路 面の木駐車場 標高約1,100m 気温19℃

M27(こぎつね座 あれい状星雲)

  • 日時 8/30(土) 21:55 ~ 22:37
  • 露出 約26分 (299秒×5枚 + 47秒 + 49秒)

M33(さんかく座 渦巻銀河)

  • 日時 8/30(土) 23:05 ~ 8/31(日) 00:46
  • 露出 約72分 (299秒×14枚 + 122秒)

NGC7331とステファンの五つ子(ペガスス座の銀河群)

  • 日時 8/31(日) 01:25 ~ 02:52
  • 露出 約81分 (299秒×15 + 64秒 + 305秒)

ダークフレーム

帰宅しながら撮影したため温度がバラバラ・・・。

  • 19℃ 299秒×5枚
  • 22℃ 299秒×5枚
  • 27℃ 299秒×5枚

 

以上です!

 


進学実績

卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。

国公立大学

名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学

私立大学

中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学

公立高校

菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)

私立高校

愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校

(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校

天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校

※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒

 


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