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得意

宿題を解くのに電卓を使うのはサボり?それともITの活用?

オンライン指導を受けている男の子とイラスト

塾長です。

コロナの第2波が話題ですが、再びオンライン授業になってもよいように準備だけはしておきましょう。
さて、ICTに関連して、

「教育にコンピューターを活用するか否か」

について少し考えたいと思います。
その身近な例、というか、素朴な疑問として

「宿題をやるのに電卓を使うのはOK?」

というのがあると思います。

何のために教育でコンピューターを使うのか

今年度から始まっている教育改革の目玉の1つが、

  • 学校や家庭で、どんどんコンピューターを使おう!
  • 学校のwifiやICTをめっちゃ充実させるぞ!
  • プログラミング教育を必須化するぞ!

というものです。

  • コンピューターの活用
  • 問題を解決する体験

これを早くから経験させていくそうです。
今や

コンピューターが当たり前!

という世界ですから、これは賛成です。
ただし、子供たちに

問題解決!

と言われても、何が

「問題」

なのかピンとこないでしょう。
もしも子供たちがこれを、

「宿題の問題」

のことだと思ったのならば、どう行動するでしょう。
それを「解決」するために(答えを得るために)、パソコンや電卓を束でしょう。

確かに問題の解決です。
コンピューターを活用です。
まぁ、なんとなく良いことのように感じます。

一方で、何となく「それは違う」ような気もします。

どっちなんでしょう?

「問題解決力」の「問題」って何?

そもそも教育改革の中で言われている

「問題解決力」

とは、何なんでしょうか?

もっと言えば、問題解決では何を

問題?

としているのでしょうか。
これは、さんざん議論されてきて、もう分かっています。
一般に

「答えが1つに決まらないような問題」

のことです。

例えば、人に楽しい時間を過ごしてもらおうと思ったら、その方法は何通りもありますよね。
学習塾で勉強法を指導する、分からない問題を解説する、という時のやり方も色々あります。
このように、人に何かを提案するような活動は、答えが1つではありません。

他には、みんなの意見をまとめて何かの結論を出すような活動もそうですね。
普通は人によって意見がバラバラですから、それが1つにまとまる事はありません。
それぞれの立場でそれぞれが正解なのですから、スタートから答えが多くある状態です。
できるだけ多くの人が「納得できるもの」を探していく活動になります。

もちろん、新型コロナウィルスに対応する活動も、まさに答えが1つに決まりませんね。
地域や年齢、経済状態や人々の感情などといった、様々な条件によって状態がどんどん変化してしまう問題です。
でも、誰にとって、いつ、どこで、どれくらい怖くて大変なのかは、状況によって変わってきます。
それぞれの状況によって、対応する方法や程度の組み合わせが無数に出てきます。
だれも正解が分からないからこそ「決断」するしかありません。

芸術家の作品だってそうですよね。
同じテーマで作品の創作に取り組んだとしても、人によって作品の姿かたちや表現方法はさまざまです。

まだまだあります。

答えが1つに決まらないような問題。

皆さんは、どんな問題を思いつきますか?

ヒントを出しましょう。
簡単です。

世の中の仕事の多くは、答えが1つでない問題を含んでいる!

ということです。

コンピューターに任せて良いことは何?

上で見たような、

答えが1つに決まらないような問題

を解決しようとするとき、コンピューターを活用することが多いです。
より速く、より正確に、より便利に、より省エネに、より安く、より多くの解決パターンを生み出せるからです。

そう考えると、

あれ、人間のやることが、無くなってしまうのかな?

という錯覚を起こしますが、実はそうではありません。

そもそも答えが1つに決まらない問題なのです。
コンピューターを使ったとしても、相変わらず答えは何通りか出てきてしまいます。
ですから、最後に答えを絞るのは、行動を決断するは、やっぱり人間の仕事なのです。

ただ、コンピューターを活用すれば、その「何通りかの答えにたどり着くまでが高速」なのです。

コンピューターは計算機です。
答えが1つに決まる問題を、多量に瞬時に解ける機械です。

ですから、これからは

  • 答えが1つに決まる問題 → コンピューターにやらせる
  • 答えが1つに決まらない問題 → 人間が考える

となるわけです。
そして、

答えが1つに決まらない問題

を解決するためには、あらかじめ

答えが1つに決まる問題

を大量に処理しておく必要があるのが普通です。
要するに、難しい問題は、事前準備の処理が大変なんです。

だからコンピューターを活用すれば、大変な事前準備が加速されるので、その分だけ解決も速くなるというわけです。

逆に、答えが1つに決まる問題の処理に、人間が1つ1つ手作業で対応していたら効率が悪いです。

答えが1つということは、答えの出し方も1つにパターン化できるということです。
そのようなパターン処理は、どんどんコンピューターに任せればよいのです。

それなら宿題に電卓を使っても良い?

このように考えてくると、計算ドリルの問題を電卓に解かせるのは正しいことのように思います。
だって、計算ドリルの問題には全て「正解」が1つずつあります。
それならばコンピューターの仕事ということになりそうです。

え、本当でしょうか?

でも、やっぱり

「なんか違う!」

と思いますよね。
その違和感はどこから来るのでしょうか。

これは

「電卓を使う」

というところに落とし穴があるわけです。

訓練期間は電卓を使ってはいけない

電卓を「正しく使いこなす」には、数の性質や計算のルールを熟知している必要があります。
例えば、こんな問題ならどうでしょう。

311+207×503

これを左から順に電卓にそのまま打ち込んでい行くと、その答えが

260554

と表示されます。
これは間違った答えです。
なぜ間違えたのでしょう。

それは、電卓は打った順番に計算を実行してしまうからです。
つまり、電卓が次の手順で計算してくれたので、間違った答えになりました。

311+207=518
518×503=260554

結果的に「足し算より掛け算を先にやる」という計算のルールを間違えたことになります。
計算のルールを知っていたら、次のように電卓を使ったでしょう。

207×503=104121
311+104121=104432

これなら正しいです。

つまり、数の性質や計算のルールを知らなければ、電卓すら正しく使えません。

ですから、小学生は、数の性質や計算のルールを熟知するまでは、ちゃんと手を動かして計算して欲しいですね。

計算の過程で「数の繰上り」や「足し算と掛け算の関係」などについて多くを経験します。
電卓を使わないで、まずは手で計算して、そうした「数の動き」を経験しましょう。

その訓練が終わるまでは、電卓を使ってはダメですよ。

訓練が終わったら使ってもよい

これが中学生なら、どうでしょうか。

例えば「資料の整理」で平均値を出す計算です。

115、 309、 221、 405、 323、・・・199、の平均値を求めなさい。

みたいな問題だったら、これは電卓を使ってもOKだと思います。

ここでの訓練内容が、「平均値」の意味と使い方を熟知することだからです。
足し算や割り算のことを練習する場でも、その段階でもないからです。

しかし、エクセルや統計ソフトを使って、平均値や中央値、最頻値などを全自動で計算してしまうのは反則になります。
それでは訓練にならないからです。

もちろん、この問題を高校生や大学生が処理するのであれば、どうぞソフトでもアプリでも使ってください。

もちろん、中学生でも

「とっくにマスターしてますけど。こんな問題、簡単すぎて時間の無駄ですけど。でも提出課題だから仕方がないんですけど。」

という人ならば、どうぞソフトでもアプリでもお使いくださいませ。
何といってもコンピューターは作業時間の短縮が得意なのですから。

その宿題がお子さんの能力の成長にとって、ただの無駄な作業でしかないなら、電卓やアプリを使ってもOKです。
内申点を逃さないための「仕方のない作業」であれば、むしろそのアリバイ工作にパソコンや電卓が大活躍です。

本番のテストや入試で点が取れる実力があるはずですから、だれも文句は言いません。

検算に使うなら、むしろOK!

学校によっては、ドリルや問題集の答えを生徒に配らないところがあります。
その場合は、宿題はただの「作業」でしかなく、時間の無駄です。
勉強にはなりません。

なぜなら、学校に提出して、それが戻ってきて答えが分かる頃には、何をやったか忘れてしまうからです。
「忘れない内に解き直す」から勉強になります。
やったことを事細かくずーと返却されて来るまで覚えていられるレベルなら、そもそも解けています。
というか、そんなお子さんは、もうドリルをやっているレベルじゃないでしょう。

ですから不幸にも答えが無いような宿題をする時には、自分で出した答えが正しいか「確かめるため」に、電卓をどんどん使いましょう。

もしも電卓の計算結果と、自分のひっ算の結果が違う時、

なぜだろう?

と考えて、教科書を見直して、正しい答えが出るように調べ直したり、計算し直したりすることは、むしろ良い勉強になります。

「自分の力で解いたものを確かめるため」

これに電卓やコンピューターを後から活用するのはOKです。

「苦手なことから逃げても良い」という新しい常識

さて、そうは言っても、

できないモノはできない
ダメなものはダメ

ということがあります。

どうしても苦手!

そういうものが、人にはあるものです。

  • どんなに計算練習しても、必ずランダムなミスが発生してしまう。
  • どんなに勉強しても、どうしても漢字のミスが出てしまう。

もしも、このような悩みを子供が抱えているとしたら、どう考えますか?
苦手な所で立ち止まり続けて、その先の可能性まで犠牲にしてよいのでしょうか?

私は、それは違うと思います。

ですから、これからの時代は、

「苦手なことを自分の代わりにやってもらうため」

にコンピューターを活用してよいと思います。
それが、認められるようになるだろうと予想しています。
もっとリアルに、子供たちの立場で言い換えれば、きっとこうなると思うのです。

  1. 苦手なことを何とかするため!
  2. 社会の変化に対応する方を優先するため!

そのためにコンピューターを活用する!

誰もがそんなふうに公言できる日が来ることを、塾長は望んでいます。

まず、自分たちの問題を解決するためにコンピューターを使って欲しいと思います。
自分の抱えている問題は、きっとどこかの誰かも抱えているはずです。
コンピューターを使って、その問題が解決できるなら、むしろその方法をどんどんシェアすべきでしょう。

コンピューターの導入と言われると、何やら「新しい取り組み」というイメージが先行します。
どうしても子供たちに「新しいこと」や「たいそうなこと」を学ばせる印象があるかもしれません。

しかし、そんなに身構えて考える必要もないでしょう。
もっとシンプルに考えて良いと思います。

子供の周りにいる大人の価値観

皆さんは次のうち、どちらの方により多くの時間をかけるべきだと思いますか?

  1. 得意なことを伸ばす
  2. 苦手なことを克服する

平成初期までは2番が美徳とされていたように感じます。

しかし現在は1番の方が圧倒的に大切になってきています。
なぜなら「集合知」による問題の解決が主流になって来たからです。

「集合知」とは、みんなで「得意」なことを出し合って、お互いの「苦手」を補い合って、共通の問題を素早く解決してしまうことです。
インターネットを通じて人々が知恵を出し合い、すばやく問題を解決できる時代になったので、これからはそれが加速します。
苦手なことを克服する労力があったら、得意なことを伸ばす方が、早く社会のためにもなります。

このように

「ITSを使いこなす」

ということは

「集合知の一員になる」

ということにもなります。

まず、このような時代の流れを子供たちの周りの大人たちが、どれくらい意識しているでしょうか?

もしも上の2番を美徳としている大人が多すぎると、その子は不幸だと思います。
完全に周りが時代錯誤をしているからです。

周囲の大人の価値観が子供に与える影響は、とても大きいと思います。

苦手なことを上手に扱うスキル

もちろん苦手なことを放っておいてよい、とは言っていません。
そうではなくて、昔と違って今は「苦手」を扱う方法が色々あるということです。
克服したり、回避したり、コンピューターに代行させたり。

親からしてみれば、子供に不得意なことがあれば、それだけで本当に心配になります。
ただでさえ、日本人は文化的に、褒めるよりもダメ出しの方を多く口にしてしまいます。
我が子の将来を案じて心配するのは分かりますが、ダメ出しばかりでは子供は嫌になってしまいます。

ところが、よく考えてみると、苦手から逃げるのは当たり前のことです。

社会に出れば、自分が「できること」を考えるよりも先に「できないこと」を自覚して、先にリスク管理をする方が10倍くらい大切になります。

  • 「できること」で能力を発揮して
  • 「できないこと」は抱え込まない

これは仕事の鉄則です。
そのために組織があり、報連相を徹底しているのでしょう。
コンピューターが発達する前から常識だったはずです。

だったら、子供たちに対しても、考え方を少し変えていきましょう。
私たち大人ができること。
これまでの少し古かった考え方、

  • 得意なことは伸ばしてあげたい。
  • 苦手なことは、できるだけ克服して欲しい。

これを少し変えていきましょう。

  • 得意なことは、伸ばしてあげたい。
  • 苦手なことは、うまく対応できるようにして欲しい

こんな風に、より現実的というか、より賢いというか、そんな方向性も有りだと思います。

子供たちの未来にコンピューターの活用は必須です。

「コンピューターを活用するのが当たり前」

という状況をつくっていかなければいけないのです。

そして、当たり前にコンピューターを活用するようになるのであれば、今よりも広い価値観で使われることも、当然考えていく必要があるでしょう。

子供たちの未来のために、コンピューターを活用しましょう。

 


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数学ってそうだったの!? だから暗算が数学を苦手にする!

勉強が好調な女の子のイラスト

塾長です。

今回の定期テストの個表が返って来ています。

中2から通っている高校2年生が、ついに学年1位を達成しました。おめでとうございます!
ある中3男子が総合点で自己最高点をマークした一方、前回自己最高点だった中3女子は、前回ほどではないものの目標点+7点をマークしました。
また、詳細は伏せますが、数学が12点から67点にハイジャンプした生徒もいました。

これからスパイラル学習法で学んでいく新入生たちは、先輩たちの姿を見て、しっかり着いて来てください。

常識の中にあるウソ!?

さて、生徒を指導していると「教育の間違った常識」というものに遭遇することがあります。例えば前回のブログ「できる子は、教科書に線を引かない、ノートをまとめない」もそうでした。教科書に線を引いたりノートをキレイにまとめた方が成績が上がりそうな気がします。しかし現実は反対で、テスト期間にそういう作業をしている生徒ほど点数が伸び悩むものです。

今回は「暗算」についてぶった切ります!

「算数」の計算は得意。でも「数学」は苦手。

例えば、数学で次のような悩みがある場合。きっと、あることが原因です。いったい何だと思いますか?

  • 計算は速いけどミスが多い
  • 関数、図形、文章問題が苦手
  • 中学校の数学から苦手になった
  • 数学は意味が分からない
  • 小学校の時に公文で中学まで予習したけど全部忘れた

算数や数学がいつから苦手になるのかは人によります。小学校5年生くらいから、あるいは中学1年生になってから。人それぞれですが、苦手になりやすい人の共通点は、およそ決まっています。それは、

  • 途中の式を書かない
  • 図表を自分で書かない

という習慣です。こんな状態も同じです。

  • 途中の計算過程を書かない
  • ノートに答えしか書いてない
  • わざわざ途中の計算を消しゴムで消す
  • 間違った過程を残さない

こうした習慣があると「算数」から「数学」へ発展しません。中学生になっても算数しかやっていないので、数学が苦手になってしまうのです。逆に言えば、その習慣を改善すれば数学を克服する道が開けます。

「算数」と「数学」の違いとは!?

『いつまでも「算数」しかやっていない』と書きました。そもそも算数と数学は何が違うのでしょうか。

算数とは!?

小学校までの算数は、主に、整数、小数、分数を使った「算術」について学びます。要は、目に見える物を数で表し、計算を通じて色々な視点で物の個数や量を測れるようにする訓練です。

基本的に、数には「個」「匹」「リットル」「円」などの単位が必ず付きます。具体的な「経験」を通じて「数」の基本概念を抽象化していく「過程」にいるからです。したがって教科書の構成は、

  • 基礎(大部分): 物の数や量、単位などの具体的な内容
  • 発展(部分的): 数の性質やグラフなどの抽象的な内容

となっています。

例えば小学1年生の初期では、まだ「ペン1本」の1本と「パイナップル1個」の1個は、別のものだと認識しています。それを「合わせていくつ買いましたか?」という計算を経験させると、単位を外して抽象的に考えるようになります。つまり「ペン1本だろうがパイナップル1個だろうが、数が1であることに変わりはない!」と考えて「合わせて2つ」と答えられるわけです。

このように、

具体的な経験 → 整数、小数、分数への抽象化

を繰り返しながら学びます。とても大変な経験時間を要するので、小学校の算数では、これ以上の数の拡張をしません。ちなみに余談ですが、この抽象化に失敗すると、例えば「ウン、と合わせて、ペン・パイナップルが1つ」と答えてしまうわけです。

したがって、算数の世界では「数」と言えば、整数、小数、分数でしかなく、その範囲に限って加減乗除を学ぶだけです。そのため数の「性質」や「法則」の種類が少なく、計算が単純なだけに、暗算がし易いです。

数学とは!?

中学生以降の数学は、数の概念に「負の数」「文字式」「多項式」「無理数」が仲間入りします。単位のないものばかりです。そして数と数を足したり掛けたりしたように、例えば、式と式を足したり掛けたりします。

  • 負の数の導入と、その加減乗除、指数の導入
  • 文字式の加減乗除(単項式の計算)、方程式
  • 定数、変数、関数、座標
  • 多項式の加減乗除(中学は因数分解まで、除算一般は高校)、連立方程式
  • 無理数の導入と指数の拡張
  • 座標とベクトル、虚数と複素数、合成関数や微分方程式、集合など

このように、数と同じように計算できるものが学年と共に増えていきます。整数、小数、分数に限られていた算数の世界とは違い、数の概念がどんどん広がります。正に「数」の広がりを「学ぶ」ので「数学」と呼ぶわけです。それゆえ、何のどこが「数としての性質」なのかという「法則」や「定理」が重要になってきます。

したがって教科書の構成は、

  • 基礎(大部分): 数の性質や定理の説明や証明
  • 発展(部分的): 実社会にあてはめた利用問題

となっています。例えば中1なら最初に「方程式」という単元で、定理を使って「移項する」「分母を払う」などの抽象的な計算練習をします。その後「方程式に利用」という単元で、買い物や速さを扱う具体的な問題を解きます。

定理を使った抽象的な訓練 → 具体的な問題にあてはめる

これは算数とは真逆の構成です。

したがって、式の変形(計算)には必ず定理(理由)が当てはまります。そして1行の式変形に複数の定理が複雑に当てはまることさえあります。逆に定理に当てはまらないた式変形は、たまたま数字があっていたとしても間違いです。これを放っておくと計算ミスが多発するようになります。

つまり、算数の計算に比べたら「なぜそうできるのか」の理由付けが複雑なんです。それゆえ計算が速いことよりも、論理的に正しいかどうかを確認する方が、よっぽど重要になってきます。むしろ暗算はミスを生むリスクでしかありません。

中1の数学で最初にやるべき「脱!暗算」

このように算数と数学は、まったく視点の異なる学問です。中学から学ぶ数学は「数の性質」に注目し、その性質をあてはめる対象を「負の数」や「式」にまで拡張していくわけです。

1つ1つの計算(式変形)には、それぞれ理由があります。その理由は教科書に「定理」や「法則」としてすべて書いてあります。数はそれほど多くありませんが、組み合わせて使ったり、直ぐに思いつけるようにする訓練が必要です。

そして、もしも計算が間違っていたら、その理由を必ず言えるようになっています。ですから数学では丁寧に「なぜ、どうして」と確認していくことが大切です。

そうやって注意深く計算していれば、自然と「途中の式を書いて確かる」という手順の繰り返しになるはずです。

逆に「なぜ、どうして」を確認せず、とにかく速く答えを出すことにこだわり過ぎると、計算の「理由」を無視することが多くなり、分からないことがどんどん増えてしまいます。そうすると、暗算でできるような単純な計算だけを好むようになり、新しい定理を取り入れた数の拡張ができません。

これが数学が苦手になる理由です。つまり、

暗算にこだわる → 理由を無視する/暗算ができる簡単な問題だけ好む → 数の拡張ができない → 数学が苦手になる

というメカニズムです。

速くたくさん計算できれば良いとは限らない

数学の計算には全て理由がありますが、実際には、いちいち理由を確かめるのもしんどいです。そこで色々な計算パターンを網羅した問題集を何周かした方が、手っ取り早く計算力が身に着きます。これはアウトプット型の勉強なので、私も大部分は賛成です。ただし注意点があります。それは必ず次のことを守る、ということです。

  • 少なくとも間違えたところだけは理由(教科書)を確認すべし!
  • 確認できるように途中の計算式や図表はできるだけ書くべし!

この注意点を守らないと、ある日、全て忘れてしまいます。理由のないものは頭に残らないんです。

とにかく問題集を何百ページ、プリントを何十枚もこなし、数多くの暗算パターンを覚えてスピーディに計算をしていく生徒。一見、数学が得意のように見えますが、そうとも限りません。中には少しでも応用問題になると、ポキッと折れたようにできなくなってしまう生徒が出てきます。

もちろん本当に計算もできないほど苦手な生徒からしたら、こうした生徒は「数学できるじゃん」と思うかもしれません。しかし数学は「数」の概念を広げていく学問です。基本定理を自覚せず、パターン認識だけで計算ができるようになったとしても、それはいつか破綻してしまいます。

進学校でも高校から数学が苦手になる理由とは?

高校で「数学が苦手」というレベルはまちまちですが、それでも赤点や赤点ギリギリならば、かなり苦手と言えるでしょう。

「数学を何とかしたい!」

そう言って高校コースから入塾して来る生徒たちの多くは、実は数学が苦手なわけではありません。ちゃんと教えると、意外とすんなり理解してくれます。点数からは想像できないくらい早く解けるようになってしまいます。ほんと、そんな子が多いんです。ただ、

自分でどう勉強したらよいか分からない!

そう悩んで入塾して来るのです。

そういう生徒たちは、とにかく大量の問題集や大量のプリントで中学の数学を乗り切ってきたタイプの生徒たちばかりです。公式の暗記やパターンの認識はとても速いです。しかし教科書の読み方を知りません。

高校の数学では定理の数が増えます。しかし何十枚もプリントを出してくれるわけではありません。学校で配られる問題集の解説は簡素なものが多いです。それで、自分で何をしたら良いのか分からなくなってしまい、数学ができなくなってしまうのです。

例題のパターンごとに解き方を教えれば、直ぐ解けるようになってくれますが、それだけでは根本解決にはなりません。定期テストはしのげても、模試や入試では歯が立ちません。それじゃ不十分だという事を私は高校生の時に思い知らされています。浪人してから気が付かされました。

だから、そういう生徒たちに指導することだって同じです。

  • 途中の計算式をちゃんと書こう
  • 計算過程は消しゴムで消さず全て残しておこう
  • プリントや問題集だけで勉強しない(教科書を大切に)!

数学が得意な生徒は、ゆっくり計算するけど結果的に速い

高校生になっても数学が得意な生徒は、むしろ、ゆっくり取り組みます。取り組む問題集も限られています。その代わり、1つ1つ、自分の頭で考え、手を動かし、納得するまでじっくり取り組むのです。

中学生でも、数学で80点以上をコンスタントに取ってくる生徒は、やっていることが意外に多くありません。忙しい部活と勉強を両立してしまう生徒は、取り組む内容を絞ることができています。その代わり、細かいところの隅々まで納得いくまで、じっくり取り組んでいます。

ノートを見ると、途中の計算式や、考えに必要な数直線や表などが、ちゃんと書かれています。

それでは計算が遅いかというと、そんなことはありません。定理が良く身に着いているので、無駄な計算が少なく、ミスも少なく、消しゴムをほとんど使わないので、結果的に暗算が得意な生徒よりも早く終わります。これは学年が上がるほど、そうなります。

ですから数学を始める中1の段階で、できるだけ暗算を捨てる方が良いのです。

何度も書きますが、数学は数の性質が大切です。計算の根拠となる「数の性質」を正しく使わないと答えも間違えます。つまり論理が正しくないと答えが間違うようになっています。論理を確かめるには途中の式を書くしかありません。暗算はミスを生むリスクでしかありません。

「最終的な答えさえ合っていればいいや」

という短絡的な考え方では、あっという間に限界がきてしまいます。

競争相手は電卓ですか?

さて、ここであらためて問いたいのです。

人より速く計算できることが、そんなに大切な事ですか?

江戸時代は速く計算できる人が希少だったでしょう。昭和時代もそうだったかもしれません。でも今はどうでしょうか。電卓が100円ショップで買えたり、スマフォの電卓アプリが使えたりする時代です。人の手で計算するスピードに、それほど大きな価値はないと思います。

そしてコンピューターが安くなり、これから人工知能が身近になっていくことを考えれば、複雑な計算もコンピューターに任せればよくなるでしょう。

ですから、私たち人間のやることは、数の性質を良く知り、その性質を応用した命令をコンピューターに与えることです。電卓と競争するのではなく、コンピューターと会話できるような数学的な素養を養ってほしいと思います。

もちろん、数の性質や多様性を多く知っていて、その結果として計算が速くなるのは、積極的に良いことだと思います。教育的な意味として良いと思います。そしてコンピューターを使いこなせる、という意味でも良いことです。

まとめ

数の概念を狭い範囲に限定して「計算の速さを競う」ような価値観は、間違っていると思います。「暗算が速い方が優れている」と子供たちに思わせることは、むしろその後の数の広がりを邪魔してしまう危険性があるので要注意です。

子供たちを電卓と競争させてはいけません。算数から数学へステップアップできるように、

「途中の式をちゃんと書きましょう。」
「計算に使った数の性質を確認しましょう」

と、正しく子供たちに教えるべきだと思います。

 


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やってはいけない勉強法

授業中に分かった生徒とそうでない生徒

ネットやテレビで有名な人の中には、ギラギラした力強い目で、

「塾や予備校なんて行かなくても、勉強できましたよ。」

と言ってのける知識人がいます。
そういう時に、僕は思うんです。

「あー、いたいた、そういう天才っぽい人。」

僕は、けっこう勉強で苦労した方だと思います。
そして、そういう天才肌の友達に、勉強の仕方を聞いては、真似をして、大失敗をしてきました。

まったく参考にならなかったです!

塾で指導している時、面談の時、私がこういう話をすると、たいていの生徒はこうに言います。

「え、塾長は最初から勉強が得意だったんじゃないんですか?」

ってね。

じゃぁ、どうしたら良いか、というお話しです。

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