塾長です。
今年も10月は彗星祭りの予感です。
そういえば昨年の10月も彗星を追いかけていました。
詳細はブログ「紫金山・アトラス彗星を観測したよ」に書きました。
今年は機材もグレードアップしたので、さらに気合を入れて観測したいところですが、どうでしょうか。
Contents
話題の彗星「レモン」と「スワン」
今年はなんと、2つの彗星が期待されています。
「レモン彗星」と「スワン彗星」です。
どちらも観測には双眼鏡や望遠鏡が必要になりそうです。
レモン彗星とは
- カタログ名: C/2025 A6; Lemmon
- 見どころ : 10月下旬ころ夕方の西の空、うしかい座の1等星「アークトゥルス」の上くらいの位置、最大4等星の予想
- 発見者 : レモン山天文台(米国アリゾナ州)
- 名前の由来: 発見した天文台の名前
- 公転周期 : 約1300年
スワン彗星とは
- カタログ名: C/2025 R2; SWAN
- 見どころ : 10月中旬ころ夕方の南の空、いて座とわし座の間くらいの位置、最大6等星の予想
- 発見者 : 2人のアマチュア天文家: Vladimir Bezugly(ウクライナ)、Michael Mattiazzo(オーストラリア)
- 名前の由来: 発見に使われた観測装置: 太陽観測衛星SOHOに搭載されている観測装置SWAN (Solar Wind ANisotropies)
- 公転周期 : 2万年以上
下の図は、2025年10月23日(木) 17:30 頃の予想です。
右手がレモン彗星、左手がスワン彗星の予報位置です。
(ステラリウムというフリーソフトでシミュレーション)

あと10日から2週間くらいすると、夕方の空に見えるでしょう。
実は今(9月末~10月第1週あたり)でも、その姿を確認できます。ただし望遠鏡や高感度カメラが必要です。
10月1日を現在とすると以下の状況。
- スワン彗星 → 夕方の空。仕事の都合で夕方の観測は無理。
- レモン彗星 → 明け方の空。仕事が終わってからでも間に合う!
ならば塾長はレモン彗星を見よう!
ということで、さっそくレモン彗星を追いかけてきました。
10月2日(木)の明け方 薄雲を通して
天気予報によれば、この日の夜は晴れるとの予報でした。
しかも翌週からしばらく天気が崩れるとのこと。
それならば「今のうちに観測しておくべき」とばかりに出かけました。
とはいえ平日。翌日の仕事を考えれば無理ができません。観測は近場で行うことにしました。

現場の観測風景です(観測後の片付けの最中、東の空を背景に望遠鏡を撮影)。
画面のやや左上に見える一番明るい星が木星です。
その左手に見える2つの星は「ふたご座」の1等星、カストルとポルックスです。
右端の明るい星は、「おおいぬ座」のシリウス。全天でもっとも明るい恒星でマイナス1等星です。
右上の端には「オリオン座」の三ツ星と1等星のベテルギウスが見えています。
画面中央付近の星は「こいぬ座」の1等星プロキオンです。
ベテルギウス、シリウス、プロキオンをセットにして「冬の大三角」と呼ばれます。
写真のとおり、現場に着いてみれば、薄雲が空の全体を覆っていました。
空気中の水分も多く、望遠鏡は夜露でびしょびしょ。
天気予報としては確かに「晴れ」ですが、天体観測をやるには厳しい状況です。
普通は撤退するところですが、彗星の姿を確認できるチャンスは少ないです。
ここは我慢して待ちます。
北東の空に北斗七星が昇ってきました。
レモン彗星は、写真の黄色い丸のあたりにあるはずなのですが・・・双眼鏡で見たところ、何も見えません。

望遠鏡を操作し、30分くらい探したでしょうか。
ついに、その姿をとらえました。
写真は、望遠鏡の操作画面のスクリーンショットです。
薄く淡い緑色の彗星が、うっすらと右下に尾を引いています。
(望遠鏡なので上下左右が反対です。実際の空では、左上に向かって尾が伸びています。)

さっそく撮影しました。

露出:2分45秒(15秒×11枚)、トリミング、回転
彗星が昇ってくるのを待っている間に、オリオン大星雲も撮影しておきました。

露出: 3分20秒(10秒×20枚)、トリミング
薄雲が一晩中あり、晴れることはありませんでした。
それでも彗星の姿をとらえることができたのは幸運だったと言えます。
でも、やっぱり、もっとスッキリした星空で、ちゃんとした写真を撮りたいです。
10月9日(木)の明け方 雲だらけ
この週は台風の影響で天気が悪い見通しだったため、もともと出かける予定はありませんでした。
ところが天気予報を見れば、夜中に少し晴れそうとのこと。
とっさに観測に出かけました。
到着して空を見わたせば、薄雲があるものの雲には切れ間がありました。
チャンスはありそうです。
中秋の名月を過ぎたばかりのお月様が、頭の上に高く輝いています。
その月明かりに助けられて、望遠鏡を組み立て始めました。
ところが機材を一通り組み立て終わったとたん、雲に覆われてしまいました。
風も強まってきました。
伊豆諸島に台風22号が接近している影響でしょう。
明け方まで粘りましたがダメでした。
何も観測できず、徒労に終わりました・・・。
10月10日(金)の明け方 雲の隙間から
天気予報は晴れマークでした、一応。
台風一過の晴れ間を期待したい所ですが、どうでしょうか。
とりあえずリベンジを果たすべく、この日も出かけることにしました。
2日連続なので、出発する前から疲れています。
現地に到着したときは、見事に晴れていました。
風もほとんどありません。
これは期待できそうです。
少し元気が出てきました。
ところが・・・望遠鏡を組み上げて動作確認を終えた頃になると、また雲に覆われてしまいました。
先日のデジャヴです。
それでも少し晴れ間が広がる時間がありました。
雲が流れていることに希望を持ちつつ、限られた晴れ間からのぞく星空で、望遠鏡の調整作業を進めます。
望遠鏡の調整で撮影した写真です。

露出: 3分30秒(30秒×7枚)
この写真は「おおぐま座」のM81とM82です。遠くの銀河です。
左手のM82は銀河の中心部が爆発していて不規則な形です。右手のM81はきれいな渦巻き構造です。
対照的な2つの銀河が並ぶ、とても有名な領域です。
M81とM82は、レモン彗星より少し早く昇ってきます。
そこで、レモン彗星を待っている間に、望遠鏡の調整がてら撮影するのにちょうど良いワケですが、
これを撮影している最中に、また雲が広がってしまいました。
さて、雲が晴れるのを待つか、諦めて撤退するか・・・判断に迷います。
少し歩いて、雲の動きを観察していると、雲の隙間から、少しの間だけお月様が見えました。
お月様を撮影して帰ることにしました。
中秋の名月から数日を過ぎていましたが、まだまだ明るくて美しいお月さまでした。

露出: 1/1000 秒 (ASI-Airでプレビュー撮影した映像をモザイク合成、トリミング、回転)
少し暗い写真です。プレビューモードなので、露出が 1/100秒や 1/1000秒しか選べません。
「もういいや、これで。」
という投げやりな気持ちがよく表れている1枚ですw
さて、後片付けをしますか・・・
意気消沈して帰る途中、信号待ちをしている時のこと。
車の窓ガラスから、ふと空を見上げると、なんと晴れ間が広がっているではありませんか。
やれやれ・・・
それじゃ、近くの田園地帯に車を止めて、あと少しだけ。
でも、もう望遠鏡を組み立てる体力はありません。
一眼レフカメラでパシャパシャと適当に撮影しました。
撮れてるかな・・・ん!?

露出: 8秒(1枚撮り)
この日のレモン彗星は、下図の赤マーク付近にあるはず・・・(ステラリウムより)

うーん、どうでしょう。
8~9等の明るさと言われているので、写ってもおかしくはないはず・・・
心の目で見て探すことが大切ですw

お!
ありました。
本当に、かろうじて。
かすかに写っていました。
なお、写真は昼間のような明るさですが、実際には夜です。
街の明かりや月の光に夜空が照らされています。
8秒も露出したので、まるで昼間のように明るい写真になってしまいました。
このあと、疲れた体を引きずるようにして帰宅しました。
あとがき
今度は台風23号が接近していて、引き続き天気は悪いみたいです。
「秋晴れ」さんは、いったいどこへ行ったのでしょう。
そんな中でも嬉しいニュースがありました。
日本人2人にノーベル賞!
- ノーベル生理学・医学賞 大阪大学 坂口志文 特任教授
- ノーベル化学賞 京都大学 北川進 特別教授
凄いですね!
きっと、物凄い努力があったのでしょう。
そして、おそらく多くの失敗や無駄もあったのだと思います。
多くの無駄や失敗の果てに、ほんの一握りだけ、報われるような結果を得られた。
そういう経験の繰り返しだったのだと思います。
だからこそ偉業なのでしょう。
さて、今回わたしは計3日間にわたってレモン彗星を追いかけましたが、ひたすら天候に悩まされました。
疲れた割には、ちゃんと撮影できませんでした。
大半の労力が無駄に終わりました。
天体観測は自然が相手ですから、自分の思い通りにはいきません。
努力が無駄になったり、準備不足で観測が十分にできなかったりします。
今回のように、やることの大半が無駄や徒労に終わることも、珍しくありません。
それなのに、なぜ天体観測をするのか?
きっと好きだからでしょう。
なんだかんだ、小学生からずっと趣味として続いています。
どこまでも緻密で繊細、そんな神秘的な天体の姿を、もっともっと見たいからだと思います。
研究はつらい事ばかりだけど、ワクワクするし達成感もある。
北川教授がインタビューの中で、そんなことおっしゃっていたのが印象的でした。
とても励みになりました。
なかなか思い通りにならないからこそ、逆にやり込み要素が多い。
そういうのが本当の面白さなのかもしれませんね。
撮影データ
撮影の共通データ
写真や機材の共通データです。
- 赤道儀 ゼロ(自作の零号機、本体重量5.2Kg ジュラルミン製、OnStepX による制御)
- 三脚 INNOREL RT90C
- 電源 DABBSSON 600L(半固体電池 768Wh, AC出力600W(純正弦波, 瞬間1200W, Boost 900W))
- ガイド ZWO 30F5ミニスガイドコープ、 ZWO ASI120MM、ZWO ASI-Air mini
- 画像処理 Siril 1.4.0-beta3 による画像処理、必要に応じてペイントによるトリミング・回転・解説記入・名入れ
10月2日の観測風景1および観測風景2(解説入り)
- 日時 10/02(木) 03:43
- 場所 日進市内の田園地帯
- カメラ Google Pixel 10
- 露出 1/3秒(夜景モード)
10月2日のレモン彗星
- 日時 10/02(木) 01:58:33 – 02:01:18
- 場所 日進市内の田園地帯
- カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
- 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
- 露出 2分45秒(15秒×11枚)、トリミング、回転
10月2日のオリオン大星雲(M42)
- 日時 10/02(木) 01:28:06 – 01:31:57
- 場所 日進市内の田園地帯
- カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
- 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
- 露出 3分20秒(10秒×20枚)、トリミング
10月10日のM81とM82
- 日時 10/10(木) 02:18:28 – 02:30:01
- 場所 愛知池
- カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
- 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
- 露出 5分30秒(30秒×11枚)
10月10日の月
- 日時 10/10(木) 2:30 頃 (正確な時刻の記録なし)
- 場所 愛知池
- カメラ ZWO ASI585MC Pro、Gain200、-10℃、IDAS GNBフィルタ
- 望遠鏡 Vixen R200SS + コマコレクターPH
- 露出 1/1000秒 (ASI-Airでプレビュー撮影した映像をモザイク合成、トリミング、回転)
10月10日のレモン彗星(星野)
- 日時 10/10(木) 03:09
- 場所 日進市内の田園地帯
- カメラ CANON EOS60Da(EOS60Dの天体写真専用モデル)、ISO2000、LPS-P2フィルタ内蔵
- レンズ SIGMA 28mm F1.8 EX DG (絞り F2.8)
- 露出 約8秒×1枚 (露出時間はレリーズマニュアル操作)
以上です!
進学実績
卒塾生(進路が確定するまで在籍していた生徒)が入学した学校の一覧です。
ちなみに合格実績だけであれば更に多岐・多数にわたります。生徒が入学しなかった学校名は公開しておりません。
国公立大学
名古屋大学、千葉大学、滋賀大学、愛知県立大学、鹿児島大学
私立大学
中央大学、南山大学、名城大学、中京大学、中部大学、愛知淑徳大学、椙山女学園大学、愛知大学、愛知学院大学、愛知東邦大学、愛知工業大学、同朋大学、帝京大学、藤田保健衛生大学、日本福祉大学
公立高校
菊里高校、名東高校、昭和高校、松陰高校、天白高校、愛知教育大学附属高校、名古屋西高校、熱田高校、緑高校、日進西高校、豊明高校、東郷高校、山田高校、鳴海高校、三好高校、惟信高校、日進高校、守山高校、愛知総合工科高校、愛知商業高校、名古屋商業高校、若宮商業高校、名古屋市工芸高校、桜台高校、名南工業高校、菰野高校(三重)
私立高校
愛知高校、中京大中京高校、愛工大名電高校、星城高校、東邦高校、桜花学園高校、東海学園高校、名経高蔵高校、栄徳高校、名古屋女子高校、中部第一高校、名古屋大谷高校、至学館高校、聖カピタニオ高校、享栄高校、菊華高校、黎明高校、愛知みずほ高校、豊田大谷高校、杜若高校、大同高校、愛産大工業高校、愛知工業高校、名古屋工業高校、黎明高校、岡崎城西高校、大垣日大高校
(番外編)学年1位または成績優秀者を輩出した高校
天白高校、日進西高校、愛工大名電高校、名古屋大谷高校
※ 成績優秀者・・・成績が学年トップクラスで、なおかつ卒業生代表などに選ばれた生徒
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個別指導ヒーローズ 植田一本松校
〒468-0009
名古屋市天白区元植田1-202 金光ビル2F
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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL
