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AO入試

【大学受験】推薦入試 指導事例で見る志望理由書の書き方

志望理由書の書き方(サムネイル)

塾長です。

大学受験生のうち、指定校推薦の内定が決まり始めました。AO入試の出願も大詰めです。
昨日はさっそく

中央大学の指定校推薦とれたよ~!
志望理由書、また持ってくるので見てください!!

と嬉しい報告をしてくれた生徒がいました。

そこで志望理由書の書き方について解説動画をつくりました 。
書いてはダメな例や、良い例文なども載せました。
12分ちょっとにまとめたので、ぜひご覧ください!

【大学受験】推薦入試 指導事例で見る志望理由書の書き方(YouTube)

0:00:15 大学からの「3つのニーズ」に応えるべき
0:03:12 指導事例: 志望校の設定(架空)
0:04:48 指導前の志望理由書(架空)
0:08:28 指導後の志望理由書(架空)
0:11:41 (まとめ)3つのポイント

参考資料

動画の中で登場する大学名や学部名、教授名はすべて架空です。
ネタ元は敬愛する「虚構新聞」さんの以下の記事です(笑)

人工知能、抽象絵画の出力にも成功 千葉電波大虚構新聞
https://kyoko-np.net/2017071001.html

なお動画中のアドミッションポリシーは虚構新聞さんとは関係なく、塾長が勝手に作文した架空のものです。

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

本当に「偏差値の高い高校・大学」へ進学する方が正解か?

塾長です。

今回は学習塾の先生っぽくないことを書きます。時には自由な発想も大事です。

さて、

中学生のみなさん、高校へ進学したいですか?
高校生のみなさん、大学に進学したいですか?

それならば聞きましょう。

「何のために」「なぜ」

進学したいですか?

これ、AO入試や推薦入試の面接で、必ず聞かれます。
しかも、しつこいくらいに、めっちゃめちゃ突っ込まれます。

これからの時代、この理由がとても大切なんです。
今まではテンプレ回答でよかったのですが、どうやら今後は本気みたいです。

そうなってきた背景とは!?

いま世の中で起こっていること。
順に見ていきましょう。

まずは手始めに、Googleの話題から・・・

就活で大卒が無意味になる!? Googleのキャリア認定

College(カレッジ)と呼ばれる、教養を深めるタイプの大学は、これから無くなっていくのかもしれません。
アメリカでは、こんな記事が世間を驚かせています。

Google Has a Plan to Disrupt the College Degree (AUG 19, 2020 by INC.)

この記事によれば、
グーグル社は、就職に役立つ基本スキルを教える専門コースを開設するそうです。
カリキュラムを終えればGoogleが「キャリア証明書」を発行してくれます。

1つのコースは月額約5千円(49ドル)、6か月で卒業できるようです。
つまり5千円×6か月=3万円で1つのキャリア認定が得られます。
さらに奨学金制度もあるそうです。

もちろんGoogleは自社の採用でこの認定書を活用します。
なんと「大卒と同じ価値」で扱うそうです。

さらに、ウォルマート、ベストバイ、インテル、バンクオブアメリカ、Huluといった名だたる大企業が、その制度に参画していくようです。

「大学の学位は多くのアメリカ人にとって手の届かないものであり、経済的安全を確保するために大学の卒業証書を必要とすべきではありません」
「私たちは、アメリカが回復し、再建するのを助けるために、強化された職業プログラムからオンライン教育まで、新しくてアクセス可能な職業訓練ソリューションを必要としています。」
「私たち自身の採用では、これらの新しいキャリア証明書を、関連する職種の4年の学位に相当するものとして扱います。」
(上記記事をGoogle翻訳にて日本語化し、一部を引用)

少なくともアメリカでは今まさに

「大卒が就職に有利」

という従来の価値観が消えつつあるようです。
4年制大学に行く意味を、あらためて考え直す必要があります。

就職が有利になる

もしもそれが進学の理由なら、もはや4年制大学に行くのは得策ではありません。
上のようなスキル認定を受けてしまった方が、安いし速いし有利です。

さて、ここから先は日本の話題に移ります。
さらに破壊的というか根本的な投げかけがあります。

義務教育は小学校までで十分!? 日本のキャリア教育を考える

つい最近、おもしろい動画を見つけました。
N高校政治部の特別授業がYouTubeで公開されていたのです(2020/9/9)

三浦瑠璃先生が顧問で、現職の麻生太郎副総理に色々な質問をしてしまう企画です。

とりあえず見てください。
自分の頭で考えて、自分に置き換えて見て欲しいと思います。

【N高政治部】麻生太郎副総理 特別授業(高校生のための主権者教育)

この動画の注意事項

なお、動画の冒頭にあるように、この動画は特定の立場に立つものではないし、特定の思想を伝えるものでもありません。この動画の趣旨としては、

変化を自分の目でとらえて、自分自身で考えることが大切

ということですので、そのつもりでご覧いただけたらと思います。
動画を見た感想や意見は、見た人がそれぞれに感じて自由に考えて頂ければ結構です。

25:12~34:38 「教育における同調圧力」について

  • 明治維新以降は、みんなで同じことを頑張る教育が大切だった
  • 男性社会だったので、国が教育を義務にしないと女性に同じ教育が与えられなかった
  • しかし今は、色々な人が出て来て、色々な表現ができるようになった
  • 日本は義務教育のレベルは高い一方で、大学は留学の方に魅力がある
  • きちんとした教育は小学校までで十分、例えば因数分解が義務として全員に必要とは思えない
  • 高校でさえ進学率が90%を超える今ならば、中学の進学から自由にしてもかまわない
  • その方が自由な発想で、自分に合った才能を伸ばせる

55:58~59:56 「コロナ騒動で就職が厳しい」状況などについて

  • コロナの騒ぎで世の中は色々変わるだろうが、それで全てがダメになるのではない
  • 新しいタイプの仕事が出てくる、今まで考えられなかった職業が出てくる
  • そのような時代を若い人はむしろ面白いと思って生きて欲しい
  • もちろん宮大工など古い職業も残るし、それがハッキリしてるなら義務教育が邪魔なほど
  • 1つの会社で退職までいくのも1つだが、若いんだから色々やった方が良い
  • マンガやオタク文化はサブカルチャーと言われているが、今やメインカルチャー
  • これから何が期待の職業になるか分からない
  • 置かれた時代は選べないが、生き方は自分で選べる

自由な発想をして良い

この動画でもう1つ面白いのは、発想の柔軟さや大胆さは、年齢に関係ないということですね。
80歳の副総理が

「中学まで義務教育である必要がないんじゃないか」

などとコメントするのは、既存の常識にとらわれない柔軟さと大胆さを感じます。
「え、そんなこと言っちゃうんだ?」的な面白さというか、新鮮さがあります。

もちろん、本当に義務教育が小学校までで十分なのか否かは、皆さんそれぞれの考えに委ねたいと思います。

要は、それくらい自由に考えて良いということです。

自分のキャリアも、自分の気持ちに正直に、自由に挑戦して積み重ねていって欲しいと思います。

そしてもう1つ。

むしろ若い議員の方が、若い人の意見をちゃんと聴いてない(46:25~49:18)。

これも確かにそうですね。

年齢に関する思い込みを外すことも、自由な発想のためには大切です。
同じように、性別や人種についてもそう。
とても示唆に富むコメントです。

自分のキャリアについて、ぜひ自由な発想で考えて欲しいと思います。

もっと評価されるべき「高卒で就職」

もう1つ紹介します。
高校生からのキャリアを積極的に支援する活動です。

アスバシの活動

一般社団法人アスバシ (明日の社会にかける橋)

18歳の選択の質を上げ、若者のチカラで変わる企業と社会

ぜひ上のホームページで活動内容をご覧いただきたいのですが、

  • 高校生インターンシップ
  • 高卒採用のマッチングサポート
  • 企業の枠を超えた4年間のOFF-JT教育
  • 東海若手起業塾
  • 社会イノベーターフォーラム

などなど、色々な活動をされています(2020/9/15確認)

高校生と企業、高校生と社会をどんどん繋げていく活動です。

高校生にとっては、社会のこと、仕事のことが早くからよくわかり、視野もキャリアも広がります。
企業にとっては意識の高い高校生と早い段階から接点が持てますし、地域へ会社を知ってもらうことにもつながるでしょう。

日本でも多様なキャリアの在り方が求められ、すでに色々な取り組みが始まっています。

今どきの学習塾に求められる「進路指導」とは

ここまで、破壊的な話題を紹介してきました。

義務教育とは?
高校受験とは?
大学受験とは?

みんなと同じようにやってきた常識に「なぜ?」が突きつけられています。
既存の教育の仕組みや常識が、これから破壊されていくのでしょうか。
だとすれば学習塾も、今の姿のままでは不要になっていくのかもしれません。

他にも多くのネタがありますが、これ以上の例を挙げてしまうと

「塾長はクビになるの?」

と心配されてしまうので、ここらへんで止めておきます。
(いちおう塾長は社長なのでクビにはならないです、ご心配なく)
その代わりに、そろそろ

「これから塾はどうするのか?」

について書こうと思います。

「学習塾も変化に対応していくぜ!」

っていうお話です。

これまで学習塾と言えば、テスト対策や受験対策というイメージです。
多かれ少なかれ、それは今後も変わらないでしょう。

しかし、明らかに変わってきたのが進路相談の「中身」です。

もはや偏差値で高校や大学のブランドを説く人など、いなくなってきました。
これ、なかなか信じない人も多いのではないでしょうか。
でも事実です。

高校受験の現在

高校のブランド力は「キャリアの提案力」になりつつあります。

多くの中学生が「人生初の受験」を経て入学するのが高校です。
進学ということ自体が、まだよく理解できないし、できたとしても限界があります。
そのため、

  • どんな高校生活が送れるか?
  • どんな将来性が開けるか?

これを提案できている高校が強いです。
そうなると公立高校よりも私立高校の方がアピールが上手で、体制の構築も速いです。
それで必然的に、次のような傾向になってきました。

  • 偏差値だけで高校の高低を単純に語る人が、とても少なくなってきた
  • 私立高校の特長や強みが目立つようになってきた
  • 学校の先生から私立推薦を勧められるケースが増えてきた
  • 「どうしても公立高校」という人が減ってきた(定員割れが拡大)

保護者様から塾に対するご要望もマイルドになりました。

  • しっかりとした基礎学力を身に着けて欲しい
  • 本人が行きたいと思う高校に行かせてやりたい
  • 子供の得手不得手をちゃんと分かって欲しい

「偏差値上げて」「点数上げて」の一辺倒ではなくなってきたということです。
これは明らかに、昔ほど受験競争がシビアではなくなったためでしょう。

私立高校のパンフレットを見れば「進学したくなる理由」が書かれています。
生徒たちが漠然と抱えている不安や疑問。

  • 何のために進学するの?
  • 高校へ行って何するの?
  • 何の役に立つの?

こうした中学生の疑問に、ちゃんと答えられている高校が人気です。
こうした状況を踏まえれば、進路指導では次のことが大切です。

  • 何の勉強がどんな仕事にどう役立つかを説明できること
  • 特に普通科への進学は、できるだけ高卒後の進路希望まで確認しておくこと
  • キャリア意識の高い生徒がいれば、その意思をしっかり汲み取ること

要するに、高校進学の指導で大切になって来たのが、

「早い段階でのキャリア意識」

なのです。かつての受験競争では、

  • 模試の結果で偏差値が高かったから○○高校
  • とにかくよい大学へ行くためには良い高校へ

という漠然とした理由で勉強し、進学していく人が多かったです。
しかし、今後はいなくなっていくことでしょう。

「○○高校に〇人合格!」

みたいな学習塾の合格実績は、次第に価値がなくなっていくのかも知れません。
すると高校受験において、学習塾の役割で大切になることが見えてきます。

世の中を良く知っていて、勉強する理由や仕事やキャリアの実態について、ちゃんと語れること

このような講師や塾長が求められるようになってきました。

大学受験の現在

大学のブランド力は「高い専門性と社会貢献」です。
研究成果を通じて社会に貢献する、それができるレベルの人材を社会に排出する、というのが大学です。
そのため大学は、

  • 自分からテーマを見つけて探求していける人
  • 社会貢献を通じて大学の名誉を上げてくれそうな人

という人材を、できるだけ

「一本釣り」

で獲得しようと模索しています。

アドミッションポリシーで欲しい人材像を宣言しています。
小論文を書かせたり面接をしたりして、その素養を見抜こうとします。
それで次のような入試の傾向になってきました。

  • AO入試や公募推薦の活用が目立ってきた(推薦受験の定員枠の拡大)
  • 私立大学は一般入試の合格水準が上がった(一般受験の定員枠の縮小)
  • 資格や実学を求める人が多くなってきた(資格系の学科が増加)
  • 文理を問わず、グラフや図表を読み解く力、論理的な文章を構築できる力、仮説を立てて問題の解決策を論じられる力、などが問われるようになってきた
  • (オマケ)地元志向が強まってきた(愛知県の地元残留率は全国1位)

お父さんやお母さんが経験してきた大学受験と比べてみてください。
すっかり様変わりしていますよね?
世の中が大卒者に求める能力が、もはや完全に変わってしまったからです。

大卒者に求められるのは、専門知識そのものではありません。
専門性を活かした問題解決力です。

身の回りや世の中に転がっている、大小さまざまな問題。
それらを自ら見つけて解決していく力です。

本当は今までもそうだったのですが、コンピューターやAIの台頭で専門知識の価格が下がってしまったため、ようやく明確になって来たとも言えます。

そもそも仕事とは何であれ、何かしらの社会貢献なわけですから、当たり前と言えば当たり前です。
しかし大卒者には、それが研究レベルで求められるわけです。

つまり、大学に行く価値というのは、

他の人や人工知能には真似できない問題解決力が身につく

ということです。
そのようなモチベーションで推薦の願書や志望理由書を書く必要があるわけです。
だとすれば、大学受験において、学習塾の役割で大切になることが見えてきます。

大学の研究内容まで調べて理解し、大学で取り組みたい研究テーマや大学卒業後の展望などについて、ちゃんと指導できること。

このような講師や塾長が求められるようになってきました。

いやー、正に塾長の出番って感じです!
こういうの得意です!

ぶっちゃけた話し、問題解決をやったことが無い人に、志望理由書や小論文の指導をお願いしても、あまり意味がないでしょう。

例えば、卒業論文や修士論文がヘッポコだった人に指導してもらっても、ちょっと厳しいかもしれません。
学習塾の先生なら、起業した人や、社内の業務改善に取り組んだことがある中堅以上の社員でなければ難しいでしょう。
学校の先生であれば、教育改革を推進したり、主体的に業務改善に取り組んだたりしたような経験を持つ、中堅以上の先生に指導してもらうのが良いと思います。

どのような立場であれ、これからの進路指導には、指導する側にもそれなりのキャリアが必要になってくると思います。

「どこへ行くか」ではなく「何をしたか」

昨今のような変化の激しいときこそ「あたり前」のことが大切になってきます。
進学であれば、

  • 「どこの高校に行ったか」 < 「高校で何をしたか」
  • 「どこの大学に行ったか」 < 「大学で何をしたか」

という至極当然のことを、それこそ真剣に考える時代になってきたわけです。

例えば、コロナ禍で大学のキャンパスに行けないとなれば、なおさら大学に行く意味が問われるというものです。
留学ともなれば、なおさらのことです。
こんな動画は、いかにもそれらしい話題です。

脳科学者の茂木健一郎さんです。

塾長は10年ほど前にお会いしたことがありましたが、とにかく熱い方でした。
本の裏表紙にサインをいただきましたが、そこに添えて頂いたメッセージが

「誠司よ、噴火しろ!ドカーン」

ですからね!
ドカーンと噴火して奮起し、それから間もなくヒーローズを始めてしまったわけですけれども・・・。

そういうわけでして、

就職に有利だから

これはもう、大学へ行く理由にはなりません。
そもそも、問題解決力が問われている時代です。

大学に行く理由が、そんな大雑把でフワフワしている時点で、おかしいと思われます。

何も考えずに進学した

つまり下手をすれば、

論理的に考えて行動できない

と見なされてしまいますよね。
これまでの方が異常だったのだと思います。

高校進学にしろ、大学進学にしろ、そして専門学校への進学にしろ、どこに進路を設定しても、必ず

行ってから何をするか?

を考えることが重要です。

Society 5.0にむけた進路指導

塾長だけが言っていても信ぴょう性が低いので、今度は学習塾のブログを1つご紹介。

個別学習のセルモ 日進西小学校前教室 西尾先生のブログです。

Society 5.0にむけた進路指導

ほらね、僕だけではないでしょ。
西尾先生みたいな立派な先生だって、同じように考えていらっしゃいます。

  • 来るSociety5.0の時代、これまでの学歴モデルが崩壊する
  • 普通科にとらわれず商業科や工業化などの専門学科も検討してみよう
  • 進路指導では、大人は、幅広い選択肢を提示し、子どもは、その中から進路を「自ら選ぶ」のが理想

西尾先生は、

愛知総合工科高校(旧東山工業高校)→日立に就職→東大留学→マイクロソフトに転職→セルモ開校

という異色の経歴をお持ちです。
正に時代の先を行くキャリアで、西尾先生のプロフィールはモデルケースの1つと言えます。

説得力あり過ぎです!

あとがき

ところで余談ですが、上のN高校の動画を見ると、

  • 政治家は現状を変えるのが仕事(役割)
  • 官僚は現状を守るのが仕事(役割)

であることが、あらためて分かりますね。
そう考えると、双方が議論を戦わせるのは世の常であり、どちらが良い悪い、というものではないです。

ただ、任期と選挙がある政治家の方に権力が置かれるのが民主主義というワケですね。
逆に、選挙のない官僚が権力を持ってしまえば、これは独裁主義になるわけで、そうなれば市民の声が届く仕組みがなくなってしまいます。

もちろん日本は民主主義国家ですが、それでも官僚の反対で教育改革が大胆にできない国のようです。
国の仕組みがコロコロ変われば混乱しますから、このへんはバランスなのでしょう。

現政権に関しては、色々な意見や反対・賛成もあるでしょう。
塾長は立場上、生徒の前ではどちらとも言えません。
生徒がそれぞれに考えてくれればよいと思います。

ただ少なくとも、第一線で頑張ってきた人のお話というのは、色々な角度で見るたびに、色々な学びがあると思います。

 


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教室の様子(360度カメラ) http://urx.blue/HCgL

AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(2)

志望理由書を添削している先生のイラスト

塾長です。

AO入試(総合型選抜)について続きです。
なお前半は「AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(1)」をご覧ください。
今回はもっと具体的に、対策や志望理由書の書き方について解説します。

対策はいつから?

AO入試の準備は、高2の冬から考え始めるのが良いでしょう。

あらかじめ大学のオープンキャンパスに参加しておくことが重要だからです。
すべてではありませんが、

  • 面接でオープンキャンパスに参加した感想を聞かれた
  • 出願時にオープンキャンパスで出された課題のレポートを提出

などのように、AO入試はオープンキャンパスと連動していることが多いからです。

大学のオープンキャンパスは、早いところでは3月から実施されます。
高2の12月頃から志望校を考え始めれば、高3春のオープンキャンパスに間に合います。

それに、できるだけ多くの大学のオープンキャンパスに参加しておく方が、志望校を決めやすいでしょう。

AO入試の出願は高3の9月から始まります。

遅くとも、夏のオープンキャンパスには参加できるよう、早めに準備を始めましょう。
秋のオープンキャンパスでは、ギリギリ過ぎるか、あるいは間に合いません。

志望校の決め方

次のステップで考えるのがベストです。

  1. 志望する「学部や学科」の仮説を立てる
  2. AO入試を実施している大学をピックアップする
  3. オープンキャンパスに参加する
  4. 「研究したいこと」の仮説を立てる
  5. 「大学の卒業後になりたい自分」の仮説を立てる

実際には、志望校というよりは、志望する学部や学科を決める方が先です。
それがステップ1です。

しかし、最近は「学部や学科を決める」からして、すでに「ハードルが高い」と感じる高校生が多いのです。
重く考えすぎたり、学部や学科の将来性を打算的に考えたり、あるいは、単に何も考えていなかったりするからです。

そこで、コツを教えます。

「仮説」として考えよう

この発想です。

そもそも、まだ人生が始まったばかりの若い高校生が、将来のことなんて解るワケがありません。
ですから真面目に重く考えてしまうと、かえって決められなくなります。

そういう時は、気持ちを楽にして、大雑把に、適当にやってしまうのです。

  • 本当にプロになれるかどうかは考えない
  • 幼稚園や小学校の時に思っていたことを採用してみる
  • 人と比べない
  • 特別なエピソードは不要
  • 一生懸命という自覚が無くてもよい
  • 後で変わってもよいから「今はそう思う」で考える
  • 自分のコンプレックスが逆に研究テーマかもしれない
  • 大したことない自分の趣味を「大真面目に」語ってみる
  • キラキラした夢でなくてもよい

こんな風に、発想の邪魔になっている先入観や安全志向を、どんどん取っ払ってしまいましょう。
そして、あくまでも「仮説」として自分の方向性を決めていけばよいのです。

「特に夢がありません。」

そういう高校生の方が普通です。
むしろ多数派です。

教室でも、それで悩む生徒には、上のように発想の壁を取っ払うようなお話をします。

みなさん「自分の良さ」を忘れすぎですよ。

この際、思い出してもらいましょう。

志望理由書を書く前に

ここからが今回の本命です。

自己流では失敗する!?

まず自己流では失敗します。うまくいきません。

なぜかというと、大学側が考えていることを日常生活で触れることが無いからです。
これまで大学と無縁な生活をしてきた人が、自己流で大学の考えに沿った文章を書ける可能性は0に近いです。

ということで、ちゃんと推薦入試やAO入試の指導ができる人に添削をお願いしましょう。

まず、高校の進路指導部の先生や、進路指導経験の豊富な国語の先生に、ぜひ相談してみてください。
もちろん塾の先生でもOKです。
ただし、塾の先生に指導を受けたとしても、必ず高校の先生にも相談してください。

志望理由書の書き方を指導できる先生のスキルは、だいたい次のようなものです。

指導者に必要なスキルとは

  • 大学側のニーズを的確に調べられること
  • 論説文を書く能力があること
  • 生徒の良さを見抜けること
  • 自分の価値観や理想を生徒に押し付けないこと

こんな感じでしょうか。
このようなスキルを持つ先生に相談しましょう。

学校の先生と塾の先生の役割分担

それから、塾の先生と高校の先生の両方から助言を受ける場合、次のような役割分担を期待するとよいでしょう。
万が一、双方からの指摘が反発した時に、参考にしてください。

  • 高校の先生: フォーマットや段落構成、論理展開などといった形式面を見てもらう
  • 塾の先生 : 志望理由に「何」を書くかといったコンテンツ面を見てもらう

これは、あくまでも大まかな傾向です。
どちらが良いというのではなく、双方の立場や社会的な役割を理解して「両方の知恵」を上手に取り込むことが大切です。
合格したいなら、両方を味方につけましょう。

学校の先生は公平な立場

立場上、学校の先生は「何を書くか」については「本人に任せる」のが原則です。
あくまでも生徒自身が考えた文章を「整える」ような指導がメインとなります。

「これは志望理由になってないよ」

という指摘は出すことができます。
しかし、具体的に何を書いたら志望理由書になるかまでは、助言したくてもできません。
なぜなら、立場上、学校の先生が助言したことを、そのまま書かれてしまったらマズイからです。

「例えばねぇ・・・」

と先生が言ったことを、そのまま書き写されてしまったら大変です。
学校の先生としては、それをされるのが一番困ります。
それでは試験の公平性や他の生徒指導との公平性など、色々なことに矛盾します。

学校の先生は国家資格を持ち、大学と高校の橋渡しをする役割も持っています。
社会的な立場、つまり試験制度や生徒指導の公平性や、それの前提となる生徒の主体性を保証する立場と言えます。

塾の先生は身内の立場

一方、塾の先生は、本人から「想いのかけら」を引き出して「志望」まで練り上げるコーチングを行います。
本人の中にある考えや経験が、なかなか言葉にならないので、それを原石のまま引っ張り出してきて、文章にまで仕立て上げるのです。

例えば、生徒がお父さんやお母さん、あるいは親戚のお兄さんや先輩などに相談して、進路や将来の希望を具体的に決めていくのは普通でしょう。
彼らと相談して思いついた文章や一緒に考えた文章を、願書に書いてもかまいませんし、そうするのが普通です。

このように、学校の先生に聞いた通り書くのはダメですが、生徒が身内や先輩の人たちと相談して「何を書くか」を決めていくのは普通ですよね。

塾の先生は、保護者様からそうした相談の代役を任されているので、内容まで踏み込んで助言ができます。
高校の先生から見たら、塾の先生は家庭や親せきと同じで、生徒の内部に含まれます。
つまり塾の先生は、

生徒の中の人

というワケです。
学校の先生から見たら、生徒しか見えません。
塾の先生は生徒の「中の人」なのですから。

そのため生徒は学校の場で「塾の先生が、こう書くように言った」とか言ってはいけません。
あくまでも「私はこう思って書きました。」とする必要があるわけです。
百歩譲っても「親や親せきに相談して、こう思いました。」と言いましょう。

対立はNG!

たまに学校の先生と対立してしまう塾の先生がいますが、それは勘違いだと思います。
学校の先生には、学校の先生の役割と立場があり、塾には塾のそれがある、というだけのことです。

私の場合は、そうした全体像を俯瞰したうえで、生徒には両者の知恵を取り込んでもらえるように指導しています。

大学が欲しがる人とは?

まず大前提として、最初に

「高校と大学は全く違う!」

ということを自覚して欲しいです。
これを知らないと何を説明しても志望理由書の文章に正しく反映されていきません。
超超大切です。

  • 高校: 教科書で勉強するところ
  • 大学: 研究成果を出すところ

つまり、こういうことです。

  • 高校: 一生懸命な人に来て欲しい
  • 大学: 研究できる人に来て欲しい

大学のホームページには「アドミッションポリシー」が学部ごとに書いてあります。
いろいろと難しいことや大義名分的なことが書いてあるのですが、一言で言えば、ぶっちゃけ上のようなことです。

大学の立場で考えてみてください。
研究で成果を上げてくれそうな人材を、どうやって集めますか?

  • 学力の高い人を多く入れて可能性を上げる → 一般入試
  • 研究者らしい人をピンポイントに募集する → AO入試

こんな風に想像できますよね。
このような想像力が大切です。

これは直感レベルでも理解して欲しいです。
次に、同じことを3種類の見方で説明しますので、感覚的にも身に着けて欲しいです。

過去ではなく「未来」について書こう

推薦入試で重要視されること①

  • 高校受験の推薦: 人間力 > 研究力
  • 大学受験の推薦: 人間力 < 研究力

推薦入試で重要視されること②

  • 高校受験の推薦: 過去の実績 > 未来の展望
  • 大学受験の推薦: 過去の実績 < 未来の展望

推薦入試で重要視されること③

  • 高校受験の推薦: 前向きに生懸命がんばります!
  • 大学受験の推薦: ○○の専門性で社会に貢献します!

こうした考え方の基本を、しっかりと頭に叩き込んでください。
志望理由書の作成に取り掛かるのはそれからです。

なぜ志望理由書に「興味を持ったきっかけ」や「高校で頑張った事」を多く盛り込んでも評価されないのかが理解できるでしょう。
800字~1000字しか書けないのに、過去の話に字数を費やすのはもったいないです。

志望理由書の書き方

さて、いよいよ「書く内容」について説明します。

まずは箇条書きでネタ出しをする

いきなり文章を書くのは効率が悪いです。
文章にする前に、まず内容(コンテンツ)を先に洗い出しましょう。

まず次のことを箇条書きで決めてください。

気楽に考えて「仮説」として決めればOKです。もちろん仮説ではなく本気ならなお良いです。

  • 志望する学部や学科を決める
  • その学部の教授や助教授について、ゼミや研究テーマを調べ、興味のある研究分野を決める
  • 研究分野に関連して「自分がやりたい研究」を決める
  • 研究で出したい成果や、その先の卒業後の「なりたい自分」を決める
  • 自分の得意や長所、過去の経験、オープンキャンパス、大学の教育体系などとの関連性を整理する

なお、順番はどこから手を付けてもかまいません。
箇条書きですから、思いついた所から埋めては修正して・・・を繰り返しましょう。

ここをサボると、ろくな文章になりません。
絶対に妥協しないで、ちゃんと具体的に決めてください。

教授の研究テーマは専門用語ばかりで難しいですよね。
でもネットで検索すれば調べられます。調べましょう。
調べるくらいのことができなければ、研究者にはなれませんぜ。

悪い例

  • ○○大学 理学部
  • オープンキャンパスで見学した○○教授のゼミに参加したい
  • ○○教授のもとで気象の研究をしたい
  • 一生懸命に勉強し、気象予報で人の役に立ちたい
  • オープンキャンパスでは施設が新しく充実していて良いと思った

自分の視点が無く、受け身であり、具体性がありません。
もっともっと考えを練り上げましょう。

良い例

  • ○○大学 理学部 地球環境学科
  • 集中豪雨の研究をされている○○教授のゼミか、積乱雲の研究をされている○○助教授のゼミ
  • 名古屋の集中豪雨の規模や発達スピードについて詳細に研究したい
  • 名古屋の集中豪雨の予報や警報をより早く細かく出せるよう貢献したい
  • オープンキャンパスでは○○教授の地球温暖化の講義が興味深く、集中豪雨の研究にも役立ちそうだと思った

このくらい具体的でなければ、何も書いてないのと同じです。

パソコンで文章を作る

ネタ出しができたら、文章にしましょう。
ただし、これから何度も何度も書き直すことになります。
手書きはやめましょう。効率が悪く、先に心が折れてしまいます。

パソコンで文章を作りましょう。
パソコンなら、段落の組み換えや文章の書き換えが楽です。
編集の履歴を残すことも簡単です。

最初は字数制限の2倍くらいで書く

最初から字数制限に合わせて書かないようにしてください。
むしろ書き過ぎで、ちょうどよいくらいです。

まずは字数を気にせず、大量に長く書いてください。
逆に字数制限を埋めるので精いっぱい、という状況なら、まだまだネタ出しが甘いです。
前の作業に戻って、箇条書きから練り直しましょう。

文章を書きなれていない人が書いた文章というのは、重複が多いものです。
また論点がぼやけていたり、バラバラで統一されていなかったりもします。

つまり余分なものだらけです。

添削して文章を構成していくと、そうした余分なものがビシバシ削られていきます。
たくさん書いたつもりでも、どんどん文字数が減っていきます。

ですから最初は、それを見越して字数制限を大幅にオーバーするくらいで書きましょう。

添削指導を受ける

文字数オーバーの志望理由書が出来上がったら、印刷して、先生に見てもらいましょう。
もちろん

「字数制限はまだ合わせていません。先に書く内容を決めたいです。」

と断ってから出さないといけません。

この添削で論点と内容をビシバシ絞っていき、そこで初めて原稿の方針が決まります。
つまり大まかな段落構成と、段落ごとに書く内容が決まります。

ここまで来て、やっと次回から字数制限を守って原稿を書けるようになります。

字数制限を守った原稿で添削を繰り返す

とはいえ、まだまだ文章を練り上げるのは大変です。
「あ、これも書かないと」と書きながら気づくことや決まることもあります。

添削を受けて、どんどん内容の論点を絞っていき、時には箇条書きのネタ出しをも修正します。

偏差値60の高校生でも10回くらいは書き直さないと、合格点を出せません。

内容は塾の先生、形式は学校の先生に見てもらいましょう。

学校の先生に見せるのは、塾の先生に何度か添削を受けた後が良いでしょう。

書く内容が決まり、字数制限も守れるようになったレベルの原稿を見せましょう。
完成度が低すぎると、先生も困ってしまいます。

何度もダメ出しを食らうと気が滅入るかもしれません。

しかし、一般入試に向けて頑張っている他の受験生の姿を見てください。
頑張る種類が違うだけです。
他のみんなも頑張ってますよ。

あとがき

AO入試について、塾長の経験から書きたいことを、書きたい順番に書いてきました。

もっと短くまとめたかったのですが、2回のブログに渡ってしまいました。
長文は私の悪いクセです。

そういえば今回のテーマは、

とんがれ!

でした。

研究テーマを具体的に決めていくと、人は誰でも「オタク」になります。
テーマを絞って、論点を絞って、マイナーな視点に興味を深めること。
他の人がやっていないようなことにこだわること。

とんがった志望理由書を書いて、ぜひ合格を勝ち取って欲しいと思います。

頑張ってね!

 


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AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(1)

志望理由書を添削している先生のイラスト

塾長です。

今回は高校生や保護者の間に蔓延する誤解について、喝を入れます。
というのはウソですけど、ただ、冗談抜きで誤解があります。
後半ではAO入試の対策についても書きます。

AO入試が楽なワケない!?

× AO入試は楽ちん

そんなワケなーい!!
AO入試は不合格者がたくさん出ますよ、選抜試験ですから。

〇 AO入試は難しい

このような正しい認識を持ち、気を引き締めて対策をして欲しいと思います。

対策しないで撃沈するパターン

あまり対策せずに自己流でやってしまうと、多くは失敗します。
例えば、こんな志望理由書を書いてしまいます。

これのどこが悪いのか、分かりますか?

私は小さい頃から○○が好きだったので、大学に入ってからも○○を勉強したいです・・・オープンキャンパスで参加した○○先生の模擬授業はとても面白かったです。キャンパスは自宅からの交通の便が良く通いやすいです。・・・一生懸命勉強し、貴学の○○という理念にあるような人の役に立つ人材に成長したいです。以上から私は貴学の○○学部への入学を志望します。

このレベルだと大学のAO入試では撃沈してしまいます。
面接試験に進む前に、書類選考の段階で落とされるか大幅に減点されています。
大学の立場で読めば、本人の良さが何も伝わってこないからです。

ちなみに、受験指導の研修を受けていない先生に見てもらうと危険です。
「起承転結」や「背景、経緯」などといった「どうでも良いこと」にこだわるよう指導されてしまいます。
上のような文章でも、これで良しとしてしまうからです。

本番直前になって、ちょちょいのチョイと書いた志望理由書は、こういうレベルです。
AO入試が楽ちんだと勘違いしているからこそ、対策が不十分になって、こうなるのです。

ちなみに愛知県の場合、このレベルだと公立高校の推薦入試でも減点されます。
私立高校なら「学校が推薦した」という事実の方が大きいので、ギリギリセーフでしょう。

添削指導で真っ赤にしたら親からクレームが来た話し

そもそも、自己推薦文や志望理由書は、かなり添削指導が必要です。

まず普通の生徒は文章が書けません。
その状態からスタートになるからです。

例えば、こんな質問をお子様や生徒たちにしてみてください。

ここ1週間以内に500字以上の文章を書いたことがありますか?

まず9割以上は

書いたことない

と答えるでしょう。
SNSで100文字以内の文を書くのがせいぜい。
ましてや、段落構成まで考えることなんてありません。

私だって大学生になるまでは文章を書くことがほとんどなかったです。

というわけで、文章を書くという経験が、そもそも無いのですから、1から訓練が必要になります。
1から教えるのですから、最初の添削は

真っ赤っか

になります。
それを普通は

「真っ赤っか」=「熱心な指導」

と受け止めてくれるのですが、中には

「そんなに否定することないじゃない!」

と悲観的に思われる人もいます。

「うちの娘が添削でショックを受けています。なんでこんなに真っ赤にするんですか!」

などとクレームを上げてこられたお母様がいたほどです。
もう、だいぶ昔の話ですが。
受験を楽ちんで済まそうとした甘い誤解と、現実とのギャップで、感情が高ぶったのでしょう。

しかし私が赤をつけずに甘い言葉で褒めたとしても、大学は褒めてくれません。

最終的に誰が見る文章なのか?

それを勘違いしてしまうと、このような過保護になります。
本番前に真っ赤にして改善しなければ、本番が真っ赤になります。

志望理由書は、きわめて論理的に文章を書く必要があります。
感情をコントロールし、自分の文章を他人のもののように客観的に分析し、改善する努力が必要です。
そこは指導する上で、ぜったいに譲れません。

指導の趣旨をお母様に何度も説明しましたが、理屈が通りませんでした。
ひとたび高ぶってしまった感情は、治まるのに時間がかかります。
しかし、それを待っている時間がありませんでした。

途中からお父様に代わっていただき、ご理解を得ることができました。
お父様が出てこなかったら、私は指導を諦めて他の塾へ行くよう薦めたかもしれません。
しかし、そのまま指導を続ける話で落ち着きました。

もちろんその子は合格したので、真っ赤に添削して良かったというものです。

百歩譲って楽チンできたとしても、大学に進学した後はレポート作成が日常です。
卒論もあります。
真っ赤にされるのは、むしろこれからですよ。

  • 添削で真っ赤にされるのが当たり前
  • 10回くらい書き直すのは当たり前

そういう心構えを持っておきましょう。

ちなみに、書き直す作業の効率を上げるために、私はパソコンでの下書きを推奨しています。
いきなり原稿用紙に手書きをするのは効率が悪いのでやめましょう。

大学入試の方法と用語

大学入試の選抜方法は次の3通りあります。
ただし今年(2020年の受験生)から呼び名が新しくなっているので注意してください。教育改革「高大接続改革」のためです。

  • 一般選抜 (旧:一般入試)
  • 総合型選抜 (旧:AO入試)
  • 学校推薦型選抜 (旧:推薦入試)

学校推薦型選抜は、さらに公募推薦と指定校推薦に分かれます。

学校現場や塾では、まだしばらくは古い呼び名も併用されるでしょう。
このブログでも便宜上、旧用語も区別なく使います。

AO入試(総合型選抜)とは?

大学側が「こういう人材が欲しい!」という人材像を宣言します(アドミッションポリシー)。
そして、それにマッチした高校生がいたら、通常の入試とは別に「一本釣り」で合格させてくれる制度です。

大学側としては、大学の実績に貢献してくれそうな高校生を早くから「青田刈りしたい!」というわけです。
高校生側としても、5教科の他に、自分の得意分野を評価してくれなら「これはチャンス!」というわけです。
こうして双方にとって、入学後の「こんなはずじゃなかった」というリスクを減らそうという入試制度です。

ということで、AO入試の利用は増加傾向です。

そもそもAOとは、海外の入試制度 “Admission Office” から来ているようです。特に Admission (アドミッション)とは「大学が求める人材像」のことです。

ところが、日本の大学がこの制度を導入し始めたとき、一部の大学が「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を問わない入試をしてしまいました。
そのため、講義について行けない学生たちによる授業崩壊が起こるなど、社会的な問題が起こってしまいました。

当然、この失態は文部科学省の目に留まり、大学へ改善要求が出されました。
もちろん教育改革でも改善対象となり、学力や思考力も問うように修正されたワケです。

ということで、今年(2020年の受験生)からは次のような入試となります。

  • 出願時期: 9月以降(これまでは8月以降)
  • 合格発表: 11月以降(これまでは規定無し)
  • 選抜要件: 調査書等の出願書類、志願者本人の記載する資料(活動報告書、志望理由書、学修計画書等)、「学力の3要素」を多面的・総合的に評価
  • 学力評価: 少なくとも次のどちらか1方は実施
    •  各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)
    •  「大学入学共通テスト」

AO入試(総合型選抜)は厳格化の流れ

上で見たように、AO入試でも学力または思考力を問われます。

もしも先輩の合格体験記で

×「AO入試は楽だったよ」

なんて感想があったとしても、それは参考になりません。

先輩の時代とは違います!

今は「学力の3要素」もしっかりと見られます。

実際、AO入試なのに大学入学共通テスト(旧センター試験)の受験を課す大学もあります。

注意してください。

大学の黒歴史「大卒なのに、こんなこともできないの?」

実はAO入試に限らず、大学付属の私立高校に内部推薦で進学する場合も同様です。
いわゆるエスカレーター式に大学へ進学する場合でさえも、ちゃんと試験を課す流れです。

かつて大学を卒業した人の中には、こんな人もいました。

  • 中学英語すら分からない
  • 消費税の計算すらできない
  • 日報の1行、2行の作文ができない
  • パソコンのキーボードが打てない

ここまで来ると、もはや大卒であることに意味がありません。

こういう事が実際にあったので、産業界から大学や文部科学省へ多くのクレームが上がりました。

大学で何してたの?
こんな状態で卒業させるな!

また外国との比較でも、日本の学力低下が明らかになり、何かと批判されてしまいました。

推薦入試にメスが入ったのは、仕方のないことでしょう。

むしろ一般入試(一般選抜)の方が簡単?

そんなわけで、今では推薦入試といえども、学力や思考力をきちんと測るように改革されています。

ただし、だからと言って、偏差値教育や暗記に偏った入試に戻ることはないでしょう。

AO入試では「学力」と「思考力」の少なくともどちらか1方を試験する必要があります。

学力の方を試すなら、大学入学共通テストを利用することができます。
しかし、大多数は基礎的な学力試験やレポート課題を採用しているようです。
過去問や事前予告があれば、これらは対策しやすいでしょう。

思考力の方を試すなら、自頭力を試すような試験が多いです。
ディベートや小論文、研究計画やキャリアプランの発表などです。

残念ながら、自頭力は学校の授業を受けていても向上しません。
それだけに、こちらは対策に限界があります。

自頭力がどう試される?

「○○について、何か意見を言ってみて?」

このような質問をされたときに固まったりしませんか?

もしも固まってしまうようなら、とてもハードルの高い課題です。
更にAO入試では、

「大学で何を研究したいのか?」

という質問に、主体的に回答できる必要があります。

アドミッションポリシーに応えるのですから、当然です。
多くの人が

「大学で何をするかは、大学に入ってから決めよう」

などと漠然に考えています。
これが普通です。
そんな中で、いきなり

「研究テーマ」

を問われます。

この様に、研究の意欲があって、自己表現が得意で、質問に対してその場でぱっと解答できる。

そういう適性が必要です。

「コンテンツ力」が問われる

  • 志望理由書の段落構成を練る
  • 志望理由書を清書する

こうしたことは、学校や塾の先生から指導を受けて向上させることができます。
しかし志望理由書に記載するコンテンツ、つまり、

  • どんなことに興味があるのか
  • 今まで何をしてきたのか
  • 卒業後はどうなりたいのか

などの情報は、進学する学生自身の中にあります。
志望理由書を表現する「コンテンツのネタだし」は、せめて自分で用意する必要があります。

もしも、その「コンテンツのネタ出し」すら何も思いつかないなら、AO入試の適性があるとは言えません。
志望理由書を無理やり作れたとしても、面接が通りません。

親や学校の先生に志望校を決めてもらうような生徒には絶望的でしょう。

自己表現が苦手

そういう生徒にとっては、むしろ一般入試の方が簡単に感じるかもしれません。
暗記しまくった知識で入試の正答率を高めれば合格できるのです。
一般選抜では、自己表現なんて不要ですから。

後半へ続く

ちょっと厳しめに書きましたが、AO入試を甘く見なければ大丈夫です!

何より、この入試制度で合格している学生の人数は年々増加傾向です。
多くの高校生に多様なチャンスを与えている、良い入試制度だと思います。

さて、AO入試の対策について書きたいのですが、

ちょっと長くなったので、ここでいったん切ります。

続きは次のブログ

AO入試の誤解あれこれ。いやいや、簡単じゃないぞ!(2)

をご覧ください。

次回のテーマは、

とんがれ!

です。

お楽しみに?

 


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祝合格! 鹿児島大学 地震の研究者になる夢をつかめ!

鹿児島大学_祝合格!

塾長です。

今日の夕方、鹿児島大学に合格した生徒が挨拶に来てくれました。明日、晴れて出発するそうです。

名古屋市天白区から鹿児島大学を目指す人は珍しいですね。遠いですから。それをわざわざ志望したのは、強烈な理由があったからです。

珍しい進学先なので、体験記を先に紹介します。大学の紹介は後半にしました。

合格体験記

ヒーローズの先生の丁寧なご指導のおかげで、私が希望していた大学に合格しました。
先生たちのお力なしでは、不合格で終わっていたと思います。
短い期間でしたが、今までの間、本当にありがとうございました。

合格体験記は、たくさん書きたい子と、あっさりの子がはっきり分かれます。もちろん、どちらも好きです。本人の性格を知っているからこそ、塾長にとっては暖かい文章に見えますよ。

世界から見てセンター試験は特殊なの?

秋が終わるころだったでしょうか。確か、もう寒い時期だったと記憶しております。

帰国子女で日本の教育課程では教わってきませんでした。
それでも、行きたいところは全て日本の大学なんです!
でもセンター試験の問題が解けません。
日本の教育は海外とは全然違う・・・どうにか差を埋められないでしょうか。

そんなご相談のお電話でした。

塾長は、国際バカロレアの教育課程の生徒を指導した経験があります。そのこと書いた昔のブログを見て、お電話したそうです。なかなか指導できる人が見つからなかったそうです。

こうして、一般入試で点が取れるようにする指導と、国際バカロレアの特別枠で受験するための指導の、2本立てがスタートしました。

もちろん国際バカロレアで手薄になっている単元を中心に、センター試験や赤本について対策しました。というか、残された期間で他のことを少しでもやったら、それこそ時間の浪費でした。

マイナスからのスタート、超・面接対策!

課題は他にもありました。これは指導が始まって、しばらくしてから分かったことです。

面接の対策です。面接で「逆転」する必要があったからです。

というのは、願書と一緒に提出した「自己推薦文」が一部まずかったのです。

もちろん大部分はOKです。さすが、国際基準の教育を受けて来ただけあって、自分の考えを述べることには積極的です。これは強みですね。

しかし「自己推薦文として」見れば、これは問題があったのです。

「大学の教授が」読むという視点で整理できていなかったのです。読ませてもらって、私は直ぐに気が付きました。

あー、もっと早く見せてもらうべきだった!

塾長は焦りました。

高校では自己推薦文の内容までは指導しない?

もともと入塾した時には、

「自己推薦文は学校の指導を受けているので大丈夫です。」

と言われました。学校から特別枠で推薦を出してもらうからです。国際コースを擁する高校からの国際枠での推薦です。わざわざ塾から口出しするのも高校側に失礼だと思いました。それならば、高校側でしっかり指導されているだろうと思ってしまいました。

すでに受験していた他の大学の面接について話を聞いた時に、彼はこう言いました。

「いやー、面接官との相性が悪かったんですよ。高校の先生にも、そう言われました。そこは残念でした。」

この話を聞いて、塾長は胸騒ぎがしました。
確かに、面接官との相性が無いとは言わない。しかし入試である。普通、そんなものは排除するように行われる。少なくとも面接官との相性と合否は関係ないことを前提にして、面接対策をすべきなのだ。

本当に高校側でちゃんと指導されているのだろうか?
あるいは、あえて慰めで言ったのだろうか?

志望校のハードルが高いこともあり、とても気になりました。それで念のために、鹿児島大学の自己推薦書に、どんなことを書いたのか聞いてみました。すると、不安がほぼ的中していたのだと悟りました。

やっぱり面接も塾で指導します

すぐにお母さまに

「面接も指導することにします。」

と伝え、願書のコピーを見せてもらうように伝えました。

そして次の授業の時に、それを開けてみて不安の原因がハッキリしました。

「大学の教授が読む」という視点で書かれていなかったからです。

高校受験や専門学校なら良いでしょう。しかし大学受験は違うのです。大学受験は「研究者に成りたい人」に向けた受験なんです。その考慮がゴッソリ抜けていました。

これはまずい、どう逆転するか・・・

国立大学の試験です。高いハードルです。競争相手がいたとしたら、相当レベルの合否争いになります。

本人には正直に「マイナスからのスタート」だという厳しい現実を伝えました。そして想定質問と回答の原稿をゼロから練り直していったのです・・・

夢を貫いて勝ち取った合格!

対策の練り直しです。

「どうして地震の研究がしたいの?」

地震の研究がしたいことは、前から聴いていました。それが具体的にどういうことなのかを、あらためて本人に質問してみて、その真意を深堀りしていきました。

次に、鹿児島大学の中でも特に行きたい研究室はどこか、どの教授の研究のどこに興味があるかを確認しました。

それが分かると、私も一緒に調べました。その分野の研究がどういうものか、一緒に勉強しました。

「あ、ほんとだ。〇〇教授の研究ってすごいね。ちょっと論文の一部が載っているから訳してあげるね。」

そうやって、大学で研究している自分の姿が目に浮かぶまで、徹底的に詰めていきました・・・

とまあ、なんやかんやありましたが、

「先生、鹿児島大学に合格しました。私立も合格しました!」

喜びの電話をいただいた時には

「うおー、すごい、本当にすごいぞ!」

と喜び合いました。

最初は厳しい現実がありました。
しかし、それにもめげずに、淡々と努力を続けました。
そのひたむきな努力が、きっと彼に合格をもたらしたのでしょう。

ちなみに、3教科の一般受験で挑んだ私立大学も、全て合格していました。
一般受験の対策は、これはこれで、また多く語れるのですが、きりがないので割愛します。

とにかく、武勇伝をありがとう。

そして、本当に合格おめでとう!

推薦入試は甘くないぞ!

昨日の合格体験記もそうですが、これからは指定校推薦でも特殊推薦でも、塾長はガンガン指導します。推薦だって甘くはないですよ!

政府は教育改革の中で

「推薦受験やAO入試が、学力の低い生徒たちの抜け穴的な受験にならないように」

と各大学へ通達をしています。

推薦受験も今後は基準が厳しくなっていきます。

各大学が示している「アドミッションポリシー」と比較して、自分がそれに合っていれば優秀、そうでなければご縁が無い、というのが推薦入試です。

今後はそういう審査が厳格になっていきます。

鹿児島大学

国公立の総合大学で、9学部および複数の研究施設を擁している、とても規模の大きな大学です。キャンパスも広大です。南九州を代表する大学と言えます。都会の大学が2,3のビルで構成されているのに比べると、土地の広さも建物の数もスケールが違います。いかにも国立の総合大学という感じで、広くて大きなキャンパスに憧れている人にはお勧めの大学です。

  • 文系(2学部): 法学部と教育学部
  • 理系(7学部): 医学部、歯学部、共同獣医学部、工学部、理学部、農学部、水産学部

稲森和夫氏が卒業生であることでも有名です。京セラを創業し、日本航空を経営難から立て直した日本を代表する経営者ですね。

南九州の地場産業や地理の特性を活かした研究や、防災など地元の要求に応える研究が盛んです。学部名を見ても、そのことが分かるでしょう。

例えば、火山、地震の研究も有名です。特に火山と地震の研究については、世界中から科学者が集まります。南九州は、霧島火山群や桜島など、狭い範囲に複数のカルデラ火山があります。こんな土地は世界でここしかありません。だから研究者が集まります。

ちなみに桜島を含む姶良カルデラと言えば、今から2万9000年前の旧石器時代に大噴火を起こしたことで有名です。吹き上げられた溶岩や噴石や灰によって、南九州は30mも埋められてしまいました。現在のシラスです。
海を隔てた高知県でも20m、鳥取でも7m、京都で4m、関東でさえ10cmも降り積もったそうです。当時、日本の西半分の縄文文明を壊滅させました。

九州地方は、このように世界最大規模の噴火を起こすカルデラがあるため、鹿児島大学は国の重要な研究拠点になっています。

南にある種子島は、ロケット発射で有名ですね。鹿児島大学は宇宙産業の研究も盛んです。

このように、鹿児島という場所を活かした大学であるため、日本の中でその地位は揺らぎようがないでしょう。

 


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面接の対策 ~自己PRの書き方~

集団面接のイラスト

受験生のみなさん、面接の対策は始めていますか?

AO入試や推薦入試に限らず、高校の一般入試でも面接があります。
もちろん私立高校、公立高校のどちらでも実施されます。

しっかり準備しておかないと、本番でタジタジ、ボロボロになってしまいます。
思っていることの10分の1も言えなかった・・・なんて悔しいことは避けたいです。

そこで今回は面接の対策について書きます。

面接の対策は、今後の人生で色々な応用ができます。

例えば先月、アルバイト講師の大学生にエントリーシートの書き方を指導しました。
今週になって任天堂のインターンシップのメンバーに見事に選ばれたと報告がありました。

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