
夏休み、中学生がよく間違える数学の「あるある」を載せておきます。
(ちなみに英語版はこちらです)
下の計算式は全てどこかが間違っています。
さあ、皆さんは直ぐに分かりますか?
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問題 まちがいを指摘して直しましょう。
中1
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よって解は3 - 「ある数xを2倍して4を足した数は、xを3倍して4を引いた数より20小さかった。」から方程式を立てると
となる。
中2
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を計算すると となる。 - 「2つの奇数の和は偶数になることを証明せよ。」を「nを整数とすると2つの奇数の和は(2n+1)+(2n+1)\)\(=4n+2=2(2n+1)となる。2n+1は整数だから、これは偶数である。」とした。
- 「等式 a=3b+c を b について解け。」を解いて
とした。 - 「A町から公園を経由して2.5km離れたB町まで行くのに、A町から公園まで時速4kmで、公園からB町まで時速3kmで歩くと、全体で40分かかりました。休憩はしなかったとして、A町から公園までの道のりと、公園からB町までの道のりを求めなさい。」について次のように式を立てた。
「A町から公園までの道のりをx [km]、公園からB町までの道のりを y [km] とすると、 および である。」 - 「一次関数について、xが1から5まで変化した時、yは12から4まで変化した。この関数の変化の割合を求めよ。」について、xの増加量=5-1=4 yの増加量=12-4=8 だから、
とした。
中3
- 「2の平方根」は
です。 -
である。 -
を展開すると である。 -
を因数分解すると である。 - 「縦20m、横27mの長方形の畑に、幅が一定の道を縦と横に1本ずつつくり、残った畑の面積が450㎡になるようにしたい。道幅を何メートルにすべきか。」について次のように立式して道幅を求めた。
「道幅をx[m]とすると、 であるから、これを解いて、 よって x=2, 45 だから、求める道幅は2mまたは45mである。」
全て解けるまで、頭をひねって考えてみてください。
下の学年の問題も、ぜひ解いてみましょう。
それでは答え合わせです。
英語と同じで、答えを見て「なーんだ」と軽く見ないでください。
ミスで点を落とすとは、こういうことなのです。
さて、何問できましたか?
こたえ
中1
- 計算の順序がちがう。
を より先に計算すべき。 - 指数の計算がちがう。「指数が偶数の時は正になる」ことだけ覚えていた上で
と混乱。正しくは だから - 後ろの分数で分配法則を忘れている。
と考えるべきだから - 両辺に同じものを掛けなければならないのに左辺にだけ5を掛けている。正しくは
よって解は11 - (xを2倍して4を足した数)<(xを3倍して4を引いた数)で差が20だから、等式にするためには小さい方に20足すか、大きい方から20引くかすべき。従って正しくは、
または
中2
- 方程式でないのに分母を払ってしまった。正しくは
- 「2つの奇数」は同じ数とは限らないので、文字を変えないと一般的な証明にならない。正しくは「n,mを整数とすると2つの奇数の和は
となる。n+m+1は整数だから、これは偶数である。」などとすべき(文字は何でもよい)。 - 両辺に
を掛けるとき、左辺の全ての項に を掛けていない。分配法則を考えれば「両辺に掛ける」とは「両辺の全ての項に掛ける」という意味。しかし1学期~夏にかけて「注目している項にだけ掛ける」という勘違いが多くみられる。連立方程式の計算ミスも、このパターンが多い。
正しくは、 - 速さの単位が時速 [km/h] だから時間の単位も [時間(hour)] に合わせるべき。よって2つ目の式の右辺が誤り。
だから、正しい式は、 である。 - yの増加量の式が間違え。正しくは yの増加量=4-12=-8 とすべき。よって変化の割合は -2 となる。yはxに伴って変わるから、2つの変数で増加量を求める際は引く順番を「変化後-変化前」で揃えなければならない。今回はyの増加量を「変化前-変化後」と逆にしてしまったので符号も逆になってしまった。
中3
- 「2の平方根」は2つ存在するので
とすべき。 は2の平方根にうちのプラスの方で、 はマイナスの方を意味します。そもそも数学の多項式には「たす」記号が省略されているので「符号も含めて1つの項」であるという基礎知識を忘れていると、こういう勘違いが起こります。 - 正しくは5。これも入試の過去問でよく見るし、誰もが1回はまちがってから気が付く。間違いの原因は「√ と2乗がそろったら消える」と機械的に覚えているから。まず √ の中は正の数でなければならないから先に
としておくべきである。なおかつ、 は「25の平方根±5のうちのプラスの方」という意味だったから、正解はプラスの5となる。 - xの1乗の項が抜けている。正しくは、
である。
よくある勘違いが、真ん中の項で、 となった時、分母と分子が同じなので「消える」と思いこむことである。もちろん、消えるのではなくて約分して「1になる」のであるが、数学的に考えずに手順だけ機械的に覚えているような生徒に、けっこう多いミスである。このようなミスは、公文で数学を早期学習してきた生徒に多い症状。 - まだ因数分解ができるのに途中で終わってしまった。最後まで解くと、正しくは、
高1でも、この様なミスは、多い。簡単な事例だから分かり易いかもしれないが、複雑な式になると、けっこう出やすいので他人ごとではない。 - 畑の縦横の長さからすると、道幅45mは畑自身の幅を超えてしまうので、あり得ない。よって正解は 2[m] の方だけであった。
2次方程式は答えが2つ出てくるが、いつも両方が答えになるとは限らない。式を立てた時点で、x<20という条件を一緒に立てておくべきだった。
まちがえて学ぶ
ここで見てきたような間違えは、ひょっとしたら、
単なる「ミス」じゃん!
の一言で片づけられてしまうかもしれません。
しかし、そこは軽く見ないでください。
同じ教材をやっているのに、伸びる生徒と伸びない生徒の違いが、正に隠されているのですから。
「なぜ?」「どうして?」で差がつく
軽いミスでも「なぜ」「どうして」と追求することが大切です。
上で上げてきたミスも、「解き方」として覚えた手順が、数学的におかしくなったから間違えています。
基本を忘れて「解き方」だけを覚えると、必ず例外で引っかかります。
そしてテストや入試では、引っ掛ける問題が出ます。
ですから、間違えて気が付いたことは、その例外を発見したチャンスなのです。
気が付いたらメモ!
まちがえて気が付いたたら、教科書やテキストに気が付いたことをたくさん書き込んでいきましょう。
ノートを作るのは時間の浪費ですから、これと決めた1冊に、とにかく書き込む方が良いです。
実際、伸び悩む子は本当にメモを取りません。
だから講師がノートに書いてあげます。
でも、それもいつか卒業しないといけないんです。
学校でもそうです。
黒板に書かれたことだけではなく、先生の言ったことも、
ぜひ、ノートにメモしてください。
ちなみに、仕事ができない社員も、10言われた事のうち1~2の情報しか拾えないダメ社員も、だいたいはメモを取る習慣がありません。
こういう大人は社会人になってから教育しても、もう手遅れです。
なんだか辛い話で悲しいですが、そういう大人にならないよう、
勉強の一環として、気が付いた事はどんどんメモしていきましょう。
最後は教科書にたどり着く
そして、ミスの多くは教科書の基本がおろそかになっていることが多いです。
教科書を読まずに、問題集やプリントだけで勉強をしている生徒は、なかなかミスが減りません。
毎日10時間も勉強しているのに偏差値が60を超えない。
友達と同じ教材で勉強しているのに点数がぜんぜん違う。
もしも、そんなふうに悩んでいるなら、
- ミスを軽く見ないで追及する習慣
- 気が付いたことや教えてもらったことを書き込む習慣
をぜひ身に着けましょう。