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アドミッションポリシー

AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(2)

志望理由書を添削している先生のイラスト

塾長です。

AO入試(総合型選抜)について続きです。
なお前半は「AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(1)」をご覧ください。
今回はもっと具体的に、対策や志望理由書の書き方について解説します。

対策はいつから?

AO入試の準備は、高2の冬から考え始めるのが良いでしょう。

あらかじめ大学のオープンキャンパスに参加しておくことが重要だからです。
すべてではありませんが、

  • 面接でオープンキャンパスに参加した感想を聞かれた
  • 出願時にオープンキャンパスで出された課題のレポートを提出

などのように、AO入試はオープンキャンパスと連動していることが多いからです。

大学のオープンキャンパスは、早いところでは3月から実施されます。
高2の12月頃から志望校を考え始めれば、高3春のオープンキャンパスに間に合います。

それに、できるだけ多くの大学のオープンキャンパスに参加しておく方が、志望校を決めやすいでしょう。

AO入試の出願は高3の9月から始まります。

遅くとも、夏のオープンキャンパスには参加できるよう、早めに準備を始めましょう。
秋のオープンキャンパスでは、ギリギリ過ぎるか、あるいは間に合いません。

志望校の決め方

次のステップで考えるのがベストです。

  1. 志望する「学部や学科」の仮説を立てる
  2. AO入試を実施している大学をピックアップする
  3. オープンキャンパスに参加する
  4. 「研究したいこと」の仮説を立てる
  5. 「大学の卒業後になりたい自分」の仮説を立てる

実際には、志望校というよりは、志望する学部や学科を決める方が先です。
それがステップ1です。

しかし、最近は「学部や学科を決める」からして、すでに「ハードルが高い」と感じる高校生が多いのです。
重く考えすぎたり、学部や学科の将来性を打算的に考えたり、あるいは、単に何も考えていなかったりするからです。

そこで、コツを教えます。

「仮説」として考えよう

この発想です。

そもそも、まだ人生が始まったばかりの若い高校生が、将来のことなんて解るワケがありません。
ですから真面目に重く考えてしまうと、かえって決められなくなります。

そういう時は、気持ちを楽にして、大雑把に、適当にやってしまうのです。

  • 本当にプロになれるかどうかは考えない
  • 幼稚園や小学校の時に思っていたことを採用してみる
  • 人と比べない
  • 特別なエピソードは不要
  • 一生懸命という自覚が無くてもよい
  • 後で変わってもよいから「今はそう思う」で考える
  • 自分のコンプレックスが逆に研究テーマかもしれない
  • 大したことない自分の趣味を「大真面目に」語ってみる
  • キラキラした夢でなくてもよい

こんな風に、発想の邪魔になっている先入観や安全志向を、どんどん取っ払ってしまいましょう。
そして、あくまでも「仮説」として自分の方向性を決めていけばよいのです。

「特に夢がありません。」

そういう高校生の方が普通です。
むしろ多数派です。

教室でも、それで悩む生徒には、上のように発想の壁を取っ払うようなお話をします。

みなさん「自分の良さ」を忘れすぎですよ。

この際、思い出してもらいましょう。

志望理由書を書く前に

ここからが今回の本命です。

自己流では失敗する!?

まず自己流では失敗します。うまくいきません。

なぜかというと、大学側が考えていることを日常生活で触れることが無いからです。
これまで大学と無縁な生活をしてきた人が、自己流で大学の考えに沿った文章を書ける可能性は0に近いです。

ということで、ちゃんと推薦入試やAO入試の指導ができる人に添削をお願いしましょう。

まず、高校の進路指導部の先生や、進路指導経験の豊富な国語の先生に、ぜひ相談してみてください。
もちろん塾の先生でもOKです。
ただし、塾の先生に指導を受けたとしても、必ず高校の先生にも相談してください。

志望理由書の書き方を指導できる先生のスキルは、だいたい次のようなものです。

指導者に必要なスキルとは

  • 大学側のニーズを的確に調べられること
  • 論説文を書く能力があること
  • 生徒の良さを見抜けること
  • 自分の価値観や理想を生徒に押し付けないこと

こんな感じでしょうか。
このようなスキルを持つ先生に相談しましょう。

学校の先生と塾の先生の役割分担

それから、塾の先生と高校の先生の両方から助言を受ける場合、次のような役割分担を期待するとよいでしょう。
万が一、双方からの指摘が反発した時に、参考にしてください。

  • 高校の先生: フォーマットや段落構成、論理展開などといった形式面を見てもらう
  • 塾の先生 : 志望理由に「何」を書くかといったコンテンツ面を見てもらう

これは、あくまでも大まかな傾向です。
どちらが良いというのではなく、双方の立場や社会的な役割を理解して「両方の知恵」を上手に取り込むことが大切です。
合格したいなら、両方を味方につけましょう。

学校の先生は公平な立場

立場上、学校の先生は「何を書くか」については「本人に任せる」のが原則です。
あくまでも生徒自身が考えた文章を「整える」ような指導がメインとなります。

「これは志望理由になってないよ」

という指摘は出すことができます。
しかし、具体的に何を書いたら志望理由書になるかまでは、助言したくてもできません。
なぜなら、立場上、学校の先生が助言したことを、そのまま書かれてしまったらマズイからです。

「例えばねぇ・・・」

と先生が言ったことを、そのまま書き写されてしまったら大変です。
学校の先生としては、それをされるのが一番困ります。
それでは試験の公平性や他の生徒指導との公平性など、色々なことに矛盾します。

学校の先生は国家資格を持ち、大学と高校の橋渡しをする役割も持っています。
社会的な立場、つまり試験制度や生徒指導の公平性や、それの前提となる生徒の主体性を保証する立場と言えます。

塾の先生は身内の立場

一方、塾の先生は、本人から「想いのかけら」を引き出して「志望」まで練り上げるコーチングを行います。
本人の中にある考えや経験が、なかなか言葉にならないので、それを原石のまま引っ張り出してきて、文章にまで仕立て上げるのです。

例えば、生徒がお父さんやお母さん、あるいは親戚のお兄さんや先輩などに相談して、進路や将来の希望を具体的に決めていくのは普通でしょう。
彼らと相談して思いついた文章や一緒に考えた文章を、願書に書いてもかまいませんし、そうするのが普通です。

このように、学校の先生に聞いた通り書くのはダメですが、生徒が身内や先輩の人たちと相談して「何を書くか」を決めていくのは普通ですよね。

塾の先生は、保護者様からそうした相談の代役を任されているので、内容まで踏み込んで助言ができます。
高校の先生から見たら、塾の先生は家庭や親せきと同じで、生徒の内部に含まれます。
つまり塾の先生は、

生徒の中の人

というワケです。
学校の先生から見たら、生徒しか見えません。
塾の先生は生徒の「中の人」なのですから。

そのため生徒は学校の場で「塾の先生が、こう書くように言った」とか言ってはいけません。
あくまでも「私はこう思って書きました。」とする必要があるわけです。
百歩譲っても「親や親せきに相談して、こう思いました。」と言いましょう。

対立はNG!

たまに学校の先生と対立してしまう塾の先生がいますが、それは勘違いだと思います。
学校の先生には、学校の先生の役割と立場があり、塾には塾のそれがある、というだけのことです。

私の場合は、そうした全体像を俯瞰したうえで、生徒には両者の知恵を取り込んでもらえるように指導しています。

大学が欲しがる人とは?

まず大前提として、最初に

「高校と大学は全く違う!」

ということを自覚して欲しいです。
これを知らないと何を説明しても志望理由書の文章に正しく反映されていきません。
超超大切です。

  • 高校: 教科書で勉強するところ
  • 大学: 研究成果を出すところ

つまり、こういうことです。

  • 高校: 一生懸命な人に来て欲しい
  • 大学: 研究できる人に来て欲しい

大学のホームページには「アドミッションポリシー」が学部ごとに書いてあります。
いろいろと難しいことや大義名分的なことが書いてあるのですが、一言で言えば、ぶっちゃけ上のようなことです。

大学の立場で考えてみてください。
研究で成果を上げてくれそうな人材を、どうやって集めますか?

  • 学力の高い人を多く入れて可能性を上げる → 一般入試
  • 研究者らしい人をピンポイントに募集する → AO入試

こんな風に想像できますよね。
このような想像力が大切です。

これは直感レベルでも理解して欲しいです。
次に、同じことを3種類の見方で説明しますので、感覚的にも身に着けて欲しいです。

過去ではなく「未来」について書こう

推薦入試で重要視されること①

  • 高校受験の推薦: 人間力 > 研究力
  • 大学受験の推薦: 人間力 < 研究力

推薦入試で重要視されること②

  • 高校受験の推薦: 過去の実績 > 未来の展望
  • 大学受験の推薦: 過去の実績 < 未来の展望

推薦入試で重要視されること③

  • 高校受験の推薦: 前向きに生懸命がんばります!
  • 大学受験の推薦: ○○の専門性で社会に貢献します!

こうした考え方の基本を、しっかりと頭に叩き込んでください。
志望理由書の作成に取り掛かるのはそれからです。

なぜ志望理由書に「興味を持ったきっかけ」や「高校で頑張った事」を多く盛り込んでも評価されないのかが理解できるでしょう。
800字~1000字しか書けないのに、過去の話に字数を費やすのはもったいないです。

志望理由書の書き方

さて、いよいよ「書く内容」について説明します。

まずは箇条書きでネタ出しをする

いきなり文章を書くのは効率が悪いです。
文章にする前に、まず内容(コンテンツ)を先に洗い出しましょう。

まず次のことを箇条書きで決めてください。

気楽に考えて「仮説」として決めればOKです。もちろん仮説ではなく本気ならなお良いです。

  • 志望する学部や学科を決める
  • その学部の教授や助教授について、ゼミや研究テーマを調べ、興味のある研究分野を決める
  • 研究分野に関連して「自分がやりたい研究」を決める
  • 研究で出したい成果や、その先の卒業後の「なりたい自分」を決める
  • 自分の得意や長所、過去の経験、オープンキャンパス、大学の教育体系などとの関連性を整理する

なお、順番はどこから手を付けてもかまいません。
箇条書きですから、思いついた所から埋めては修正して・・・を繰り返しましょう。

ここをサボると、ろくな文章になりません。
絶対に妥協しないで、ちゃんと具体的に決めてください。

教授の研究テーマは専門用語ばかりで難しいですよね。
でもネットで検索すれば調べられます。調べましょう。
調べるくらいのことができなければ、研究者にはなれませんぜ。

悪い例

  • ○○大学 理学部
  • オープンキャンパスで見学した○○教授のゼミに参加したい
  • ○○教授のもとで気象の研究をしたい
  • 一生懸命に勉強し、気象予報で人の役に立ちたい
  • オープンキャンパスでは施設が新しく充実していて良いと思った

自分の視点が無く、受け身であり、具体性がありません。
もっともっと考えを練り上げましょう。

良い例

  • ○○大学 理学部 地球環境学科
  • 集中豪雨の研究をされている○○教授のゼミか、積乱雲の研究をされている○○助教授のゼミ
  • 名古屋の集中豪雨の規模や発達スピードについて詳細に研究したい
  • 名古屋の集中豪雨の予報や警報をより早く細かく出せるよう貢献したい
  • オープンキャンパスでは○○教授の地球温暖化の講義が興味深く、集中豪雨の研究にも役立ちそうだと思った

このくらい具体的でなければ、何も書いてないのと同じです。

パソコンで文章を作る

ネタ出しができたら、文章にしましょう。
ただし、これから何度も何度も書き直すことになります。
手書きはやめましょう。効率が悪く、先に心が折れてしまいます。

パソコンで文章を作りましょう。
パソコンなら、段落の組み換えや文章の書き換えが楽です。
編集の履歴を残すことも簡単です。

最初は字数制限の2倍くらいで書く

最初から字数制限に合わせて書かないようにしてください。
むしろ書き過ぎで、ちょうどよいくらいです。

まずは字数を気にせず、大量に長く書いてください。
逆に字数制限を埋めるので精いっぱい、という状況なら、まだまだネタ出しが甘いです。
前の作業に戻って、箇条書きから練り直しましょう。

文章を書きなれていない人が書いた文章というのは、重複が多いものです。
また論点がぼやけていたり、バラバラで統一されていなかったりもします。

つまり余分なものだらけです。

添削して文章を構成していくと、そうした余分なものがビシバシ削られていきます。
たくさん書いたつもりでも、どんどん文字数が減っていきます。

ですから最初は、それを見越して字数制限を大幅にオーバーするくらいで書きましょう。

添削指導を受ける

文字数オーバーの志望理由書が出来上がったら、印刷して、先生に見てもらいましょう。
もちろん

「字数制限はまだ合わせていません。先に書く内容を決めたいです。」

と断ってから出さないといけません。

この添削で論点と内容をビシバシ絞っていき、そこで初めて原稿の方針が決まります。
つまり大まかな段落構成と、段落ごとに書く内容が決まります。

ここまで来て、やっと次回から字数制限を守って原稿を書けるようになります。

字数制限を守った原稿で添削を繰り返す

とはいえ、まだまだ文章を練り上げるのは大変です。
「あ、これも書かないと」と書きながら気づくことや決まることもあります。

添削を受けて、どんどん内容の論点を絞っていき、時には箇条書きのネタ出しをも修正します。

偏差値60の高校生でも10回くらいは書き直さないと、合格点を出せません。

内容は塾の先生、形式は学校の先生に見てもらいましょう。

学校の先生に見せるのは、塾の先生に何度か添削を受けた後が良いでしょう。

書く内容が決まり、字数制限も守れるようになったレベルの原稿を見せましょう。
完成度が低すぎると、先生も困ってしまいます。

何度もダメ出しを食らうと気が滅入るかもしれません。

しかし、一般入試に向けて頑張っている他の受験生の姿を見てください。
頑張る種類が違うだけです。
他のみんなも頑張ってますよ。

あとがき

AO入試について、塾長の経験から書きたいことを、書きたい順番に書いてきました。

もっと短くまとめたかったのですが、2回のブログに渡ってしまいました。
長文は私の悪いクセです。

そういえば今回のテーマは、

とんがれ!

でした。

研究テーマを具体的に決めていくと、人は誰でも「オタク」になります。
テーマを絞って、論点を絞って、マイナーな視点に興味を深めること。
他の人がやっていないようなことにこだわること。

とんがった志望理由書を書いて、ぜひ合格を勝ち取って欲しいと思います。

頑張ってね!

 


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AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(1)

志望理由書を添削している先生のイラスト

塾長です。

今回は高校生や保護者の間に蔓延する誤解について、喝を入れます。
というのはウソですけど、ただ、冗談抜きで誤解があります。
後半ではAO入試の対策についても書きます。

AO入試が楽なワケない!?

× AO入試は楽ちん

そんなワケなーい!!
AO入試は不合格者がたくさん出ますよ、選抜試験ですから。

〇 AO入試は難しい

このような正しい認識を持ち、気を引き締めて対策をして欲しいと思います。

対策しないで撃沈するパターン

あまり対策せずに自己流でやってしまうと、多くは失敗します。
例えば、こんな志望理由書を書いてしまいます。

これのどこが悪いのか、分かりますか?

私は小さい頃から○○が好きだったので、大学に入ってからも○○を勉強したいです・・・オープンキャンパスで参加した○○先生の模擬授業はとても面白かったです。キャンパスは自宅からの交通の便が良く通いやすいです。・・・一生懸命勉強し、貴学の○○という理念にあるような人の役に立つ人材に成長したいです。以上から私は貴学の○○学部への入学を志望します。

このレベルだと大学のAO入試では撃沈してしまいます。
面接試験に進む前に、書類選考の段階で落とされるか大幅に減点されています。
大学の立場で読めば、本人の良さが何も伝わってこないからです。

ちなみに、受験指導の研修を受けていない先生に見てもらうと危険です。
「起承転結」や「背景、経緯」などといった「どうでも良いこと」にこだわるよう指導されてしまいます。
上のような文章でも、これで良しとしてしまうからです。

本番直前になって、ちょちょいのチョイと書いた志望理由書は、こういうレベルです。
AO入試が楽ちんだと勘違いしているからこそ、対策が不十分になって、こうなるのです。

ちなみに愛知県の場合、このレベルだと公立高校の推薦入試でも減点されます。
私立高校なら「学校が推薦した」という事実の方が大きいので、ギリギリセーフでしょう。

添削指導で真っ赤にしたら親からクレームが来た話し

そもそも、自己推薦文や志望理由書は、かなり添削指導が必要です。

まず普通の生徒は文章が書けません。
その状態からスタートになるからです。

例えば、こんな質問をお子様や生徒たちにしてみてください。

ここ1週間以内に500字以上の文章を書いたことがありますか?

まず9割以上は

書いたことない

と答えるでしょう。
SNSで100文字以内の文を書くのがせいぜい。
ましてや、段落構成まで考えることなんてありません。

私だって大学生になるまでは文章を書くことがほとんどなかったです。

というわけで、文章を書くという経験が、そもそも無いのですから、1から訓練が必要になります。
1から教えるのですから、最初の添削は

真っ赤っか

になります。
それを普通は

「真っ赤っか」=「熱心な指導」

と受け止めてくれるのですが、中には

「そんなに否定することないじゃない!」

と悲観的に思われる人もいます。

「うちの娘が添削でショックを受けています。なんでこんなに真っ赤にするんですか!」

などとクレームを上げてこられたお母様がいたほどです。
もう、だいぶ昔の話ですが。
受験を楽ちんで済まそうとした甘い誤解と、現実とのギャップで、感情が高ぶったのでしょう。

しかし私が赤をつけずに甘い言葉で褒めたとしても、大学は褒めてくれません。

最終的に誰が見る文章なのか?

それを勘違いしてしまうと、このような過保護になります。
本番前に真っ赤にして改善しなければ、本番が真っ赤になります。

志望理由書は、きわめて論理的に文章を書く必要があります。
感情をコントロールし、自分の文章を他人のもののように客観的に分析し、改善する努力が必要です。
そこは指導する上で、ぜったいに譲れません。

指導の趣旨をお母様に何度も説明しましたが、理屈が通りませんでした。
ひとたび高ぶってしまった感情は、治まるのに時間がかかります。
しかし、それを待っている時間がありませんでした。

途中からお父様に代わっていただき、ご理解を得ることができました。
お父様が出てこなかったら、私は指導を諦めて他の塾へ行くよう薦めたかもしれません。
しかし、そのまま指導を続ける話で落ち着きました。

もちろんその子は合格したので、真っ赤に添削して良かったというものです。

百歩譲って楽チンできたとしても、大学に進学した後はレポート作成が日常です。
卒論もあります。
真っ赤にされるのは、むしろこれからですよ。

  • 添削で真っ赤にされるのが当たり前
  • 10回くらい書き直すのは当たり前

そういう心構えを持っておきましょう。

ちなみに、書き直す作業の効率を上げるために、私はパソコンでの下書きを推奨しています。
いきなり原稿用紙に手書きをするのは効率が悪いのでやめましょう。

大学入試の方法と用語

大学入試の選抜方法は次の3通りあります。
ただし今年(2020年の受験生)から呼び名が新しくなっているので注意してください。教育改革「高大接続改革」のためです。

  • 一般選抜 (旧:一般入試)
  • 総合型選抜 (旧:AO入試)
  • 学校推薦型選抜 (旧:推薦入試)

学校推薦型選抜は、さらに公募推薦と指定校推薦に分かれます。

学校現場や塾では、まだしばらくは古い呼び名も併用されるでしょう。
このブログでも便宜上、旧用語も区別なく使います。

AO入試(総合型選抜)とは?

大学側が「こういう人材が欲しい!」という人材像を宣言します(アドミッションポリシー)。
そして、それにマッチした高校生がいたら、通常の入試とは別に「一本釣り」で合格させてくれる制度です。

大学側としては、大学の実績に貢献してくれそうな高校生を早くから「青田刈りしたい!」というわけです。
高校生側としても、5教科の他に、自分の得意分野を評価してくれなら「これはチャンス!」というわけです。
こうして双方にとって、入学後の「こんなはずじゃなかった」というリスクを減らそうという入試制度です。

ということで、AO入試の利用は増加傾向です。

そもそもAOとは、海外の入試制度 “Admission Office” から来ているようです。特に Admission (アドミッション)とは「大学が求める人材像」のことです。

ところが、日本の大学がこの制度を導入し始めたとき、一部の大学が「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を問わない入試をしてしまいました。
そのため、講義について行けない学生たちによる授業崩壊が起こるなど、社会的な問題が起こってしまいました。

当然、この失態は文部科学省の目に留まり、大学へ改善要求が出されました。
もちろん教育改革でも改善対象となり、学力や思考力も問うように修正されたワケです。

ということで、今年(2020年の受験生)からは次のような入試となります。

  • 出願時期: 9月以降(これまでは8月以降)
  • 合格発表: 11月以降(これまでは規定無し)
  • 選抜要件: 調査書等の出願書類、志願者本人の記載する資料(活動報告書、志望理由書、学修計画書等)、「学力の3要素」を多面的・総合的に評価
  • 学力評価: 少なくとも次のどちらか1方は実施
    •  各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)
    •  「大学入学共通テスト」

AO入試(総合型選抜)は厳格化の流れ

上で見たように、AO入試でも学力または思考力を問われます。

もしも先輩の合格体験記で

×「AO入試は楽だったよ」

なんて感想があったとしても、それは参考になりません。

先輩の時代とは違います!

今は「学力の3要素」もしっかりと見られます。

実際、AO入試なのに大学入学共通テスト(旧センター試験)の受験を課す大学もあります。

注意してください。

大学の黒歴史「大卒なのに、こんなこともできないの?」

実はAO入試に限らず、大学付属の私立高校に内部推薦で進学する場合も同様です。
いわゆるエスカレーター式に大学へ進学する場合でさえも、ちゃんと試験を課す流れです。

かつて大学を卒業した人の中には、こんな人もいました。

  • 中学英語すら分からない
  • 消費税の計算すらできない
  • 日報の1行、2行の作文ができない
  • パソコンのキーボードが打てない

ここまで来ると、もはや大卒であることに意味がありません。

こういう事が実際にあったので、産業界から大学や文部科学省へ多くのクレームが上がりました。

大学で何してたの?
こんな状態で卒業させるな!

また外国との比較でも、日本の学力低下が明らかになり、何かと批判されてしまいました。

推薦入試にメスが入ったのは、仕方のないことでしょう。

むしろ一般入試(一般選抜)の方が簡単?

そんなわけで、今では推薦入試といえども、学力や思考力をきちんと測るように改革されています。

ただし、だからと言って、偏差値教育や暗記に偏った入試に戻ることはないでしょう。

AO入試では「学力」と「思考力」の少なくともどちらか1方を試験する必要があります。

学力の方を試すなら、大学入学共通テストを利用することができます。
しかし、大多数は基礎的な学力試験やレポート課題を採用しているようです。
過去問や事前予告があれば、これらは対策しやすいでしょう。

思考力の方を試すなら、自頭力を試すような試験が多いです。
ディベートや小論文、研究計画やキャリアプランの発表などです。

残念ながら、自頭力は学校の授業を受けていても向上しません。
それだけに、こちらは対策に限界があります。

自頭力がどう試される?

「○○について、何か意見を言ってみて?」

このような質問をされたときに固まったりしませんか?

もしも固まってしまうようなら、とてもハードルの高い課題です。
更にAO入試では、

「大学で何を研究したいのか?」

という質問に、主体的に回答できる必要があります。

アドミッションポリシーに応えるのですから、当然です。
多くの人が

「大学で何をするかは、大学に入ってから決めよう」

などと漠然に考えています。
これが普通です。
そんな中で、いきなり

「研究テーマ」

を問われます。

この様に、研究の意欲があって、自己表現が得意で、質問に対してその場でぱっと解答できる。

そういう適性が必要です。

「コンテンツ力」が問われる

  • 志望理由書の段落構成を練る
  • 志望理由書を清書する

こうしたことは、学校や塾の先生から指導を受けて向上させることができます。
しかし志望理由書に記載するコンテンツ、つまり、

  • どんなことに興味があるのか
  • 今まで何をしてきたのか
  • 卒業後はどうなりたいのか

などの情報は、進学する学生自身の中にあります。
志望理由書を表現する「コンテンツのネタだし」は、せめて自分で用意する必要があります。

もしも、その「コンテンツのネタ出し」すら何も思いつかないなら、AO入試の適性があるとは言えません。
志望理由書を無理やり作れたとしても、面接が通りません。

親や学校の先生に志望校を決めてもらうような生徒には絶望的でしょう。

自己表現が苦手

そういう生徒にとっては、むしろ一般入試の方が簡単に感じるかもしれません。
暗記しまくった知識で入試の正答率を高めれば合格できるのです。
一般選抜では、自己表現なんて不要ですから。

後半へ続く

ちょっと厳しめに書きましたが、AO入試を甘く見なければ大丈夫です!

何より、この入試制度で合格している学生の人数は年々増加傾向です。
多くの高校生に多様なチャンスを与えている、良い入試制度だと思います。

さて、AO入試の対策について書きたいのですが、

ちょっと長くなったので、ここでいったん切ります。

続きは次のブログ

AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(2)

をご覧ください。

次回のテーマは、

とんがれ!

です。

お楽しみに?

 


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大学入試改革 あれからどうなった? 英検受けるべき?

センター試験2019年1月英語リスニングの変キャラをバックにタイトル

大学入試センター試験が終わって1週間が経ちました。
リスニングの「謎キャラ」が話題になった一方で、受験生は志望校の決断に忙しかったです。

さて、そのセンター試験は今の高校2年生で最後となります。
つまりセンター試験は、あと1回しか行われません。

2020年度(2021年1月)からは「大学入学共通テスト」に代わるからです。

現段階での「大学入試改革」をまとめておきましょう。

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