センター試験2020年を解いて感じた大学入学共通テストの傾向

センター試験2020の数学1Aの写真

この週末は最後の「センター試験」でした。来年からは「大学入学共通テスト」に変わります。

新聞で問題と正答が公開されたので、今年もさっそく解いてみました。
レベル感、勉強法、大学入学共通テストへの展望などについてまとめました。

新聞の速報掲載はありがたい。でも縮小版で老眼の私には字が小さくて頭がくらくらします。一番の難問は老眼による読み難さかも!?
それはともかく、英語数学1A数学2B、そして現代文を解いてみた塾長の感想です。

英語

今年も素直で解きやすい問題でした。難易度も構成も昨年と同様でした。

レベル感は昨年並み、大問5の傾向に注目

例年通り!と結論だけ言ってもつまらないので、今年は大問1~6のそれぞれについて、少し詳しく書いておきます。センター試験はこれで最後ですが「来年以降も引き継がれる問題形式は?」という推測も(勝手に)してみます。

大問1

発音、アクセントの問題です。

単語を知らなかったらアウトです。そういう意味では、センター英語の中でもっとも単語力が試されます。ただし配点は低いです。時間がないので見直し不要。とにかくスピード重視でパパっと解きます。

大問2

文法、語法および構文の問題です。

前半のA問題は、文法、語法です。重箱の隅をつつくような問題はなく、感覚的に解ける素直な問題が多いです。これも配点が低いので見直し不要。正確さよりもスピード重視です。

後半のB問題は、構文、文脈による並び替え問題です。やや難易度が上がり直感が役には立ちません。演習量で差が付きやすい問題で、たとえ英検2級の技能があったとしても対策していなければ難しく感じたはずです。ここから配点が高くなります。しかし後にはまだまだ多くの問題が控えています。悩ましい所ですが、できるだけ後半の長文に時間を取る方が優先です。解らない問題は適当にマークして、いさぎよく飛ばしましょう。

塾長はゆっくり解いたので全問正解できましたが「10分以内で解け」と言われたら適当モードになります。

大問3

ここからが、いわゆる長文問題です。

前半のA問題は例によって文中から不要な文を選択する問題。「文章のテーマは1つ」という大原則を意識すれば解けます。テーマが何か意識せず読んだ人には難しく感じますが、過去問で慣れていれば大丈夫だったでしょう。

後半のB問題も例によって会話文に当てはまる文を選択する問題。これも1つのテーマを見抜くことで意見(事例)と結論を混同せずに読むことができます。

大問3は全体を通じて文章や会話の「主題」を見抜きながら読み進める能力が試されています。

大問4

図表や広告などを使った文章の読解です。

前半は、スポーツで3種類の練習方法を試し、どれが最も上達が速いかを実験で確かめた説明文です。実験の手順や考察が明確に書かれていて、解りやすい文章でした。設問も素直でした。簡単な計算問題がありましたが「境界線上だったら高い得点をつける」という採点ルールを読めていれば、特に問題なかったでしょう。

後半は、フリーマーケットのチラシや運用ルールを説明する文章の読解です。前半に比べてルールの説明が離散的で、論理構成も曖昧です。設問に答えるためには、関係する複数のルールを組み合わせを判断する必要があります。その分だけ少し難易度が上がります。

大問5

随筆文の読解です。

今回は、登山で行き別れた愛犬を探すお話です。筆者は愛犬を探すために、同じ山を何度も登ります。あるとき不思議な体験をして、遂に再会を果たす、という心温まるお話でした。

新聞にもありましたが、大問5の小説文では、筆者の心情変化を読み取る問題が出題されました。これは来年の「大学入学共通テスト」を意識した出題傾向だそうです。実際に大問5を解いた感想としては、いかにも小説文らしい設問でした。英語という点を除けば、読解力そのものについては、現代文の小説や随筆と対策は同じです。

倒置や強調構文、隠喩表現など、文学作品らしい表現が多く使われており、情景が目に浮かぶような優れた文章でした。読んでいて楽しいです。生徒たちも大問5は良くできていたようです。

大問6

論説文の読解です。

今回は自動販売機の歴史と、日本における自動販売機の発展について書かれていました。説明が時系列で、段落構成もハッキリしている文体でした。設問は1~2段落を読むごとに回答できるような形式で、英検2級のような素直な出題です。昨年同様、やっぱり最後の最後で段落構成が問われます。「4つ全て正解」で6点です。難易度は高くはないですが、最後でこれは、なかなか辛いですね。

英語は良問だった

ジャンルごとに設問が丁寧に設計されていることが分かります。やっぱりセンター試験の英語の問題は、とても緻密に設計されています。

もちろん、大手予備校のマーク模試や私立大学の過去問も、とても良い問題が多いのですが、それとは次元の異なるレベルの「きめ細やかさ」で質が高いです。職人技ですね。やっぱり世論にさらされて問題を作成されているだけのことはあります。製作者の緊張感がとても伝わってきました。

ある意味、入試問題のひとつの完成形と言えます。

ぶっちゃけ、変えなくても良いような・・・いえ、何でもありません!

来年以降はどうなるのか?

塾長の勝手な思い込みで、来年の問題について推測します。民間試験の活用と記述試験の導入が両方とも延期になりました。その後「じゃあどうなるのか」という詳細が伝わってきません。早く教えて欲しいです。

さて、来年の大学入試共通テストからは、リスニング100点リーディング100点の配点になります。これはどうやら決定のようです。この配点と、一昨年前に大学入試センターが実施した「平成30年度試行調査」の問題が参考になります。

となれば、まず大問1の発音、アクセントの問題が無くなるでしょう。リスニングに吸収されると思われます。

そして大問2も無くなるでしょう。平成30年度試行調査の問題で見当たらなかったからです。また教育改革の趣旨が「情報処理能力」ですから、単発の知識を問うような問題は、どちらにしろ減っていく傾向にあります。

大問3、4、6のような問題は「論理的な解釈」「必要な情報を探す」という趣旨で再編成されるでしょう。平成30年度試行調査の問題では、これらを混ぜたような問題がメインでした。ディスカッション+資料+長文のような構成が多く出題されていました。

そして大問5です。これからいったい、随筆文や文学的な文章の扱いは、どうなるでしょうか?

平成30年度試行調査の問題では、まったく見当たりませんでした。

「え、これからの時代は、物語の読解は不要なの?」

とビックリされた方も多かったでしょう。
もちろん、そんなはずはありませんよね。塾長は随筆文の形で出題が残ると思います。

文学的な文章の出題は、無くしてしまうと批判が出ます。随筆文は何でもアリなので、文学的な表現を含む随筆文が落とし所かもしれません。

これまで教育改革の議論や試行調査の過程で「論理思考」や「問題解決力」を試すような出題に偏り過ぎた際、一部の知識人から批判が相次ぎました。もちろん「平成30年度試行調査」にも同種の批判が出ていました。

普通に考えれば、この批判を受けて改善すると思われます。

というわけで、来年以降はざっくりと、中型の問題集(文法・語法・図表・論理)、随筆文の読解、の部構成になるのではないかと思われます。

どんな勉強が必要か

高2の冬までに単語・文法・構文解釈

  • 英検2級レベルの語彙力
  • 文法・語法・構文解釈の問題集を最低2周

高3は実践訓練でスピードアップ

  • 現代文と英語の両方で「論説文の読解問題をやる
  • 正しい発音で音読」して、読解スピードリスニング力を上げる
  • リスニング問題集をやる

学校の教科書や課題だけしか勉強していない生徒にとっては、まったく歯が立たないでしょう。何より長文を速く読めなければ点数が取れません。
高1の早いうちから、ネクステージスクランブル速読英単語速読英熟語やっておきたい英語長文300など、受験生の間で定評のある参考書と問題集にあたるようにしましょう。

数学1A

今年はページを開いてギョッとした学生が多かったでしょう。「47個の箱ひげ図」の存在感がハンパなかく、SNSがプチ炎上しました。

難化傾向、大学入学共通テストを占う出題

今年は難易度は少し上がりました。平均点は52~53点とのこと。昨年から6点ほど下がりました。60分で全問を解くのは、かなりきつかったと思います。
時間を奪うトラップ問題がいくつかありました。大問2の三角形の成立条件で解を1つに絞る問題、および多量のデータ資料を読ませる問題、大問4の7進法の循環小数の問題、大問5の方べきの定理の逆を使う問題。これらを上手に解くか回避するかして、時間配分をコントロールできたか否かが勝負でした。

それでは具体的に、設問ごとに見ていきましょう。

大問1

例年通り、数と式、および集合と命題の出題でした。

大問2

前半は、やや難化。例年通り正弦定理余弦定理を中心に単元の定理をまんべんなく出題されました。中3で習う「角の二等分線と辺の比」の定理や、三角形の外角について正弦を求める $ \sin(180-\theta)=\sin\theta$ など、一通り出ました。図中の1辺の長さを求める問題で、解が2つ出てしまう場面がありました。三角形の成立条件「2辺の和>他の1辺」で確かめて1つに絞る必要がありました。それを1つに絞れず焦った学生も多かったでしょう。

後半は、例年通りデータの分析です。四分位箱ひげ図散布図ヒストグラムについて、知識や資料の見方が問われました。図表でページ数を割いていますが、それぞれの図表の見どころは、それらのごく1部に過ぎず、見た目にダマされず落ち着いて解くのがコツです。

大問3

例年通り、確率の問題でした。

大問4

例年通り、整数の問題でした。n進数についての問いも慣れていれば解けたでしょう。循環小数を分数に直す計算は中3でも習った発想なので、特別に難しいことはなかったと思います。

大問5

例年通り、図形の性質(主に三角形)を問う問題です。チェバの定理メネラウスの定理ほうべきの定理が試されました。方べきの定理の逆(式の関係から相似な三角形を見抜く)が思いつき難かったかもしれません。単に公式を覚えるだけでなく、方べきの定理が相似の比であることを理解していなければ、解ききれませんでした。

まんべんなく出題。とにかく時間との勝負!

出題傾向を冷静に見てみると、昨年と大きな変更はありません。データ分析で出題された47個の箱ひげ図は、見た目の派手さとは裏腹に、資料の見方が問われただけでした。

いくつかの問題が難しかったとはいえ、それは毎年のことです。難題を上手にスキップできれば大きく点数は崩れないはず・・・と思いたいのですが、そんな簡単にはいきません。問題が多くて焦るからです。ということは、

制限時間と情報量のアンバランス感

難しさの原因は、これに尽きると言えます。

数学力よりは事務処理能力を難化させる傾向

「平成30年度試行調査」では、大量の情報の中から必要な情報を素早く見つけ、論理的に結論を導かせるような出題が多かったです。それは英語、国語の現代文、数学1で共通の傾向です。

そして今年の問題も、その傾向が少し強まったと感じました。よく言えば情報処理力が試される。悪く言えば事務処理能力が試される。

これが数学らしい傾向かと言われると、ちょっと疑問が残ります。

今のところ、人工知能は図表やグラフの理解があまり得意ではないようです。「数だけ」「数式だけ」「文章だけ」など特定の種類の情報だけで情報処理をするとなれば、人工知能が圧勝します。ところが図表やグラフと文章がセットで出題されると、人工知能は理解ができないそうです。このように色々な種類の情報を取捨選択したり、総合的に判断したりする能力が、まだまだ人間らしい能力と言えるのでしょう。今のところは。

それを意識してか否か、奇しくも今回は「47都道府県の箱ひげ図」などという多量のグラフ資料が出題に用いられました。

人工知能が不得意な情報処理能力を試す!

これが本当の狙いなのかもしれません。ということは今後もこのような出題が続くと想像できます。

数学2B

昨年と同様の出題傾向で、特に大きな変化はありませんでした。制限時間に対する文脈の誘導(ヒント)の塩梅も例年通りです。
海外の先進諸国に比べ、計算力や幾何学を重視した傾向で、日本の入試らしいと言えます。

出題傾向が安定

難易度に大きな変化はなく、平均点も昨年と同様です。

数2Bは数1Aに比べて公式の量が多いだけに、逆に公式の使い方のバリエーションで問題がいくらでも作れます。なおかつセンター試験はどの単元、どの公式からもまんべんなく出題されます。それらが功を奏しているのか、出題傾向が安定しています。「過去問の傾向をそのままにバリエーションを細かく変えてい出題」という意味で安定しています。

それでは具体的に、設問ごとに見ていきましょう。

大問1

例年通りです。三角関数の合成の公式が頻出で、なおかつ他の三角関数の公式も使います。変域や単位円の扱いにも慣れておきましょう。

大問2

例年通りです。誘導は易し目でした。ただし一部で変な文脈設定があり、少し悪意を感じました。

それは下に凸な2つの二次関数と、それらに同時に接する接線に囲まれた領域の面積を定積分で求める問題でした。2つの二次関数の交点と、2つの接点との位置関係を詳細に調べさせておきながら、その面積のすべてを求めるのかと思いきや、左半分の面積だけを計算させて答えさせるという、なんとも煩わしい文脈設定でした。

わざと単純ミスを誘うような、変と言いますか、ちょっと意味不明な設定に感じました。これも「事務無処理能力」を試す指針を反映しているのでしょう。数学としては、どうでも良いようなトラップです。

大問3

例年通り、漸化式です。

冒頭に、いかにも複雑な漸化式が書かれていたので、その時点で戦意を喪失した学生がいたかもしれません。しかし誘導に従って忠実に式変形していけば、例年通りに解けたでしょう。

ただし、最後に少し難しい設問がありました。昨年より平均点が数点だけ下がったのは、おそらくそのためかもしれません。

漸化式と言えば、数列の一般項を求めて終わりですが、今回は、さらに続きがありました。数列の和について「3で割った余り」を求めさせる問題です。実は、数1Aの整数分野との複合問題でした。そして整数の「合同式」の考え方を使います。整数の合同式は数1Aの発展領域で、高校によっては教えない所もあります。
合同式に慣れている人は、最後まで直ぐに解けたでしょう。「数列の和を3で割った余り」≡「個々の項を3で割った余りの総和」であることに気づくことがポイントでした。

ところで、数学では受験生を見た目でビビらせるのが新しい傾向なのでしょうか。
数1Aでは大問2の箱ひげ図で一瞬ビビりましたが、数2Bでは漸化式の見た目の複雑さで一瞬ビビりました。

見せかけにダマされない!

という心構えが必要のようです。これも数学としては、どうでも良いようなトラップです。

大問4

例年通り、空間ベクトル幾何学の問題です。すぐに手を動かして図を描ける人にとっては、例年通りの難易度です。しかし、描けない人にとっては、難問に感じたでしょう。

計算や関数の問題にくらべて、ベクトルや幾何学の問題は、設問の文脈や誘導に気が付きにくいのが特徴です。それを正しく理解するためには「何か分かるごとに図を更新する」ことが近道です。設問に答えるたびに図形の性質が1つずつ明らかになっていきます。そのたびに「図を描き直す」ことで、それ自体がヒントになって次の問題が解けるようになっています。

フットワークの軽さが試される設問と言えるでしょう。ノートを綺麗に書く、ノートに答えしか書かない、というような生徒は、勉強の仕方を見直すべきです。消しゴムを使うようではダメです。計算過程や場合分けの整理、思いついた図形や発想、それらが間違っていた時の取り消し線や、新たに書き直した別の図形など、どんどんノートに書き出していくスタイルで勉強してください。1問を解くだけでもノートがびっしりになるような、そういう深い勉強をしましょう。

大問5

例年通りです。正規分布を仮定して標本調査から母集団の性質を推定する問題です。統計処理の基本的な手法で、標準的な問題でした。

数学全体を通して

数の規則性、統計分野、計算力を重視していく傾向

数2Bも全単元からまんべんなく出題されていますが、今年は大問3で数1Aの整数の性質であるはずの問題も出題されました。数1Aでも整数の性質が必ず出題されています。

ユークリッドの互除法、整数の不斉一次方程式、整数の合同式n進数、といった一連の整数問題は、先の教科書改訂で数1Aに大きく追加された領域です。物事の規則性を調べたり、コンピュータープログラミングを行う際には、こうした整数の性質や数列漸化式のような考え方がとても役に立ちます

もちろんデータの分析統計処理も、数学が広く実用的に扱われている領域です。統計分野も教科書改訂のたびに強化されています。さらに全単元に渡って計算力が問われる出題が多いのも、実用を想定してのことでしょう。

大学入試において、実学志向で数学力が試される傾向は今後も変わらないでしょう。

どんな勉強が必用か

数学1Aおよび2Bに共通して、対策は昨年と同じです。

高校で教科書とセットで配られる「サクシード」や「クリアー」「3TRIAL」だけでは、全く勉強不足です。
それだけでは機械的な計算力しか身に付きません。

設問の意図を拾う力を養うには、やはり「黄チャート」や「フォーカス」などが鉄板ですね。
トップ校は「赤チャート」など上位教材を使いますが、もちろんそれでもOKです。
問題数を絞りたければ「標準問題精講」シリーズでも良いでしょう。

このとき、例題の解き方を単純に暗記するだけではダメです。
ノートにどんどん書き出して、場合分けや解く方針をしっかり書く、図やグラフを素早く描く、思考実験をする、という習慣を身に着けるましょう。

もちろん早めにセンター試験の過去問をやり込んでください。
設問の流れを読む訓練は、過去問が一番です。

特にデータの分析や統計処理の問題は、市販の問題集では物足りないでしょう。ページ数の都合で問題文中に出て来るデータや資料が少なかったり、単純だったりするからです。また入試では総務省や厚生労働省などが公表しているデータから図表が作られることが多いです。こうした肉厚のデータを使った問題が、なかなか市販の問題集では見つかりません。そういう意味でもセンター試験の過去問は今後も重宝するでしょう。

現代文

今年は英語と数学の他に、現代文も解いてみました。国語の平均点は昨年と同様か、やや下がると推測されています。

それでは大問ごとに見ていきましょう。

大問1

例年通り、論説文の問題。昨年と同様に、ディスカッション問題や文章表現の特徴を問う問題、段落構成を問う問題も出題されました。文章量が少し短くなりました。

やはり明確な二元論や結論があるわけではなく、筆者の主張が繊細で特定分野に絞った尖った主張になっています。その主張を正確に表現するための微妙なニュアンスを含む文章でした。それらを正確に読み取らせるような設問でしたが、難問ではありませんでした。というのは、今回は「レジリエンス」という言葉を主軸に置いた解りやすい段落構成だったからです。

あえて難しい問題と言えば問4でしょうか。「レジリエンス」という考え方から日本の福祉のあり方を論じている部分の解釈です。「本人が変化しながら自己の要求を満せる」ように「補助する、支援する」のが「支援者の役割」だというポイントを正確に読めたかどうか。読めたとしても、選択肢の巧みで紛らわしい表現に惑わされなかったかどうか。いかにも正しそうに似せて書かれているので、2択から1つの正解に絞るのが難しかったかもしれません。

大問2

例年通り、文学的な文章の問題。設問形式も同じでした。ただし文章量が大幅に短くなりました。

死をテーマに大戦中の生活や感情を描いた作品です。登場人物のキャラ設定や場面設定が解りやすく読みやすい文体でした。戦時中の生活や心情をどれだけ文面から想像できたかも重要だったでしょう。戦争中の映像や、その時代設定のドラマを見たり小説を読んだりした経験のある人は、情景が目に浮かぶように読むことができたと思います。そのような経験が乏しく情景が想像できなかった人にとっては、短い文章でも難しい問題に思えたかもしれません。

文学作品の文章量が減ったのは教育改革の影響?

次の教科書編成で、高校生には国語の選択科目で「論理国語」が追加されます。これまでの国語の教科書が、古い文学作品に偏った指導になっていたのを反省するのと同時に、今後は論理的な思考力や問題解決につながるような読解力の強化が求められているからです。

平成30年度試行調査の問題では、現代文から文学作品が消えました。評論文、法文、図表を用いた説明文などを用いた出題がメインとなり、論理的な読み方に終始した出題でした。これには流石に批判が出ました。

今回、文学作品の文章量が減ったのは、こうした教育改革の「論理性重視」を反映した結果なのでしょうか。だとすれば、来年以降は、やはり文学作品が消されるか、あるいは随筆文の一部として引用されるくらいの分量まで大幅削減されてしまう可能性があるかもしれません。

記述試験が先送りされただけに、この辺り、ちょっと先が見通せませんね。

どんな勉強が必要か

さて現代文を克服するために、高校生はどんな勉強をすべきでしょうか。

高2までなら今までと何も変わらないと塾長は思います。

一方で、受験生になったら出題傾向に合わせた対策をしましょう。つまり高3になったら新しい大学入試交通テストに備えて「多種多様な資料から結論を導く」的な、事務処理能力の鍛錬をしましょう。過去問が無いので模試を多く受験するのが最良だと思います。

高2までは徹底した「遅読」、高3は「速読」

現代文の読解が苦手だとすれば、その理由は明白です。

試験で想定されている意味の密度 > 自分が解釈した意味の密度

ということなのです。つまり、自分の読み方が粗削りで、意味の受け取り方が曖昧なのです。試験では厳密な読解力が問われます。自分の中で「読めた」のレベルを超厳密に再定義し直さなければ、点数が取れるようになりません。どのくらい厳密に読むべきかと言えば、ズバリ

一字一句を確認しながら読む!

というレベルです。そのために受験生になる前に、あえて、ゆっくりじっくり読む癖をつけて欲しいと思います。早く読むことを速読というのであれば、むしろ遅く読む「遅読」をおすすめします。遅読ができないのに速読はあり得ません。

※ 注意
速読は文字通り速く読むことです。特殊な訓練を受ければ通常の数十倍の速さで長文を読むことが可能になります。実際に1分間で本1冊を読めてしまう人もいます。しかし内容が理解できているかは別です。内容が理解できていない場合は、よくわからない情報が1冊分ただ頭に入っただけ、という状態になります。

遅読とは?

遅読とは、一字一句を確認しながら読むことです。もちろん意味の知らない単語が出てきたら調べて語彙を増やす、というのも含まれます(試験ではそれができないので文脈から推定しながら読みます)。

しかし単語調べだけではありません。言葉と言葉の繋がり、文と文の繋がり、段落と段落(場面と場面)の繋がりなど、色々な視点で文脈を確認しながら読む必要があります。

このような確認作業は、学校の国語の授業や予備校の講義などで、すでに受講経験があるでしょう。しかし授業では確認作業を講師が行い、生徒は確認結果を聞いて「なるほど」と観察しているだけで、自分では何もしていません。つまり自分では遅読をしていません。国語の受業とは、先生や講師が実演している遅読を観察する場所なのです。

それでは、いつ、自分で遅読をするのでしょうか。

そんなの自分で勉強する時に決まっています(授業を受ける時間は勉強ではなく観察に過ぎません)。

ですから、先生や講師が実演して見せた遅読を真似して、今度は自分でやってみることが必要なのです。それをやってください。

先生が実演した遅読を、自分でも真似して再現してみる
遅読は授業と同じ文章でよい

それが遅読のもっとも簡単な勉強法です。

ちなみに、国語でノートをチェックして暗記するのは無意味です。定期テストではよくても、それでは実力が身に着きません。そうではなく、自分が遅読した時に、ノートに書いてあること以上に厳密な解釈が生まれることを確認しましょう。国語のノートはその比較基準として使います。それが国語のノートの正しい使い方です。

ちなみにプログラミングも遅読の一種です。

全体を通して

英数国の問題を解いてみて感じたことは、科目によって変化の傾向がバラバラだったということです。英語の出題傾向は例年通りで安定し、数学と現代文は情報処理力(事務処理能力)を試す傾向が少しだけ強まりました。

とは言え、変化は微小でした。基礎力がまんべんなく試される問題であることには変わりません。

  • 勉強の抜け漏れが無いようにすること
  • 時間配分をよく訓練しておくこと

という対応は来年以降も同様でしょう。

2種類以上のマーク模試を受験した方が良い

来年の大学入試共通テストでは、記述試験と英語の民間試験活用が無くなりました。そのため出題傾向の詳細がかえって分からなくなりました。今後、文部科学省と入試センターが情報を出してくると思います。それにいち早く対応していかないと練習不足になりかねません。

ということで、次の大学入試共通テストを受験する学生の皆さんは、河合塾模試、駿台模試、進研模試など、各大手予備校の実施しているマーク模試を、できるだけ多く受験しておくことをおすすめします。

何かの方針が判明すれば、それらが次の模試の出題傾向に反映されていくからです。

センター試験は昔から事務処理能力の試験と言われてきました。学術的な能力を試すというよりは、基礎力の範囲で手作業の速さを競うような試験です。今年の問題を見る限り、どうやらその傾向は今後も続きそうです。

つまり、問題形式に慣れているほど、時間配分が上手くできるほど、得点に有利になります。模試をたくさん受けて、できるだけ本番に近い最新形式の模試で、数をこなしておく方が良いでしょう。

大学入試改革の方向性は正しいか?

昨年に引き続き、受験者数は減少し、利用大学数は過去最多を更新しました。
受験志願者数は55万7千人で昨年より1万9千人も減少しました。ここ2年で2万5千人減少しています。
高校は私立まで無償化になりました。

進学の敷居は、どんどん下がっています。これから入学試験が関門になる大学は、国公立大学と私立大学のトップ校だけになります。それ以外の大学は、まず定員が埋まりません。事実上、入試というものが無いに等しくなります。

こうした状況の中で入試改革が進んでいます。そして昨今の傾向を見る限り、今後は「情報処理力」や「事務処理力」がより一層問われる傾向にあるようです。学問が実学に傾倒してきています。まるで公務員試験のようです。

はたして、大学側は本当にそうした能力に秀でた人材を求めているのでしょうか?

大学は研究機関です。事務処理をてきぱきできる人間が研究室に来たら、そりゃ便利かもしれません。しかし研究者として期待できるかは別です。例えば共著で論文を出したい人材かどうかは、事務処理能力では判断のしようがありません。研究者にとって、事務処理能力の高さは、そんなに価値のあることではないように感じます。

そういう意味では、センター試験の問題は、大学入試らしいとは言えません。それが塾長の正直な感想です。

教育改革の発端となる議論はいつの時代も一緒です。

  • 日本人は高学歴でも発想力に乏しい
  • 改善はできるが0を1にする創造ができない
  • たった1回の試験の点数だけで合否が判定されるのは理不尽だ
  • 世界のリーダーシップを誇れる人材を輩出したい

この様な問題を解決するために始まった教育改革ですが、私は、その方向に行っているようには思えません。もちろん基礎力を試すことは重要です。しかし基礎力を確かめるという意味ならばセンター試験でも十分でした。

今の時代にふさわしい改革とは?

ではどうすべきだったのか。私は次のようにすべきと思うようになりました。

  • センター試験を大学入試ではなく高校「卒業試験」とする
  • 大学入試センターは「高校卒業センター」に改名し、無償化の代わりにきちんと勉強させる
  • 制限時間を緩くして事務処理能力(時間配分の能力やミス耐性)を試す要素を減らす
  • 代わりに、適性検査などの心理テストを加え、才能の発掘や開花を促す
  • 大学の「入学試験」は各大学が自由に作成・実施する
  • 事務処理能力を試す問題や資格は、民間企業が自由に作成・実施する

日本の教育レベルを底上げし、高校無償化という投資をしっかり回収し、大学の価値を国際レベルまで引き上げようとするならば、上記のような改革が良いのではないかと、塾長は勝手に思う次第であります。

 


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