ブラックホールのイラスト

こんにちは、塾長の松下です。

すごいニュースがありましたね。見ました?聞きました?・・・人類の科学力がとうとうここまで来たんですね。

ブラックホールの撮影に人類が初めて成功したんです!

これが国立天文台が発表した動画です。観測の簡単なまとめは28:40~29:35です。

ということで、今日は塾長の趣味で時事解説です。

ブラックホールとは?

ブラックホールは、何でも吸い込んでしまう恐ろしい「星」です。本当にこの宇宙に存在します。光すら吸い込んでしまうので姿形は全く見えません。周囲のものを何でも吸い込んでしまうため、そこだけまっ黒に空いた穴の様に見えることからブラックホールと言われています。

ブラックホールは星が超ぎゅうぎゅう詰めに押しつぶされて、超超超高密度になると誕生します。太陽の30倍くらい重い星が、直径50Kmくらいに押し固められるとブラックホールになるそうです。

もしも地球全体をスポンジのようにギュギューっと押し固めて、直径1cm未満の箱に押し込めることができれば、地球もブラックホールになるそうです・・・いやいや、道端にある石像ですら押しつぶして直径1cmに圧縮させることが想像できません。いったい何をどうしたら地球全体を1cm未満まで押しつぶせるのかって話です。

ところが宇宙には「超新星爆発」とか「重力崩壊」とかいう現象があって、星が超超超押しつぶされてしまうことが実際に起こるそうです。その結果ブラックホールが生まれます。

今から約100年前、アインシュタインという天才物理学者が「一般相対性理論」という理論を発表しました。その翌年、シュバルツシルトという別の物理学者がこの理論の方程式を使ってブラックホールの存在を予言しました。

更に、ブラックホール同士が合体して、より大きなブラックホールに成長することもあります。銀河の中心には、何度も合体を繰り返してできた超ド級にでっかいブラックホールがあるそうです。
実は今回のニュースで撮影されたというブラックホールは、その超大きなブラックホールのことでした。

ブラックホールはどこにある?

約100年前に方程式の計算から予言されたブラックホールでしたが、その後の観測で単なる空想上のものではなく、この宇宙に実在するらしいことが分かってきました。

約60年前の1960年台になると人工衛星の観測がさかんになり、はくちょう座の6000光年の彼方で、強力なX線を出している星が発見されました。X線は放射能の一種で、とても高エネルギーです。太陽からも出ていますが、6000光年先まで明るく届くほどの量は出ていません。普通の星からここまで強力なX線が出ることはありえません。何か特殊な仕組みが必要です。はくちょう座にあるこの天体は青い星ですが、だ円形にひしゃげていて、見えない星の周りを回っていることが分かりました。それでこの星の隣にはブラックホールがあるに違いないと言われるようになりました。星がブラックホールに吸い込まれているためにX線が出ているのだろうと説明されました。

1987年に地球から約2万光年離れた隣の銀河「大マゼラン星雲」で超新星爆発が起こりました。この時に放出されたニュートリノという物質を日本の岐阜県にある観測装置「カミオカンデ」が観測し、東大の小柴教授がノーベル物理学賞を受賞しました。この超新星爆発でブラックホールができたかもしれないと言われています。

2016年にはアメリカの研究チームが「重力波」の観測に人類で初めて成功しました。重力波もアインシュタインの相対性理論から予言されたものです。この観測で、約13億光年の彼方で太陽の29倍と36倍の質量を持つ2つのブラックホールが合体して1つのブラックホールが作られたことが分かりました。

このようにブラックホールを間接的に観測することにいくつも成功してきましたが、まだ誰もその姿を直接見たことがありません。とても小さくて遠くにあるため、世界最大の望遠鏡でも撮影できませんでした。いつしかブラックホールの姿を直接見ることが科学者の夢の1つになりました。

そして、2019年4月10日、日本の国立天文台が世界各国と協力して、ブラックホールの姿を人類で初めて撮影することに成功したと発表しました。

撮影されたブラックホールの住所は「おとめ座にあるM87銀河の中心」です。普通のブラックホールではなく、銀河の中心にある超大きなブラックホールです。

おとめ座といえば、春の夜空に見える星座です。1等星のスピカが目印です。おとめ座を形作る目に見える星々は、すべて私たちの銀河の中にある「星」たちです。距離はせいぜい1000光年か、それより近いところにあります。
一方、M87は地球から約6000万光年も離れた「銀河」です。私たちの天の川銀河より一回り大きな銀河ですが、その姿は望遠鏡でしか見えない上に、普通の星と比べて数10万倍くらい遠くにあります。

今から100年前、アインシュタインが相対性理論を発表して間もなく、アメリカのカーチスという天文学者が、この銀河の中心からジェットが噴き出していることを発見しました。そのジェットの長さは7000光年とも8000光年とも言われています。
2000年にはハッブル宇宙望遠鏡が、その姿を撮影して有名になりました。

「ハッブル、M87銀河の中心から遷光速で吹き出すジェットを観測」(アストロアーツ)

それだけ大きなジェットを吹き出すからには、M87の中心には巨大なブラックホールが存在していて、どんどん周囲の物質を吸い込んでいるに違いないと言われるようになりました。「宇宙ジェット」と言えばM87のジェットのことを指します。それくらい有名なジェットです。

特にここ数十年の間、日本の研究チームがM87の観測を継続的に行って来たそうです。

普通の望遠鏡では見えないブラックホールの姿を、どのようにして撮影できたのかは、どうぞ動画をご覧ください。研究者が誇らしげに成果を発表する姿も印象的です。

本当に素晴らしい成果だと思います。

M87の宇宙ジェットの撮影を試みるアマチュア天文家たち

今回ブラックホールが撮影されたM87のあるおとめ座は、他にもたくさんの銀河を観測することができます。春の星座である「おとめ座」から「しし座」にかけては、銀河系の外にある、何千万光年、何億光年先の銀河を観測しやすい領域です。

プロの研究者に限らず、世界中のアマチュア天文家たちもまた、その領域の銀河たちを自分の望遠鏡で撮影して楽しんでします。特に鎖のようにたくさんの銀河が並んで見える「マルカリアンチェーン」という領域が有名です。そして今回のM78銀河は、そのマルカリアンチェーンのすぐ横にあります。M87銀河は星好きな人の間では、もともと有名な銀河なのです。

M78銀河の宇宙ジェットを目で見るには大きな望遠鏡が必要です。しかし写真ならば、アマチュア天文家の持つ規模の望遠鏡でも撮影が可能です。宇宙ジェットの姿を自分の望遠鏡と写真テクニックでどこまで映し出せるか。それが1つのチャレンジになっています。はるか遠くの銀河にあるブラックホールの存在の証を自分の望遠鏡でも撮影できるのですから、とてもロマンがあります。

そもそも銀河とは

銀河とは、数千億個の星の大集団です。その姿はさまざまで、渦巻き状、棒状、楕円状などがあります。私たちの太陽も天の川という銀河の中の星の1つです。宇宙にはそうした銀河と呼ばれる星の大集団が、無数にあります。

1つの銀河の中に、太陽のような星が数千億個あります。1つの銀河の大きさは数万光年以上あります。
銀河と銀河の間は、数万~数百万光年くらい離れています。
そしてこの宇宙には銀河が数千億個あると言われています。

例えば、私たちの天の川の近所の銀河に、アンドロメダ銀河があります。そこまでの距離は約200万光年です。ですから一般に銀河を観測するとなると、めちゃくちゃ遠い天体を観測することになります。

そしてほとんどの銀河の中心には、巨大がブラックホールが潜んでいると言われています。もちろん私たちの天の川銀河の中心にもあります。幸い、天の川銀河の中心は地球から2万5千光年も離れているので、太陽や地球がそれに吸い込まれる心配はありません。

おわりに

ブラックホールなんて実生活には無関係でしょう。
しかし人類が積み重ねてきた理論が、非現実的ともいえるブラックホールの存在を予言し、それがまさか実在していること自体が凄いことだと思いませんか?
目で見えていることや手で触れていることだけが現実ではないということですね。
この世界にはまだまだ神秘が隠されているのかもしれません。

 


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