小学6年生は、そろそろ中学の準備を考え始める頃。
お父さん、お母さんとしては、中学生の勉強がどんなものか、子供に説明しておきたいところです。
そこで中学校の成績や勉強についてまとめました。
Contents
定期テストの点数で成績の7~8割が決まる
まず何といってもテストが本格的だということです。
中学では教科ごとに先生が違います。
それだけ専門性が高く、内容が難しいです。
小学生のテスト
- 教科書10ページ分くらいの小テスト
- 教科書の文字が大きく内容が少ない
- 基本が中心で平均点が高い、70点や80点でも普通
- こまめにテストを実施
中学校のテスト(定期テスト)
- 教科書30~40ページ分くらいの実力テスト
- 教科書の文字が小さく内容が多い
- 記述や応用が多く平均点が低い、70点や80点なら優秀
- 年に5~6回だけ実施
1学期に2回、2学期に2回、3学期に1~2回のテストです。
つまり学期の通知表が、たった2回のテストで決まります。
中学の通知表はこう決まる
通知表では教科ごとに1~5の評定で成績がつけられます。
実は5段評定がつくまでには、次の2段階を経ています。
- 「観点」ごとにA,B,Cの3段階に評価
- 全ての観点評価を総合して教科として5段階に評価
「観点」ごとのA,B,C評価は、テスト結果や授業態度、提出物などから総合的に判断されます。
何を評価対象にするかは学校によります。
実際には学年や学期のはじめに学校側からプリントが配られますから、それを見て下さい。
ご参考までに、英語、数学、国語、理科、社会の標準的な例を載せておきます。
定期テストで評価される項目が多いことが分かるでしょう。
※この方法で成績をつけることを「絶対評価」といいます。
観点 | 評価項目 |
---|---|
感心・意欲・態度 | 授業態度、提出課題、授業への取り組み |
表現の能力 | 定期テスト、会話・スピーチ、作文などの書く活動、小テスト |
理解の能力 | 定期テスト、リスニングテスト、小テスト |
言語についての知識・理解・技能 | 定期テスト、小テスト |
観点 | 評価項目 |
---|---|
感心・意欲・態度 | 定期テスト、提出課題、授業への取り組み |
数学的な見方や考え方 | 定期テスト、小テスト |
数学的な技能 | 定期テスト、小テスト |
数量や図形などについての知識・理解 | 定期テスト、小テスト |
観点 | 評価項目 |
---|---|
感心・意欲・態度 | 授業態度、提出課題、授業への取り組み |
話す・聞く能力 | 発表、聞き取りテスト、スピーチ、小テスト |
書く能力 | 作文、プリントの記述、小テスト |
読む能力 | 定期テスト |
言語についての知識・理解・技能 | 定期テスト、漢字テスト、文法、書写 |
観点 | 評価項目 |
---|---|
感心・意欲・態度 | 授業態度、提出課題、授業への取り組み |
思考・表現 | 定期テスト |
観察・実験の技能 | 定期テスト |
自然事象についての知識・理解 | 定期テスト、小テスト |
観点 | 評価項目 |
---|---|
感心・意欲・態度 | 定期テスト(時事問題)、提出課題、授業への取り組み |
思考・判断・表現 | 定期テスト、補助教材の記入状況 |
資料活用の技能 | 定期テスト、補助教材の記入状況 |
社会的事象についての知識・理解 | 定期テスト、授業プリントの取り組み |
「勉強」とは「作業」ではなく「準備」
小学生と中学生では、そもそも「勉強」の意味が違います。
漢字の「宿題」を例に見てみましょう。
小学校の宿題では、このように出されてきました。
「ノートに10回ずつ書き取りして来なさい。」
つまり「宿題」=「作業指示」で、「勉強」=「作業をやる」でした。
中学校になると、このように出されます。
「書けるようにしてきなさい。」
つまり「宿題」=「準備」で、「勉強」=「いつテストされても書けるようにする」となります。
テストで点数が取れれば、やり方の詳細は問われません。
「作業」と「準備」の区別が勉強のコツ
中学校で良い成績を取るためには、とにかく「作業」と「準備」を明確に区別することです。
自分の勉強が「良い準備」になるために、集中すること、授業を聴くこと、ノートにメモすること、などが必要になってきます。
勉強を好きでやろうが嫌いでやろうが、やる気があろうが無かろうが、関係ありません。
小学校の時と同じ感覚で「作業」ばかりやる生徒は、やった割には点数が取れません。
「準備」をたくさんした生徒がよい点数を取れるようになっています。
何を覚えるにしても
「明日聞かれたら答えられるかな?、書けるかな?」
などと想定しながら取り組んでいる生徒が点数を伸ばしていきます。
そして、やる気や好き嫌いを超えて、自分の気持ちをコントロールしながら必要な準備ができるように成長することが、人間らしい「理性の獲得」と言えましょう。
「勉強する理由」の1つが、この「理性の獲得のため」と言えます。
正確にたくさん暗記したもん勝ち!
小学校の勉強は「体験」と「理解」がメインでした。
一方、中学校の勉強は「正確な表現」がメインと言えます。
「正確な表現」とは、教科書に出てくる「用語」や「説明」のことです。
中学生は、教科書の「用語」と「説明」を自分の頭の中に正確にコピーするのが基本です。
応用問題や思考力を問う出題でも、やり方(説明)も含めて覚えてしまえば解けます。
ですから、理系科目でも、記述問題でも、たくさん覚えた人が多く点を取れます。
あいまいな記憶は0点と同じ
そして何より大切なのは暗記が「正確」でなければならないこと。
1文字も間違えず正確に覚えて、初めて点数が取れます。
例えば、今頃の中学2年生がやっている直角三角形の合同。
その合同条件の暗記は、1文字でも間違えば、本当に×になります。
国語として同じ意味かどうかは関係ありません。
直角三角形の合同条件の記述回答
〇 「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」
× 「斜辺と1つの角がそれぞれ等しい」
× 「斜辺と鋭角がそれぞれ等しい」
× 「斜辺と1つの鋭角が等しい」
× 「1つの辺と鋭角がそれぞれ等しい」
× 「辺と鋭角が1つずつ等しい」
英語はもっと典型的です。
まず3年間に覚えるべき必須単語が1200語で、教育改革のたびに増えていきます。
また書くことの多いテストでは、細かいチェックが待っています。
英作文「彼女は私にペンをくれた。」の回答
〇 She gave me a pen.
〇 She gave me pens.
× She gave me a pen (ピリオドが無い)
× she gave me a pen (文頭が小文字)
× She gives me a pen.
× She give me a pen.
× She give me pen.
英文法を理解していれば解けますが、その英文法を正確に覚えて、しかも使えるように準備しておく必要があります。
理科も同様です。
まず実験をしたら、実験に出てくる用語、実験の前後の様子を正確に覚えます。
「炭酸水素ナトリウム」は「加熱」すると「二酸化炭素」と「水」と「炭酸ナトリウム」に「分解」する。
理科用語が6個も出てきました。
しかし、それはほんの出発点です。
それぞれの用語を正確に理解したうえで、それぞれの化学式も覚える必要があります。
物質それぞれの化学式
・炭酸水素ナトリウム NaHCO3
・二酸化炭素 CO2
・水 H2O
・炭酸ナトリウム Na2CO3
炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学式
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
この化学式も考えれば組み立てられますが、それに必要な知識を覚えてから考え方も覚えて、正確に使えるようにしておく必要があります。
細かく正確だから暗記する量も多い
この様に、中学生になったら、教科書に出てくる用語に注意して、とにかく正確に意味と書き方を覚えることです。
正確に細かく覚えようとすれば、それだけ1つのことから暗記すべき項目が増えます。
中学の教科書は字が細かくなり、ページ数が増え、書いてあることが多いです。
少しでもサボると、どんどん知らないことが溜まり、記憶もあいまいになります。
毎日すこしずつ、新しい用語を正確に覚えて、書き取りしておく。
これが中学生らしい勉強です。
意外にも小学校で習ったことの反復・拡張が多い
厳しいことばかり書いてしまいましたが、安心できる要素もあります。
それは教科書の「全てが新しい事ではない」ということです。
小学校で習ったことを繰り返しながら、内容がより細かく高度になっています。
例えば、小学生で習った「比例」と「反比例」は中学1年生の数学でも習います。
小学生では値の変化の様子を表や式にし、グラフの概形も描きました。
中学生では、これを文字と座標で表し直します。そしてグラフから式が逆算できるように進化します。
同じように、国語、理科、社会、英語も、小学校で習ってきたことを、より細かく、高度にしていくのが中学校です。
逆に言えば、小学校の勉強をおろそかにしていると、中学校でも苦労してしまいます。
小学校を卒業するまでに、しっかりと復習しておきましょう。
なお、中学お受験を経験したお子様は、その点で有利です。
正確に暗記する習慣が身に付いているだけでなく、国数社理のほとんどが中1レベルまで既に仕上がっているからです。
まとめ
中学生になったら、いち早く次の考え方に頭を切り替えましょう。
- いつテストされても答えられるように「準備」するのが勉強
- 一字一句を正確に暗記する
- 毎日コツコツ暗記して知識をたくさん増やす
- テストの点数にこだわる
学校の成績は、お子様の活動の一部を表現したものです。
もちろんお子様の人間性がそれで評価されてしまうわけではありません。
大切なことは、他人と比較することではありません。
昨日より今日、今日より明日に向かって、お子様の能力が開発されていることです。
勉強を通じて、何事にも「準備」できる大人になれるよう、成長を見守っていきたいものです。
余談1 部活動も内申点に影響する時がある!?
成績の付け方について、少し余談です。
生徒や保護者の間で、よくうわさされていることです。
部活動がそれと関係のない教科の成績に影響するのは、良くありません。
1つのことが他の評価にも影響することを「評価のハロー効果」と言います。
一般的に、評価においてハロー効果は禁止事項だからです。
しかし現実には、部活動が5教科の成績に影響することがあります。
私が生徒たちを見てきた中では、そのような事実が毎年のように観測されています。
実は、学校の先生の裁量で通知表の5段評価を±1だけ変動させることができます。
この裁量が使われる1例が、部活からの評価です。
特に練習が忙しく、全国で入賞するような部活に所属していると、テストの点数から想像できる内申点よりも良い内申点が与えられやすくなるようです。
部活が忙しい生徒は、勉強時間がどうしても少なくなります。
特に受験では、偏差値が上がりにくく、点数競争となる一般受験は不利です。
学校の伝統を守ったり名誉を上げることに貢献して来たのだから、せめて推薦で進路が開けるように配慮したい。
そうに考える教育者が多いのでしょう。
実際、高校や大学でも部活動で学校の名誉を上げてくれそうな生徒は歓迎されます。
さて、これはズルい評価でしょうか?
私は仕方のないことだと思います。
現行では、部活動を内申書に点数として表示する仕組みが無いからです。
これは内申点の付け方が悪い、というよりも、受験システムの問題と言えます。
そう考えると、むしろ現行の入試制度の欠陥を、学校の先生方の職人芸でしのいでいる、という見方もできます。
現行の受験システム上は、仕方がないことでしょう。
余談2「詰め込み教育」の誤解
正確にたくさん覚えたもん勝ち!
みたいに書くと「詰め込み教育」のように思われて批判されそうです。
実際、教育改革では「思考力」を強化する傾向が続いています。
それでも、中学生の勉強の大半が暗記になることは今後も避けられないと私は思います。
なぜなら、そもそも知識がない人間には、思考が不可能だからです。
また知識のない生徒たちに「さあ、考えよう、興味を持とう!」と投げかけても、何も反応が帰ってきません。
「知らない」ということは「認知できない」ということと同じだからです。
知らなければグーグルや人工知能で調べることもできません。
アイデアがポンポン出てくる人や、提案力のある人というのは、とにかく具体的で細かい知識をたくさん持っています。
「知識は必要な時に調べれて使う文だけ頭に入れればよい」
という主張はごもっともです。
しかし、この主張には次の教育的な議論が見落とされています。
「必要な時に必要な分だけ知識が入る頭脳を、どうやって作るか?」
どこかで「正確にたくさん覚える」という訓練をしておく必要があります。
そして、その訓練には種類があり、それが教科です。
学校で学んだことは受験が終わったら忘れるかもしれませんが、知識を柔軟に出し入れできる頭脳はずっと残り続けます。
学校のテストは、そういう頭脳をどこまで獲得できているかを示すバロメーターの1つだと捉えることができるでしょう。
知識を柔軟に出し入れできる頭脳。
もちろん早期に獲得した方が成績には有利ですが、人生の成功という大きな視点でとらえれば、人より少しくらい遅れても、最終的に獲得さえできれば、私は正解だと思います。
私は物覚えが悪い方だったので、高校受験では公立高校が不合格でした。
大学も浪人してから、やっとのことで合格しました。
しかし、そのおかげで、生まれ持った才能の限界を超えた頭脳を今では手にしています。
もちろんデバイスの進化で「暗記」の意義は時代ともに変化はしていくでしょう。
暗記のあり方がどう変わろうとも、とにかく自分の脳みそを磨ければ、それでよいと思います。
昔は加齢とともに脳細胞は一方的に減り続けると言われていました。
しかし最近の研究では、主体的に学ぶと脳細胞が新しく増えることさえあるそうです。
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